ぜんぶ運命だったんかい の商品レビュー
日本での広告業界を筆頭に古き日本の伝統が残るいわゆるおじさん社会での女性の生き方について、著者の経験談をもとに書かれている。「男性が働き、女性は家庭に入るのが、日本の美学、当たり前」のように一般的に捉われているが、本当にそうなのかということを考えさせることである。近年は、女性の社...
日本での広告業界を筆頭に古き日本の伝統が残るいわゆるおじさん社会での女性の生き方について、著者の経験談をもとに書かれている。「男性が働き、女性は家庭に入るのが、日本の美学、当たり前」のように一般的に捉われているが、本当にそうなのかということを考えさせることである。近年は、女性の社会進出という言葉もあり、女性が働いていることを推奨したり、昇進したりすることも昭和・平成に比べたら多くなってきていると思うが、まだまだ議論されるべきことが多いと感じた。また、フェミニズムだけでなく、民主主義のあり方についてもこの本の後半で取り上げられている。一見デモは過激な人が行うものというバイアスが掛かっているが、こちらも自分の身近なことに対して違和感を感じている人が行動しているか、していないかの違いであるのではないかと思った。なるほどと思ったこととしては、デモに参加している人が過激な表現を使うことで活動家と問題意識を抱えていない人には捉えられるが、「うさぎさん」でも分かるような表現を使うことで自分ごと化させるという手法は、さすが広告業界で働いた著者であり、ターゲティングやマーケティングの面で勉強になった。
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自分は女性蔑視なんてしてるつもりはない。 誰でもそうなんだろうけど、実は無意識でもけっこうしてしまっているなと反省した。 妻は私と結婚して12年、出産を機に退職したりまた別のところで働いたり退職したり、というキャリア。三人の娘に恵まれて五人家族で私も幸せだけど、見方によっては私...
自分は女性蔑視なんてしてるつもりはない。 誰でもそうなんだろうけど、実は無意識でもけっこうしてしまっているなと反省した。 妻は私と結婚して12年、出産を機に退職したりまた別のところで働いたり退職したり、というキャリア。三人の娘に恵まれて五人家族で私も幸せだけど、見方によっては私は妻の人生を振り回してしまってるなと考えた。妻との関わりを振り返ると、意図せずとも蔑視に等しい言動を無意識にしている気がするし、私が男性の既得権益に甘えて生きているとも思う。 職場でも(蔑視というほどのつもりはないけど)独身の同僚を「憐れ」だと思っていたりする。(しかしそれは謙虚じゃないと感じられる人柄に対して「憐れ」だと思うのであって女性蔑視とはちょっと違う気もするんだけどな。) あと、AVを見ることは言い訳しようもなく女性蔑視だなと思った。 日常に女性蔑視がいっぱい存在していて、それに敏感な人も気づいていない女性もいろいろいると思うけど、社会全体として形成する空気が女性の人権(場合によっては男性の人権も)を大いに損ねていることを実感した。 娘たちがいずれ社会に出ていくことを思うと、人権が脅かされる社会は大人が変えていかないとと思った。 自分に何ができるだろうか。 AVを見ないというのは情けないけどなかなか難しそう。でも真面目にあれは女性蔑視以外の何者でもないよな。 ジェンダーのテーマに関心を持って勉強もしながら、思考と言動を改善しようと思った。 社会に対して声を上げることは、なかなかハードルが高い。でも、良くないと思っていることを放置するのは後進世代に対して不誠実だと思う。できるとこから一歩ずつ、やらないとな、と思った。
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高学歴で高収入な女性が男性社会を縮図にしたような男性優位な職場で色々な経験をして「生きていてごめんなさい」まで追い詰められていく様はとても辛く感じた。価値観の押し付けって怖い
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フェミニズム関連の書籍は かなり読むことにエネルギーを使うが これはかなり読む分にはすらっと読めた。 もちろん、感情移入するときつい。 日常のもやもやへの入門書として良い。 具体例から筆者の経験まで書き方が上手い。 さすが、広告系での経験がいきている。
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「ジェンダー目線の広告観察」の対談を読んでその存在を知り、本書を手にとってみました。 笛美さんって、変わった名前だな、と思ったら、フェミニストのフェミだそうです。 20代女子としてガンガン仕事しながら婚活もしていた時代を経て、なんで同期の男子は家庭を持って幸せそうなのに私はそうな...
「ジェンダー目線の広告観察」の対談を読んでその存在を知り、本書を手にとってみました。 笛美さんって、変わった名前だな、と思ったら、フェミニストのフェミだそうです。 20代女子としてガンガン仕事しながら婚活もしていた時代を経て、なんで同期の男子は家庭を持って幸せそうなのに私はそうなれそうにもないんだろう、とフェミニズムに目覚め、さらに政治に目覚めていった様が、とてもわかりやすく書かれています。 通帳を見た人が驚くほどの高給で、ファッションも持ち物も美容にもお金かけて、自愛に溢れ人生を謳歌してても、30過ぎるとフェミニズムに目覚めるのか、、、 いや、フェミニズムに目覚めることがどうこうではなくて、フェミニズムが当たり前になって、ある年齢以上でやっと実感するという今の社会(若い女子は男たちにチヤホヤされるが、一定年齢を超えると男たちから存在を軽くみられるようになる?)の方が、変わってほしいな、と思います。 立ち位置としては、高橋まつりさんの先輩(接点はなかったようですが)であった方です。 「ニュースでは残業月100時間という労働環境の悪さばかりが注目されたけど、私はどこかピントがずれているような気がしました。実際、広告業界では月100時間残業している人なんてざらにいました。まつりさんを苦しめたのは長時間労働に加えて、女性だからこその終わりのない苦しみだったんじゃないか?そんな思いが頭を離れませんでした。女性として日常的に上司にバカにされ、男性より圧倒的に下の存在であることを自覚しながら、そこに長時間労働が組み合わさったときに、人はどれだけ自尊心を削られるだろう。(P111)」 まつりさんの件では、多くのメディアが(男性にも論じ易い)「長時間労働」という視点で報じたからこそ、働き方改革へまで発展していけたのだろうけれど、彼女が生きる気力を失ったのはそこだけが原因ではないだろう、ということは、働く女性なら、誰しも感じていたことと私も思います。 笛美さんがおこしたツイッターの政治的言動については、正直なところ、私にはピンとこなくてよくわからないのですが、政治も思っているよりもずっと身近で、誰だって発言できるし、波を起こすこともできるんだよ、と教えてくれる本です。
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女の幸せレールに乗っかって生きている人を落としたい訳じゃないが、頑張っても努力しても無理だった人もいる。そして周りの洗脳(政府や社会)に人間失格だと言われているようで苦しめられている。 「結婚は頭で考えたらできない」「結婚は勢い」とも言われます。でも何十年も人生を共にし、しかも...
女の幸せレールに乗っかって生きている人を落としたい訳じゃないが、頑張っても努力しても無理だった人もいる。そして周りの洗脳(政府や社会)に人間失格だと言われているようで苦しめられている。 「結婚は頭で考えたらできない」「結婚は勢い」とも言われます。でも何十年も人生を共にし、しかも子供を育てるかもしれない人を勢いで考えられる気がしない。 少しでも婚活市場で価値があると言われる年代の家に結果を出す必要があること。仕事で確固たる地位を築き、パートナー見つけて妊娠すると言う事だった。数年でこなさなければならない。 なぜ女性だけが若いうちに出産をすると言う責任を押し付けられているのか?なぜ男だけが結婚しても、子供が産まれてもライフスタイルを変えなくていいのか?もし時間の期限がなかったらどんな生き方をしたかったのか? 1人で生きていけるだけの収入があり、お金のために結婚する必要はありませんでした。セルフイメージの向上のため「行き遅れた女」と思われないために結婚したかったのだと思います。成功したいと言うで失敗したくなかった。結婚するのは誰でもいいわけではなく、そこそこの学歴と年収と見た目が必要だと言うことも気がついていました。仕事では上を目指し婚活では下のフリをしないとダメ。 生きていてごめんなさい。 自分の声なんて、どうせ誰も聞いてくれない、声を出しても無駄、そういう風に思わせる経験をいっぱいさせられてきている人は多い。この日本では。 無理に出せとも言わない、でかい声でとも言わない。でもどうか、声を出したいと思ったら出して良いのだと思って欲しい。どんなにかすれ声でも、低い声でも。栗田隆子 「82年生まれ。キムジヨン」「男も女もみんなフェミニストでなきゃ」「フェミニスト・ファイト・クラブ」「ほとんどないことにされている側から見た社会の話を」「美容は自尊心の筋トレ」「彼女は頭が悪いから」「女嫌い 日本のミソジニー」「私たちには言葉が必要だ」「40歳を過ぎたら生きるのが楽になった」「侍女の物語」「乳と卵」 「炎上しない企業情報発信 ジェンダーはビジネスの新教養である」
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刺さった。この人は、私だった。 疑いもなく女性の役割を全うしてた時代、なんでジェンダーギャップ指数が低いのか疑問を感じた時代、知識を蓄えてる時代… いま、私にできることはなんだろう? 笛美さんのように、パワーがなくても、いや、笛美さんもツイッターのトレンドになったのには特別なパワ...
刺さった。この人は、私だった。 疑いもなく女性の役割を全うしてた時代、なんでジェンダーギャップ指数が低いのか疑問を感じた時代、知識を蓄えてる時代… いま、私にできることはなんだろう? 笛美さんのように、パワーがなくても、いや、笛美さんもツイッターのトレンドになったのには特別なパワーを費やしていなく、それも運命だったのかもしれない。 巻末に、無理なくできることが一例で載っていて、私たち「うさぎさん」にも分かりやすくまとめてくれていて有り難かった。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
筆者がフェミニズムに出会うまでの部分の日々の描写(仕事での男性先輩の話、女性後輩の話、名誉女性になろうとしかけたこと、協調と排除、自己嫌悪…etc.)が、フェミニズムに出会った後の今の私にはめちゃくちゃしんどくて、正直読むのが辛かった。 新卒で広告営業で働いていた頃も、その後の様々な職場でも、もちろんプライベートのほんの一瞬の場面でも、私たちがもやもやすることの原因の本質は何も変わらないのだと、改めて突きつけられていた。 でもそんな作者が北欧でフェミニズムに出会ったあとを楽しみに読み進めてよかった、そう思える作品で終わってくれて嬉しかった。 『まだ見ぬかわいい赤ちゃんよりも、いま生きている自分のことをまずは大切にしてあげたい(中略)もし自分が、「生きていてごめんなさい」と思ってしまうのだったら、私にとって幸せのオプションではない(中略) だからせっかく生まれてきてくれた子供に、せめてまともな国を残してあげたいし、産んだ人に苦しい思いもしてほしくない。産んでない私のことも否定してほしくない。 日本のどこかで悩んでいる誰かにフェミニズムの風が届くように、誤解され恐れられ笑われながら、自分なりの小石を投げ続けようと思います。』 ここが1番好きなところだった。
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フェミニズムっていうカテゴライズされたものに対して急進的なものを感じで怖かったけど。 ふえみさんを通して、普通の会社員の女子がフェミニストになるまでを知って自分にも通ずるところはあるなと思った。 社会に興味を向けるのは大事。
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笛美について何も知らずに読み始めたが、手にとって良かった。女性である自分も、知らず知らずに女性蔑視をしていたことに気付かされた。悲しい。また、政治にもあまり関心がなかったが、危機感を持つことができた。一気に読めた。女性蔑視のない国に生まれて育つと、どういう精神状態になれるんだろう...
笛美について何も知らずに読み始めたが、手にとって良かった。女性である自分も、知らず知らずに女性蔑視をしていたことに気付かされた。悲しい。また、政治にもあまり関心がなかったが、危機感を持つことができた。一気に読めた。女性蔑視のない国に生まれて育つと、どういう精神状態になれるんだろうと羨ましく思う。
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