現代生活独習ノート の商品レビュー
たまたま見た意識高い系YouTuberの動画に触発されて、その日の夕ご飯だけは少し丁寧に作ったりすること、あるよね〜。 で、次の日はそんなことも忘れて、いつもの時短レシピ、作りがちだよね〜〜。 平凡で退屈な、そんな私達の生活の一部を切り取ったような8つの物語が収められた本作。 ...
たまたま見た意識高い系YouTuberの動画に触発されて、その日の夕ご飯だけは少し丁寧に作ったりすること、あるよね〜。 で、次の日はそんなことも忘れて、いつもの時短レシピ、作りがちだよね〜〜。 平凡で退屈な、そんな私達の生活の一部を切り取ったような8つの物語が収められた本作。 自堕落に過ごしていた休暇中、たまたま見た昼間のテレビ番組にハマる女。 冷蔵庫の中の境界線戦に辟易する主婦。 便利なツールが溢れる近未来でも、やっぱり人間の根っこの部分は変わらないんだなと思わせられる未来人。 レッテルを貼り合う人々。 食事に関心を抱けなくなった女。 上司の都合に付き合わされて、休日出勤させられたOL達。 架空の国に物語を設定する少女。 ドラマチックでも何でもない、冴えないんだけど何だかまあそれも悪くないよね、これが一般市民の私達の日常だよね、と思わせられる作品群です。
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ファンタジーや奇妙な要素が入ったものもあるが基本的に日常生活の小さなことを描いている短編集。 でも人生の大半は日常生活の小さなことで占められているのだと思えば、これは人生そのものを描いているのかもしれないなと思ったりする。 イン・ザ・シティは青春小説の傑作!
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だいぶ面白かった。 人との距離の取り方というのか、人と人が、親しくもなく親しくなりたいわけでもなく、ただ個々に居るという感じ… どの登場人物にも入り込めず共感もできないのだけど、その距離感が心地いい。 誰もが悪人でもなく善人でもなく、普通でもなく異常でもない。どこかしら変で、でも...
だいぶ面白かった。 人との距離の取り方というのか、人と人が、親しくもなく親しくなりたいわけでもなく、ただ個々に居るという感じ… どの登場人物にも入り込めず共感もできないのだけど、その距離感が心地いい。 誰もが悪人でもなく善人でもなく、普通でもなく異常でもない。どこかしら変で、でもまともで。 面白い。こんなふうに人を描く作家さんがいたんだ。 「粗食インスタグラム」 「イン・ザ・シティ」 「現代生活手帖」 「レコーダー定置網漁」 「フェリシティの面接」 「メダカと猫と密室」 気に入った順番。 「粗食インスタグラム」にはだいぶ頷いてしまった。なにを食べるか決めるのももう面倒、ということ、よくある。コアラならよかったのに。 フェリシティさん、ミス・レモンだったのにはニヤリとしてしまった。
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とても静か。いまからこの左側のソファの上で毛布にくるまって津村記久子の現代生活独習ノートの続きを読む。短編集で、最初の二つはすでに思い出せないくらい普通の生活を描いてたのに、三つ目はなにこれ星新一?となって驚く。今四つ目の途中なんだけど、これもどこか不穏。 読み中の津村記久子を...
とても静か。いまからこの左側のソファの上で毛布にくるまって津村記久子の現代生活独習ノートの続きを読む。短編集で、最初の二つはすでに思い出せないくらい普通の生活を描いてたのに、三つ目はなにこれ星新一?となって驚く。今四つ目の途中なんだけど、これもどこか不穏。 読み中の津村記久子を閉じて、本中に出て来たフライパン焼き鳥を作る。作中の料理研究家が、離婚直後のやる気のない時にでも作れる簡単ごはんとして紹介していたもの。鶏もも肉と長ネギを適当に切って焼いて醤油と味醂と砂糖で味付け、15分で出来る。作ってみたら味が濃そうだったので久しぶりに冷凍ご飯を解凍して丼にした。今日はOKでパンを3つも買って食べ尽くしていたのに、美味しく食べ切った。 ああ、大丈夫じゃん。もう、なんでも美味しく食べられるかも。
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日常のちょっとしたモヤモヤが溜まっていくとシミのような疲れになっていく。何があったわけじゃないんだけど、何もないんだけど、気持ちがすり減ってしまう感覚。それをちょっとありそうでなさそうななさそうでありそうな設定の中で言語化してくれる。
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全話クスッと笑える箇所があり、テンポよく読める話だった。 ちょっと生活に疲れたという人の表現がとてもいそうな加減でしっくり来た。 強制的に期限に間に合わせるため、相手が困ってるていのメールを勝手に送ってくれるサービス、私も欲しい… 出てくる近未来的なシチュエーションは羨ましいと...
全話クスッと笑える箇所があり、テンポよく読める話だった。 ちょっと生活に疲れたという人の表現がとてもいそうな加減でしっくり来た。 強制的に期限に間に合わせるため、相手が困ってるていのメールを勝手に送ってくれるサービス、私も欲しい… 出てくる近未来的なシチュエーションは羨ましいと思う範囲で、すっと理解できた。
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『牢名主』、『台所の停戦』、『メダカと猫と密室』が特によかった。いずれも有害な存在に対しての対処をテーマにしていて、ある種勇気づけられるものがある。SFチックな『現代生活手帳』やおっと、推理小説か?という『フェリシティの面接』といったチャレンジもある。 でもロバが配送する設定は、...
『牢名主』、『台所の停戦』、『メダカと猫と密室』が特によかった。いずれも有害な存在に対しての対処をテーマにしていて、ある種勇気づけられるものがある。SFチックな『現代生活手帳』やおっと、推理小説か?という『フェリシティの面接』といったチャレンジもある。 でもロバが配送する設定は、少し職業をバカにし過ぎではないかと思った。
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ちょうど休暇中に読んだので一番はじめの話があるあると思って読んだ。 半歩先くらいの近未来ファンタジー?
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現代にありそうな、なさそうなシチュエーションを切り取った短編集。ちょっと近未来的なものもあったけど。 どれも、一気に読んでしまう。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
好きだったのは台所の停戦。 ありそうだなー!と思える話だった。お母さん側の考え方や気持ちがすごいわかる。子供いないけどこんなことあるだろうなと思うような内容だった。 祖母が捨てるべきものを捨てられなくてなんでも溜め込んでしまう所とか冷蔵庫が自分のテリトリーだから人から「あれどこにある?」という発言がプライドを傷つける行為で何もせずに「〇〇が食べたい」と言ってくる人は甘やかしてもらえるというのはリアルだと思った。 絶対に何か些細な瑕疵を見つけ出してあげつらうのは完璧主義だからではなくて母親として振る舞っているから。子供の中に不完全な部分を見つけ出しそれを補完するのは母親の生涯の仕事だから。 という文章は印象に残った。私の母も過程にこだわりがありマイルールから外れると口出ししてくる(料理のみ)ことが疑問に感じていたけどこの本を読んで理解できることが多かった。 この主人公は子供も自分の母に対しても寛容であろうとしていて相手の行動や反応を分析して理解している所が好きだった。
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