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本心 の商品レビュー

4

219件のお客様レビュー

  1. 5つ

    56

  2. 4つ

    95

  3. 3つ

    46

  4. 2つ

    8

  5. 1つ

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2023/02/01

一行目:一度しか見られないものは、貴重だ。 「ある男」が面白かったので。 読みながら、「私とは何か」も読んで面白かったことを思い出した。 共感できるところ、できないところそれぞれあったが、読了した後に次の本に手が伸びず、しばらくぼうっとしたり、気になるところを読み返したりして...

一行目:一度しか見られないものは、貴重だ。 「ある男」が面白かったので。 読みながら、「私とは何か」も読んで面白かったことを思い出した。 共感できるところ、できないところそれぞれあったが、読了した後に次の本に手が伸びず、しばらくぼうっとしたり、気になるところを読み返したりしていた。 特に付箋を貼ったのは、孤独について書かれた部分。 「今、僕の人生を思って、心が掻き乱されるような人間は一人もいない。その事実は、僕のこの世界そのものに対する愛着を削ぎ続けてきた。」 「「誰からも、何も求められないのは、救わないのと同じくらい、孤独です。」」 「〜、自分の考えを口に出来ることの喜びを改めて噛み締めた。〜生きている人間で、そういう相手は、今はもう三好だけだった。」 これまで、孤独についての表現が素晴らしいのは、北村薫さんの「ひとがた流し」だと思っていたけど、こちらも大変素晴らしかった。

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2023/01/29

舞台は近未来の日本。 自由死が認められた世界で、結局死んでしまったお母さんを作るところから始まります。 が、最初と最後で全く違う作品を読んでる気分だった..。 そして日々地味に感じるこのモヤモヤをこんな風に分かりやすく言語化できるの、やっぱり凄い.. 最近考えてることとリンクす...

舞台は近未来の日本。 自由死が認められた世界で、結局死んでしまったお母さんを作るところから始まります。 が、最初と最後で全く違う作品を読んでる気分だった..。 そして日々地味に感じるこのモヤモヤをこんな風に分かりやすく言語化できるの、やっぱり凄い.. 最近考えてることとリンクすることが本当に多い作品だった。 私はこのお母さんの様に生きたいんだ! とても励まされた!!!

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2023/01/28

「ある男」がとても面白かったので手に取った、平野啓一郎氏の小説。部隊は2040年ころの近未来である。 最初のところは設定などとっつきにくく、読むのをやめようかと思ったが、最後まで読んで本当に良かった。 「自由死」(自分で望む安楽死に近いニュアンス)を希望していた主人公の母は、事故...

「ある男」がとても面白かったので手に取った、平野啓一郎氏の小説。部隊は2040年ころの近未来である。 最初のところは設定などとっつきにくく、読むのをやめようかと思ったが、最後まで読んで本当に良かった。 「自由死」(自分で望む安楽死に近いニュアンス)を希望していた主人公の母は、事故で死んでしまう。息子はどうして自由死を望んだのか理解したくて、母のヴァーチャルフィギュアを作り、生前の母に似せていく。母一人子一人で育った主人公は母の死後失意の日々を送るが、母の同僚だった女性や、母が読んでいた小説の作家や、仕事を通じて知り合ったアバターデザイナーと出会い、自分が生まれてきた意味、母の人生について考える。 社会の不公平さなど政治的なテーマも暗示されるが、ストーリー全体に一貫するのは「生きるとはどういうことか」という哲学的な主題である。ヴァーチャルフィギュアを作ったものの、それは母ではありえず、自分の父が誰なのかを母から聞くことも、母の本心を知ることも結局できない。 平野氏の心理描写はとても繊細で微妙で、すごくよくわかるのだが、よくそれをこんな風に表現できるなと感心しながら読んだ。とても興味深かった。彼の著作を全部読みたいと思った。

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2023/01/26

安楽死、貧富の格差、VRを主な題材として未来の日本が描かれている。このテーマはそりゃ面白いよね。 ただ今より衰廃した希望のない日本が描かれているので少し暗い気持ちにはなるかな。 個人的には安楽死賛成派なので将来死を自分で選ぶことがこんな風に認めてもらえたら良いなと思う。一方で本書...

安楽死、貧富の格差、VRを主な題材として未来の日本が描かれている。このテーマはそりゃ面白いよね。 ただ今より衰廃した希望のない日本が描かれているので少し暗い気持ちにはなるかな。 個人的には安楽死賛成派なので将来死を自分で選ぶことがこんな風に認めてもらえたら良いなと思う。一方で本書にもあったように、その議論を社会的弱者に押し付けることだけはしてはいけない。 ✏人間が他者に生命を感じ、愛着を覚えるのは、何よりもその「自律性」に於いてだ。 ✏結局のところ、人間にとって、真に重要な哲学的な問題は、なぜ、ある人は富裕な家に生まれ、別のある人は貧しい家に生まれるか、という、この不合理に尽きるだろう。 ✏〝自由死〟には、登録医による長期的な診察と認可が必要だというのは、法制化にあたって、オランダの「死の医療化」を模した通りである。しかし、「永続的な耐え難い苦痛」や「その合理的な解決策が他にない」といった本来の否定的な要件のみならず、自己決定権に基づく「人生に対する十全の満足感」や「納得」といった肯定的な要件が独自に加えられた結果、「生命終結と自死介助」の医師への要請は、ほとんど無条件に近いものとなっている。それを日本では、〝自由死〟などと呼称しているのだった。 ✏誰もが、なにがしかの欠落を、それと「実質的に同じ」もので埋め合わせながら生きている。その時にどうして、それはニセモノなんだ、などと傲慢にも言うべきだろうか。 ✏他者と死を分かち合うというのは、臨終に立ち会うだけじゃない。時間を掛けて、一緒に話し合う時間を持つ、ということです。 ✏最愛の人の他者性と向き合うあなたの人間としての誠実さを、僕は信じます。

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2023/01/23

初めて読んだ作家さんでした。 全体的にあっさりな温度低めの中に、独特な言葉を散りばめてるなという感じ。 テーマが色々含まれすぎていて、私の感覚ではなかなか追いつけなかった。 AIあたりの描写はリアルで細かいのだけど、死などの概念や心情の部分がどうもあっさりとしてる印象で、あまり...

初めて読んだ作家さんでした。 全体的にあっさりな温度低めの中に、独特な言葉を散りばめてるなという感じ。 テーマが色々含まれすぎていて、私の感覚ではなかなか追いつけなかった。 AIあたりの描写はリアルで細かいのだけど、死などの概念や心情の部分がどうもあっさりとしてる印象で、あまり刺さってこなかったです。 読み手の感性の問題か…。

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2023/01/10

近未来SF。 なのに妙にリアリティがあって続きが気になり一気に読んだ。 人にはいろいろな方向がある。自分から見ても他者から見ても。 おもしろかったので次は「決壊」にいきます。

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2022/12/27
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

うーん 難しくて・・・ でも、過去でもなく、現在だけでもなく、未来も含めて、生きていく、 生きる、人と関わりながら自分を見つめ直して人生を構築していく、誠実であること、 やっぱ、難しい。 でも、人って一面的ではないよなあとちょっと納得。 そうだなあ、イフィーの存在あたりからちょっと無理があったかなあって気はする。そんなにうまくいくかい?

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2022/12/15

石川咲也はお母さんを事故でなくしてから、疑問に悩まされる。死ぬ直前にお母さんは「自由死」を望んでいたようである。けれど咲也にはその理由が全く理解できない。それで彼女の本心を探りたいので、お母さんそっくりのVF(バーチャルフィギュア)を作ってもらう。けれど無駄ということに気づく。

Posted byブクログ

2022/12/11

近未来を先取りしたような、一方で社会に存在する本質な問題にスポットをあてて主人公に語らせる奥の深いストーリー。人物の心理的描写、風景画的なシーンの移り変わりも筆者ならではの卓越さを存分に織り交ぜられた秀作。

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2022/12/06

「わたしも宇宙の一部だって、感じ取るの。わたしと宇宙との間には区別がなくて、宇宙そのものとして死後も存在し続けるって。」 「最愛の人の他者性と向き合うあなたの人間としての誠実さを、僕は信じます」 死ぬべきか、死なないべきか 死の一瞬前はどういう自分でいたいか こういうことを考...

「わたしも宇宙の一部だって、感じ取るの。わたしと宇宙との間には区別がなくて、宇宙そのものとして死後も存在し続けるって。」 「最愛の人の他者性と向き合うあなたの人間としての誠実さを、僕は信じます」 死ぬべきか、死なないべきか 死の一瞬前はどういう自分でいたいか こういうことを考えるってことが生きることなんじゃないかと思った。 「最愛の人の死にどう向き合うか」だけではなく「自分はどう生きたいか」ということについても考えさせられた作品だった。 そして、みんなにそれを考える権利があるということについてもっと身近なものとして考えなければいけないと思った。

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