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本心 の商品レビュー

3.9

225件のお客様レビュー

  1. 5つ

    57

  2. 4つ

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  3. 3つ

    47

  4. 2つ

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2024/11/08

これは、自分の話しなんだわ。 恥ずかしながら初めての平野啓一郎さん、 読後の余韻が深かった。 親のことを好きかどうか、 親子の関係がどうかなんて人それぞれ、 普段は意識する事もない。 でも失った時、または失いそうになった時、 『このいなくなった人は、ずっと自分を愛してくれてた人...

これは、自分の話しなんだわ。 恥ずかしながら初めての平野啓一郎さん、 読後の余韻が深かった。 親のことを好きかどうか、 親子の関係がどうかなんて人それぞれ、 普段は意識する事もない。 でも失った時、または失いそうになった時、 『このいなくなった人は、ずっと自分を愛してくれてた人だったんだ』と気づくんだな。 そしてその人は人生の最期に何を思って亡くなっていったのかを知りたくなる。 それは誰にでも起こりうる。 AIやAR・VF等はテーマとしては苦手で、 ずっと本棚に置きっぱなしにしてしまってたけど、 読み進むにつれてそれ自体がこの本の本質ではない事に気づく。

Posted byブクログ

2024/11/04

まもなく(2024年11月)に池松壮亮主演の映画が公開されるので読んでみる。平野さんの作品を読むのは3冊目だけど、これはまた難解。私には合わんわ、残念

Posted byブクログ

2024/10/21
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

241021*読了 終わり方は、そんな感じなのか…となってしまったけれど、展開としてはとても惹きこまれた小説だった。 発想がとても平野さんらしくて好き。 平野さんらしさとは?なんだけれど、SFチックであってもその根底は哲学であるところがまさしく平野さん。 2024年の今よりも未来の出来事。 特に日本の国力の低下、今以上に貧困層が増えるであろうことがリアルで恐れをなした。 テクノロジーが発達し、死者をVR空間で再現できるようになった時代。 そして、人が死期を決められる「自由死」が法律で認められている時代。 母を亡くした主人公、朔也は母をAI技術でVR空間に蘇らせる。 私もそんな時代になったならば、愛せる人を蘇らせようとするのだろうか。 朔也の仕事がまず未来的で、リアルアバターとして、依頼者ができないことを現実世界で代わりに行う。 そんな仕事も本当に近い将来できそう。 なんでも屋は「ランチ酒」、代わりに旅をするのは「旅屋おかえり」を想起させるけれどそれよりも未来っぽさがあるし、依頼が手厳しい。それが現実なのだろう。 エフィの存在もなかなかのもので、その出会いがなければ朔也も同居していた三好さんも、こんな風に行動をせず、変わらぬ毎日を送っていたことと思う。 大半の人はそんな人生を送るのだろうし。 エフィの登場は小説的だと言えるけれども。 遅かれ早かれ解消される同居ではあったと思う。 結局、母との暮らしから、リアルに出会った人たちとの交流が増え、母から離れていくところが感慨深かった。 人はこうして喪失を乗り越えていくのだろうか。 アバターの人格と感じられる点にも、違和感ではなく共感を覚えた。 また、母の隠された過去というのも、誰にもあって当然と思いつつ、私の両親にも秘めた部分はあるのだろうかなんて想像しつつ。 ここも秘められている匂わせが強かったので、結局そんな感じなのか…と確かに衝撃は受けつつも、すとんと腑に落ちた。 ここに出てくる誰もが幸せになれるのだろうか。この先続く人生において、幸せを感じられるのだろうか。 決して明るさだけがあるわけではなくて、不安の残る終わり方だったと思う。 本当にこれでよかったのだろうか。

Posted byブクログ

2024/10/10

母親が突然『自由死』をしたいと言ってきた。息子の「僕」は猛反対するも、結局事故で母は無くなってしまう。 母を失った寂しさと、彼女の「自由死への本心」を探すため、「僕」は仮想空間に母を作り出す『VF』を購入するところから物語は始まります。 母の本心がわからないまま、彼女の生前の友人...

母親が突然『自由死』をしたいと言ってきた。息子の「僕」は猛反対するも、結局事故で母は無くなってしまう。 母を失った寂しさと、彼女の「自由死への本心」を探すため、「僕」は仮想空間に母を作り出す『VF』を購入するところから物語は始まります。 母の本心がわからないまま、彼女の生前の友人だった女性とルームシェアを始めたり、セレブの家で働くことになったり。だんだんと母を失った寂しさも薄れていくなか、「僕」は自分の出生の秘密を知ります。 「もう十分」という言葉がよく出てきます。 「もうこれ以上はいらない」という意味ですが、その人の状況によってニュアンスが変わってきます。 小説の中で自由死は、高齢者増加対策だったので「これ以上は生きなくてもいい」というようなニュアンスだと「僕」は捉えたのかな。母としては「もう十分幸せを味わった」だったんだろうね。 自由死については、最近北欧で安楽死を決行した女性がいたし、小説やSF(三体もあったね)の話ではなく、日本でも今後リアルに議論されていくのだろうけど、「死ぬ権利」を選ぶ人を尊重したい気持ちもあるけど、「それでもやっぱり自分は全力で止めさせる」という気持ちもあるんだよね... 私らの未来の倫理観ってどうなっていくのだろう。 「生きる」or「死ぬ」 ではなく、 「死ぬ」or「死なない」 この発想になると辛いね。 あらすじに「衝撃の事実」って書いてあったのだけど、 令和の物語でこの展開は特に「衝撃」ではないよな。ちと残念。

Posted byブクログ

2024/09/20

初めて平野啓一郎さんの本を読みました。 自由死が合法化された2040年代の日本、そう遠くない未来にリアルさと緊張感を味わいながら読み進めることができました。

Posted byブクログ

2024/09/18

2024.9.18 近未来の話で、現実世界とバーチャルの世界が共存していた。 こんな未来が来るのかな…複雑な気持ち。 母は生前、健康体だったのに自由死を望んでいてそれを知るために主人公は母のバーチャルフィギュアを作った。 バーチャルの母が、取り入れられた記憶や会話から学習して実在...

2024.9.18 近未来の話で、現実世界とバーチャルの世界が共存していた。 こんな未来が来るのかな…複雑な気持ち。 母は生前、健康体だったのに自由死を望んでいてそれを知るために主人公は母のバーチャルフィギュアを作った。 バーチャルの母が、取り入れられた記憶や会話から学習して実在するように感じられるのはすごいな。 障害や尊厳死など難しい話だったのに文体が柔らかかったからか読みやすかった。

Posted byブクログ

2024/08/23

愛とはなんだ?変化を受け入れる心が愛かな?と早い段階から自問しながら読まされました。 VF(ヴァーチャルフィギュア)を作ることが可能な未来、序盤から仮想空間との行き来にぐっと心を持ってかれました。 VFの心とは、、、いや心はないと。心はありません、と断言されているにもかかわ...

愛とはなんだ?変化を受け入れる心が愛かな?と早い段階から自問しながら読まされました。 VF(ヴァーチャルフィギュア)を作ることが可能な未来、序盤から仮想空間との行き来にぐっと心を持ってかれました。 VFの心とは、、、いや心はないと。心はありません、と断言されているにもかかわらず、どうしてもVFに心を感じるようになる、と。 (余談:少々異なりますが、レンタル何もしない人を思い出した。プログラムしたことだけをしてくれる、学習するとはいえ全て思い通りには動いてくれないであろう) P,48風鈴の話 「中から見たら、この世界の全体が水槽みたいに感じられるでしょうね。」 意味深…!意味深すぎる、、、 個人的には、仮想空間やアバターでの生活が今よりもフランクな感じで社会に根づいていくかんじには良い意味で興味があります P,50 母(のVF)とのはじめての再会の時、緊張した “母のニセモノ”と表現した 今の朔也にとってはそうなんですね。今はまだ。どうなっていくのか。ちょっとハラハラして読み勧めた その後すぐに始まった二人の生活からずっと、〈母〉と表現している この区別をどう捉えていくべきか 僕との思い出しかない〈母〉とのやりとりを “僕はまるで、母との思い出が描かれた、短い映画の中にいるかのようだった。” と表現しています 〈母〉に訂正文を送ったり伝えたりするたびに、なんか違くないか?というかんじがして、けどAIって人の顔色を読むとか察するってことはできない、それは今後未来も変わらない事なのかな?と思ったけど、P,64“石川様の表情を見て、受け答えを学習します”って。ただその後の様子を読んでいて、AIとして学習して朔也の反応(下を向いている、とか)をある程度固定化して対応しているんだなって思うと、人間の複雑な感情はAIには受け取れないんじゃないかと思いたい。というかいろいろな感情を受け取る側にも複雑な感情が必要なんじゃないだろうか、、、いや、よくわかんなくなってきました P,69“自由死”について〈母〉と話したとき、、、たぶん読んでる私の顔引き攣ってた、、、 P,137 母のことを思い出そうとして、“心の中で母に問いかけよう”として、“想起されたのは母ではなく、〈母〉であり”、ニセモノの〈母〉は、“僕を母にまで到達させないのだった” これはVFのデメリットの一つとして挙げられそう、、、 VFが全てになり生前の本人の思い出が掠れていく、思い出せなくなっていく。良い意味でも悪い意味でも、思い出が死者が美化されていく。 P,159 “混乱している。――僕が。” ニュースとそこに寄せられたコメントを学習した〈母〉との会話。余計なことまで学習していく〈母〉。しかしそれを学習させないという選択肢は所有者が判断することなのか?そうならば、それこそ死者を美化してVFをつくっていることと代わりはないのではないか。朔也の混乱が伝わってくる。 P,167 “〈母〉は、もし母が今も生きていたなら、という仮定をなぞろうとしているのだ。それは、却って母から遠ざかってゆくことに違いなかった。” はじめて〈母〉を迎えたときは違和感ばかりのVFであったはずで、一緒に暮らしていくことで少しずつ生前の母に近づいていくことを望んでいたはずなのに、〈母〉と過ごせば過ごすほど虚しくなっていく。この虚しさがしんどい。 P,312 “本物の母ならば示したであろう態度とは、凡そ、似ても似つかないものと思われたが、僕はそのことに、不思議と苛立たなくなっていた。” “〈母〉に、完全な母の身代わりを求める気持ちが、いつの間にかなくなっていた。” あ、きた、、、ついに朔也が;;;一皮むけたね;;; P,313 “母が生きている、というのは、変わり続けるということなのだろうか?” 最初の繰り返しになりますが、「変化を受け入れる」ことが「愛」だと思いました

Posted byブクログ

2024/08/23

2年近く前に読んだ本なのに、今でもほとんど抜けることなく内容を覚えています。 読み切る事に“労力”を感じたのは、初めての経験でした。 重くて、暗くて、辛い。 友人の薦めで借りた本じゃなければ、途中で根を上げていたかもしれません。 自由死が認められた世界で、 最期は息子に看取ら...

2年近く前に読んだ本なのに、今でもほとんど抜けることなく内容を覚えています。 読み切る事に“労力”を感じたのは、初めての経験でした。 重くて、暗くて、辛い。 友人の薦めで借りた本じゃなければ、途中で根を上げていたかもしれません。 自由死が認められた世界で、 最期は息子に看取られて逝きたいと願う母、 その事実を受け止められない息子の朔也 不慮の事故によって亡くなってしまう母、 貧しい生活を送りながら母の残した財産で、ヴァーチャルの母との生活を選択する朔也… 『僕にとって、この世界とはつまり、母がいる世界だったのだが』 この一文に朔也の行動心理が全て詰まっているような気がしました。 考えさせられる場面が多すぎて、作者の意図、作品の意義を自分が全て汲み取れているのか不安になる程でした。 好き嫌いはさておき、読者の心に必ず何かを刻んでくれるのではないかと思います。

Posted byブクログ

2024/08/18

表現のクセがあるので、情景を全て咀嚼しきるのが非常に難しい。 まだ最愛の人を失った経験がないため、感情移入しきれないところがあったものの、自身のための自由死なのであれば、生きてほしいと思う気持ちは理解できる。 AIによりバーチャルフィギュアが仕草や感情を学習し、最もらしく振る舞え...

表現のクセがあるので、情景を全て咀嚼しきるのが非常に難しい。 まだ最愛の人を失った経験がないため、感情移入しきれないところがあったものの、自身のための自由死なのであれば、生きてほしいと思う気持ちは理解できる。 AIによりバーチャルフィギュアが仕草や感情を学習し、最もらしく振る舞えても、非論理的な奥底に仕舞われた本心は別にある気がする。そこにリアルな人間としての味があるのではないかと思う。

Posted byブクログ

2024/08/18

近未来の世界がリアルすぎて、ゾッとする。 格差社会のあっち側とコチラ側、健常者と障害者、拘置所のアクリル板のあっちとこっち、リアルと仮想社会、生と死、自然死と自由死…壁は頑強なのに、行き来できそうなくらい隔たりはあいまいな未来。 とても難しいけど、身近な問いが投げかけられ続けてい...

近未来の世界がリアルすぎて、ゾッとする。 格差社会のあっち側とコチラ側、健常者と障害者、拘置所のアクリル板のあっちとこっち、リアルと仮想社会、生と死、自然死と自由死…壁は頑強なのに、行き来できそうなくらい隔たりはあいまいな未来。 とても難しいけど、身近な問いが投げかけられ続けているような作品だった。 特に、死への選択の自由はあるのか、どこまでが個人の権利なのか、記憶や思い出は誰のものか、何のために生きるのか…。 考えさせられる。 途中、メロドラマになるかと思ったけど、人間くささを貫いててホッとした。 平野氏の作品は、ちょいちょい教養とかバブリー臭を挟んでくるのが鼻につくけど、今回はそれが少なくてよかった。

Posted byブクログ