蝶の眠る場所 の商品レビュー
一気に読んでしまいました… 読み終わってからもドキドキします ドキュメンタリー映画のようでした つくられる偽りの記憶…怖いですね あなたの思い出は本物か?
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社会派ミステリ 人間とは奥深い 罪とは何か 罰とは何か 赦しとは何か 贖罪とは何か 人の連絡とは何か 護るべきものは何か 考えされられる話でした
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東京都町田市で起きた小学生の転落事故。事故として警察は処理されたが、母親はそれに疑問を呈し、いじめで殺されたんだと主張する。その母親を取材していたテレビ局の記者は、さらに調べていくうちに母親の父が、以前誘拐殺人事件の死刑囚であることを知る。後に死刑囚は処刑されたが、その直前まで、...
東京都町田市で起きた小学生の転落事故。事故として警察は処理されたが、母親はそれに疑問を呈し、いじめで殺されたんだと主張する。その母親を取材していたテレビ局の記者は、さらに調べていくうちに母親の父が、以前誘拐殺人事件の死刑囚であることを知る。後に死刑囚は処刑されたが、その直前まで、やっていないと主張し続けていた。 2つの事件は繋がっているのか?報道記者が、その真相に迫っていく。 作者の水野さんは、日本テレビの報道局経済部のデスクとして働いている現役の報道記者として活躍されています。 報道によるドキュメンタリー番組にも携わっていたこともあり、この作品でもそういったドキュメンタリー番組作りが描かれています。 その描写が、複数話分のドキュメント番組を見ているかのような躍動感があって、重厚感もありました。 メインとなる話は、小学生の転落事故ではなく、過去に起きた冤罪の可能性のある誘拐殺人事件の方です。 母親が感じた疑問や鳥がつぶやいた「ヒトゴロシ」など一つの小さな疑問点を繋ぎ合わさっていく行程が、緊迫感あるだけでなく、スピード感もあって、ついつい惹き込まれました。 主人公は報道記者の美貴。以前は社会部の友軍キャップとして活躍していたが、ある出来事がきっかけで、ヒラ記者として戻されます。夫は死別で、2歳の子供がいます。 記者としてのプライドや真実を追い求める執念さがひしひしと伝わりました。その一方で子供を育てるという母親としての「顔」もあり、そのあたりの苦悩といった心理描写が丁寧に描かれているので、ドキュメンタリーをみているようでした。 その他にも、警察署長や被害者の母親、仕事場での仲間など、様々な人たちの過去や思いが丁寧に描かれていて、ストーリーにさらに重厚感を増したように感じました。 その一方で、仕事場での登場人物のキャラクター性が、クスッとさせた部分もあり、良い息抜きにさせてくれるので、程よい緊張感になりました。 殺人事件の犯人が果たして本当にその死刑囚だったのか? 冤罪だったのでは?というのが、大きなテーマとなっています。 罪とは何か? 罰とは何か? 色々考えさせられました。何気なく言った一言が、後に大きな影響を及ぼしていくことに何とも言えないもどかしさを感じました。 保身のために嘘をつく。決して許されないことですが、もし自分だったらと思うと・・・、もしかしたら嘘を言うかもしれません。 何事も屈せず、真実を追い求めようとする美貴の姿に誇らしさや勇ましさを感じましたし、真の記者だなと感じさせてくれました。 一つの転落事故から誘拐殺人事件まで、あらゆる人を巻き込みながら、ここまで話が拡がるとは・・・。 事件の結末としては、匂わせな形で終わりますが、その分リアリティもあって、余韻に浸れました。 何が正しくて、何が悪いのか。おそらく答えはわかっていますが、その状況になった時、果たして答えられるのか。 読み終わった後、色んな感情が渦巻いてしまい、色んな意味で心を揺さぶられた作品でした。
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