ただしい人類滅亡計画 の商品レビュー
反出生主義、というものがあることを知った。生まれることや、生むことを否定する考え方。突飛な考えだけれど、話を読み進めると確かに一理ある気がする。反出生主義について、もう少し知りたいと思わせてくれた。 ただ、「人類を滅亡させるべきか」について10人の人間が議論を交わしていたけど、...
反出生主義、というものがあることを知った。生まれることや、生むことを否定する考え方。突飛な考えだけれど、話を読み進めると確かに一理ある気がする。反出生主義について、もう少し知りたいと思わせてくれた。 ただ、「人類を滅亡させるべきか」について10人の人間が議論を交わしていたけど、なんか話が行ったり来たりして、たまに読むのが疲れてしまった。 物語というよりも反出生主義をメインとした人間たちの議論。
Posted by
主義主張の異なる架空の10人が議論する形で、反出生主義に理はあるのかどうかを考えた本。 これを議論と呼ぶか対話と呼ぶかはわからない。しかし非常に哲学カフェっぽい。根拠の根拠を問うているうちに話が脱線気味になる点も哲学カフェっぽい。ただ、現実の哲学カフェではこんなに理路整然とした...
主義主張の異なる架空の10人が議論する形で、反出生主義に理はあるのかどうかを考えた本。 これを議論と呼ぶか対話と呼ぶかはわからない。しかし非常に哲学カフェっぽい。根拠の根拠を問うているうちに話が脱線気味になる点も哲学カフェっぽい。ただ、現実の哲学カフェではこんなに理路整然とした議論にはならない。 読みやすい文章なのでスイスイ読めるが、本当に自分が腹の底から議論を理解しているかは怪しい。時間をかけてじっくり読むべき本だろう。この議論の中心となるのが反出生主義を唱えるブラック。ブラックは論理的で筋が通っていて強い。ブラックは自分の考えを言語化してくれていると感じる一方、それに反発したい自分もいる。ブラック以外の人達が押されていて、一緒にブラックに反論したくなる。 先日話題になった親ガチャとも繋がる話もあって興味深かった。しかし話が宇宙にまで飛ぶのは行き過ぎではないか。宇宙の始まりではなく、猿が二足歩行始めたあたりが問題なんじゃないか。今続いているものを将来も続けるかどうか?という点で、保守とリベラルの対立もこの議論と無関係ではないと思う。 最後までブラックが議論の中心だったけど、最終的にグレーが風穴を開けた印象がある。自分の中にはいろんな意見を持った自分、ブラックやグレー、イエローもブルーもゴールドもいる気がする。ホワイトはあまりいないけど、それは弱さだと思った。 高校生くらいからの哲学、倫理学の教材としても良い一冊。著者は結構書くの大変だったろうけど、テーマを変えればこの体裁の本いくつか出せるのではないか。
Posted by
魔王が誕生し、人類を滅亡させる使命がある。しかし、なぜ滅亡させないといけないかが納得いかない魔王は10人の人間に滅亡させるべきが存続させるべきかを話し合うようにさせる。楽観主義や悲観主義、利己主義者など様々な視点から議論が展開される物語。 人類滅亡という重い内容のように感じるのに...
魔王が誕生し、人類を滅亡させる使命がある。しかし、なぜ滅亡させないといけないかが納得いかない魔王は10人の人間に滅亡させるべきが存続させるべきかを話し合うようにさせる。楽観主義や悲観主義、利己主義者など様々な視点から議論が展開される物語。 人類滅亡という重い内容のように感じるのに表紙が可愛いキャラクターのギャップに惹かれた。 とても面白かった。感情・倫理・概念が入り交じり結論がなかなか出ない。しかし、最後には納得の結論で、とても気持ち良く大事にしたい考え方が詰まっていた。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
初めは反出生主義の考え方に拒絶反応を起こしていたが,ブラックの論理的な説明によって理解が深まり,議論する余地が自分の中に生まれた。 最近の親ガチャという考え方と結びつくと恐いなと感じた。
Posted by
めちゃ面白かった。魔王が課した「人類は滅亡すべきかどうか」という問いを人類代表の主義主張の異なる10人の登場人物が議論していく会話劇。中心となる主題は「反出生主義」。文字から推測できる通り、「人類を生まれてくるべきではないとする思想」のこと。善悪や自分の思想の前提としていること、...
めちゃ面白かった。魔王が課した「人類は滅亡すべきかどうか」という問いを人類代表の主義主張の異なる10人の登場人物が議論していく会話劇。中心となる主題は「反出生主義」。文字から推測できる通り、「人類を生まれてくるべきではないとする思想」のこと。善悪や自分の思想の前提としていること、道徳のことなどを整理しながら、でもすらすらと読める名著。
Posted by
反出生主義を知る導入としてうってつけ。 手っ取り早く読みやすい。 私は「生死に「べき」という価値判断を持ち出せない」という信念のもと生きているので、フラットな立場で読めた気はあんまりしない。が、自己の内部に既存の認識を改めて問いただし、同じ議論の席に座るような体験はできた気が...
反出生主義を知る導入としてうってつけ。 手っ取り早く読みやすい。 私は「生死に「べき」という価値判断を持ち出せない」という信念のもと生きているので、フラットな立場で読めた気はあんまりしない。が、自己の内部に既存の認識を改めて問いただし、同じ議論の席に座るような体験はできた気がする。
Posted by
2021-09-26 ほぼ一気読み。不出生主義についてざっくり知るには最適の本。なるほど、そういう事か。ある意味徹底して論理的だし倫理的。 結局、「何に価値を認めるか」ということなのかもしれない。その価値を他者に押し付けるのは良くないとしても、価値を共感してくれる(かもしれない)...
2021-09-26 ほぼ一気読み。不出生主義についてざっくり知るには最適の本。なるほど、そういう事か。ある意味徹底して論理的だし倫理的。 結局、「何に価値を認めるか」ということなのかもしれない。その価値を他者に押し付けるのは良くないとしても、価値を共感してくれる(かもしれない)と期待して新たな存在を生み出すのは是が非か。 不幸の回避と価値共有の期待では、どちらがより重要か。 まだまだ考える価値はありそうだ。(あ、ここにも価値が)
Posted by
著者の前2作が面白く、また小説としての文章が読めることを楽しみに本書を開いた。 結果として期待は裏切られたものの、良質な時間を過ごせたように思う。 なぜ裏切られたと感じたのか。 本書が「反出生主義を題材とした対話篇」であったからだ。 地の文はほぼなく、10人の異なるペルソナを持...
著者の前2作が面白く、また小説としての文章が読めることを楽しみに本書を開いた。 結果として期待は裏切られたものの、良質な時間を過ごせたように思う。 なぜ裏切られたと感じたのか。 本書が「反出生主義を題材とした対話篇」であったからだ。 地の文はほぼなく、10人の異なるペルソナを持った存在が反出生主義を主題とした議論を行うという内容に終止する。 小説風の解説本のような体裁に近い。 一方で内容には満足感がある。 極端にも見えるそれぞれのスタンスから見た主義主張、論点は読み進めながら感じる疑問に近く、ページをめくる度に確かにと思わされたし、理解も深まった。 もし著者の次作が刊行されることがあれば、小説らしい長編小説を読んでみたい。
Posted by
読みやすいけど考えれば考えるほど難しい、哲学。私はもともとブラック寄りの考えだけど……やっぱり難しいなぁ。面白い本だった。
Posted by
一見誰にとっても絶対的で唯一の結論があるように見える問いについても、考える人のバックグラウンドによって、さまざまな主張がされ得るんだと感じた。 自分の価値観は凝り固まってしまってるなぁ。
Posted by