わたしの美しい庭 の商品レビュー
自分の中にある行き場のないモヤモヤした気持ちを言語化して、尚且つそれをスッと溶かしてくれる一冊でした。 読後のすっきりとした、雨上がりの虹を見た時のような安堵感が良いです。
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文章、心理描写がとても素敵でした。 「縁」を切る方向から描くことで、しがらみや葛藤が明確化されるとともに、本当に大切にしたい縁が対照的に浮き彫りになるのが凄いと思いました。 他の凪良さん作品が素晴らしかったので評価は低めですが、感動できる作品だったと思います。
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表現や例えの文章の語彙がとても豊かでした。 そしてどれもその言葉しか言い表せないと思える美しい言葉ばかりです。 描写が目に浮かび、そこに私も行きたいと思いました。 帯に書いてある、救いの物語の意味も分かるような気がしました。ほんとに救われるような一冊でした。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
縁切りマンションと呼ばれる場所を軸にマンションの住人がそれぞれの苦悩と闘いながらも他人と生きていくことを探す話。 血のつながりがない父と暮らしている女の子、前の奥さんの子どもを預かった男性、ゲイのバーテンダー、高校の時に恋人が亡くなった40歳手前の女性、鬱になった男性などなど、世間が「普通」と考える人生のレールに乗っていない様々な形の人生、関係性等を描いている本。 世間からのプレッシャーに対しての不満や家族からの「思いやり」というものにぶつかってそれぞれが良いと思う形を作り上げていく。 特に女性のエピソードがとても響いた。学生時代に付き合っていた彼氏が交通事故によって亡くなり、その悲しさや辛さを浄化できずにいたが、マンションの住人に出会うことによってうまくその考えから「縁を切る」ことができる。40歳手前未婚独身で職場でも煙たがられる役目も担っていて、家族からも職場でも辛い思いをしている所が女性としてとてもリアルだった。結婚する=幸せ、がまだイコールになっていて、まだまだ世の中では定型文化していることがどんなに辛いのかがヒシヒシと伝わってきた。 思いやりとは何か、が投げかけられた内容だったと思う。『そしてバトンは渡された』ともちょっと似ている「普通」の家族の形式とは?世間一般的な家族ではないと幸せはあるのではないのか?という問いかけられている気がする。 『流浪の月』とはまた違うテイストの内容だったけど、共通して頭の良い女の子がメインになることがちょっと面白かった。
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「僕たちは同じだから仲良くしよう」ではなく 「僕たちは違うけど認め合おう」 「それでも認められない時は黙って通り過ぎよう」 というのがよかった 多様性の時代というけれど なんか無理に認めようとしているような気がするんだよね 薄っぺらな優しさを示して認めたことにするくらいなら、そ...
「僕たちは同じだから仲良くしよう」ではなく 「僕たちは違うけど認め合おう」 「それでも認められない時は黙って通り過ぎよう」 というのがよかった 多様性の時代というけれど なんか無理に認めようとしているような気がするんだよね 薄っぺらな優しさを示して認めたことにするくらいなら、そっとしておくことの方が優しさだってことだね 世の中には、多かれ少なかれ辛い経験をしている人はたくさんいる みんななんとか折り合いをつけて生きているんだから 何も知らない人の同情やおせっかいは不要だよね 縁切り神社って「不吉」って思ったけど そういう不要なものとの縁を切るなら有りだね
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凪良さんの書く文章、セリフは何故こんなに優しく、心に沁みるのでしょう… アパートの屋上庭園、そこにある神社 一人一人の持つ悩みや過去はかなりツラく、悲しい内容なんですが、互いに思いやり押し付けがましくなく、流れる空気は穏やかで暖かい。 BL作家という肩書きから、敬遠する人もいる...
凪良さんの書く文章、セリフは何故こんなに優しく、心に沁みるのでしょう… アパートの屋上庭園、そこにある神社 一人一人の持つ悩みや過去はかなりツラく、悲しい内容なんですが、互いに思いやり押し付けがましくなく、流れる空気は穏やかで暖かい。 BL作家という肩書きから、敬遠する人もいると思うけど、どちらの作品もやはり凪良ゆう!だと感じます。
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傍から見たら登場人物のほとんどが「普通」ではない。でも、何が「普通」なのかは人それぞれだし、正解なんてない。人と人の間に築かれる関係性にそれぞれの解釈があっていい。それがあたりまえだし、世間の固定観念に囚われる必要なんてない。 そういう強いメッセージがあるのに、終始凪良ゆうさんの...
傍から見たら登場人物のほとんどが「普通」ではない。でも、何が「普通」なのかは人それぞれだし、正解なんてない。人と人の間に築かれる関係性にそれぞれの解釈があっていい。それがあたりまえだし、世間の固定観念に囚われる必要なんてない。 そういう強いメッセージがあるのに、終始凪良ゆうさんの言葉は優しくて柔らかい。 他の作品もそうだけど、凪良さんの言葉のチョイスはすごいよなぁ。路有の話を読んで、凪良さんのBLを読んでみたいと思った。 毎度の事ながら、登場人物の名前のクセが強い笑
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流浪の月の時も思ったけど、凪良ゆうさんは解釈の表現がとても分かりやすい 周りが思っていることや、世間的な常識が自分の思想と合致していないと感じるところを的確に突いてきて、誰しも共感出来るところがある小説だと思う
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宮司兼翻訳家兼子育てをこなす統理。 隣に住んでいて、朝ごはんを作ってくれる、移動バーのオーナーの路有。 実の両親を亡くし、母の元夫である統理と暮らす、やけに成熟した小学生の百音。 統理のマンションは屋上が神社になっており、境内はよく手入れされた庭になっている。 人に裏切られたり、...
宮司兼翻訳家兼子育てをこなす統理。 隣に住んでいて、朝ごはんを作ってくれる、移動バーのオーナーの路有。 実の両親を亡くし、母の元夫である統理と暮らす、やけに成熟した小学生の百音。 統理のマンションは屋上が神社になっており、境内はよく手入れされた庭になっている。 人に裏切られたり、いらぬお節介を焼かれたり、誰かを支えたり、支えられたり、失ったり、別のものを手に入れたりする物語。 徹底的に「これが当たり前」と言われるものを壊していく。 異性愛とか、家族は血縁が当然とか、就職するのが当然、結婚するのが当然とかの固定観念に、囲まれて、苦しんで、それを乗り越えて。 結局それを当たり前と思うかどうかも解釈次第、それに苦しむか、自分は自分とありのままを一旦認めるか、それも解釈次第。 そういう、選ぶ間も無く当たり前から外れてしまった人たちを認めてくれる。 自分も自分を、また他の人を認められるようになりたい。
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とあるマンションの屋上にある小さな神社「御建神社」。通称「縁切りさん」とも呼ばれている。そのマンションに住む三人を軸にそれぞれが抱える恋愛事情を通して、「普通」であることの生きづらさや前へ向こうとする三人の姿が描かれる。 別作品で本屋大賞を受賞した凪良さん。前々から気になって...
とあるマンションの屋上にある小さな神社「御建神社」。通称「縁切りさん」とも呼ばれている。そのマンションに住む三人を軸にそれぞれが抱える恋愛事情を通して、「普通」であることの生きづらさや前へ向こうとする三人の姿が描かれる。 別作品で本屋大賞を受賞した凪良さん。前々から気になっていたのですが、いつの間にか時間が流れ、文庫本が出版されたのを機に購入してみました。 雰囲気としてはBL小説よりの作品かなと思いました。といっても、あまり読んだことはありませんが、登場人物の心情を丁寧に描いていたり、もしかして恋に発展する⁉︎といった匂わせるような雰囲気を醸し出していたりしています。ゲイの人が登場したからかもしれませんが、世界観が現実とは違ったポワンとした空気感で、透明感がありました。 読み終えてみて、長い時間をかけてもいいから、ありのままの自分で良いんだと優しく背中を押されたような気持ちになりました。 宮司兼翻訳家の統理、バーのマスターである路有、医療事務をしている桃子、サラリーマンの基。それぞれの視点から見えてくるそれぞれの「生きづらさ」。 なかなか「普通」とは違った考えを理解することは大変ですが、こういった悩みを抱えている人は多くいるかと思います。 その中で、どういった考えを導いていくのか?ケジメをつけた後の姿が、カッコ良く映っているように感じました。 自分だけじゃなく、周囲に理解されるということがいかに大事か。世界は広いです。自分の視野を広げてみることで、グッと勇気づけられるのではとも思いました。 比較的若者向けな印象の作品でしたが、優しい気持ちにさせてくれた作品でした。
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