1,800円以上の注文で送料無料

蝶の眠る場所 の商品レビュー

3.6

31件のお客様レビュー

  1. 5つ

    4

  2. 4つ

    12

  3. 3つ

    11

  4. 2つ

    2

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2024/06/27

「冤罪」「死刑」「少年の自殺」どれをとっても重いテーマ。 点と点で起きていた事件が線で繋がってしまった。 物語は過去と現在を行ったりきたりしながら、事件の全容を見せていく。 伏線が散らばっているので、回収したくてどんどん読んでしまう。 たくさん内容がありすぎて、結局、終わり方は淡...

「冤罪」「死刑」「少年の自殺」どれをとっても重いテーマ。 点と点で起きていた事件が線で繋がってしまった。 物語は過去と現在を行ったりきたりしながら、事件の全容を見せていく。 伏線が散らばっているので、回収したくてどんどん読んでしまう。 たくさん内容がありすぎて、結局、終わり方は淡々としてしまった感はあったけれど、読み応えは充分ある。

Posted byブクログ

2023/12/10

死刑執行された死刑囚の事件を追うテレビ局記者の美貴。その真相の先に見えるのは冤罪。国家権力により作られていくその罪は、決して冤罪が晴れたとしても失われた時間と生活は取り戻すことは出来ない。さまざまな懺悔や後悔を呑みこみ生きていく人々もまた過去に囚われてしまっている。罪と罰は違うも...

死刑執行された死刑囚の事件を追うテレビ局記者の美貴。その真相の先に見えるのは冤罪。国家権力により作られていくその罪は、決して冤罪が晴れたとしても失われた時間と生活は取り戻すことは出来ない。さまざまな懺悔や後悔を呑みこみ生きていく人々もまた過去に囚われてしまっている。罪と罰は違うものでありながら、贖罪として受け入れることにした男性の過去は切ない。暗闇の中に潜んでいる真実は悲哀で、翻弄される子供たち健気でもあり苦しい。

Posted byブクログ

2023/05/03

強引な部分もあるけれど、物語や登場人物の魅力がに引きつけられて一気読み。最後の最後まで面白かった。この作者のデビュー作品だと聞き、色々てんこ盛りに納得。

Posted byブクログ

2023/04/30

「私は事件には一切関係していません。真犯人は、別にいます」 そう言い残して絞首台を登っていった男。 時はめぐり、小学生が学校の屋上から落ちて亡くなるという事故が発生する。 いじめによる自殺を疑って取材を進めていたテレビ局社会部の女性記者は、少年の母親が、冤罪が疑われる事件の加害者...

「私は事件には一切関係していません。真犯人は、別にいます」 そう言い残して絞首台を登っていった男。 時はめぐり、小学生が学校の屋上から落ちて亡くなるという事故が発生する。 いじめによる自殺を疑って取材を進めていたテレビ局社会部の女性記者は、少年の母親が、冤罪が疑われる事件の加害者として極刑になった男の娘だと知る。 果たして二つの事件と事故に関連はあるのか!? 警察権力と暗闘の果てに、女性記者がたどりついた驚愕の真実とは・・・ 上の文章は帯に書かれた惹句だが、作者が書きたかったのは何なのか。 冤罪について?死刑制度について? 母が浮気をして、それを苦にして亡くなったのは彼が3歳の時だった。 警察官となり、ある事件の被疑者の中にその浮気相手が挙げられているのを知る。 長い年月が過ぎているのにも拘わらず、彼はその被疑者を陥れようとする。 物語の最後に近くなって彼が一人の老人に言われた言葉「お前の中にもヒトラーはいる」 作者が書きたかったのは、人が持つ悪意についてだったのだろうか。

Posted byブクログ

2023/02/17

素晴らしかった。 冤罪と死刑制度、この二つのテーマを根底に人間のあらゆる感情を抉って来る。 「真犯人は別にいる」と言い残し絞首台を登った男がいた。 その数十年後に起きた小学校屋上からの転落事故。 亡くなった少年は冤罪が疑われたまま極刑になった男の孫だった。 男の無実を信じ、取...

素晴らしかった。 冤罪と死刑制度、この二つのテーマを根底に人間のあらゆる感情を抉って来る。 「真犯人は別にいる」と言い残し絞首台を登った男がいた。 その数十年後に起きた小学校屋上からの転落事故。 亡くなった少年は冤罪が疑われたまま極刑になった男の孫だった。 男の無実を信じ、取材を進める女性記者に同化する様に真実を知りたい欲求が加速する。 徐々に明らかになる事実。 憎しみが憎しみを呼び連鎖する悲劇に閉口する。 冤罪が作られて行く過程に恐怖を感じながら、同時に人間の弱さ、愚かさを思い知らされる。 真の贖罪の意味を問われる読後。

Posted byブクログ

2022/12/28

小学生が学校の屋上から転落死した事件。その取材をする女性記者は、その子供の祖父が死刑になっており、しかしそれが冤罪かもしれないということを知って調査を始める。ふとしたことから始まった悲劇の連鎖を描くミステリです。 実は続編「名もなき子」の方を先に読んでしまったので、少しだけ事件の...

小学生が学校の屋上から転落死した事件。その取材をする女性記者は、その子供の祖父が死刑になっており、しかしそれが冤罪かもしれないということを知って調査を始める。ふとしたことから始まった悲劇の連鎖を描くミステリです。 実は続編「名もなき子」の方を先に読んでしまったので、少しだけ事件の真相に触れるところを知った状態で読んでしまったのですが。しかしそれでも謎は多いし、読みごたえのある物語でした。まあ彼が冤罪なのはストーリー上間違いがないとして、しかしなぜそのようなことになってしまったのか……わかってみるとあまりにやりきれないです。冤罪に追いやった彼の気持ちも、自分は無実と知りながらもある意味での「罰」を受け入れた彼の気持ちも悲しくて。冤罪を作ることに加担した人たちにもそれぞれの理由があったり、そしてその冤罪からの波紋の大きさもまた悲痛極まりなく、いったい誰が悪かったのか……もちろん真犯人なのですけどね。真犯人は判明するものの存在感が薄くて、だからこそその分憎しみのやりどころが分からない気持ちにさせられました。 その一方で報道番組「アングル」スタッフの面々は魅力たっぷりで楽しいです。かなり癖の強い人ばかりだけれど、どの人も素敵でした。

Posted byブクログ

2022/11/29

蝶の眠る場所 水野梓さん。 おもしろかった。 着地点が、見えず。 どうなるのだろう?と、 先が気になり、読み進める。 悲しい。話だけど、 希望もあり、 良かった。

Posted byブクログ

2022/11/27

すごく面白くて、1日で一気読みしました。死刑制度について、私自身の考えを深める間もなく読み切ってしまって、ちょっともったいなかったです。著者の水野梓さん、女性なんですね。主人公・榊美貴の母としての心情が胸に沁みました。一方で、男性の登場人物の心情は、なんとなく添わないような気がし...

すごく面白くて、1日で一気読みしました。死刑制度について、私自身の考えを深める間もなく読み切ってしまって、ちょっともったいなかったです。著者の水野梓さん、女性なんですね。主人公・榊美貴の母としての心情が胸に沁みました。一方で、男性の登場人物の心情は、なんとなく添わないような気がしました。きっと、私の周囲の男性とはタイプが違うのでしょう。また、出身であるテレビ業界の描写は臨場感があるのでしょう。とても興味深かったです。

Posted byブクログ

2022/11/11

初めての作家・水野梓さん。 日本TVの記者として入社、その後警視庁担当を経て 経済部デスク兼「深層NEWS」キャスター 冤罪事件を扱った番組制作によって死刑執行後の家族やその後について世に問いかけるには小説しかないと思い執筆を始めたらしい。 小学生の屋上転落…事故?自殺?他殺?...

初めての作家・水野梓さん。 日本TVの記者として入社、その後警視庁担当を経て 経済部デスク兼「深層NEWS」キャスター 冤罪事件を扱った番組制作によって死刑執行後の家族やその後について世に問いかけるには小説しかないと思い執筆を始めたらしい。 小学生の屋上転落…事故?自殺?他殺? その取材をする中ですでに死刑執行されたある事件に辿り着く… 着想はすごくいい。 冤罪、過去との繋がり…そういう作品は出つくした感がなきにしもあらずですが。 面白かったですが何か足りない(*´-`) 記者が事件を追うと言うストーリーは久しぶりに読んだ気がするけど… 何だろうか?ルポタージュ感にドラマ性を足してはいるんだけど、足し算引き算が物足りなく感じた? 同じような経歴であの「横山秀夫」がいるし、今はミステリーブームだから険しいジャンルだな… だから頑張った感が出過ぎたような( ̄▽ ̄) 題材が良いので惜しい‼︎ もう一作あるようなので読んでみよう!

Posted byブクログ

2022/09/25
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

あらすじ  毎朝放送社会部35歳美貴。最年少のキャップに抜擢されたが、部下の記者がやらせのような報道をし、責任を取ってヒラキ社員に戻っている。夫は数年前に車の事故で亡くなり、幼い子供を一人で育てている。  取材を始めたのは小学生男子が学校から飛び降りた件。警察は事故と結論づけたが、母親清水結子は、病院で大河は殺されたと口走っていたのが気になった。美貴の社内での処分が降りる。深夜ドキュメンタリー番組「アングル」へ配属されることになった。そこはいわゆる、能力はあるが鼻つまみ者?がいるような場所っぽい。美貴は泥酔した結子を介抱したことがきっかけで少し話すようになり、結子の経歴を知る。ネグレクト気味だった結子を救ったのが今井武虎。喫茶店を妻と営み、竜哉という息子がいる。しかし結子が11歳の時、武虎は、小学生の女の子とその母親を誘拐し、殺害したという容疑で逮捕され、死刑が執行されたのだった。妻直美は交通事故に遭い、武虎の後を追うようにして亡くなる。結子と達也は結婚し、大河という息子が生まれていた。さらに息子竜哉も精神を病み、離婚し、病院に入っていた。大河は行く先々で祖父が殺人者だということを知られ、転校を繰り返していたのだった。  今井が冤罪かも知れないと、美貴が調べていくうち、DNAの操作、関係者のアリバイ証言など、不審な点がいくつも浮かび上がる。まずはアリバイについて、警察は今井が犯人だと決めつけて、アリバイを崩させるため、当時の関係者にいろいろプレッシャーをかけていたらしい。また当時のDNA鑑定では現場にあったものと今井のものが一致したとされていたが、現代の検査方法では不一致だった。強引な捜査の背景にあったのは、当時別の小学1年生の事件が未解決に終わり、警察は社会からプレッシャーを受けていたためであった。度重なる不手際を重ねないように警察は解決を急いでいたのだった。加えて、当時本格的に始まった、科学捜査というものを前面に押し出したいという気持ちも働いていた。  加えて、大きな原因は、当時の捜査官だった冴木、今の警察署長と今井に因縁があったのだった。冴木の母は冴木が若い頃に自殺した。その理由は本人の不貞、それを夫に責められたことだった。そしてその不貞の相手が今井だったのだ。以上のことを美貴は「アングル」で公表した。そして真犯人はどうやら自殺した大河君の同級生の父親のようである。 感想  予想がつかない進み具合。初めての作者ということもあるかもしれない。事件の捜査が目的なのか、主人公榊美紀の活躍ぶりがメインなのかよくわからない。美貴のシングルマザーとしての大変さも何度も書かれていた。美紀の息子も幼いことがあってよく熱出すけれども美希もなかなか体調が優れていない。けど美紀がガツガツ仕事をしている様子というのは伝わった。この作品は、真犯人が誰かということにメインを置いていないのだと思う。真犯人ぽい人は書かれているけれども、今捜査中というところに落ち着いている。それよりも今井が死刑執行されたが真犯人じゃなかったという、結論に行き着くまでの、関係者のそれぞれの事情、今井一家現在などが細かく書かれているなあと思う。過程を楽しむのがメインの作品かな。

Posted byブクログ