最悪の予感 の商品レビュー
”「ソーシャルディスタンス」は、元来、人類学者が親族関係を表すために使っていた言葉だが、~ ” そうだったのか~、知らんかった。 あと、原題のPremonitionという単語も初めて知った。「予感」と。覚えとこう!
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カリフォルニアの保険衛生局のチャリティ・ディーン、退役軍人病院勤務のカーター・メシャーなど、これまで日の当たらなかったヴィジョナリーを探しだしてきて大きな物語を語る、マイケル・ルイスの真骨頂ともいうべきノンフィクション。 パンデミック以前に、彼らがどんな仕事をしてきたのかを語る第...
カリフォルニアの保険衛生局のチャリティ・ディーン、退役軍人病院勤務のカーター・メシャーなど、これまで日の当たらなかったヴィジョナリーを探しだしてきて大きな物語を語る、マイケル・ルイスの真骨頂ともいうべきノンフィクション。 パンデミック以前に、彼らがどんな仕事をしてきたのかを語る第一部は、アベンジャーズの創設期の物語のようで、ヒーローの誕生を予感させ、わくわくが止まらない。 ところが第二部でようやく彼らがアッセンブルしてからは、官僚機構や政治の壁にはばまれて、なかなか思うように彼らの先見性が生かされない。そのもどかしさ。 けっきょく、だれもが知るように米国ははげしいパンデミックの渦に巻きこまれていくことになる。 そしてこれを読んだのがちょうど日本の第5波がこれからピークに達しようかという時期だったので、まるで実況中継を読んでいるようでぞわぞわした。 翻訳も読みやすく、マイケル・ルイスが初めてという人にもおすすめです。
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中学生の娘と父親がタッグを組んで臨んだ科学研究コンテストは疫病の感染モデル、ワクチンを接種するのとその人物を社会的なネットワークから排除するのはするのは等価である。そしてワクチンは社会的な交流の多い若い人に接種して病気を媒介する能力を無くすと高齢者にも感染しなくなる。いかにもマネ...
中学生の娘と父親がタッグを組んで臨んだ科学研究コンテストは疫病の感染モデル、ワクチンを接種するのとその人物を社会的なネットワークから排除するのはするのは等価である。そしてワクチンは社会的な交流の多い若い人に接種して病気を媒介する能力を無くすと高齢者にも感染しなくなる。いかにもマネーボールのマイケル・ルイスらしいプロローグで始まる米国のCOVID-19との戦いの物語。米国には疾病対策予防センター(Centers for Disease Control and Prevention: CDC)というのがあってCOVID-19の対策などもそこでしっかりやっていそうですが、本書によれば集めたデータで論文を書くだけのダメ組織とのことでCOVID-19の対策も草の根からのボトムアップで州政府等を動かして対策を講じたようです。本書はまさにその草の根からのボトムアップを描いており、大きく貢献した三人の勇者の人間像をしっかり描くところから始まり、COVID-19が登場するのは半分ほど読み進めたところになりますが、登場人物の背景も含めてとても興味深く読めます。当初は中国が情報をオープンにしないので苦戦するもダイアモンドプリンセス号のデータにかなり救われたとのエピソートが印象的。民間からのボトムアップで頑張った経緯が良く書かれてますが、逆に言えば米国政府のCOVID-19の対策がワクチンを除いて無能なのがよくわかり、日本も色々と問題はありますが、米国に比べるとかなりましだったのかと見直しました。
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本当の終盤になるまで、”こういう人たちの隠れた努力で成功した”ような雰囲気で進む(私たちは結果を知ってはいるわけですが)のですが、急転直下感が凄い。とはいうものの、こういう人たちがアメリカにいる、しかもちゃんと何人もいて、若干冷や飯は食わされるもののそれなりのポジションにはきちん...
本当の終盤になるまで、”こういう人たちの隠れた努力で成功した”ような雰囲気で進む(私たちは結果を知ってはいるわけですが)のですが、急転直下感が凄い。とはいうものの、こういう人たちがアメリカにいる、しかもちゃんと何人もいて、若干冷や飯は食わされるもののそれなりのポジションにはきちんと上がれている(=ちゃんと評価する人がいる、ということ)ということに感銘を受けました。…しかしトランプの害はこんなところにもこんなに深く及んでいたのだなぁ…と。(「トランプ政権は、各州に必要物資を送っていると大々的に宣伝し、その物資が届かないとなると、州当局とのやりとりを担当するキャリア職員に責任をなすりつける。人工呼吸器でも、治療薬レムデシビルでも、やがてはワクチンでも、そのような事態が起こった」p.324)
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コロナ関連本としては異色の面白さでした。 悲惨な話なのですが、読後感としては希望が持てるような...著者の力量がすごいのだと思いました。
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アメリカのコロナとの戦いを描く。まだ現在進行形だけど、トランプも変わったし、フェーズが変わったと言うところで一つの区切りとしては良かったのかな。しかしアメリカも日本と変わらず大変な事になっている。むしろ数字的には日本は良くやっていると言うことか。CDCは外から見るとあんな組織が日...
アメリカのコロナとの戦いを描く。まだ現在進行形だけど、トランプも変わったし、フェーズが変わったと言うところで一つの区切りとしては良かったのかな。しかしアメリカも日本と変わらず大変な事になっている。むしろ数字的には日本は良くやっていると言うことか。CDCは外から見るとあんな組織が日本にも必要だとか、感染症の世界的な権威でかつ司令塔なのかと思っていたが、やはりそうでもないのね。どの国も同じような問題を抱えているんだなと読んで思った。特にCovid 19は専門家も手探りだから良く分からない事の方が多いのだろう。医者でも言うこと違うこと多いしな。それなら仮説を立てつつ迅速に合理的な手を打って欲しいと思うがメンツとかナワバリとか色々あるんだな。常に最適になるような行動が取れないのは株式市場と一緒か。しかし早く収束して2019年以前の日常に戻って欲しい。
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アメリカで新型コロナ感染が広かったのが、感染とかのせいではなくどちらかというと人災に近い理由だったのかという驚き。ただ、それぞれの場所にものすごく熱意を持った能力の高い人の層があるのも明らか。 ノンフィクションとしての読み物としても面白いけど、これから自分がどう仕事と向き合って生...
アメリカで新型コロナ感染が広かったのが、感染とかのせいではなくどちらかというと人災に近い理由だったのかという驚き。ただ、それぞれの場所にものすごく熱意を持った能力の高い人の層があるのも明らか。 ノンフィクションとしての読み物としても面白いけど、これから自分がどう仕事と向き合って生きていくのかというのを考えていくための心の芯というか、素みたいなものをもらったような気がする
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これはおもしろかった!日本のコロナ対策もダメだけど、アメリカよりマシだなと希望が持てる。アメリカにもあるらしい官僚組織の無能ぶりに、著者と一緒になって野次を飛ばし、胸のすく思い。 〇勇気に近道はない。 勇気とは筋肉の記憶である。 森で一番高いオークの木も、昔は小さな木の実だった...
これはおもしろかった!日本のコロナ対策もダメだけど、アメリカよりマシだなと希望が持てる。アメリカにもあるらしい官僚組織の無能ぶりに、著者と一緒になって野次を飛ばし、胸のすく思い。 〇勇気に近道はない。 勇気とは筋肉の記憶である。 森で一番高いオークの木も、昔は小さな木の実だった。 〇スイスチーズ戦略:穴の開いたスライスチーズを何枚も重ねることで盤石になる。 不完全な戦略をいくつも組み合わせると言う発想。 特効薬的な打開策を求めない。 〇公的な情報伝達がいかに薄っぺらか ーーーー ●官僚組織について 〇業務経験が浅い。平均在任期間が1年半~2年 〇政権が交代すると、スタッフが総入れ替えになる 〇うわべを取り繕うことに夢中。虚言を重ねるうちに、虚言に支配に支配されていく。 〇どのような戦略を打ち出すにしろ、斬新さが必要 〇アメリカの官僚組織:機関に関係する文章はすべて、その期間に送って承認を得なければならない ーーーーーーーーーー ●感染症について 〇現実世界のデータがないことが、批判の根拠となる。(それでも決めなければならない) 〇感染症拡大のスピードには、人間の想像力が追い付かない 〇霧に包まれて、よくわからない。 〇千里眼に近い能力を要求される。 〇対策プログラムを実施することも、しないことも、オッズを知らずに賭けをするのと同じ ーーーーーーー ●成功の秘訣 〇戦略とは共同作業では書けない ★議論をやめて、物語を語り始める
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ハリウッド映画でもおなじみの、融通の効かない官僚組織と闘う型破りなヒーロー(ヒロイン)の物語。ただいつもと違うのは物語がバッドエンドになったことだ。 日本にも完全に当てはまるのだが、外野から見て「もっとこうすればいい」と思うようなことは、既に中の人やその周辺のまさに本書の主人公の...
ハリウッド映画でもおなじみの、融通の効かない官僚組織と闘う型破りなヒーロー(ヒロイン)の物語。ただいつもと違うのは物語がバッドエンドになったことだ。 日本にも完全に当てはまるのだが、外野から見て「もっとこうすればいい」と思うようなことは、既に中の人やその周辺のまさに本書の主人公のような人達によってトライされているのだろう。ではなぜエラーが出たのか?著者は個人にスポットライトを当てた物語が得意なようだが、本書でも繰り返される組織の「ブラックボックス」的な振る舞いや、制度の宿痾のようなポイントにもっと切り込んでもらいたかった。 追記) 壊れていた給湯設備が看護師達の知らない間に直されていて、泣き叫ぶ患者を熱湯に漬けて火傷死させてしまうエピソードが出てくるのだが、日本なら大問題になる事件に対して、本書では「知らずに対応した看護師も可哀想だ」みたいな書きぶりで驚いた。思わずアメリカの医療の質を想像してしまう話だが、コロナについても相変わらず日本より大勢の死者を出しながら「平常化」を宣言できるのは、この辺りの彼我の「差」が大きいのだろう。
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アメリカにおける新型コロナ騒動について書かれたノンフィクション小説(著者はマネー・ボールのマイケル・ルイス、今作の映画化も決定しているようだ)。アメリカは実はかなり前から、自宅待機や外出自粛などのパンデミック時の計画を立てており、感染症専門のチームも作っていたのだが、政権が交代す...
アメリカにおける新型コロナ騒動について書かれたノンフィクション小説(著者はマネー・ボールのマイケル・ルイス、今作の映画化も決定しているようだ)。アメリカは実はかなり前から、自宅待機や外出自粛などのパンデミック時の計画を立てており、感染症専門のチームも作っていたのだが、政権が交代するごとにリセットされたり、人が入れ替わったりしてコロナ騒動時にはチームは瓦解していたという話… 帯に池上彰さんが「危機管理についての教訓を得られる」と書いているがまさにそんな感じ、人間関係や利権、組織の不条理などが描かれる。
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