それでも世界は回っている(1) の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
『月とコーヒー』を読んで、また万年筆を使いたくなった。印象的なインクのお話。あとがきで筆者が「次は万年筆とインクをめぐる物語で一冊、書きたいと思います」記していた。そうして出来上がったのが本書だろう。 とはいえ、「あれ?こんな話だっけ?」「こんな登場人物いた?」と「?」を付けながら読み始めたけど、どうやら純粋な続編ではない? あるいは、どうやら本書も1冊で完結ではないので(よく見たら「1」と書いてあるか)、この後で、『月とコーヒー』の中のエピソードとの関連が分かるのかな、まあ、いいや、のんびりゆっくり読み進めよう。 と、まあ、そんな、ゆるゆると読める、いかにもな吉田作品。というか、『月とコーヒー』の、ちょこっとSF、ちょこっとファンタジーなテイストを十分踏襲している。という意味で続編、スピンオフと言った趣の作品。 オリオという14歳の主人公が、ギター弾きの叔父さんと小さな旅に出る。恩師のベルダさんが大切にしていた青いインクを求めて。 (ほぼ)各章ごとに新しい登場人物が現れる。ギター弾きのの叔父さんはもとより、カフェのマリオ、電球交換師のトビラさん、オリオと心の中で会話するココノツという少女、叔父さんとよく似たサルという男、その父親で物書きのウルフ・・・。 次々と、不思議な人たちと出会い、めざす青いインクを製造する工場へと向かう。 14歳という年齢からして、きっと自分探しの旅なのかな。 でも、十分老成しているオリオは、もっとその先、自分という存在の先にたどり着きそうな気もする。こんな恩師ベルダさんの言葉を思い出す。 「世界を観察しようとするとき、唯一、自分が邪魔になるのです」 さて、まだ「1」。このあとどんな物語が繰り広げられるか楽しみにしていよう。 「いいかい。」という亡きベルダさんの言葉が蘇ったら要注意だ。なぜなら、“ベルダさんは大事なことを話すときに必ず最初に「いいかい」と云っていた” からだ。 この世を生きていくために大事な何かを、オリオは見つけることができるのか。続きが楽しみだ。
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吉田篤弘氏の描くそれぞれのキャラクターのイラストがいい。 ジャン叔父さんのセリフやベルダさんのセリフも印象的なもので読んでいて楽しい。 続きが出るのが楽しみだ。 それまでの間、「月とコーヒー」でも読み返そう。
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『月とコーヒー』で好きだったインクの話だったので購入。 作者の世界観が本の中で余すことなく表現されている。 話の内容は、あくまでも序奏。 どう進んでいくのか、今後に期待。
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