三十の反撃 の商品レビュー
普通の人の話。主人公の気持ちが痛いほど良くわかる。与えられたカードで頑張る、という言葉を思い出した。 就活のときに読んでいたら胸が苦しくなりそう。
Posted by
「アーモンド」のソン・ウォンピョンさんの著書。2022年の本屋大賞翻訳小説部門第1位なんだそうだ。 「三十の反撃」なんて、なかなか気になるタイトルだ。 30歳の非正規社員で半地下住まい、彼氏なしのキム・ジヘ(←韓国ではクラスに同姓同名がもうひとりいるような、非常にありふれた名前...
「アーモンド」のソン・ウォンピョンさんの著書。2022年の本屋大賞翻訳小説部門第1位なんだそうだ。 「三十の反撃」なんて、なかなか気になるタイトルだ。 30歳の非正規社員で半地下住まい、彼氏なしのキム・ジヘ(←韓国ではクラスに同姓同名がもうひとりいるような、非常にありふれた名前らしい)の社会への小さな反撃ー 社会の理不尽に振り回される女性が、「自分」を見つけていく物語。 キム・ジヘは社会へささやかな反撃をすることで、かなりみっともない思いをする羽目になる。 社会は圧倒的に強大だ。 でも、社会を変えることができなくても、人と繋がることで変えられるものがある。 読者は、そのことに少しだけ勇気をもらえる。
Posted by
『アーモンド』の著者だったのか。そーいやイラストのタッチが一緒だわ。(そこ?) 何の下調べもせず、大好きな本屋さんの平積みを目安にセレクトしていくと毎回こうなってしまう笑 『アーモンド』の大ヒットは知っていたが、未読であるため近々そちらも読んでみることにする。 本屋さんの目利き通...
『アーモンド』の著者だったのか。そーいやイラストのタッチが一緒だわ。(そこ?) 何の下調べもせず、大好きな本屋さんの平積みを目安にセレクトしていくと毎回こうなってしまう笑 『アーモンド』の大ヒットは知っていたが、未読であるため近々そちらも読んでみることにする。 本屋さんの目利き通り、本書は一読の価値があった。主人公と同世代の人にはドンピシャに違いない。 1988年生まれ、30歳のジヘは大企業の正社員を志願するインターン生。 コピー取りといった雑務及び自分の生き方に辟易する中、同い年の男性ギュオクがインターンとして入社してくる。対人恐怖症&引っ込み思案な彼女とは真逆の性格で戸惑いつつも、やがて彼の言葉や言動に後押しされるように、ジヘは少しずつ自分を前に出していく。 「言いたいことも言えない世の中」はまだ続いている。毒された空気の中でジヘはかろうじて息をしているようだった。 韓国ではメジャーな自分の名前に少なからず悩み、高校時代「“自称”友人」から貶められて以降は対人恐怖症に苦しみ、頑張ることに疲弊しきっている。唯一の癒しは「ジョンジンさん」という架空の彼氏といる時。 虚しさを通り越して、自分の社会人生活で最も苦しかった時期とオーバーラップさせていた。 「世の中全体は変えられなくても、小さな理不尽一つひとつに対して、相手に一泡吹かせることくらいはできると信じること」 ひょんなことからギュオクや仲間たちと、毒された世の中へのちょっとした「反撃」を繰り出すようになるジヘ。どれも規模的にはちゃちくて笑いをも誘った。 しかし、針先程度の刺激でも世の中を数ミリ動かせるという彼らの信条が「反撃」を意味あるものに形作っていた。 ギュオクと言えば、もうひとつ。 ジヘが現実から目を背けようとする節目に必ず現れる彼が、自分にはいささか不自然に映った笑 (たとえ無意識に)心が助けを求めていても、そんな都合よく救世主(今回で言うと、窮地を救ってくれるような言葉をかけてくれる人)は召喚されてこない。中にはSOSを出せる相手が皆無で、文字通り孤立無縁な人もいるだろう。 「だから安易には出して行かない方が…」と薄汚れた視点がどうしてもチラついてしまったのだ。 「特別のふりをしても、顕微鏡でのぞいて見れば誰だってあくせく動き回ってるだけなんです。何とかして、自分の存在を認めてもらおうとあがきながら」 ギュオクの言う通り、100歳になっても自分の生き方に自信を持てずにいるかもしれない。 言いたいことも言えないまま心身に毒を行き渡らせる前に、(彼らのような)遊び程度でも良いから抗えないのか。30を過ぎたとしても、100歳を迎える前には「反撃」の成果を拝みたいものだ。
Posted by
「アーモンド」も読んだが、その時より読みやすかった。非正規職など社会の問題として日本と共通するところがあるからかな。最後の「私が宇宙の塵であっても、、、」からの段落を読んでも、結構メッセージをわかりやすくまとめてくれてる印象。 権威への遊びのような反撃。 一方で「上」に行きたい...
「アーモンド」も読んだが、その時より読みやすかった。非正規職など社会の問題として日本と共通するところがあるからかな。最後の「私が宇宙の塵であっても、、、」からの段落を読んでも、結構メッセージをわかりやすくまとめてくれてる印象。 権威への遊びのような反撃。 一方で「上」に行きたいと願い、 世の中に「ちゃんとした」自分の居場所をつくりたくてもがいている。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
社会にどんなに不満を抱えて反撃をしても予想もしていない迎撃を受けたり、それが過剰な攻撃である事もある。 そう思った時、この反撃はなんだったんだろう?って考えてしまう。結局自分の首を絞めてしまう結果を招く事もある。そういった社会のシステムが若者を弱者の立場に追い込む。 主人公が、居心地が良いから多少考えが違っても皆んなと一緒に居ることや、架空の人物を作り上げる事は現代の若者を生々しく表現していて共感できる。 最後に自分が素直に生きていけるようにその居場所へも手放したシーンは良かった。 大人は大層なものではないし、未完成のまま成長を止めてしまうことの不安、「本当にやりたい事」を聞かれる億劫さ、本当にリアルだった。 良くも悪くも主人公は最後まで平凡で地道に前に進むのが親近感が湧く。 この世代にはとても響く寄り添ったような作品に感じた。
Posted by
아몬드と同じ作者。立場の弱い人達が強者に向かい半旗をひるがえすも、相手に阻まられる。「間違っているということを間違っていると言うだけでも、少しは世の中が変わる」その時に登場人物が言う言葉。私もそう思う。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ギュオクの「自分では前に進んでると思ってるみたいですが、本当は逃げてるんだって、わかってて知らないふりをしてるんですか、それとも本当に前進してると思ってるんですか?」という台詞があった。なんだか自分に言われているようで、読んでいて恥ずかしくなった。
Posted by
「アーモンド」が面白かったので期待して読んだけど、こちらも面白かった! 「ところで、ジヘさんが本当にやりたいことって何ですか?」 わたしは30をとっくに過ぎているけど、このギュオクの質問は突き刺さった! 都合の良い言い訳をしては何も行動せず、現実から逃げ続けることに、身に覚え...
「アーモンド」が面白かったので期待して読んだけど、こちらも面白かった! 「ところで、ジヘさんが本当にやりたいことって何ですか?」 わたしは30をとっくに過ぎているけど、このギュオクの質問は突き刺さった! 都合の良い言い訳をしては何も行動せず、現実から逃げ続けることに、身に覚えがありすぎる。 「あなたが座っている椅子があなたに何らかの権威を与えるかもしれませんが、忘れないでください。椅子は、椅子でしかありません」 30の頃の自分より今の自分の方が、持っているものが増えたぶん、この言葉もすごく刺さった。 肩書きとか役職とか、そういうものがイコール自分自身だと驕ってしまうこと、認めたくないけどたまにある。 だから肝に銘じておきたいし、自分自身の在り方は自分で決めていくんだと、改めて思わされた。
Posted by
読書備忘録688号。 ★★★☆。 デビュー作「アーモンド」が面白かったので読みました。 読書を"現実世界からの逃避"を目的としているので、あまりにもそこらの日常の物語だったので、ちょっと期待外れでした。 主人公キム・ジヘ1988年生まれの30歳。 高校時...
読書備忘録688号。 ★★★☆。 デビュー作「アーモンド」が面白かったので読みました。 読書を"現実世界からの逃避"を目的としているので、あまりにもそこらの日常の物語だったので、ちょっと期待外れでした。 主人公キム・ジヘ1988年生まれの30歳。 高校時代、同姓同名の女友達からいわゆる陰湿ないじめに合い、対人恐怖症になっている。 結果、屈指の企業ディアマン(DM)への就活は失敗。 DMのグループ企業で様々な講座を企画するディアマンアカデミーにインターンとして働く。いつかは正社員として登用されて、本丸への道を拓くことを夢見ている。 ただ、上司のキム部長や、直属のユ・チーム長などの横暴に反論できず、うっぷんを抱えながら日々過ごしていた。 嫌なことがあると、架空の友達ジョンジンさんに慰めてもらっていた・・・。 そんな時、新たなインターンとして同い年のイ・ギュオクが採用された。そして、ジヘはギュオクに影響され、世の中の不条理、ニセモノなどに堂々と反撃するする勇気と術を得ていく。 そして、本当に自分がやりたいことにたどり着いていく・・・。 という感じです。なんてことはない、普通の人の物語。 読んでイメージしたのは蛹。 ジヘは幼虫だった。いつまでも幼虫だった。ギュオクに出会い、蛹になることを決意する。 蛹って、実は幼虫が一旦内臓などがドロドロの生体液体となり、作られるものなんです。だから、蛹になることで幼虫とは似ても似つかない成虫が誕生する。 そうなんです。ジヘは一旦ドロドロになって、どんな大人になるか試行錯誤する。そして、自分がなるべき大人を見つけていく、という感じです。 そして、ジョンジンさんとも決別出来ました!笑 まあ、★3.5という感じでした。笑
Posted by
読み始めた当初はスラスラ…と読める感じではなく、途中で読むのやめようかなと思いました 笑 中盤まで読み進めると、その後はのってきて最後まで読むことができました。 反撃は比較的小さな反撃ですが、30歳の女の子が世間に対して、自分に対して抱えてる想いを、感じることができた。
Posted by