最悪の予感 の商品レビュー
多くの人が高評価しているのがよくわからない本。アメリカも日本に劣らずコロナ対策がダメでその原因はトランプだけではなく、CDCをはじめとする官僚組織にあるということがストーリー仕立てで書かれているのだが、それだけの話にこんなに分量が必要なのかは著しく疑問。 みんな本当に面白かったの...
多くの人が高評価しているのがよくわからない本。アメリカも日本に劣らずコロナ対策がダメでその原因はトランプだけではなく、CDCをはじめとする官僚組織にあるということがストーリー仕立てで書かれているのだが、それだけの話にこんなに分量が必要なのかは著しく疑問。 みんな本当に面白かったのだろうか・・・
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『マネー・ボール』や『世紀の空売り』、『フラッシュ・ボーイズ』などのマイケル・ルイスがアメリカにおけるコロナとの戦いを描いたのだから少々不謹慎かもしれないが面白くないはずがない。もちろん、わくわくするような成功譚ではない。どちらかというとじりじりとさせる展開でカタルシスもない。結...
『マネー・ボール』や『世紀の空売り』、『フラッシュ・ボーイズ』などのマイケル・ルイスがアメリカにおけるコロナとの戦いを描いたのだから少々不謹慎かもしれないが面白くないはずがない。もちろん、わくわくするような成功譚ではない。どちらかというとじりじりとさせる展開でカタルシスもない。結果はすでに知っている話で、トランプ政権の下にあったアメリカはほとんど最悪の形でパンデミックの影響を受け、おそらくは助けえたはずの多くの命を失うことになった。それでもなおこのパンデミックを予測し、立ち向かい、本来であれば賞賛されるべき人々がいたことをこの本は教えてくれる。マイケル・ルイスが書くとコロナの物語はこんな風に紡がれるのだと感心した。 日本にはCDC(アメリカ疾病対策センター)のような組織がない、こういう組織を作る必要があると言われていたのはいつの頃だったろうか。エボラ出血熱や鳥インフルエンザが流行の兆しを見せたときだっただろうか。現実のCDCはリスクを取ることができない官僚組織であり、この危急の際において全く機能できなかった。 アメリカ政府の中には、小さな箱がたくさんある、という。それらの箱は互いのことを知らず、同じような役割を州ごとや郡ごとに持って非効率になっている。また、トップは政権の交代により挿げ替えられ、そのたびに継続性が損なわれる。二大政党で市民による選挙を通した政権監視の仕組みが働いていると言われているが、今回のことを見ているとポピュリズムの台頭も含めてその弊害が顕在化しているように思えた。 実際にどのような物語が紡がれたのかは、おそらくは実際に読んでもらった方がよいだろうなと思う。こういうノンフィクションライターが存在しているのはうらやましい。日本でも今回の事の顛末を書くノンフィクションライターが出てくることだろう。じっくりと腰を据えて現場に近い個人を取材し、それに値する作品と評価と報酬を手にするような人が日本でも出てくることを期待したい。 ひとまず、この本はお薦め。
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※このレビューにはネタバレを含みます
コロナ禍になって突然、8割オジサンとか感染症学会所属医師とか、いろいろな人がマスコミを賑わす日々が続いているのだけれど、当然、平時からパンデミックに対して備えている人たちがいる。米国で公衆衛生、感染症対策が自分の使命だと自認して警戒を怠っていない人たちの活動と、それが米国にもある官僚主義の壁に阻まれて、世界でもどちらかというとコロナ封じ込めに失敗した国なるまでを描いた本。 対パンデミックの基本は他人に移させないことで、それはごく初期には隔離、事態が進めばロックダウン(特に学校を閉鎖するのが重要)、今であればワクチンになる。ウイルスは突然変異によって感染力や致死率などが大きく変化することはありうるし、そういう場合には方針を大転換しないといけないこともあるが、えてして世間からは無能と見なされかねないため、為政者としては大胆な方策は取りにくいのだろう。右往左往しているだけのように見えて批判されるしねぇ。。。 ■いろんな事件の詳細を探っていくと、悪いのは人ではなくシステムだ、とわかります。人間の注意力に依存しているシステムは、うまくいきません。
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アメリカにおいて新型コロナがどのようにして広まっていったのかを、関係者の証言を基に時系列で追った迫真のノンフィクション。本メモ記載時でも未だ終息が見えない中での日本語版の出版はタイムリー。加えて、著者と翻訳者の文章が良いせいか読みやすい。 アメリカに限らないと思うが、パンデミッ...
アメリカにおいて新型コロナがどのようにして広まっていったのかを、関係者の証言を基に時系列で追った迫真のノンフィクション。本メモ記載時でも未だ終息が見えない中での日本語版の出版はタイムリー。加えて、著者と翻訳者の文章が良いせいか読みやすい。 アメリカに限らないと思うが、パンデミックが起こる最も大きな原因は病原体の強さよりも、人の不作為である人災によるものであることが本書を読むとよくわかる。 本書を読むまでCDC(アメリカ疾病対策センター)は、感染症を含むあらゆる病気に対して世界最高の見識と技術を持っている機関だと思っていたが、本書ではアメリカでの感染拡大はCDCの官僚主義、事なかれ主義、閉鎖性、驕り等により引き起こされたものであることがわかり、かなりショックを受けた。 あと、本書でもう一つ衝撃的だったのは、感染拡大を防ぐためには初期の段階で学校を閉鎖し、子供同士を接触させないことが極めて有効である旨の記載があったこと。つまり、感染を拡大させる大きな原因となりうるのは、教室等の狭い空間に多くの人が密で存在し、かつ相互の接触も多い学校が最も危険ということ。 これがもし正しいのであれば、いまさら言っても遅いが、世界各国は感染者が出た段階でその地域の学校を閉鎖し、まず子供を通じた感染を封じて感染拡大を阻止すべきだった。これは今後の感染症対策の重要な施策になるのではないだろうか。 とすると、中国が感染者が一人出ただけでもその地域を完全封鎖し、住人の外出を極めて厳しく制限したのは、他国で実施できるかどうかは別として、あるいは私権制限問題を別にするならば、結果としては正解で、だから現在の中国の感染者数が極めて少ないのにも合点がいった。 日本政府と国、地域の感染対策にかかわる人全てに読んで欲しい極めて重要な一冊。 もちろん、一般の人にも、感染物の映画やTVドラマを観ているかのような感じで読めるので、次読む本何にしようか考えている方には第一候補として強く推薦する次第。
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カーターらのグループと保険衛生官のチャリティが接触する第8章は白眉 アベンジャーズが反撃に転ずる瞬間のように鳥肌が立つ気がした これからアメリカはコロナに立ち向かうぞと 実際はそうはならない うまくいきそうで挫折する レオンで最後にレオンが倒れるみたいに はじめに、で予告された...
カーターらのグループと保険衛生官のチャリティが接触する第8章は白眉 アベンジャーズが反撃に転ずる瞬間のように鳥肌が立つ気がした これからアメリカはコロナに立ち向かうぞと 実際はそうはならない うまくいきそうで挫折する レオンで最後にレオンが倒れるみたいに はじめに、で予告されたとおり才能が無駄になってしまうことを訴えるストーリーだ 興味、興奮、挫折が混然としてとても面白かった ひとつとても面白いと思ったこと 第9章のL6 レイヤー6のことだが、どんな大きな組織でも危機を解決するのは無名の従事者、責任者から数えて階層が6つ下の者であることが多いという法則 うちの職場なら係長じゃないか!
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アメリカでの新型コロナウイルスとの戦いを書いた読み応えのあるノンフィクション。本文も解説もわかりやすい。専門家の意見を聴き、その対策を実行に移す組織がいかに大事かがよくわかった。アメリカと日本、過去の教訓がこれからの対応にどう反映されていくか、今後の動向に注目したい。
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【琉球大学附属図書館OPACリンク】 https://opac.lib.u-ryukyu.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BC08431514
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組織に属するすべての人に読んでほしい。顔色を窺ってばかりの組織に、使えない社会システムがいかに現場の足を引っ張るかがよくわかる。しかし、そんな中でも正しい方に導こうとする人がいるのは救いである。そして、時には理論で訴えるのではなく「心」に訴える必要があることを知った。
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コロナのパンデミックは防ぎようがなかったのではなく、システムの欠陥だったということがよく分かる。草の根レベルでは、新型ウイルスの危険性を察知したり有効な対応策を述べている人がいたのに、危機が深刻になるまで無視されていた。これは金融危機においてもそうだったけど、人間は時間的・空間的...
コロナのパンデミックは防ぎようがなかったのではなく、システムの欠陥だったということがよく分かる。草の根レベルでは、新型ウイルスの危険性を察知したり有効な対応策を述べている人がいたのに、危機が深刻になるまで無視されていた。これは金融危機においてもそうだったけど、人間は時間的・空間的・分野的に一定の(僅かでも)隔絶があれば学べないんだなという絶望を感じた。
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事実は小説より…って感じで一気読みでき、如何にもドラマ化、映画化されても”面白い”だろうって著作なんだけど、リアルに現在進行形な事なんだよなぁ (-_-;)
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