声の在りか の商品レビュー
小学4年の息子のメッセージがわからない。 聞くことも出来ず、もやもやしている希和。 そんな息子が、知らない間に通う学童。 その民間学童は、たまたま同級生の弟が経営していたのだが、やがて希和も働き始める。 マイペースな経営者と通ってくる子どもたちや親と接するうちに自分が変わって...
小学4年の息子のメッセージがわからない。 聞くことも出来ず、もやもやしている希和。 そんな息子が、知らない間に通う学童。 その民間学童は、たまたま同級生の弟が経営していたのだが、やがて希和も働き始める。 マイペースな経営者と通ってくる子どもたちや親と接するうちに自分が変わっていくのに気づく。 なんの考えも持たずに声を出すこともせず、流されるように生活をする。 たぶん自分もそうかもしれない…と思ってしまう。 昔と違い、今は核家族がほとんどで、兄弟姉妹もいなく、もしかしたら母子家庭なり父子家庭も珍しくないかもしれない。 そんな中では、なかなかいろんな人の声を聞くこともなく「孤独」であり主張することも少ないだろう。 いろんな場所でいろんな人と関わっていくことの大切さを感じた。
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主人公の希和ほどではないにしろ、誰もが周囲の顔色を伺い、自分を押し殺してしまう事はあると思います。 そんな時、流されるのでなく自分と誠実に向き合う事が大切なのだと教えてくれる作品でした。
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「正しいことって、ほら」 「カドが喉に刺さりそうでね。飲み込みにくいと思いませんか。」 きっとこの瞬間、希和と自分が同じ想いを味わったんだろうと思う。 〝ほの暗い支配欲求〟や 「でも子供自身が何かを感じて、自分で切り抜ける力を持っていると信じることも同じくらい大事なんじゃないですかね。」 も心に残る。
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希和さん強いな… 自分の心をごまかさないと決めたことで自由になれた。 この後に訪れるコロナ禍でも他人の噂話に振り回されることもなく、自分らしくいられるんだろうな。
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言いたいことも言えないこんな世の中じゃ...毒。主人公の主婦、希和は事なかれ主義。波風立たぬよう言いたい事をぐっと飲みこみ、家族やママ友をやり過ごし、ほんのり嘘でコーティングしてSNSを発信する。しかし「私の本当の声を失ってしまう」と焦る希和は自分を変えたいと思う。何だかねぇ。夫...
言いたいことも言えないこんな世の中じゃ...毒。主人公の主婦、希和は事なかれ主義。波風立たぬよう言いたい事をぐっと飲みこみ、家族やママ友をやり過ごし、ほんのり嘘でコーティングしてSNSを発信する。しかし「私の本当の声を失ってしまう」と焦る希和は自分を変えたいと思う。何だかねぇ。夫にまでも遠慮するなんて。やだねったら、やだねぇ。私がどちらかと言えば言いたい事は言える方なのであまり共感できず。母親の立場の人なら学童やママ友もくだりも馴染みがあってもっと面白く読めたのかも。ともあれ夫とママ友が相当問題あり。
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家族との距離感。何をどう伝えるかの難しさを、読んでいてじわじわと、他人事じゃない感が増しました。ずっと遠慮して過ごすのは、良くないだろうけど、怖いよね。きっと。一生かけてやるチャレンジの一つなんだろうな。 2021/9/22読了
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「落としたら拾えばいい」もう、この一言に尽きる。 なんで、子供が小さい頃 自分はあんなに余裕がなかったのだろう 読んでいる間中、後悔と自責でもだえた。 子供に対して生まれるネガティブな感情。 無意識に見ないようにしてきたものを 目の前に突き付けられたようで 苦しくもなったが、...
「落としたら拾えばいい」もう、この一言に尽きる。 なんで、子供が小さい頃 自分はあんなに余裕がなかったのだろう 読んでいる間中、後悔と自責でもだえた。 子供に対して生まれるネガティブな感情。 無意識に見ないようにしてきたものを 目の前に突き付けられたようで 苦しくもなったが、 子供に対する心持も少し変わり ありがたかった。
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イライラした。 阿呆な夫がずっと見え隠れしている。 それを甘やかし、指摘することから逃げる妻にも。 これから、変わっていくらしい。その変化こそ、読みたかった。
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自分の言葉が無いことに気づいて愕然とした。 浮かんだ考えや言葉を上手くまとめられなくて、結局伝えられなかった。 相手の反応を気にして言葉にすること自体を諦めた。 そんな苦い思いをしてきた人の気持ちに、そっと寄り添ってくれる本だと思った。 希和の心理描写には共感しかない。 読んでい...
自分の言葉が無いことに気づいて愕然とした。 浮かんだ考えや言葉を上手くまとめられなくて、結局伝えられなかった。 相手の反応を気にして言葉にすること自体を諦めた。 そんな苦い思いをしてきた人の気持ちに、そっと寄り添ってくれる本だと思った。 希和の心理描写には共感しかない。 読んでいて本当に息が詰まりそうだった。 自身の声を取り戻そうと奮起する前と後では、だいぶ印象が変わる作品でもある。
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ちょっとお久しぶりの寺地さん、7冊目になります。 小学四年生の息子を持つ主婦の希和が民間の学童「アフタースクール鐘」でパートとして働き始め、いつのまにか自分の考えを持たない人間になっていたことに気づき、自分自身の言葉を取り戻していく…というお話です。 家事育児に非協力的な夫や...
ちょっとお久しぶりの寺地さん、7冊目になります。 小学四年生の息子を持つ主婦の希和が民間の学童「アフタースクール鐘」でパートとして働き始め、いつのまにか自分の考えを持たない人間になっていたことに気づき、自分自身の言葉を取り戻していく…というお話です。 家事育児に非協力的な夫やママ友との関係…言っても無駄と諦めてしまったり、波風立たせたくなくて何も言わない、もしくは周りの顔色を伺いつつ無難なことだけ発言する…特に子育て世代の女性には共感する部分がいっぱいあるんじゃないでしょうか。 「誰かになにか想定外のことを言われた時、とっさに言葉を返すことができない。何日も考えてようやく「ああ言ってやればよかった」という言葉を見つけ出す。見つけた頃には、相手はもう自分が言ったことを忘れている」(95頁) 特にこの部分、もう共感しかありません。会話にも反射神経ってありますよね。私は残念ながらそれがかなり鈍いようです。答えられないだけならまだしも、焦って全然とんちんかんなことを答えてしまったり、自分でも思いもよらないことを口走ってしまったり…しょっちゅう自己嫌悪に陥ってます。 簡単には変わらない、けれど「こうなりたい」と意識することで、少しずつだけれどきっと変わっていける、そんな希望の持てるお話でした。 最後のスキップ勝負、一番楽しそうな人が勝ちって…素敵すぎです。 *** 「子どもから親に向けられる愛のほうがだんぜん勝っていて、それを使って親は子どもを簡単に支配することができてしまう」(98頁) 「子どもに関わる大人は、きっと多い方がいい。人数ではなく人間の種類が、多い方がいい。人はそれぞれに違うのだと、子どものうちから知ることができる。違うから尊重し合わなければならないのだと」(180頁) 「子どもをひとりの人間として尊重するということのむずしさを、何度も何度も手のひらに載せて、たしかめてきた十年だった」(194頁) 「でも親の手から差し出した瞬間に、それはもう自由ではなくなってしまう。晴基自身が戦って獲得しなければ意味がない」(219頁)
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