1,800円以上の注文で送料無料

それでも世界は回っている(1) の商品レビュー

4.1

33件のお客様レビュー

  1. 5つ

    12

  2. 4つ

    9

  3. 3つ

    8

  4. 2つ

    1

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2024/11/03

万年筆のインクを集めている。 昨今、たくさんのメーカー(や個人)がご当地インクやコンセプトインクなど、とにかく数えきれないほど出しており、まさに百花繚乱の状態だ。 中でも人気はやはり青系インクなようで、たぶんバリエーションは一番多いのではないか。 水のように澄んだライトブルーか...

万年筆のインクを集めている。 昨今、たくさんのメーカー(や個人)がご当地インクやコンセプトインクなど、とにかく数えきれないほど出しており、まさに百花繚乱の状態だ。 中でも人気はやはり青系インクなようで、たぶんバリエーションは一番多いのではないか。 水のように澄んだライトブルーから、夜の底のように深い深く、星さえ見えない日のブルーブラックまで。くすんだ青、煌めくラメの混ざった青。 この世に青いインクはどれだけの数あるのだろうか(これを書いている今も新たな「青」が誕生しているかもしれない)。 ****** この世で一番美しい「青いインク」の物語、そのはじまり。 「月とコーヒー」で書かれていたインクはこれか。 これはインクが主役(と言っていい)の物語。 失われたインクを求めて旅に出る少年と彼を取り巻くさまざまな人たちとの交流が描かれる、どこかわからない不思議な世界。 世界のあらゆるものを収蔵する博物館で仕事をする少年。彼はリアルで地に足つけた社会には居場所がない子どもだ。 博物館での仕事は彼のための世界だったけれど、彼に仕事を教えてくれた"師"ともいえる人がある日突然亡くなってしまうところからストーリーは始まる。 彼は仕事を引き継ぐことになるのだが、これまで記録のために使われていた青いインクが尽きてしまったことを知る。ストックもない。けれど、この記録をするのはそのインクでなければならないのだった。 自由人の叔父とともに、インク工場があったという小さな町への旅に出る少年。テレパシー?で彼と会話する謎の少女。なぜだかわからないが彼を追いかける刑事。続きがとっても気になる(たぶんハードな話にはならないはず)。 どこのものでもない、不思議な世界の物語。 どこのものでもなさそうな名前のひとたち。 優しく温かく、なにかどこかの星の光景をスノードームの外側から眺めているような、滋養に満ちたスープのような、そんなお話だ。 ****** さて、万年筆インクの楽しみは、書くこと以外にもいろいろあって。 特に(何の役にも立たないが)楽しいのが「滲ませる」こと。ペーパークロマトグラフィー的な感じでインクを水で滲ませると実にたくさんの色が含まれていることが実感できる。似た色だと思っていたインクの中にまるで異なる色が含まれている驚き。 筆を洗ったあとに拭いたティッシュペーパーについたインクの残りとか、えも言われぬ美しさですよ。未体験の皆さま、ぜひ一度。

Posted byブクログ

2024/10/26

最近疲れて本読めないなぁと思っていたところ、この本に出会い、面白くて読みやすくて読み終えることができました。休息が大事、寄り道も大事、という言葉に励まされました。明日からも頑張れそうです。私が何をしようが、世界は回り続けているのだから。続きも読みます。

Posted byブクログ

2024/10/16

文章から優しさが感じられて、はっとする言葉や寄り添ってくれる言葉に安心感を抱きながら読むことができた。ストーリー展開もわかりやすくて、続きが気になる。 館長の言葉がとても心に残った。この先より良く人生を歩んでいくためには休養が必要で、そうして私が一息、あるいは長い旅に出てから戻っ...

文章から優しさが感じられて、はっとする言葉や寄り添ってくれる言葉に安心感を抱きながら読むことができた。ストーリー展開もわかりやすくて、続きが気になる。 館長の言葉がとても心に残った。この先より良く人生を歩んでいくためには休養が必要で、そうして私が一息、あるいは長い旅に出てから戻っても世界は何ひとつ変わらずに回りつづけている。世界が回りつづけているからといって、私まで回りつづける必要はないんだと、そう思ったら少し気持ちが楽になった。 寝る前とか、コーヒーを飲みながらゆっくり読みたい本。

Posted byブクログ

2024/11/06

落ち着いた深い紺色の表紙で、少し小ぶりなせいか、手にしっくりくる感じの本です。 〈奇妙な惑星〉という名の博物館で、その保管室のベルダさんの助手として働く14歳のオリオさん。ベルダさんが使っていた〈六番目のブルー〉のインクを求めて、叔父さんとの旅が始まったところまでの物語でした。...

落ち着いた深い紺色の表紙で、少し小ぶりなせいか、手にしっくりくる感じの本です。 〈奇妙な惑星〉という名の博物館で、その保管室のベルダさんの助手として働く14歳のオリオさん。ベルダさんが使っていた〈六番目のブルー〉のインクを求めて、叔父さんとの旅が始まったところまでの物語でした。 マリオが淹れたコーヒーを飲みながら、この物語を読んでいる自分を想像をしてみたり。私にとっては、大好きな吉田さんの世界に浸った癒しの読書となりました。 さりげなく『電球交換士の憂鬱』のトビラさんが、登場していました。それだけでも、とても嬉しくて、先に読んでおいてよかったなと思いました。 トカイ刑事、オスカー商會のアクビさん、ココノツ、トビラさん、オーネスト館長、マリオ、ジャン叔父さん、車のメンテナンスをしてくれたハルマさん、時計屋のエブリ、ダイナーの店主サル、サルの父親ウルフ、サルの叔母さんミランダ、ミュージックホールを経営しているソシオさん。登場人物全員がなにかを秘めている感じがしました。 ベルダさんのことの真相は何なのか? 〈6番目のブルー〉と呼ばれるこの世でいちばん深い海の底の青色のインクは、手に入るのか? それでも世界は回っている。というタイトルの歌詞が存在したこと、その歌を知っていたのは、誰なのか? など、これからが気になることだらけでした。 何度も出てきた、「それでも世界は回っている。」この言葉だけで、様々な思いが巡りました。 続きが楽しみです。

Posted byブクログ

2024/09/23

他の本にも出てきた「青いインク」が出てくる。 吉田篤弘さんの、いつも通りの平凡で物静かな世界の話。 短編のように一つ一つの章に名前がついている長編。とても読みやすく気づくと読み終わっていた。続きが楽しみ。 ベルダさん、オリオ、ココノツ、叔父さん。

Posted byブクログ

2024/09/08

何を読んでもツマラナイというスランプに陥ってしまい、暫く読書からもブクログからも離れてました。 久しぶりに恐る恐る手に取ったのは、大好きだった吉田篤弘さん。 面白かった~! 表紙以上に印象的な色だったのがスピンだった。本書にはとても美しい青色のスピンが使われている。この色が「...

何を読んでもツマラナイというスランプに陥ってしまい、暫く読書からもブクログからも離れてました。 久しぶりに恐る恐る手に取ったのは、大好きだった吉田篤弘さん。 面白かった~! 表紙以上に印象的な色だったのがスピンだった。本書にはとても美しい青色のスピンが使われている。この色が「六番目のブルー」なのかもしれないなぁ…なんて思いながら読み進めた。 吉田さんの名付ける登場人物たちの名前が、なんとも心地良かった。 主人公のオリオ、不思議な少女ココノツ、電球交換士のトビラさん、時計屋のエブリさん…。 そうそう、コーヒースタンドを営むマリオ。 彼が言うエリック・サティの「ジュ・トゥ・ヴー」も是非聴いてみて欲しい。 多くの方が聴いたことがある曲に違いないし、聴けば本作『それでも世界は回っている』の世界に、一気に色が付き始めると思うから。 この曲を聴きながら物語を読み進めるのも心地良い。 読み進めるうち、オリオくんと同じように、読者である私も「六番目のブルー」を求める気持ちが湧いてきた。 そのブルーを見てみたい。 そのブルーで文字を書いてみたい。 物語を通してずっと1つのテーマが存在している。 それがタイトルの「それでも世界は回っている」だ。 この言葉は作中、度々登場する。 「六番目のブルー」を求める旅は、ひょんなことからジャン叔父さんと共にすることになるのだけれど、あっちに寄り道、こっちに寄り道…さてさて、どうなることやら…。 全3巻のようだから、楽しみに、ゆっくりのんびり読み進めたいと思う。 「〈六番目のブルー〉。この世でいちばん深い海の底の青色。」 「いいか、よく見ろ。終わりが来ても、このとおり、何度でもよみがえる」 「この世界は、さみしいって気持ちをどうにかしたくて回っている。世界を回しているのは、さみしさなんだよ」 「人と物は同じ仲間として、力を合わせているんです」 「時間はお前なんだ。いいか?お前がそこにいて、そうして生きているから、お前の時間が流れる」 「親父によくしかられたものだ。『美しい』という言葉をむやみに使うなと。」 「それは、はたして『美しい』の一言で片づくものなのかとね。もっと奥深くて、もっと華やかで、もっと悲しくて、もっと麗しく、もっと涙が出てきそうな、そういうものじゃないのかって。」

Posted byブクログ

2024/08/04

吉田篤弘さんの作品を読むと何故か『デジタルデトックス』をしたくなる。ラジオが聞きたくなる。 現実世界とは違う世界がとても心地良い。 六番目のブルー、どんな色なんだろう。

Posted byブクログ

2024/05/21

3を読んだあとに、1を。 おとぎ話のような心地よい空間にいざなわれて、物語は進んでいく。著者の独特のスタイル。 さて、余韻を楽しみにして、2に続く。 ちょっと疲れたときの癒しとしてとっておく(キープ)。

Posted byブクログ

2024/03/30

なんか、最後までぼや〜っとした物語でした。 伏線のようでそうでないのか? 余韻が残り過ぎると言うか… それでも地球は回ってる… それでも地球は回ってる2を読んで、少し印象が変わりました やっぱり世界観が良いなぁ

Posted byブクログ

2024/01/01

幻のインク〈六番目のブルー〉を求め旅に出るオリオと叔父さん。 奇妙な出会いや発見が続く。 挿絵が微笑ましい。 「世界を回しているのは、さみしさ。」 「毎日の繰り返しを選ぶ。他は何もいらない。」 「人と物を分類する必要はない。」

Posted byブクログ