ミニシアターの六人 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
話題作の上映ではなく、ロングラン上映でもなく。ミニシアターで一週間だけ公開された、二年前に亡くなった監督の追悼上映会。 大きな事件も、感動にむせぶシーンもない。ただただ夜の銀座で流れる時間と、そこにいた人たちの、小さな小さな物語を描いた映画をたまたま同じ時間に観た六人の人たちの、人生のワンカット。 六本の線がバラバラに緩やかに交わり、そして緩やかに離れていく。 なんだろな、このゆっくりとした居心地の良さは。小説の中で自分も寝ころんでぼんやりと来し方を思うような。 ひとはひととのかかわりで自分の人生を彩っていく。人生のどこかで袖振り合っただれかとの邂逅。 小野寺さんの優しい目が、今の自分の寂しさを照らしてくれるようだ。蛍光灯ではなく、白熱球で、ぼんやりと温かく。いいなぁ。あぁ、いいなぁ、こういうのって、とそう思いながら一章ずつゆっくりと読んだ。
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