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彼岸花が咲く島 の商品レビュー

3.7

175件のお客様レビュー

  1. 5つ

    29

  2. 4つ

    62

  3. 3つ

    62

  4. 2つ

    8

  5. 1つ

    1

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2021/08/27

とある島に、身体ひとつで漂着した少女が 同世代の、やはり少女に助けられる なんだかよくわからないけど親切にされて そうこうするうち島の暮らしに馴染んでいった彼女は 最終的には「ノロ」と呼ばれる島の世話役みたいなものになり 自分自身を発見していくことになる そんな貴種流離譚 人々は...

とある島に、身体ひとつで漂着した少女が 同世代の、やはり少女に助けられる なんだかよくわからないけど親切にされて そうこうするうち島の暮らしに馴染んでいった彼女は 最終的には「ノロ」と呼ばれる島の世話役みたいなものになり 自分自身を発見していくことになる そんな貴種流離譚 人々は平和に暮らしているが 島の背景は暗黒そのもので さまざまな真実が「ノロ」に独占されており それが人心に分断をもたらしてもいる 美しい少女たちが そういう偽りの平和に、ひとつの試練をくれようという展開は 若さゆえの潔癖、潔癖ゆえの傲慢さも感じさせる いずれみんなで致死量の麻酔薬を口にしそうな儚さがあって 嫌いではないぞよ

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2021/08/24

最近の芥川賞本の中ではかなりの読みやすさそして良い話。のっけから不思議な世界観と言語感に引きずり込まれる。成長する少女たちと島の記憶、そして幸せな結末。正しいと思うことをする。いまを生きる。今月は豊作だなぁ。

Posted byブクログ

2021/08/23

第165回芥川賞受賞作。同時受賞の2作品だが、読みやすさ・わかりやすさ共に本作を推す。 すべての記憶を失った少女が辿り着いた島の謎、状況によって使い分けられる2つの言葉・ニホン語と女語、神に仕えるノロと呼ばれる女性たち……。山田正紀さんの『宝石泥棒』を読んだときのような興奮を感じ...

第165回芥川賞受賞作。同時受賞の2作品だが、読みやすさ・わかりやすさ共に本作を推す。 すべての記憶を失った少女が辿り着いた島の謎、状況によって使い分けられる2つの言葉・ニホン語と女語、神に仕えるノロと呼ばれる女性たち……。山田正紀さんの『宝石泥棒』を読んだときのような興奮を感じた。まあ、同じような話(違うか?)ではある。ファンタジー寄りの純文学と、SFの違いでしかない。 候補作の中では『水たまりで息をする』がベストだったが、本作をベストにする(暫定)。文藝春秋9月号(電子版)にて。

Posted byブクログ

2021/08/21
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

最初は言葉に慣れず読みにくさを感じたが 後半はスムーズに読めた。 責任を持つ人はいつでも強くいなければならないけど、 判断する難しさや後悔の気持ちもあるなぁと実感した。 島を守る為にたくさんの決意をしてきた大ノロは 本当にすごい人だと思う!!

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2021/08/21

第165回芥川賞受賞作。 少女が流れ着いた島では、ノロという女性たちが統治している。この小説には日本語を起点とした3つの言語が出てくる。 ⁡ ・女語 現在私たちが喋っている言葉とほぼ同じで、ノロのみが継承している言葉 ⁡ ・ニホン語 現在の日本語よりも漢文っぽさが強めで、島民の喋...

第165回芥川賞受賞作。 少女が流れ着いた島では、ノロという女性たちが統治している。この小説には日本語を起点とした3つの言語が出てくる。 ⁡ ・女語 現在私たちが喋っている言葉とほぼ同じで、ノロのみが継承している言葉 ⁡ ・ニホン語 現在の日本語よりも漢文っぽさが強めで、島民の喋り言葉(「来したに非ずマー?」) ⁡ ・ひのもとことば 現在の日本語から漢字・漢語を排し、ひらがなに表せない言葉は英語に置き換える、少女がもともといた場所の言葉(コモン・ランゲージであるイングリッシュのことば) ⁡ この小説は、台湾人作家が書いたにもかかわらず、日本語が母語である読者にしかうまく読めないだろう。読み進めるうちに脳みそが愉しくなって、このチャレンジが賞を獲得したことに納得させられる。この日本語の可能性、日本語への挑戦を読む愉しみは、控えめにいっても最高。同時に台湾という歴史、知性への姿勢、そのものに敬意すら覚える。 ⁡ ストーリーとしては、そんなに大きな起伏はなく全体的に爽やかな印象。それでも問題は山積みで、異物とはなにか、ルールとはなにか、本当に正しいこととはなにか、ということを問われる。問わずにはいられなくなる。 ⁡ ⁡ これらとは別の感想として、海の見える場所に行きたくなってしまったな

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2021/08/19

ネタバレになります。 少女が流れ着いた島は、2つの言語(ニホン語と女語)が存在し、少女が話すヒノモトコトバと共に3つの言語で話が進みます。 彼女を助てくれた島民の少女游娜(ヨナ)に、宇実という名付けもらい、一緒に暮らすことに。 結婚や家族、お金の概念がない、不思議な島。...

ネタバレになります。 少女が流れ着いた島は、2つの言語(ニホン語と女語)が存在し、少女が話すヒノモトコトバと共に3つの言語で話が進みます。 彼女を助てくれた島民の少女游娜(ヨナ)に、宇実という名付けもらい、一緒に暮らすことに。 結婚や家族、お金の概念がない、不思議な島。少女は島に受け入れてもらうために、女語を学びノロという神聖な職業につかなくてはなりません。 島の歴史と、少女がなぜ島に流れ着いたのかが、最後には分かります。彼岸花がこの島にとってなんだったのかも。 争いはなぜ起こるのか…、領土や食糧、優劣をつけたがる人間の問題、社会制度、色々考えさせられましたが、 男が野蛮だから争いが起きると考えている節があって、それはまた極端だと思ってしまい、スッキリしないのですが、読んで良かったと思いました。 とても重く感じたテーマとは裏腹に、宇実と游娜と島の風景や儀式は美しく、赤や青、緑などの彩りが目に浮かぶようでした。

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2021/08/18

とっつきにくかったけど 独特のマーとかバーとかの語尾が中国語由来と 気づいたらぐっと読みやすくなった。 多分伏線を拾いきれてないなりに歴史なり 百合っぽさなり面白かった。

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2021/08/18

沖縄に似た小さな島を舞台に、少女達の成長してゆく姿が爽やかに描かれていた。 少年少女の視点で描かれているが、大人達がしっかりしなければならないと、戒められている気がした。

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2021/08/18

同回の直木賞を受賞した『テスカトリポカ』のあとに読んだ。麻薬売買・多言語要素の共通点があるなか、台湾・中国語の理解がある人が『彼岸花の咲く島』を読むとまた感覚が違うのかどうかは気にかかる。『テスカトリポカ』については、スペイン語を解するかどうかでそのイメジュアリは大きく異なると思...

同回の直木賞を受賞した『テスカトリポカ』のあとに読んだ。麻薬売買・多言語要素の共通点があるなか、台湾・中国語の理解がある人が『彼岸花の咲く島』を読むとまた感覚が違うのかどうかは気にかかる。『テスカトリポカ』については、スペイン語を解するかどうかでそのイメジュアリは大きく異なると思う。一方で、先に『宝島』(真藤順丈)を読めていたのは良かった。ノロ、御嶽、ニライカナイ…これらのことばを解するのに必要な道だった。 ひのもとことば・ニホン語などをめぐる多言語展開は、本当に知らない言語の狭間に放り込まれたかのような感覚をもたらす挑戦的な作風だった。一方で最初から最後まで舞台・舞台装置の細部にほころびがみられること、またせっかくの異世界・異文化の作り込みの効果が極点に達せぬまま物語が終わってしまったようにみえるのは悲しいことだった。このことをより追及すれば、李琴峰さんが今後、より壮大なスケールで台湾・中国・日本をめぐる物語を紡いでくれるのではないかと期待される。 8/5の毎日新聞朝刊に、芥川賞を受賞した同氏のエッセーが掲載されていた。「李琴峰」さんの「峰」はなぜこの字かと不思議に思っていたのが解消され、並々ならぬ作家的決意の込められたペンネームだと頷かされる文章だった。ぜひご一読いただきたい。

Posted byブクログ

2021/08/16
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

風刺小説として笑いながら読んだが、ウヨク的な人は青筋立てて怒るんだろうな。受容可能な作品が少ないというのは気の毒なことだ。ただ、小説としては、人物の人格といい、お話の筋といい、いささか分かりやすすぎの感が否めない。 最後に主人公らは「男」に歴史を伝えることを極めて安易に行おうとしているが、どう帰結するんでしょうね。作者としては、男女が真に相和する将来の訪れを予期しているようだ。が、私はそこにあるのは破滅だろうと思う。個々人の理性を超えたものとしての慣行(歴史)をいっときの情の揺らぎによって踏みにじれば、必ずしっぺ返しを食らうだろう。ーーまるで保守主義者のような物言いになってしまった。

Posted byブクログ