まとまらない言葉を生きる の商品レビュー
「うまく言葉でまとめられないものの尊さ」 んーーーーー。 著者がまえがきで「わかりやすくはっきりさせると伝えられることの総和が目減りする」ため、シナリオなど無視したひとつひとつの積み重ねをした本であり、構成なんてない、効率よくない手取り早くない何かを得たいという人には不向きだ...
「うまく言葉でまとめられないものの尊さ」 んーーーーー。 著者がまえがきで「わかりやすくはっきりさせると伝えられることの総和が目減りする」ため、シナリオなど無視したひとつひとつの積み重ねをした本であり、構成なんてない、効率よくない手取り早くない何かを得たいという人には不向きだとしている。 【この本が向いてる人】 相当レベルで成熟した人 物事に形や理由や合理性を求めない人 優しい人 自分が調子に乗ってる時も相手が弱ってる時もいつも正しいことをが出来る人 まともな人 【この本が向いてない人】 ワタシ。 「障害者」を扱うのは全然いいんだけどそもそも論として80億人全員障害者ですよね? 「自己肯定感が低い」と自認する筆者が「◯◯のくせに」という弱者に向けられた視線について語りますが、自分のことを「役立たず」と思い込む人は他人のことをより深く「役立たず」がどうか判断しませんかね。それとも自分だけは能力成果主義って物差しをあてるってこと?それって謙虚って一言で説明できますか。 とか思っちゃう。なぜってワタシが頭が悪い上にすぐ答えを教えてもらおうとする狭量な愚か者だから。 冒頭から「最近の言葉の壊れ」(言葉というよりは使い手の軽さ?)も論じられてましたが、今も昔も悪意に満ちた世界じゃないですかね。生き物はカンブリア期からの数億年、殺し合いを繰り返してきたわけで。 これはからかいや嫌味ではなく、私も両親も兄弟も友人も会社同僚もみんなデジタルに性格悪いんですよ。自己中じゃない人、差別的じゃない人って本気で見たことないんですよね。(もしある人のことをそう感じたなら、その人が偽善か、もしくは私がその人を知らないだけか)解決法を考えた本でないことは分かりますし、冒頭の「長期政権」に関しては私も頭を抱えるばかりではありますが、現代人としての過去30万年ずっと半分生存している人達(女性)を差別しつづけ、たった1日ですらも男と同等の権利を認めたことがない我々人間(というか男)、大量殺戮を繰り返す人間。優しさなんて持ったことはないんです。 「こうだと思うなぁ」が本の趣旨とはいえ、全ての利他行動は利己行動との仮定に基けば、自分自身の利益に繋がるように社会システムを変えるしかないんじゃないですかね。(教育で少しはマシにはなるかもですが。) 僕には砂を噛むような本だったけど、だからといって星1はつけられない。 僕が死ぬまで(あと少しだけど)手に入らない優しさを持つことが出来た幸運な方にオススメ。
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この本の内容からして、点を付けるという行為が相応しくないように思われるので星はあえて付けない。考えさせられる、みたいな言葉も合わないような気がする。 表面的な言葉や断定的な言葉ばかりが増えるのはその方が楽だからだろう。誰でも自分のことで手一杯。難しいことなんて考える手間も時間も...
この本の内容からして、点を付けるという行為が相応しくないように思われるので星はあえて付けない。考えさせられる、みたいな言葉も合わないような気がする。 表面的な言葉や断定的な言葉ばかりが増えるのはその方が楽だからだろう。誰でも自分のことで手一杯。難しいことなんて考える手間も時間もかけたくない。まとまらない言葉は面倒くさい。色んなことが切り捨てられ、問題をとりあえず片付けたような気になるためだけに使われる言葉が流通する。そうした現状に警鐘を鳴らすのがこの本だ。普段目を背けていることを改めて考え直すよう、穏やかに、かつ真摯に語りかけてくる。 読後すっきりはしない。だが、だからこそ信じられる本だと思う。大事なことは得てして白黒付けることはできない。場合によっては悩み続けることでしかバランスが取れないこともある。安易な結論なんてない方がいい。
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誰かを傷つける言葉の 引き金が軽くなった現代に 刺さる内容。 著者が出会った障害者などの 言葉がとても重く響く 安易な自己責任論が どういう未来を子どもたちに 残すのかみんなで考える必要がある
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感想さえもまとまらない 終話がとてもいい 荒井さんの「自分の言葉」がいちばんいい まとまらない日々が愛おしくなる 生きるのに遠慮はいらないんだ 自分以外の誰かに対して硬直した像を押し付けることと、自分自身を堅苦しい像に閉じ込めることは表裏一体 そもそもその像って正しいの? ...
感想さえもまとまらない 終話がとてもいい 荒井さんの「自分の言葉」がいちばんいい まとまらない日々が愛おしくなる 生きるのに遠慮はいらないんだ 自分以外の誰かに対して硬直した像を押し付けることと、自分自身を堅苦しい像に閉じ込めることは表裏一体 そもそもその像って正しいの? 「自己責任」と言い捨てることで、他人の痛みへの想像力を削いでいく 速く慌ただしくなった社会で、膨大な出来事はどこか遠くで起きたことになる 人間の在り方とかを考える時間も取れてない 流れてしまう毎日 黙ることで逃げる 近くの人も思いやる余裕のある余裕がない うわべだけの言葉 本当に大切なことは何か? 大切な人を思いやること、思って思って、不器用でいいから、言葉と行動で励ませる人になりたい
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タイトルとまえがきから、 政治家に顕著に見られる「日本語の乱れ」について 掘り下げる本なのかと思って読み始めた。 違った。 障害者の声、ハンセン病患者の声、 届かない弱者の声を取り上げた本だった。 といってもテーマが一貫しているわけではない。 少数派が声をあげることに意味がある...
タイトルとまえがきから、 政治家に顕著に見られる「日本語の乱れ」について 掘り下げる本なのかと思って読み始めた。 違った。 障害者の声、ハンセン病患者の声、 届かない弱者の声を取り上げた本だった。 といってもテーマが一貫しているわけではない。 少数派が声をあげることに意味があることを訴える部分、 これを読んだときは、ひとつ前に読んだトランスジェンダーに 共通することから、本が本を呼んだのかなあと思ったり。 でもそればかりではなかった。 「川の字に寝るって言うんだね」とぽつりとつぶやいた方から見える らい病患者に対する親戚の冷たさ。いないことにするから、と。 相模原事件で私が持った違和感はこの親戚と共通するのではないか。 などなど、思わぬ方向に話が進み、 それはそれで考えさせられるものではあったが、 。。。これが「まとまらない」だったのかと、 なんだかもやもやする。 前の本と合わせ、 マイノリティが声をあげていい、言葉を発していい時代になっている、 それだけは確かだし、大事にしたい。 それで締めくくることにしよう。
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まえがきの勢いが、勢いはあるけれど読み易く、述べていることにも共感できたので楽しみに読み進めていたが、途中から筆者が主としている障害者運動の話ばかりになり、その活動の方々の紹介の様な視野が狭まった印象となってしまったのが残念だった 。 それを踏まえていま筆者が考えているところだけ...
まえがきの勢いが、勢いはあるけれど読み易く、述べていることにも共感できたので楽しみに読み進めていたが、途中から筆者が主としている障害者運動の話ばかりになり、その活動の方々の紹介の様な視野が狭まった印象となってしまったのが残念だった 。 それを踏まえていま筆者が考えているところだけを筆者の言葉で綴ってくれたらそれでよいと思った 。想像する人となりや話し方に好感をもてたから尚更だった 。
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文学者が書く言葉についての話。 とにかく文章が美しくすらすら読める。著者がいろいろ感じて思うところがあるのだが、ちょうどいい言葉が見つからずまとまらない。その感じががんがん伝わってくるし大事なことだし感想を書こうと思うが簡単には言葉にできない。 今まで考えたことのない問題をつきつ...
文学者が書く言葉についての話。 とにかく文章が美しくすらすら読める。著者がいろいろ感じて思うところがあるのだが、ちょうどいい言葉が見つからずまとまらない。その感じががんがん伝わってくるし大事なことだし感想を書こうと思うが簡単には言葉にできない。 今まで考えたことのない問題をつきつけられ心が揺さぶられる。他人の痛みへの想像力をなくしてはいけない。
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言葉が壊されている、まえがきで得心する。 SNS等言葉に触れる機会は増えているのにどれも空虚だと感じていた。 どんな境遇の人も排除されることなく安心して生きられる世の中にする為、今こそ立ち止まり考えなければならない。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
正直に言うと、序盤は作者の言い方というか言葉に「ん?」と感じることがあって、うまく言えないけど、「~縁がないという方のために、説明しておこう」とか。あくまで個人的な感じ方なので、いい悪いを言ってるのではなく自分はそう感じたという正直な感想。 ただ、後半はとても心に刺さる詩や言葉を紹介されていて、花田春兆さんの言葉で「評価されようと思うなよ。~」とかなるほどな~と思いました。
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言葉について、深く丁寧に考察されています。 安易にまとめない。やさしく言い換えない。 発せられた言葉そのものを尊重し、大切に扱っていく。 個々のエピソードに心揺さぶられ、まとまらない言葉の愛おしさを想いました。 最後に述べられている、「要約」することと、「一端を示す」ことの...
言葉について、深く丁寧に考察されています。 安易にまとめない。やさしく言い換えない。 発せられた言葉そのものを尊重し、大切に扱っていく。 個々のエピソードに心揺さぶられ、まとまらない言葉の愛おしさを想いました。 最後に述べられている、「要約」することと、「一端を示す」ことの違いについての考察がまた、心に響きました。 言葉を扱っていく上で、何度も何度も振り返りたくなる本でした。
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