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蛇の言葉を話した男 の商品レビュー

4.4

21件のお客様レビュー

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2024/08/04
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

・少なくとも五年ぶりくらい読書というものに没頭できた。感謝。 ・動物と人間は今よりもっと近いものだったかもしれない。 ・森を捨てていった人たちに感覚が近い私だから、本の世界にいたらなんて前時代的なことを、非合理的なことを、古臭くてださいことをと主人公のことを思ってしまうと思う。知らないものや洗練されたものに憧れるけれど、どちらがいいかはその人次第。自分が古臭いと思うものを馬鹿にしないように。そこには豊かな文化があるかもしれない。私よりも敬意を払うべきものかもしれない。誰がどんな選択をしようがその人の自由だけれど、その評価はその人がその人自身に下せばいいものであり、外野がとやかく言うことではない。人に影響力を与えようとすると滑稽なことになるかもしれないよ。争いになるかもしれないよ。

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2023/12/29

ぼくは眠りの中を泳いだ。眠りは波のように僕をあやし、ほとんど手で触れられるようだった。眠りは苔のように柔らかく、同時に、砂のように指の間に入り込んできた。 引き込まれて一気に読んだ

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2023/07/19

初めて読んだエストニアの本。 これがどんな本かって?トールキン、ベケット、M.トウェイン、宮崎駿が世界の終わりに一緒に酒を呑みながら最後の焚き火を囲んで語ってる、そんな話さ。エストニア発壮大なファンタジー。 この意味がよく分かった気がする。エストニアが森を大事にする理由もまたよく...

初めて読んだエストニアの本。 これがどんな本かって?トールキン、ベケット、M.トウェイン、宮崎駿が世界の終わりに一緒に酒を呑みながら最後の焚き火を囲んで語ってる、そんな話さ。エストニア発壮大なファンタジー。 この意味がよく分かった気がする。エストニアが森を大事にする理由もまたよく分かった。読みやすいです。

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2023/12/20

これは面白かった。 古い文化や蛇の言語が残る”森”に暮らす主人公レーメット含む一族。かつては多くの人々が暮らしていた森だが、今では住民も少なく、その住民たちも森での未来に希望を見いだせず、”村”へと居住区を移している。 村では多くの人が役割を与えられて暮らしている。そして面白いの...

これは面白かった。 古い文化や蛇の言語が残る”森”に暮らす主人公レーメット含む一族。かつては多くの人々が暮らしていた森だが、今では住民も少なく、その住民たちも森での未来に希望を見いだせず、”村”へと居住区を移している。 村では多くの人が役割を与えられて暮らしている。そして面白いのが、そのほとんどがキリスト教を信奉している。 森の人々の中には精霊を信奉している人もいる。 主人公レーメットは森と村を行ったり来たりしながらそのどちらにも属さない。 どちらにも惹かれる部分と愚かしい部分がある。 物語の終盤に大きなカタストロフが起きる。結構ショックではあるのだが、カラッとした作風であるためか、非常に辛い出来事が起きつつも読後はそこまで辛くない。 というか清々しくも感じた。

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2023/03/08
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

"「かつては、どんな生き物の身体も今より大きかった。信じられないほど巨大なものもいたが、今では消えてしまったか、姿を隠している。闇の中に永遠に眠っているのだ。大きければ大きいほど、眠りも長い。もしかするとそういった巨大で誇らしい生き物は二度と目覚めないかもしれない。世界はそんな生き物たちが存在していたことを忘れてしまうだろう。だからこそ、普段は毛づくろいで取り去ってしまうシラミが、たとえ数匹でも、先史時代の怪物のように大きくなると嬉しいんだ。レーメット、よく見てごらん。今目にしているのは、何十万年も前の世界のわずかな断片なんだ!」"  P.57 下段 "その頃ぼくたちは影でしかなくなっていたが、死ぬ前に、黄昏のもとその影は伸びていた。今、ぼくは消えたのだ。ぼくが今でも生きているとは誰も知らない。" P.166 上段 失われてゆくもの、失われてしまったものへの憧憬はきっと『三つ目がとおる』で植えつけられた。だから、本書のタイトルに惹かれたのだと思う。かつて在り、失われてしまったもの、ラスト・オブ・○○なカンジに見えたから。 物語のはじまりとおわり、また途中のところどころはそんなふうにも読める。だがしかし。 序盤、クマとオカンの生臭さに鼻をつまむことになる。 中盤にいたって、これまでそんなふうに感じる作品と出会うことは皆無であったと思えるのだが、近頃ショッキングな出来事が出来したためであろうか、松本零士作品の風合いを感じて面白くなった。どんな風合いかというと、ボコボコにやられてオノレと再び挑んではまたボコられる、あの風合いである。 主人公の祖父が登場するにいたって松本零士感は頂点に達し、以後、薄れるたびにその印象は強化されてクライマックスに至る。 劇中に描かれた、四つ巴の死の連鎖。 これが象徴するものが、本書のキモ、なのであろうか。 本書はたしかに失われたもの、失われていくものを扱っている。だが、去りゆくものをただ良きものとはしていない。去りゆくものにも、今あるものと同程度に瑕疵があり、今あるものよりも優れていたわけではない。謎マナー講師が発明したおまじないによって世界はいつでも腐ってゆける。そんなことを述べている。 誤解や無理解による悲劇は思いもかけぬところに飛び火し、誤解や無理解によるため責任を感じることもなく、ただ忘れ得ぬ憎しみが残る。 そんなことを読み取った気にもなれるが、いささか雑でくどい会話もあり、うんざりしないわけではない。 巻末の『フランス語版訳者による解説』は一読の価値あり。

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2023/01/17

ものすごい本だった こんなに分厚くて文量も多いのにこのスピード感で読み終わったのは初めてかもしれない ほんとうに、地獄が続く どこまで落ちていっても落ち切らないくらいの展開が止まらなくて、とても疲れた すごい本だった

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2022/06/23

エストニア文学って多分ほぼほぼ初めて目を通したんだけども、これが異色なのか基本こういう感じなのか…!??? 蛇の言葉とは。命とは。

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2022/05/28

徹頭徹尾、失われてゆくものらとその道筋についての物語。現在進行形で滅びる文化を看取る最後の世代(人間)となってしまった主人公の手記。

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2022/05/24

近代化で失われるものがある。でも失われるものも、かつての何かを置き換えたもの。全ての人間、動物、植物が静かに次の世代と交代する。ある意味残酷な現実が淡々と語られる。

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2022/04/13
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

2022.04.13 図書館 これ絶対になにかの本の中に出てきたから予約した気がするんだけど なんの本だったか全く思い出せない… メモしておけばよかった泣 なにかの後書きか、解説か… 本棚見ると、最近読んだ中だと筒井康隆のような気もするんだけど……… 検索したけどわからなかった! で、予約が回ってきたから なんの前情報もなく読み始めた。 (なんかの本にはタイトルだけで、内容は全く紹介されてなかった気がする) 海外文学のSFで上下段! 読みにくいかと思ったけど、すごく読みやすい文体ですらすら読めた。 割と細かく数字で段落分けされてたのも、読む目安になってよかった。 蛇の言葉が話せる少年の一生。 蛇の言葉で動物を操れるのは彼が最後のひとり。 昔は森に蛇の言葉を話す人々が沢山いたが、今は海を渡ってきた外国人からキリストを布教されて、村で近代的な暮らしをする人たちばかりで、蛇の言葉は忘れ去られてしまう。 蛇の言葉があればオオカミやシカやヘビを操れ、食事にも困らない。 しかし人々は近代的な生活に憧れ、畑を耕しパンを食べる生活を好む。 森にはもう人が残っていない。 主人公の友達はヘビのインツ。 前半はまだ森に少しは家族や子供がいて、森での暮らしや風習、蛇の言葉を使った生活が描かれている。 中盤では森に人が居なくなり、村人のキリスト信者の異常性と、森での精霊信者の異常性が描かれる。 後半は主人公の親しい人がどんどん死んでいき、主人公の異常戦闘性が表れ、むごい殺戮や拷問シーンが増える。 さいごは主人公はひとりになり、伝説のサラマンドルへ辿り着き一生を終える。 森での暮らしから人の増悪まで、ファンタジーを交えて複雑だけどわかりやすく読めた。 後書きによると、エストニアの作家で、エストニア情勢を風刺しているそう。 昔からの言葉を使える人は少なく、若者は近代言語に行ってしまうみたいな。 たしかにそう言われればそうだけど、 この本のすごいところは、そう言われないと風刺って気づかないくらい自然で、どちらにも肩入れしていないところ。 近代文明の信者を悪く書いてはいたけど(神を信じても何も変わらない的な当たり前のことだけど)、結局廃れず、彼らは信じ続けてその文明は発展していくし、 森に残った人々は主人公も含めて、皆孤独に死んでいく。 どちらがいいとか悪いとかはなく、 ただ自然の摂理でそうなるだけ。 目まぐるしい展開ではあるけど、基本の倫理観は淡々としてるところがすごくよかった。 みんな自分の正義でそうしてる。 難しいな〜〜〜〜 別に正解はないしね 自分だったらどうするかな。 長い物に巻かれちゃうんだろうな。 主人公不幸すぎたけど、奇跡的に助かったところもたくさんあったからプラマイプラくらい? 人間の女の子にすぐ手出しちゃうクマの設定が面白かった。 インツは話のわかるやつだった。 おじさんも。 すごく面白かった!!! 出会わせてくれた作家に感謝。なんの本だっけなー。

Posted byブクログ