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平成くん、さようなら の商品レビュー

3.7

56件のお客様レビュー

  1. 5つ

    9

  2. 4つ

    20

  3. 3つ

    18

  4. 2つ

    4

  5. 1つ

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2023/08/10

平成という名の、ヒトナリ君と愛ちゃんの主に2人の物語。彼はなぜか平成が終わるとともに自分も終えようとする。 彼の必要最低限で理論的な性格と、彼女の感情的でまっすぐな性格がパズルの隣同士を感じさせる。 現代を表したかのような小説であるとともに、近未来さを感じさせる小説だった。

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2023/05/03
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平成くんを理解したい、でも納得したくない。安楽死という選択肢があるということは理解できても、やっぱり並んで歩きたいと思ってしまう。スマートスピーカーのコンセントを抜いた時の愛ちゃんの気持ちを考えると切ない。そしてセックス描写で泣いたのははじめてだった。注釈があることでよりリアルな出来事のような感じた。

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2023/04/18
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

とても固有名詞が多くて、変にリアリティのある世界観での安楽死合法の世界線。人との関わりで自分が形成されていくんだなと感じた本でした。私個人としては、平成くんはきっと安楽死を選択するんだろうなと思った。きっとそれは愛ちゃんがスマートスピーカーのコンセントを抜いたときと平成くんが安楽死を選択したのが同じくらいのタイミングなのかな。きっとスマートスピーカーの、 「いいよ。愛ちゃんの人生なんだから」 は、平成くんのリアルタイムの言葉なんだろうなって。

Posted byブクログ

2023/03/08

卒業式があったり、映画に夢中になっていたり… 気が付けばレビューがすっかり遅くなってしまいました。 『流れる季節の真ん中で、ふと日の長さを感じます』 3月9日ですね。 あの子も、安楽死の合法化を夢見ていた。 いつも難しい哲学書を読んでいて、わたしとはいつも、本の話をしていた。 ...

卒業式があったり、映画に夢中になっていたり… 気が付けばレビューがすっかり遅くなってしまいました。 『流れる季節の真ん中で、ふと日の長さを感じます』 3月9日ですね。 あの子も、安楽死の合法化を夢見ていた。 いつも難しい哲学書を読んでいて、わたしとはいつも、本の話をしていた。 そんな彼に、わたしはまだ読んだこともないシオランを勧めた。 読んだこともない本を勧めるなんて、無責任だっただろうか。 彼は独自の理論を展開するから、所謂「普通の」世界にいる子どもからは、遠巻きに見られがちだった。 いつも死のことを考えている彼の将来が、進路が、心配だった。 でも、本人も思ってなかったくらいレベルの高い、記念受験だった大学に受かり、あからさまに表情がよくなった。 そこには、生きることへの絶望ではなく、希望があった。 あれから一年と少し。 彼は今、何を考えているのだろう。 今でもまだ、安楽死を望んでいるのだろうか。 ここに描かれているのは、「安楽死」が合法化された世界。 しかし、だれでも安楽死を選択できるわけではなく、カウンセラーや医師との面接等、条件が必要だ。 物語の中では、日本は世界で最も安楽死をしやすい国として描かれている。 そして、実際にある作品や事件(秋葉原通り魔事件など)を描きながら、物語の世界観が作り上げられていく。 都会の街並み、最先端のサービス、高価なブランド服、豪華な外食、テレビ出演、執筆活動… こんなの、わたしはどこかで狂いそう。 主人公の恋人・平成(ひとなり)くんは、そういう世界で、淡々と暮らしている。 元号が「平成」になった日に産まれたことで、「平成(ひとなり)」と名付けられた。 彼がある日突然、安楽死を考えていると、恋人に打ち明ける。 恋人は帯にある言葉を尋ねる:「ねぇ平成くん、なんで死にたいと思ったの?」 とても失礼な言い草だとわかってはいるけれど、なぜこの作品が芥川賞候補になったのか、少し謎が残る。 最近『この世の喜びよ』を読んだせいか、描写に幅の少なさ(=詳細に描き過ぎている)を感じてしまう。 現実世界に一段付け加えるような形で作り上げた世界なので、とても分かりやすく伝わってくる部分もあれば、それが逆に大衆文学のようになってしまって、どうにも芥川賞候補としてはチャラすぎるような印象がぬぐえない。 たぶん、この作品においては、「描写を減らして想像を広げてゆく」楽しみ方ではなく、描写を多くして現代を生きる人たちをわかりやすく描いた上で、一番根っこにある「生きるとは、死ぬとは」という、根源的な部分を問うているのだと思う。 村田沙耶香さんの芥川賞受賞作品『コンビニ人間』も同様に読みやすく、そこには「普通とは」という根源的な問いがずっと横たわっていた。 それと同じような感覚なのかもしれない。 わたしは最後まで読んだけれど、やはり「安楽死」というものに全面的に賛成はできなかった。 だけど、たとえば大切な人が病気で、どんな治療を施したとしてもあと数時間とか数日しか生きられず、自分の目の前で苦しんでいて、その苦しみが死ぬまで続くものだとしたら。 治療が確立していない病気で、心身ともに、自分だけでなく周りも巻き込みながら、日常生活を送り続けないといけないとしたら。 わたしは専門家としては、彼らを案じ、支え、生きてほしいと願う。 でも、それが自分のこととなったら、そのときどういう判断をするだろう。 大切な人が安らかに亡くなってほしいと思う瞬間があると思う。 自分もこの人も、一緒に死んだら一緒に楽になれる、と思う瞬間があると思う。 「安楽死」は、その時自分の味方になってくれる手段の一つにはなってくれるだろう。 だけど。 平成くんの「死にたい」理由はちょっと別のところにある。 わたしはそれを、100%は理解できてない、というのが正直なところ。 でも、今の時代の「死にたい」ってやっぱり、究極の「生きたい助けて」だと思う。 ずっと頭の中で”自分ならどうやって平成くんを説得するか”を考えてしまってあんまり集中できずに読了。 あと、読みながらどうしても平成くんが古市さんの実写となってしまったことも集中できず… 用語解説が付いているのを知ったのは最後、物語を読み終えてからだった。 もっと事前に知りたかったけれど、読んだところで自分の教養のなさにぶち当たるだけだった。

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2023/02/24
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久しぶりに大当たりを引いた。 安楽死というテーマが世の中の議題にあがり、肯定派の意見を聞く度に不安になってたことがドンピシャで描かれていたり、死にたいと言われたときに感じたモヤモヤした気持ちとかが作中にも出てきたから色々と重なって感情移入がしやすかった。 死にたい人と死にかけの猫とどちらにも(死んで欲しくない)と願い自己中心的に死に抗う主人公。誰も間違ってなくて正しくもなくて、どうしもうもなく胸が締め付けられた。 また読むと誓った。

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2022/10/30

私は死生観について他の人と話すと、たいてい噛み合わなくなるので、なるべく話さないようにしている。平成くんと愛ちゃんも、ミライが死ぬ時どうするかという事一つとっても、考えが違っていて、ピッタリくることはない。正解がない(分からない)ことなので、難しいよね。安楽死についても、様々な意...

私は死生観について他の人と話すと、たいてい噛み合わなくなるので、なるべく話さないようにしている。平成くんと愛ちゃんも、ミライが死ぬ時どうするかという事一つとっても、考えが違っていて、ピッタリくることはない。正解がない(分からない)ことなので、難しいよね。安楽死についても、様々な意見があるの分かるし、じゃあどうしたらいいのかって、何とも言えないなぁ〜。ただ、平成くんと愛ちゃんの幸せがずっと続くといいなぁと願ってた☆

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2022/11/16

Uber、アンダーズ東京、マークジェイコブス、フィオレンティーナのケーキ、性的な描写も出てくるものも(お金持ちではあるが)意図的に執拗に上流の平成らしい価値観を書いているように思う。リメンバーミーや君の名は。がサラッと会話の中で前提として出てくるあたりがリアリティがある。一方で安...

Uber、アンダーズ東京、マークジェイコブス、フィオレンティーナのケーキ、性的な描写も出てくるものも(お金持ちではあるが)意図的に執拗に上流の平成らしい価値観を書いているように思う。リメンバーミーや君の名は。がサラッと会話の中で前提として出てくるあたりがリアリティがある。一方で安楽死が合法化された未来、平成くんの最後などが日本で実現可能になりそうな科学技術でSFチックで、平成のリアリティさとうまく融合して書いているなと思った。よくも悪くも著者をテレビでよく知っているからわざとらしさが目についてしまうけど、現代社会批判に偏ることなく、口先では理路整然と言ってても結局は自分の五感で感覚的に生きてる素直でずぼらな平成くんの描かれ方よくて、読後感も悪くない、読んでよかったなと思った。

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2022/09/24

メディアによく出ている著者と主人公が完全に重なり、小説なのにノンフィクションのように感じた。未来の日本の安楽死を見ているかのようだった。

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2022/08/18

平成くんの、どこまでも論理的で聡明なのに垣間見える人間らしさとか不器用なところがすごくもどかしいと同時に愛おしかった 人は図らずも、誰かが生きていた記憶を背負ってしまうことがある。本当にそうだと思った そして安楽死については、少しでも華のあるうちに穏やかに逝きたいという気持ちはす...

平成くんの、どこまでも論理的で聡明なのに垣間見える人間らしさとか不器用なところがすごくもどかしいと同時に愛おしかった 人は図らずも、誰かが生きていた記憶を背負ってしまうことがある。本当にそうだと思った そして安楽死については、少しでも華のあるうちに穏やかに逝きたいという気持ちはすごく分かるけれどそれでは優生思想につながってしまうし、やっぱり難しいなと思った フィクションとノンフィクションの境が時々分からなくなったけどその曖昧さがまた良かったのかな

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2022/08/09

芥川賞候補作、ということで。 そうではないだろうけど結構ご本人とリンクする部分が多く感じられて、いちいち鼻につく(悪い意味では無く) 若きブルジョア層のスマートな生活感の無い日常に沿って進む安楽死制度というテーマは、割とストーリーには馴染んでいたように思うが、自分の生き死にを...

芥川賞候補作、ということで。 そうではないだろうけど結構ご本人とリンクする部分が多く感じられて、いちいち鼻につく(悪い意味では無く) 若きブルジョア層のスマートな生活感の無い日常に沿って進む安楽死制度というテーマは、割とストーリーには馴染んでいたように思うが、自分の生き死にを他人事のように捉えて履行する・しないってやりとりは、今必死に生きる人たちを思うと、所詮他愛もない絵空事・戯言の類だろうなと思う。 今後起こるだろう重要なテーマに踏み込んでいる気がするものの、どうにも登場人物たちに良い印象が持てず、終始「だからどうしたっての」というような投げやりな感想ばかりわいた(悪い意味では無く!) いかにも、芥川賞の候補になりそうな雰囲気だなと思った。

Posted byブクログ