サハマンション の商品レビュー
再読。 以前読んだときには、救いがなくただ苦しくて、どう受け止めればよいのかわからなかったが、この作品をもう一度読んでみて感じたのは、何かちょっとしたきっかけでこれが現実になりうるのではないかという恐怖だった。 現実になりうるというより、すでに私たちの現実としてのリアリティがあっ...
再読。 以前読んだときには、救いがなくただ苦しくて、どう受け止めればよいのかわからなかったが、この作品をもう一度読んでみて感じたのは、何かちょっとしたきっかけでこれが現実になりうるのではないかという恐怖だった。 現実になりうるというより、すでに私たちの現実としてのリアリティがあった。 自分が全く同じ経験をしたわけでなくとも、共感できずとも、なぜか理解できる。理解できてしまった。
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著者の他の本と比べて完成度も深みも足りず、他の作家の本のように感じていたら、まだ駆け出しの頃に書きはじめ、何年もかけて完成させたもの?らしい。 書きたいテーマは何となく伝わってくるが、リアリティに欠けていたり、消化しきれていない感がある。 他の作品よりも明らかに質が悪いように思う...
著者の他の本と比べて完成度も深みも足りず、他の作家の本のように感じていたら、まだ駆け出しの頃に書きはじめ、何年もかけて完成させたもの?らしい。 書きたいテーマは何となく伝わってくるが、リアリティに欠けていたり、消化しきれていない感がある。 他の作品よりも明らかに質が悪いように思う。この本でこの作家を評価されてしまうのは残念なこと。出版しないほうがよかったのではとすら思う…。
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架空の都市、超格差社会の「タウン」の中でもさらに最下層の人々が住む「サハマンション」。 職業選択の自由もなく、お金もなく、健康的な暮らしもなく、救いもなく。 そんな状況が、どこか本当にありそうで、いつかこんなことになる日が来るかもしれなそうで、心がひやっとします。 架空の国のスト...
架空の都市、超格差社会の「タウン」の中でもさらに最下層の人々が住む「サハマンション」。 職業選択の自由もなく、お金もなく、健康的な暮らしもなく、救いもなく。 そんな状況が、どこか本当にありそうで、いつかこんなことになる日が来るかもしれなそうで、心がひやっとします。 架空の国のストーリーだけど、韓国社会の生きづらさや日本での貧困や格差の問題、どこかつながってリアルに感じます。 それでも、暗くなりすぎないチョ・ナムジュさんの文章に救われつつ、こんな未来がこないことを願います。
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※このレビューにはネタバレを含みます
どんな結末を迎えるのか、終着点はどこにあるのか…え、そこで終わるの!? ジンギョンが、ウミが、トギョンが、サハマンションの面々がどうなったかは分からないまま本を閉じることになるのだけど、それはおそらく、著者が伝えたいのは単にストーリーだけではないからと考える。 一つの事件が発端となって始まる物語、そのストーリーを追っていく内に、“タウン”における人々の暮らしや社会システムについても理解することになるが、それは架空の国家であるとは言え、私たちが暮らす現代社会と重なって見える部分は多い。問題提起としての舞台設定とも考えられるのではないだろうか。 結局、総理団の真の姿、研究所の謎は明かされずに終わる。そこは正直消化不良、どういうこと??という気持ちは残るが、読んでいる最中の読み応えは抜群、ページを繰る手は止まらない本だった。
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韓国文学に不慣れで登場人物の氏名だけではなかなか性別が見当付けられず、読むのに少し手間取ったが扱っているテーマには共感。欲を言えば、トギョンの描写がもう少し掘り下げられていたらと感じた。高齢者やハンディキャップを持つ人などの連帯の描写が全体的にディストピア小説と思えないほど良かっ...
韓国文学に不慣れで登場人物の氏名だけではなかなか性別が見当付けられず、読むのに少し手間取ったが扱っているテーマには共感。欲を言えば、トギョンの描写がもう少し掘り下げられていたらと感じた。高齢者やハンディキャップを持つ人などの連帯の描写が全体的にディストピア小説と思えないほど良かった。
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なんでそうなる?ってついていけないことがちょいちょいあった。あと、やっぱり、韓国の人名は男性なのか女性なのかわかんない…
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最後の最後で分かっていたけど、そうくるか……!と言う、たとえどん底まで落ちていたとしても頑張ることに意味はあるんだとそっと背中を押されるような物語だった。 装丁というか、行数が他のものより詰められていたのは意味があったのかな……
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著者の他の作品は女性たちが置かれた環境をリアルに描いた作品、というイメージだったけど、この作品はSFっぽい。近未来に見えるけど実はもうあったりして? ところどころ過去の話が出てきて、マンション住民ではない人も出てくるので、どうつながるのかなと読んでいたらならほどな〜と。もう一回...
著者の他の作品は女性たちが置かれた環境をリアルに描いた作品、というイメージだったけど、この作品はSFっぽい。近未来に見えるけど実はもうあったりして? ところどころ過去の話が出てきて、マンション住民ではない人も出てくるので、どうつながるのかなと読んでいたらならほどな〜と。もう一回読み返したくなる。
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※このレビューにはネタバレを含みます
読み終わってから思い返すと何一つ事態は好転していないけれど何故か爽やかな読後感。事態は好転していなくとも住民たちは確かに前進しているのだろうか。 ジンギョンの歯ブラシを隠してしまうトギョンの描写が胸に刺さった。聖歌を歌う母親、無意識のうちに口ずさんでいたジンギョン、それを無邪気に歌ってみせるイア。 韓国文学は全くの初心者だから気のせいかもしれないが、意図して性別の描写をぼかしてあることが多いのか、しばらく読み進めた後で男性/女性だったのか、となることもしばしば。あるいは新しい登場人物が出てくるたび、無意識かつ即座に性別を割り振ってしまう自分の読書スタイル?癖?がもう古いのかもしれない。 SFのような設定だけど現実世界とのリンクを思わせる事柄も多く、途中で出てくる流行り病はMERS、蝶々革命は光州事件を連想させる。 でもトギョンはともかくウミがどうなったのかは正直知りたかったかもしれない。投げっぱなしエンドは嫌いじゃない(好きでもない)けれどえっ!?ここで終わり!?と思ってしまった。まあ野暮なのかもしれないが…
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ディストピアというにはリアルすぎて。 超格差社会「タウン」の中でも最低層に位置し、差別される「サハマンション」の住民たち。 抵抗とケアの共同体。 トギョンの話は、ロマンスで、スキャンダルで、残忍な犯罪だった。
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