鑑定人 氏家京太郎 の商品レビュー

中山七里(著者)

2022/04/22

今回中山さんが主役に抜擢したのは、民間の科学捜査鑑定所の所長氏家。旧知の吉田弁護士が3人の女性の猟奇殺人犯として起訴された男の弁護をすることになり、再鑑定をしようとするのだが…。あらすじとして書いてしまったら物語としてはそれほど突飛ではないかもしれない。しかし氏家はじめ鑑定書のメンバーがしっかりキャラがたっていて愛着が持てること、さらに警察関係の関係者が他シリーズでおなじみのメンバーが多く出演することもあり、読んでいて楽しい。一気に読まされて、ぜひシリーズとして続きを読みたいと思える一冊だった。

2022/04/18

警視庁科捜研出身の氏家が立ち上げた民間の科学捜査鑑定所〈氏家鑑定センター〉。氏家は、3人の若い女性を惨殺したとされる猟奇殺人犯の弁護士でヤメ検の吉田からの依頼を受ける。容疑者の那智は、2人の殺害は認めたものの、もう1人への犯行は否認しており、その真偽を調べることになったのだ。警視庁科捜研と氏家、検察官と吉田のそれぞれの確執が描かれるなか、否認事件で新たな鑑定結果が出て、それを巡り新たな事件が起こる。

捜査の過程で、光崎教授や他の小説のキャラも出てきて、それはそれで楽しいが、真相は呆気ない。登場人物が出そろったところで犯人も動機もわかってしまう。
タイトルに名前を冠した割には、主人公も普通。（いやそれは、悪徳弁護士やら有名音楽家やらキャラの立った主人公と比べてしまうからか……）
やたらと突っかかってくる権力側の人間が小さくて悲しい。ライバルもそれなりに矜持をもっていてほしいというのは贅沢か。

2022/04/17

他の作品で出てきた人物に焦点を合わせて、新シリーズとして描かれた作品。
小説としては読み応えがあるが、ミステリーとしたらちょっと弱い。ある程度想像がついてしまう点は否めないが、一気に読ませる筆力は流石である。
今後、シリーズとしてどのような話を展開させていくのが興味深い。

2022/04/16

中盤まで、次読みたいという気持ちにならなくて、予想通りの結末でも、ありましたが、後半は面白く感じました。
途中で読むのやめてしまう可能性もあるかな。という本でした。

2022/04/16

犯罪の猟奇性が中山七里っぽい。でも、この本は科学捜査で犯人を探す格好良さが面白く読めました。河原の慰留物浚えて持ってきて、全部分析して求める一つを推理と摺り合わせるなんて、なんか、新しい形の探偵見てるようでした。組織に対抗するところも中山七里っぽかった。好み的には★５にかなり近い面白さでした。

2022/04/15

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民間の科学捜査鑑定所〈氏家鑑定センター〉。
所長の氏家は、女子大生3人を惨殺したとされる猟奇殺人犯の弁護士から再鑑定の依頼を受ける。
容疑者の男は、2人の殺害は認めるが、もう1人への犯行は否認している。
相対する警視庁科捜研との火花が散る中、裁判の行く末は——

驚愕の結末が待ち受ける、圧巻の鑑定サスペンス!
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科捜研の体質に合わずに退職し、自らが起こした氏家鑑定センターに持ち込まれた猟奇殺人事件の再鑑定が主軸の物語である。「自分の仕事は分析であって、裁くことでも罰することでもない」という自らの心情に従って、課せられた仕事を進めていくのだが、あるところから、科捜研の鑑定結果に疑いを抱き始め、ブラック企業さながらの集中力で、スタッフたちと共に新たな目で証拠集めから取り組むことになる。そして判明した事実は、あまりに衝撃的である。真犯人はある程度のところで予想できてしまうのだが、それをどう扱うかというところに氏家の心情が生かされ、人柄もうかがい知れて好感度が上がるが、内心を慮ると忸怩たるものがある。派手さはなく、縁の下の力持ち的な仕事ではあるが、ぜひシリーズ化してほしいと思わされる一冊である。

2022/04/14

面白かったです。
そして中山さんの本って、他の本の登場人物もひょっこり出てくることがあるのでそこも楽しみの一つです。

2022/04/10

法令の話やら鑑定の細かい部分やらを読むのがめんどくさく、序盤は中々進まなかったが、途中から一気に読んでしまった。
科捜研や鑑定や裁判も。取材や資料集めどれくらいしたのだろう。やはり中山七里はすごい。すごすぎる。

淡々と、でも信念を持って仕事する氏家さん。
中村梅雀の２時間ドラマみたいなイメージで読んでいたのに、どうやら年齢が全く合っていない…。
それだけ落ち着いた雰囲気を感じたということにしておこう。

2022/04/10

最初のつかみから始まりどのように証拠を集るかの過程、周囲の示し方を細かな盛り上がりをつけつつ、最後の最後まで引っ張り綺麗に終わらせる展開が良かった。

2022/03/31

警察の科捜研を退職し、自ら鑑定センターを立ち上げた氏家京太郎。最新機器と有能な人材を惜しみなく投入したそこに持ち込まれた依頼は、世間を騒がせる連続猟奇殺人犯の弁護側からのものだった。三件の犯行のうち一件だけを否認する容疑者は、果たして真実を語っているのか。鑑定を進めるうちに数々の妨害と襲撃が相次ぎ、混迷を極めるかに思える事件の様相。サスペンス感溢れるミステリ。
既に真相が解明されたかのように思える事件の再調査、ということで、一見地味なのですが。だからといっておろそかにしちゃいけませんよね。まあ容疑者があまりにあまりなので、一件くらいが無罪だと証明されたところでどうなのそれって、と思わないでもありませんが。真犯人が野放しになっているということは看過できません。しかしこの容疑者、これだけ論理的なのに倫理が欠如しているって……ある意味キャラクターとしては魅力的なのかもしれません。
ある程度まで読み進むと事件の真相は分かりやすいと感じましたが。そこに至る経緯に読みごたえがあるので、中弛みはしませんでした。鑑定作業、魅力的な職業ではありますが。このストイックさは真似できません。そして終盤で協力する警察サイドがまさか最高にカッコいいあの人だとは……！