哲学の女王たち の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
【女性哲学者20名の経験と功績】 考えてみると有名な哲学者のほとんどが男性だ、というところから、編集者の2人の女性が、重要な思想的功績を残す20人の女性哲学者を紹介。それぞれ、また20名の女性筆者によって書かれている。翻訳者も女性。 ・・・ 遡ること紀元前、プラトンの時代から、今日にも生きる現代の哲学者まで、ほぼほぼ欧米人(他は、中国、カシミール(?)ナイジェリア、レバノン系アメリカ人)、なのだけれど、いろんな時代と場所を少し旅した気分になった。ランダムに出てきたように感じるアジア系哲学者については、私もまったく知らないのだけれど、アジア人としては、このアジアバージョンができたら面白いなーと思った。 とにかく各人物について、その思想や鉱石だけではなくどのように生きた人たちであったのか、という体験的な紹介がなされていたので、とても読みやすかった。 原作などを通して、特に興味を持った方々の理解をさらに深めたいな、と思ったりした。 女性の哲学者だと、やはり男女間の不平等、フェミニズム、の議論に代表される人が多いかと思うけれど、対等に、人間として女性が議論できる日は来るのかな。 女性の従属的立場については、今も現実問題として日々感じる。永遠に付きまとうものなのかもしれない。 それでも、もっと声を大きくすることはできるのではと少し希望を持つ。
Posted by
哲学の話よりも、能力ある女性が活躍する難しさや学問の世界で奮闘してきたかの歴史を知ることができる一冊。 印象的だったのは、オックスフォード大学のモッズアンドグレイツという古典学コースで同時期に学んだ女性4人組が女性哲学学派として全員活躍できた理由が、戦争で男性が少なくなったからと...
哲学の話よりも、能力ある女性が活躍する難しさや学問の世界で奮闘してきたかの歴史を知ることができる一冊。 印象的だったのは、オックスフォード大学のモッズアンドグレイツという古典学コースで同時期に学んだ女性4人組が女性哲学学派として全員活躍できた理由が、戦争で男性が少なくなったからということ。少数派の意見はとりあげられないのは女性だけでない。アフリカの先住民、LGBTQ等。人は何かを考える時に、自分の視点からしかモノを見ていないことに気づくことも哲学に関わる一歩なのではないだろうか。
Posted by
知らない人の方が断然多かった。哲学の世界でさえも、女性の扱いはひどいものだったということがよくわかった。そして、男性の作った歴史で勉強してきているから、こんなにも同性の著者たちについて知らないのかと妙に納得。たくさんの人を取り上げている関係で、1人ひとりの紹介は短い。もうちょっと...
知らない人の方が断然多かった。哲学の世界でさえも、女性の扱いはひどいものだったということがよくわかった。そして、男性の作った歴史で勉強してきているから、こんなにも同性の著者たちについて知らないのかと妙に納得。たくさんの人を取り上げている関係で、1人ひとりの紹介は短い。もうちょっと深く知りたいなと思った。
Posted by
考えてみると哲学というのは西洋中心、男性中心の分野だった。そのせいか、世界の捉え方には賛同できても、女性観は何か違うだろ、という場合がある。 女性の立場からの哲学というのはこれからの分野なのかもしれない。 一番気になったのはオルウォレというアフリカ系の哲学者。ナイジェリア出身で伝...
考えてみると哲学というのは西洋中心、男性中心の分野だった。そのせいか、世界の捉え方には賛同できても、女性観は何か違うだろ、という場合がある。 女性の立場からの哲学というのはこれからの分野なのかもしれない。 一番気になったのはオルウォレというアフリカ系の哲学者。ナイジェリア出身で伝統的なヨルバ哲学を現代に蘇らせたという。内容が気になる。 最近注目されている、アンナ・ハーレントは、ユダヤ人だが有色人種は差別していたらしく、少しがっかり。
Posted by
20名の女性哲学者を紹介した本書は、まずこうして出版できたことに大きな価値があると思います。 なぜなら、そうすることで、ここに書かれているような、男性しか哲学者がいなかったかのような思い込みを無くし、たとえ少数派の中であっても、栄誉ある社会貢献をされた女性哲学者たちがいたことを...
20名の女性哲学者を紹介した本書は、まずこうして出版できたことに大きな価値があると思います。 なぜなら、そうすることで、ここに書かれているような、男性しか哲学者がいなかったかのような思い込みを無くし、たとえ少数派の中であっても、栄誉ある社会貢献をされた女性哲学者たちがいたことを、知ることができたからです。 イギリスで大学教育が女性に許可されるようになったのは、19世紀もだいぶ遅くなってからのことで、要するに、どれだけ才能や知性があろうとも、大学で学ぶことを許されなかったということです。 その影響もあり、もし女性が書いたと知られたら、哲学的小説とは認めてもらえまいと思った、「ジョージ・エリオット(メアリー・アン・エヴァンズ)」は、1850年代に男性名のペンネームを使ったそうです。 他にも、初めて男性優位の学問の領域に堂々と踏み込んで、悲劇的な結末を遂げた「ヒュパティア」や、フッサールとハイデッガーが功績を認めようとさえしなかった「エーディト・シュタイン」等、悲しい歴史もあるが、「シモーヌ・ド・ボーヴォワール」の、『女性の状況を改善するには、男も女も共犯関係にあることを自覚し、変わらなければならず、女性を客体としてではなく主体として見ることを、どちらも学ばなければならない』という言葉に肯けるものも感じられました。 また、女性が置かれた状況以外については、「ハンナ・アーレント」の『内側からの支配』も興味深く、その内容は『全体主義があらわれるのは、人々が互いに接触を断たれたときであり、そこへ政治のムーブメントが起こり、なぜ国民は不幸なのかという物語を差しだしてみせる。やがてこれが大きな力を持ちはじめ、人を圧倒する語り口に誰も反対できなくなっていく』で、なぜ政治に無関心な人々が多いのかを考えるヒントにもなりそうです。 また、国籍のない状態が長く続いたアーレントは、「難民危機」についても考察しており、『前代未聞なのは、故郷を失ったことではなく、新たな故郷を見つけられないこと』や、『敵の手で強制収容所に入れられ、味方の手で難民収容所に入れられた人たち』の言葉には、今現在でも通用するように思われました。 更に、「エリザベス・アンスコム」が、広島と長崎に原爆を投下する決断を下した、当時のアメリカ大統領「ハリー・トルーマン」を支持する人たちに当惑したのがきっかけで書いた、著作『インテンション』は、日本人としても心に響くものを感じ、女性は支配される人生を送らざるをえないという問題に目を向けた「メアリ・ウルストンクラフト」の次女、「メアリー」が書いた小説が、『フランケンシュタイン』だというのも、何か宿命めいたものを感じさせられました。
Posted by
狭義の哲学ではなく、広く哲学を捉えた場合の女性哲学者の思想と行動。 無視、抑圧の歴史と真正面から戦いを挑む姿も胸を打つが、その思想が性別を問わず、示唆に富んでいることが大きな収穫だった。哲学だけでなく、様々な分野でこのような本が生まれることを願う。
Posted by
「女性哲学者の名前を言えますか?」と問われたら、1人も名前が出てこない。そういう人は結構いるのでは?哲学者という言葉は広い意味で使われているが、この本に出てくる女性哲学者の生き方には考えさせられる。女性の立場を考える上で、今読まれるべき本だろう。
Posted by
哲学史って、プラトンやソクラテスを始め、本当に男性の名前ばかりだよね。ここでは20人の女性哲学者が取り上げられている。”名前を知っている”レベルまで広げても、私が知っているのは5人かな?6人かな?そのうち2人は小説家としてしか知らず、哲学の功績に思い至らず。 アンスコムに興味が...
哲学史って、プラトンやソクラテスを始め、本当に男性の名前ばかりだよね。ここでは20人の女性哲学者が取り上げられている。”名前を知っている”レベルまで広げても、私が知っているのは5人かな?6人かな?そのうち2人は小説家としてしか知らず、哲学の功績に思い至らず。 アンスコムに興味が湧いた。
Posted by
これまで、いったいどれだけの才能が台所の流し台に、あるいは洗濯の水とともに流れていったことだろう。 訳者あとがきに本書を端的に表す1番のパンチラインが。
Posted by
- 1
- 2