ただしい人類滅亡計画 の商品レビュー
それぞれ違う価値観や考えを持つ10人がディスカッションしながら展開する物語。個々を書き分けるのは大変だったのではないでしょうか。分かりやすく〜でござるなどの不自然な語尾を付けて楽をしていないところが良いです。
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「こどもを産まない方が世のため人のため。 なぜなら生きることは苦痛を伴うから。」 この発想自体にいいも悪いもない。 ある人にとってはその通りだろう。 けれども、それを「道徳」として拡大解釈し 「こどもを産む行為は悪である、 この思考を広めて人類を段階滅亡させよう」 は出来な...
「こどもを産まない方が世のため人のため。 なぜなら生きることは苦痛を伴うから。」 この発想自体にいいも悪いもない。 ある人にとってはその通りだろう。 けれども、それを「道徳」として拡大解釈し 「こどもを産む行為は悪である、 この思考を広めて人類を段階滅亡させよう」 は出来ない。 なぜなら苦痛は共有できないから。 苦痛の体験者は自分だけであるから 「生きることの苦痛」 を誰もが感じている「だろう」という前提 それ自体が残念ながらナンセンスである。 ※そう前提を立てたくなる気持ちもわかるけど 共感はあくまで自分が体験した苦痛をもとに 相手の苦痛の「程度」を推し量ることであって 苦痛の共有とは違う。 つまり自らが苦痛からの解放を求めて こどもをうまないことは自由だが この思考をマクロな形に展開していくこと、 つまりこの思想を受け入れよ、とすることは出来ない。 全体を通して 数学で言うところの ×0=0に似ている。 そもそも産まない ×0 という発想。 だが =0 つまり苦痛からの解放を目指したいなら 他の方法もある。左辺を相殺したっていい 色んなものを足したり引いたりしたっていい。 あくまでも×0は場合分けの一つに過ぎない。 いや、むしろ場合分けの一つですらない。 どうしても 現世で起きている苦痛の解放、からの逃避 という感覚を拭えないからかもしれない。
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面白かった。誰かが論を述べて、それに対して同調したり否定したりして論理に奥行きが出ていくのは、なんとなく少年漫画のインフレバトルを思い出した(?)。 強いて言えば、自分に一番近い意見はゴールドかもしれない。最後のグレーは何を言いかけたんだろうな。
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反出生主義をただ簡単に説明していくだけの物語だが、登場するキャラクターの粗さ、雑さが良い味を出していた。「ブラックさんは味方だと思ってたのに…」というブルーに対して、ブラックの放った「俺は正しい意見の味方だ。」が心地よかった。十人十色。 悲観的な気持ちにもなったが、地球という観...
反出生主義をただ簡単に説明していくだけの物語だが、登場するキャラクターの粗さ、雑さが良い味を出していた。「ブラックさんは味方だと思ってたのに…」というブルーに対して、ブラックの放った「俺は正しい意見の味方だ。」が心地よかった。十人十色。 悲観的な気持ちにもなったが、地球という観点から考えた時、人間なんかが存在しない方がずっとヘルシーだし、人間同士が考える悩み事というのはなんてちっぽけでかわいいんだ、と開き直った。 内容とは関係ないが、表紙の感触や所々に出てくる黒印紙の使い方が面白かった。
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反出生主義という概念にネットで初めて触れたとき、全く共感できませんでした。きっと私自身では一生思い至らない考え、まるで持ち得ない発想であり、すぐには理解することさえ難しかったのです。 しかしだからこそ、その主張をする人々がどういう思考・論理を持つのか気になり、興味本位でこの本を読...
反出生主義という概念にネットで初めて触れたとき、全く共感できませんでした。きっと私自身では一生思い至らない考え、まるで持ち得ない発想であり、すぐには理解することさえ難しかったのです。 しかしだからこそ、その主張をする人々がどういう思考・論理を持つのか気になり、興味本位でこの本を読みました。 結論から言って非常に面白く、読んで正解でした。 反出生主義がどのようなものであるか分かりやすく伝えながら、決して反出生主義思想のみに偏った内容ではなく、様々な主義の人物が登場し活発に議論します。 自分に近い立場はどれなのか考えながら読むのが楽しいです。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
反出生主義を題材にした小説。ほぼ会話のみで議論されていくのだが非常に興味深い内容。 哲学的な小説。 読み終わったあとの余韻が大きい。 面白かったです。
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タイトルと表紙の通り、哲学本としてはかなりライトだしポップ。道徳とは何か、誰のためにあるのかという議題に大きくページが割かれていたことが興味深かった。出生が是か非かの話で道徳が論点になるのは、そりゃそうかとも思うし「それは関係なくない?」とも思う。 切口はポップだけど、読者に対し...
タイトルと表紙の通り、哲学本としてはかなりライトだしポップ。道徳とは何か、誰のためにあるのかという議題に大きくページが割かれていたことが興味深かった。出生が是か非かの話で道徳が論点になるのは、そりゃそうかとも思うし「それは関係なくない?」とも思う。 切口はポップだけど、読者に対して誠実であり、好感が持てる読み物だった。けれどちょいちょい太字で文を強調してあるのは嫌だったな。あと、横書きってのもちょっと好きじゃなかったです。
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反出生主義?何それ難しそう…そもそも哲学の本とか読んだ事ないし……… そんな自分でも非常に面白く読むことが出来ました!!普通に小説を読むような気持ちで読めますし、これを機に哲学書とか読んでみようかなぁ、と素直に思える非常に良い本でした!!! 強いて言うならもっと読みたかったな...
反出生主義?何それ難しそう…そもそも哲学の本とか読んだ事ないし……… そんな自分でも非常に面白く読むことが出来ました!!普通に小説を読むような気持ちで読めますし、これを機に哲学書とか読んでみようかなぁ、と素直に思える非常に良い本でした!!! 強いて言うならもっと読みたかったなぁ、、と。 あまりボリュームは無いので。でもそれが良いところでもあって、スッキリと読み易い内容になっているように思います。
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幸せですか?それとも不幸ですか? 人に危害を加えてはいけないし、人を不幸にしてはいけない。道徳として当たり前のことだ。では、不幸になる恐れのある人類を生み出す行為、「生殖」は悪ではないのか? 「反出生主義」をめぐる10人の人間によるディベート本。道徳とは何か。発明と発見の違い...
幸せですか?それとも不幸ですか? 人に危害を加えてはいけないし、人を不幸にしてはいけない。道徳として当たり前のことだ。では、不幸になる恐れのある人類を生み出す行為、「生殖」は悪ではないのか? 「反出生主義」をめぐる10人の人間によるディベート本。道徳とは何か。発明と発見の違いは。善とは。悪とは。義務、権利。生まれると言うことを考えさせられます。 読めば読むほどに頭がこんがらがり、「うるせえ!」とイライラしながら読み切りました。 おすすめ・・・しません! 「いや、我がそうしたいと思ったからだ。」
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とてもおもしろかった。 反出生主義という概念を耳にしてから、ずーっと気になってた。 とりあえず入門というか、本書は読みやすそうな感じがして今の私にぴったりだった。 で。 読む前のわたし 「反出生主義は感覚的に受け入れ難い。かといって反出生主義者を納得させられるような生の肯定...
とてもおもしろかった。 反出生主義という概念を耳にしてから、ずーっと気になってた。 とりあえず入門というか、本書は読みやすそうな感じがして今の私にぴったりだった。 で。 読む前のわたし 「反出生主義は感覚的に受け入れ難い。かといって反出生主義者を納得させられるような生の肯定ができる気もしない」 読んだ後のわたし 「反出生主義の理屈がちょっと納得できた。しかし受け入れ難いことに変わりはないし、やはり納得のいく反論もまだできそうにない」 反出生主義の主張の根拠について一定の理解はできるようになったが、賛同には至らない。否定するのも難しいまま。つまり読む前の状態とはあんまり変わっていない。でも、おもしろい。 自分の思考の凝り固まっていた部分とか、考えてもみなかった前提の脆さとか、それらがどんどん提示されていきなかなかスリリング。 「反出生って、結局は自分が苦しいってことじゃない?……でもそれだけではここまでのちょっとしたムーブメント起きへんよなぁ、なんか理屈あるんやろな」と思っていて、その理屈の一端を理解した。 それはざっくり言って「道徳を突き詰めると反出生に導くことが可能」というもの。意外だったような、なんとなく分かっていたような……。 本書は、それぞれ主義主張の異なる10人が「人類を存続させるか滅亡させるか」を議論する形で書かれた、小説である。論理を突き詰めて考えるのはなかなか大変だし、自分1人の頭で考えるとどうしても偏りがある気がする。だから議論形式で進むのはとても分かりやすい。(ただし彼らの言葉を素直に聞きながら同時に自分なりの直感や反論や猜疑の目を持つべきだろうなとも思う) 10人の内訳は以下の通り。 ・悲観主義者 ・楽観主義者 ・共同体主義者 ・懐疑主義者 ・自由至上主義者 ・相対主義者 ・利己主義者 ・教典原理主義者 ・反出生主義者 ・??主義者 ??が何主義であるかは明示されない。 10人それぞれがそれぞれの結論を考えるので、結末まで読んでも、反出生主義がはっきり肯定あるいは否定されるわけではない(どちらかと言うと否定よりではあるけど)。後書きにおいて著者は、本書は反出生主義を考えるための補助線であるとしている。 これはやはり入門書ですね。 ここを入り口に、もっと骨太な哲学書、学術書を読んでみたいと思いました。
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