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ミニシアターの六人 の商品レビュー

3.4

40件のお客様レビュー

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2023/11/07

銀座のミニシアターで21年前の作品が追悼上映された。観客は6人。それぞれに少しずづ人生が交差しているのだけれど、表面的な部分しか見えなくて少し薄い感じを受けた。それでも皆が心の中に抱える郷愁に触れて温かい感じは小野寺さんらしい。

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2023/04/02

スクリーンは奇跡を映す。観客の人生にも。 銀座のミニシアターで、二年前に亡くなった末永静男監督の追悼上映が行われている。二十一年前に公開された『夜、街の隙間』、上映は一週間だけ。最終日前日、午後四時五十分の回。観客は六人だった。 この映画館で働いていた三輪善乃は、公開当時にチ...

スクリーンは奇跡を映す。観客の人生にも。 銀座のミニシアターで、二年前に亡くなった末永静男監督の追悼上映が行われている。二十一年前に公開された『夜、街の隙間』、上映は一週間だけ。最終日前日、午後四時五十分の回。観客は六人だった。 この映画館で働いていた三輪善乃は、公開当時にチケット売場の窓口にいた。山下春子にとっては、大学の同級生と成り行きで観に行った作品だ。自主映画を撮っていた安尾昇治は、末永のデビュー作でその才能を目の当たりにし、道を諦めた過去がある。沢田英和は、この作品に元恋人との苦い思い出があった。誕生日デートのはずだった川越小夏は、一人でスクリーンを眺めている。映画監督を目指す本木洋央は、生物学上の父親が撮った作品を観に来ていた……。 観客たちの人生と、『夜、街の隙間』のストーリーを行き来しながら、出会いとすれ違い、別れを繰り返す日々の中にある奇跡を鮮やかに描く。 映画のように何か事件が起きてということはなく、映画を見にきた6人の人生を振り返るようなかんじ。そこには、人の人生だが大きな事件もないし、小説や映画のような劇的なことが起こるわけではない。 ただ、映画を見にきた6人を通して、私たちも末永静男監督の「夜、街の隙間」を見ていくかんじが良かった。映画の登場人物と同じように、小説の中の登場人物も交わるわけではなく、ただそこにいるってかんじだった。少しこの映画をちゃんと見てみたかったなと思った。 6人は映画を見たあとに、そこかいい顔をしていた。それは、みんながみんなこの映画を通して自分の過去を振り返って、そしてすっきりしたようなかんじなんだろうな。特に、洋央と立男はどこか救われたようなかんじがして良かったな。 2023.4.2 どくりょう

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2023/02/23

この作家の「ひと」「まち」など、ごく普通の主人公の生き様を優しい視線で描いて静かな感動を呼び起こす作風で好きです。 本作は、銀座にあるミニシアターでたまたま同じ回に居合わせ同じ映画を観る事になった6人夫々の人生、この映画との関わりが短編の様に描かれますが、元々全くの他人なのにこの...

この作家の「ひと」「まち」など、ごく普通の主人公の生き様を優しい視線で描いて静かな感動を呼び起こす作風で好きです。 本作は、銀座にあるミニシアターでたまたま同じ回に居合わせ同じ映画を観る事になった6人夫々の人生、この映画との関わりが短編の様に描かれますが、元々全くの他人なのにこの映画を通じて繋がる様が、映画のシーンの描写と上手く絡みあって描かれるという構成も良かったです。 作家になる前シナリオを書かれていたというだけあって、映画のシーンの描写はト書き風で、まるで実際にその映画を観ている様にイメージが湧きました。

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2023/02/18

ノスタルジーと哀愁漂う作品。 1995年(平成7年)末永静男監督により制作された『夜、街の隙間』。 監督亡き後、二年後に銀座のミニシアターで一週間だけの追悼上映が行われる。 最終日前日、午後4時50分の回に偶然居合わせた六人の観客の人生と映画のストーリーを行き来しながら物語は...

ノスタルジーと哀愁漂う作品。 1995年(平成7年)末永静男監督により制作された『夜、街の隙間』。 監督亡き後、二年後に銀座のミニシアターで一週間だけの追悼上映が行われる。 最終日前日、午後4時50分の回に偶然居合わせた六人の観客の人生と映画のストーリーを行き来しながら物語は静かに展開していく。 『夜、街の隙間』で描かれる内容と六人の観客に共通しているのは、日々の出会いとすれ違い、別れ。 『袖振り合うも多生の縁』 小野寺作品を読むと、人と人との出逢いは奇跡の積み重ねなのだと実感する。 映画と映画館好きには堪らない一冊。

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2022/12/22

とある群像映画に関わる群像物語。 映画の登場人物と、物語の登場人物、それぞれが同じトーンで見分けがつかなくなりながら、夜なんだけど、目が慣れて周りが見えてる感じのそんなトーン。 ストーリーも淡々としていて、特に大きな山場とかないので、好きとか嫌いとかじゃなくその夜の空間になじめ...

とある群像映画に関わる群像物語。 映画の登場人物と、物語の登場人物、それぞれが同じトーンで見分けがつかなくなりながら、夜なんだけど、目が慣れて周りが見えてる感じのそんなトーン。 ストーリーも淡々としていて、特に大きな山場とかないので、好きとか嫌いとかじゃなくその夜の空間になじめるかどうか?かもしれない。

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2022/12/03

ザ・群像劇。物語の中で映画監督、映画の出演者と観客6人が関係している様子がおもしろい。狭い世の中を体現しているようで。 特に最後の小さな章ふたつがよかった。 実際の映画をみてみたくなった。 p.218 他人の全てを受け入れはしないまでも、自分から拒絶を突きつけるような人には...

ザ・群像劇。物語の中で映画監督、映画の出演者と観客6人が関係している様子がおもしろい。狭い世の中を体現しているようで。 特に最後の小さな章ふたつがよかった。 実際の映画をみてみたくなった。 p.218 他人の全てを受け入れはしないまでも、自分から拒絶を突きつけるような人には、なりたくない。 p.225 結局、人は自分のことしか知らない。自分のことでさえ、正確に理解できているかはあやしい。正確に制御できているかは、もっとあやしい。 『夜、街の隙間』は、とても寂しい英語だ。と同時に、とても愛らしい映画でもある。まさに、街の隙間にある夜。夜が街の隅々に入り込んでる感じがする。行き渡っている感じがする。 p.228 順馬の大事なおばあちゃん、バターロールのおばあちゃんが、どうか無事でありますように。もし無事でないなら。せめて順馬が間に合いますように。順馬が間に合ったことを、おばあちゃんが気づけますように。 p.234 噴水、夜は止められちゃうんだ。動くものが何もない。なんだか絵みたいね。世界が休んでるみたいだ。

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2022/11/11

小野寺氏は群像劇しか書けないのかと勘繰る位また群像劇。でも嫌いじゃないのも事実。読む集中力が持続しやすいメリットがあるので、最近こういう書き方する人が多いような気がします。 さて、こちらは映画館にいる6人がどういう経路でここに居てどういう気持ちで見ているのか。それを映画の経過と共...

小野寺氏は群像劇しか書けないのかと勘繰る位また群像劇。でも嫌いじゃないのも事実。読む集中力が持続しやすいメリットがあるので、最近こういう書き方する人が多いような気がします。 さて、こちらは映画館にいる6人がどういう経路でここに居てどういう気持ちで見ているのか。それを映画の経過と共に追っていきます。 映画自体が面白そうに書いてあるので、だんだん劇中の映画を見たくなってきます。

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2022/10/12

10月-08。3.0点。 死去した映画監督の追悼上映が、ミニシアターで行われる。そんなに有名でも無かったため、上映には6人だけ。その6人それぞれの人生を描写。 さすが、上手く繋げていくなぁという感じ。ライトな感じで読める。

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2022/10/05

既視感。 こんな映画を観たことがあるような気がする。 何かになれるような気がしてたあの頃のことを思い出した。 ミニシアターに行くのがカッコイイと思っていたし、ミニシアターに行く自分がカッコイイと思ってた。 無理してお酒を飲んでいた頃。 楽になったなぁ。

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2022/09/05

長いこと茨城の夏と言えば「ロック・イン・ジャパン・フェスティバル」通称「ロッキン」だったんですが、今年から千葉での開催となってしまいました コロナ禍での開催が云々ということが理由とされていましたが、どことどことが揉めた等々噂が噂を呼んで…しかもすぐに「ラッキーフェス」なるものの...

長いこと茨城の夏と言えば「ロック・イン・ジャパン・フェスティバル」通称「ロッキン」だったんですが、今年から千葉での開催となってしまいました コロナ禍での開催が云々ということが理由とされていましたが、どことどことが揉めた等々噂が噂を呼んで…しかもすぐに「ラッキーフェス」なるものの開催も決まったりして、地元ではわけわからん陰謀説まで出てくる始末 まぁ、どちらも無事開催されて(ロッキンの方は最終日が台風で中止)良かったんですが、やっぱり「ラッキーフェス」ってなんかピンとこないw 『なにがあったの?ロッキン』なんちて さて『ミニシアターの6人』です (暑い夏も終わったのでまた張り切ってダジャレっていこうと思ったりしてます。てか何?ダジャレっていくって?) 始まりはかなり退屈でした うーんこれもしかして最後まで読みきれないかもしれないって思うほど でもいつの間にかそこにいるような気になってるんだよね、不思議 一つの映画で繋がる6人いや7人の物語 作中に登場する映画『夜、街の隙間』にかな〜り小野寺史宜さんの想いが込められてるような気がしました 小野寺さんがいつも小説に込めてる想いを作中の映画を登場人物たちがどう感じるかで、自ら解説してる そんな風に感じました

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