青空と逃げる の商品レビュー
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240814*読了 早苗と力と旅をする。 四万十川、家島、別府、仙台、北海道…。 それは逃げる旅だった。 やっと関係が築けてきた環境から転がるように逃げなければならない。 自分は小学生の男の子の母親なので、早苗に対していつも感情移入した。 まだ息子は小学1年生だけれど、5年生にもなればこんなやりとりをするようになるのかな、と。 息子も今はママ、ママとまだ甘えんぼうでと、4年後にはこんなふうになるのかしら。 母親としてどんなことがあっても子どもを守らなければという気持ちと、子どもがいるからこそ勇気を出せる、食いしばれるという部分と。 もし、息子と2人で窮地に陥ったら、私も自分を奮い立たせ、立ち向かっていくと思う。 四万十川のきらめく流れ、家島の堂々とした様子、別府の砂湯、早苗と力が見た景色を想像し、それぞれのよさを味わう。 田舎だから、観光地だから生まれるコミュニケーションだってあったけれど、どんな場所にも助けてくれる人は必ずいる。 声をあげること、助けを求めることの大切さ。 仙台ではまさかのヨシノさんが登場。 旧知の友人に会えたような、とてもなつかしい気持ちがした。 ヨシノさんは変わらず人のために力強く生きているのだと分かって、一気に心が熱くなった。 写真館のストーリーも好き。写真館はキノウとアシタのためにある。その言葉の重さを感じる。 写真館は「傲慢と善良」に登場していたと後で知り、少しの既視感はこれが理由かと納得。 ヨシノさんにばっかり気が向いていた故に…。 希望がある終わり方ではあったけれど、2人の旅はこれで終わりではない。 この先もそれぞれに旅がある。 早苗と力の2人で旅をするのは、もしかするとこれで終わりかもしれない。 母親の視点だと、これだけ息子と2人で旅を続け、悩み、乗り越えられたのは財産。どんなにつらかったとしても、一生抱きしめ続ける宝物だと思う。 困難はできれば味わいたくないけれど、この先も息子と精いっぱい向き合って、息子の歩く道を時には並走したり、後から追いかけたり、導くときだってありながら、見守り続けたい。
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「善良と傲慢」を読んだ後、登場人物が別の本に出てきていることを知り、読み始めた本。 情景描写がとても素敵で、現地に旅行しに行きたくなるほどでした。 物語は読んでいてストレスなく、ワクワクする展開。砂湯に行きたくなりました!
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正直、母親の行動には共感はできなきけど、逃げる先々での人の温かさに感動。 ミステリの要素もあり一気に読んだ。
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写真館のくだり、どこかで読んだような…と思ったら、同じ辻村深月さんの『傲慢と善良』であった…?寄るべない人々がいっとき身を寄せられる場所として描かれていた。 苦しみもつらさも悲しみも我慢している人々のよりどころが、この写真館と、砂かけさんたちだった。 現実的ではないお話だった...
写真館のくだり、どこかで読んだような…と思ったら、同じ辻村深月さんの『傲慢と善良』であった…?寄るべない人々がいっとき身を寄せられる場所として描かれていた。 苦しみもつらさも悲しみも我慢している人々のよりどころが、この写真館と、砂かけさんたちだった。 現実的ではないお話だったので入り込めず、ところどころ飛ばして読んだ。
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丁度、彼の二股が発覚して何をどうしていいか分からなくなった時に、たまたま読んでいた辻村深月さんの青空と逃げる。私も、この現実から逃げたかった。青空から逃げるために読書に没頭しようとした。 事故をきっかけに不倫が発覚し、現実から逃げる母子と、母子から逃げる父。それを追う現実。 彼の...
丁度、彼の二股が発覚して何をどうしていいか分からなくなった時に、たまたま読んでいた辻村深月さんの青空と逃げる。私も、この現実から逃げたかった。青空から逃げるために読書に没頭しようとした。 事故をきっかけに不倫が発覚し、現実から逃げる母子と、母子から逃げる父。それを追う現実。 彼の二股が分かった時、苦しみ悩んで周りの人に相談した。その中で私が相談した1人が辻村深月さんだった。 この本の結末はどちらなんだろう。 不倫と浮気は別世界なのかもしれない。だけど、それに縋りたいくらいに、私の世界は黒く淀んでどうしようもなかった。 この本に縋って、私達の結末を決めた。 私は彼と手を繋いでもう一度歩こうと思う。
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夫(父親)が有名女優と交通事故を起こし、その女優が自殺し、夫(父親)も失踪したことで、あらぬ噂をたてられ、女優が所属していたプロダクションの人間に追われるようになった母子が、各地を逃避行する物語。 そもそもの設定にちょっと無理があると思うし、夫(父親)と女優との間に実際何があった...
夫(父親)が有名女優と交通事故を起こし、その女優が自殺し、夫(父親)も失踪したことで、あらぬ噂をたてられ、女優が所属していたプロダクションの人間に追われるようになった母子が、各地を逃避行する物語。 そもそもの設定にちょっと無理があると思うし、夫(父親)と女優との間に実際何があったのかも最後までわからないままなのがもやっとはするが、四万十、家島、別府、仙台という逃避行先の魅力ある様子、それぞれでの人との出会い、そしてそれらの地での母子の成長という内容にほっこりし、なかなか面白く読み進めた。 人の温かさというものを再認識し、家族をはじめ、人を信じてみたいと思わせる物語だった。 逃避行先の地域では、特に別府に魅力を感じ、小学生の時に行ったことはあるが、また訪れて、砂かけをしてもらいたいと思った。
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訳あって母と子2人で様々な場所を旅する話。 母親と小学5年生の息子の葛藤や成長をそれぞれの視点から描いている。 心あったまる作品。
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家族とは、最も近しい存在であるのと同時に、どこか遠い存在でもあることを思い知らされる。近いだけに、真正面から向き合うのが難しいのかもしれない。力が「離婚しないで」と涙ながらに訴えたのもそうであるが、物語全体を通して、早苗が力に問いかけをする場面が、どことなく緊張感を孕んでいるのも、2人の複雑な距離感を表している。逃げる、向き合うという二者択一の中で、早苗が改めてその対象を把握したのが、力の自立を感じた時であるということは印象深く、母親としての責任感か、或いははたまた驕りかなのであろうか。
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母の早苗と息子の力が、逃げながらたくさんの経験を重ねていく物語。 力の成長が丁寧に描かれていると感じました。早苗も、しっかりしなければという自覚が芽生えていく感じがとても自然に伝わってきて、さすが辻村さんだなあと。 でも力が実は連絡を取っていた、というのはちょっと拍子抜けしました。 父は番号を変える前にきちんと早苗に説明すべきだったと思います。まだ全然解決していないけれど、とりあえず家族が再会できて良かったです。
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久々の辻村美月さん。 今回は、ある事情から父親が行方不明になり、その関係で母子も逃げるような生活を強いられる。そんな家族の話。 母親の早苗と息子の力が、転々としながらも必死で生きていく姿。そして、明らかになる父親のこと。 母親が調子を悪くした時の、力の頑張る姿に泣きそうになった...
久々の辻村美月さん。 今回は、ある事情から父親が行方不明になり、その関係で母子も逃げるような生活を強いられる。そんな家族の話。 母親の早苗と息子の力が、転々としながらも必死で生きていく姿。そして、明らかになる父親のこと。 母親が調子を悪くした時の、力の頑張る姿に泣きそうになった。 世の中って、何だか辛い見方もされるけれど、本当に優しい人たちもいる。 タイトルも何かいいよなぁ〜。
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