アダム・スミスの夕食を作ったのは誰か? の商品レビュー
着眼は良い、けど要は数理モデルへの批判であって、まあ別にそんなに新しいことでもない。 その割にとにかくくどい。くどすぎる。3行で終わる内容を延々と言い続け、対案がない。
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「アダム・スミスの夕食を作ったのは誰か?」kawade.co.jp/sp/isbn/978430… さすが河出だぜ。経済学からこぼれおちる労働資本と具体的な生産性の話。よくある家事の経済価値の話やフェミ論じゃないところがいい。経済の成り立ち自体を疑う姿勢はとても好きだな。なおタイ...
「アダム・スミスの夕食を作ったのは誰か?」kawade.co.jp/sp/isbn/978430… さすが河出だぜ。経済学からこぼれおちる労働資本と具体的な生産性の話。よくある家事の経済価値の話やフェミ論じゃないところがいい。経済の成り立ち自体を疑う姿勢はとても好きだな。なおタイトルから妻を想像したけど違ったw
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経済学で自明のものとされる"経済人"とそれを当たり前だと思っている社会に対して、フェミニズムの観点から問い直しをしていて、とても面白かった。 難しそうな印象だったが、文章はとても読みやすい。
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訳者あとがきにあった 「フェミニスト経済学の考え方をベースに、既存の経済学をバサバサと斬っていく爽快な読み物です」 のとおりの本。面白かった。
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アダム・スミスの夕食を作ったのは誰か? これからの経済と女性の話 著者:カトリーン・マルサル 訳者:高橋璃子 発行:2021年11月30日 三松堂 経済学の父と呼ばれるアダム・スミスは、『国富論』の中で「見せざる手」という言葉を使った。それは経済学者によって広められ、有名な経済学用語となった。誰も触れることができない手だが、すべてを導き、整え、正しい方向に進ませてくれる。上から支配する手でもなければ外から干渉する手でもない。指図も邪魔もしない。個人の行動や選択のあいだに立ち現れ、システムを内側から動かす力である。 アダム・スミスは生涯独身で、人生のほとんどの期間を母親と暮らした。母親が家のことをやり、いとこがお金のやりくりをした。そこにアダム・スミスが語らなかった食事の一面がある。肉屋もパン屋も酒屋も、仕事をするためには妻や母親や姉妹が毎日子供の面倒をみたり、家を掃除したり、食事をつくったり、服を洗濯したり、隣人と口論したりしなければならない。経済学が語る市場というものは、つねにもうひとつの、あまり語られない経済の上に成り立ってきた。アダム・スミスが答えを見つけたのは、経済の半分の面でしかない。彼が食事にありつけたのは、商売人が利益を求めて取引したためではない。母親が毎日せっせと彼のために食事を用意していたからだ。 著者はそう比喩をし、ジェンダー視点での経済学を語っていく。ケインズの失敗を振り返り、新自由主義を切り、行動経済学の不充分さを指摘する。コラム形式で16章からなるテーマ別の経済とジェンダーの話は、部分的には納得でき、説得力を感じるが、全体を通してなにが言いたいのかがハッキリしない。焦点が定まらない印象を受け、読んでいて退屈してくる。 それはお前がジェンダー問題について真剣に考えていないからだと指摘されれば、それまでかもしれないが。 *********** 中国の人口男女比率は女性100人に対して男性107人。インドでは女性100人に対して男性108人。インド出身の経済学者アマルティア・センによると、もしも医療や栄養を男女平等に与えていたなら、地球上の女性の数は今より1億人多かったはずだと言う。 消えた1億の女性は、世界の貧困の7割が女性に押しつけられた結果だ、と著者。 デヴィッド・ボウイは、1997年、50歳の時にお金が必要になった。元マネージャーのトニー・でフリーズから自分のヒット曲の権利を買い戻す決意をしたのだ。それにはまとまったお金が必要だった。彼は「ボウイ・ボンド」と呼ばれる独自の証券を売り出した。自分の作品から将来的に得られるであろう著作権収入を証券化した債権であり、購入者は将来、その著作権収入を受け取ることができる。無事、元マネージャーから買い戻せた。 同じようなやり方を考えたのが、アメリカの住宅ローンだった。ある銀行が1万世帯に10万ドルずつ貸せば、返済金10億ドルを25年のうちに受け取れるが、これを証券化して売れば25年待たなくてもあっというまに真新しい10億ドルが手に入る。その金でまた新たなローンを貸し出す。そして、また証券化して売る。この繰り返し。これがサブプライムローンの破綻、そして2008年の金融危機(リーマンショック)へと繋がった。 イスラエルの保育園では、保護者が迎えの時間に遅刻することが多くて困っていた。そこで、遅れてきた保護者から罰金を取ることにした。すると、遅刻が減るどころか逆に増えた。罰金さえ払えば送れてもいいと、プレッシャーが減ってしまった。 トラックの荷台からソファをおろすのを通りがかりの人に手伝ってほしいとき、「お金を払います」と言うと断られる可能性が高くなる。善意で手助けをしたいという気持ちが、お金の介在によって邪魔されるため。 白衣の天使といわれたナイチンゲールは、お金はけっして悪ではないと主張し、生涯を通じて看護師の待遇改善を求めた。献身とケアの象徴であるナイチンゲールだって、決して天使ではなかった。現実を生きていた。ケアが女性から自然に湧いてくる天然資源だというイメージほど非現実的なものはない。私達はナイチンゲールを経済の幻想にうまく合うかたちに歪めてしまった。男性が必要とする女性のかたちに。
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この社会の歪みを的確に、そして執拗に問い詰める一冊。「アダム・スミスの夕食作ったのは誰か?」という出発点のユニークさがあまりにも秀逸で、この時点でまんまと著者の掌の上に乗ってしまった。 確かに同じテーマについて繰り返し記述される部分はあり読む人によってはくどいと感じることもあろう...
この社会の歪みを的確に、そして執拗に問い詰める一冊。「アダム・スミスの夕食作ったのは誰か?」という出発点のユニークさがあまりにも秀逸で、この時点でまんまと著者の掌の上に乗ってしまった。 確かに同じテーマについて繰り返し記述される部分はあり読む人によってはくどいと感じることもあろうが、むしろそのくどさこそ女性が置かれているしんどさを表すひとつの指標になっているのではないか。簡潔に、スマートに、シンプルに、女性が現在進行形で置かれている苦境を述べよ、などというのは全くのエゴなのではないか。
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『#アダム・スミスの夕食を作ったのは誰か?』 ほぼ日書評 Day644 ジェンダー経済学と呼ばれる分野の本とのこと。 男性が自分の雇っている家政婦と結婚したら、国のGDPが減ってしまう。 逆に、彼が高齢の母親を老人ホームに入れれば、GDPが増加する。 過去には多くの場合に...
『#アダム・スミスの夕食を作ったのは誰か?』 ほぼ日書評 Day644 ジェンダー経済学と呼ばれる分野の本とのこと。 男性が自分の雇っている家政婦と結婚したら、国のGDPが減ってしまう。 逆に、彼が高齢の母親を老人ホームに入れれば、GDPが増加する。 過去には多くの場合に女性が担ってきた家庭内の労働が、経済的な考察・評価からすっぽり抜け落ちてしまっていることに警鐘を鳴らす内容。 指摘自体は真っ当で、異論の余地はないのだが、本としては、翻訳のせいなのか非常に読みづらい。回りくどい表現や、類似テーマの繰り返しも多く、さらにSo what?が弱いのも気になる点だ。 冒頭で紹介される、西洋ジョークの謎々「長さ100メートルで、カタツムリみたいにのろくて、キャベツしか食べないものはなーんだ?」なども、何故ここで言及されるのかが、まったくピンと来ない。 https://amzn.to/3mLQ8hp
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「経済的インセンティブは本当の動機を殺すのだ」(p.156)という指摘は金言過ぎる。制度設計・組織運営をしているすべての男性に胸に刻んでほしい。
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性別役割分担の解消について語るとき、〜男性が「まともに取り合ってもらう」ために花柄の服を着るべきだ、と主張する人は見かけない。〜でもビジネスの世界で活躍する女性に対しては、控えめな格好をすることが未だに求められている。〜ニュートラルな服装、つまり、男性っぽい服装だ。男性の身体に合わせてつくられた世界に、女性は自分を合わせなくてはならない。 〜 ところが男の子の服装については、なにもいわれなう。ピンクのバレリーナみたいな服装に顔をしかめる保育士も、男の子がサッカー選手の格好をするのは問題ないと考えているようだ。 p.210-211 すごい。目から鱗が落ちた。少し読みにくいところもあったけど、読んでよかった。自分の無意識に気づくことができた。
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素晴らしい本 フェミニズム関係の本で探して読んだが、経済学の本だった。 現在の格差社会、競争社会がなぜそうなのか。 現状分析の新たな視点と考え方の必要性を順を追って分かりやすく解説している。 人間にとって何が大切か、社会はそのためにどんな風に進めて行くか、経済と共存する社会の為に...
素晴らしい本 フェミニズム関係の本で探して読んだが、経済学の本だった。 現在の格差社会、競争社会がなぜそうなのか。 現状分析の新たな視点と考え方の必要性を順を追って分かりやすく解説している。 人間にとって何が大切か、社会はそのためにどんな風に進めて行くか、経済と共存する社会の為に何を考え行くべきか提示してくれているとても素晴らしい本でした。
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