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アダム・スミスの夕食を作ったのは誰か? の商品レビュー

3.7

50件のお客様レビュー

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2024/07/23

ある状況から利益を得るために人はどう行動するか? それが経済学だと考えられているが本当にそうなのか?利益を得るために利己的に動けば全体がうまくいくように見えざる手が調整してくれるのか? 何も利益を生み出さないからといって女性の働きが無視されている。経済学の定義外にあるたくさんのこ...

ある状況から利益を得るために人はどう行動するか? それが経済学だと考えられているが本当にそうなのか?利益を得るために利己的に動けば全体がうまくいくように見えざる手が調整してくれるのか? 何も利益を生み出さないからといって女性の働きが無視されている。経済学の定義外にあるたくさんのことを見なかったことにして経済学を論じても仕方ないのでは。想定する人間が単純化しすぎている。それで人間を本当に理解できるのか? を問いかけている。

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2024/07/21

「我々が食事を手に入れられるのは肉屋やパン屋の善意のおかげではなく、彼らが自分の利益を求めた結果である」というアダム・スミスの、そして現在経済理論の根幹に対して「ところで、そのステーキは誰が焼いたんですか?」という極めてシンプルかつ衝撃的な問いで始まる本書は、長年に亘って無視され...

「我々が食事を手に入れられるのは肉屋やパン屋の善意のおかげではなく、彼らが自分の利益を求めた結果である」というアダム・スミスの、そして現在経済理論の根幹に対して「ところで、そのステーキは誰が焼いたんですか?」という極めてシンプルかつ衝撃的な問いで始まる本書は、長年に亘って無視されてきた経済における女性の存在に目を向ける。 子育てを含む主婦労働をサラリーマンの給与にすると年収二千万円に相当するというような記事が出回った時期があったが、金額の多寡は別にして、それだけの労働と生産が GDP にも編入されず、経済理論にも登場せず、したがって経済政策にも反映されないというのは確かにおかしな話だ。結果として、性差別の問題は「女を入れて掻き混ぜる」ことによってのみ解決しようとされており、従来女性ロールが担ってきた労働の価値は忘れられようとしている。 そんな世の中に一石を投じた著作…ではあるのだが、行動経済学の発見によっても一瞬も揺がなかった効率的市場仮説が何らかの影響を受けている節はない。結局、世の中を近似するのに「経済人」より最適な代替案が提示されていないということだ。

Posted byブクログ

2024/07/10

話題になったのは3年も前。 気になっていた本書をようやく読むことができた。 タイトルにあるように、おもに女性が担ってきたケア労働が無償ゆえに経済学の中で無視されてきたことについての本。 面白かった。 しかし後半はちょっとダレてしまい、ズルズルと惰性で読んだ。 アダムスミスの母...

話題になったのは3年も前。 気になっていた本書をようやく読むことができた。 タイトルにあるように、おもに女性が担ってきたケア労働が無償ゆえに経済学の中で無視されてきたことについての本。 面白かった。 しかし後半はちょっとダレてしまい、ズルズルと惰性で読んだ。 アダムスミスの母、従姉妹、偉いよなあ… 女性たちがあげ始めた声、発展途上国の躍進、世界はもっといい方へ行こうよ。 大学でほんのわずか経済をやったとき、えー、ニンゲンはこんなことしないよー、と思った不満を思い出す。 みんな同じことを思っていたんだなと安心できた。 以下、印象に残った箇所を引用。 ある人は1日に200回手を洗い、ある人は車を運転するとき何がなんでも左折を避ける。スポーツを10時間連続で見つづける人もいれば、バスルームの床を15時間磨きつづける人もいる。あなたの頭は応援するチームの勝ち負けでいっぱいになり、あるいは床のばい菌でいっぱいになる。人生に苦しんで自殺する人もいる。それは経済の合理的なロジックにおさまらないできごとだ。鍵のかかった箱に入れられ、誰からも見えないところに隠されるできごとだ。 精神疾患がある人の多くは、自分だけが正気なのだと考えている。私の強迫行為は狂っする正常な反応だ。病棟の明かりが消え、あなたは恐怖に叫びだす。喉の奥から絞りだされるその音は、しかし単にひとつの要求である。世界は決められたコースに沿って進んでいく。悪魔の回転木馬は回りつづける。費用対効果を考えろ、無駄なことをするな。一列に並び脇目も振らずに行進する軍隊のなかで、あなたはひとりぼっちだ。ひとつのロジック、ひとつの世界、誰にも顧みられずにひとりで死んでいく人。 これが私たちのすばらしい世界だ。

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2024/05/21

経済には心がないという言葉に衝撃を受けた。確かにそう思うと、自分を取り巻く理不尽な環境に納得がいく。 女性が排除された経済の世界。自分が漠然と思っていたことを論理的に説明がされていて、世の中の捉え方について勉強になった。

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2024/04/22

このタイトルを思いついただけで勝ちでしょう。 本書の骨子は「経済人」偏重の市場経済に女性の存在が無視されているという、社会のあり方に異議を申し立てる。フェミニストは上野千鶴子のようなもっと狭義のジェンダーの違いから受ける不利益にフォーカスするものであるという先入観があったので、...

このタイトルを思いついただけで勝ちでしょう。 本書の骨子は「経済人」偏重の市場経済に女性の存在が無視されているという、社会のあり方に異議を申し立てる。フェミニストは上野千鶴子のようなもっと狭義のジェンダーの違いから受ける不利益にフォーカスするものであるという先入観があったので、経済との関連で論じるものはとても新鮮。新しい社会のあり方、寛容さへの期待みたいなものを感じる。(今ちょうど観終わった「不適切にもほどがある」と共通するテーマ) 少し具体的なところでは2008年金融危機への解説が秀逸。デビット•ボウイの逸話との絡め方と専門用語なしの人間の情動的な反応による説明が、腹落ち度高い。ここだけでも読む価値あるかな。

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2024/03/20

経済学は「愛の節約」を研究する学問になった。社会は利己心で成り立っている。アダム・スミスの見えざる手から経済人は生まれた。愛は私的な領域へと追いやられた。社会に漏れださないように、しっかり管理しなくてはならない。そうしないと、愛が枯渇してしまうから。 経済学は愛を節約しようとした...

経済学は「愛の節約」を研究する学問になった。社会は利己心で成り立っている。アダム・スミスの見えざる手から経済人は生まれた。愛は私的な領域へと追いやられた。社会に漏れださないように、しっかり管理しなくてはならない。そうしないと、愛が枯渇してしまうから。 経済学は愛を節約しようとした。愛は社会から隔離され、思いやりや共感やケアは分析の対象から外された。そんなものは社会のとみとは関係ないからだ。

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2024/03/09

もっと若い時期に読んだら一面的だと反発していたかも。おっさんになった今なら素直に読めました。思春期の子どもに読ませるのに良いかもしれません。

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2024/02/19

タイトルが秀逸です。アダム・スミスの食事を誰が作っていたのか、誰も真剣に考えたことがありません。実はアダム・スミスは生涯独身だったので、彼の食事は実の母親が作っていたそうです。 結局、スミスの経済学では女性は完全に無視されています。合理的な経済人とは完全に男のことが想定されてい...

タイトルが秀逸です。アダム・スミスの食事を誰が作っていたのか、誰も真剣に考えたことがありません。実はアダム・スミスは生涯独身だったので、彼の食事は実の母親が作っていたそうです。 結局、スミスの経済学では女性は完全に無視されています。合理的な経済人とは完全に男のことが想定されています。家事や育児を担っている人間のことは閑却されています。 著者のマルサルさんはスウェーデンの出身だそうですが、スウェーデンでさえやはり女性に不平等な制度、慣行が多いそうです。 男女平等度が特に低い日本は真剣に女性の地位向上に取り組むべきであると痛感しました。

Posted byブクログ

2024/01/02

レビューはブログにて https://ameblo.jp/w92-3/entry-12834953369.html

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2023/11/22

産休育休時短勤務を通して感じた社会の理不尽について、気持ちよく言語化されていました。 あのとき感じた無力さや、怒りを思い出すと共に、自分たちが少しずつ変われば、次の世代の人々はあんな目に合わずに済むかも知れない、といつ希望も感じられました。 就活に勤しむ学生の皆さんや、出世・昇...

産休育休時短勤務を通して感じた社会の理不尽について、気持ちよく言語化されていました。 あのとき感じた無力さや、怒りを思い出すと共に、自分たちが少しずつ変われば、次の世代の人々はあんな目に合わずに済むかも知れない、といつ希望も感じられました。 就活に勤しむ学生の皆さんや、出世・昇給に目が眩んでしまう人、とにかくいろんな方に読んで欲しいです。

Posted byブクログ