誰がために医師はいる の商品レビュー
依存症、嗜癖障害の正しい知識を啓蒙、発信してきた医師による半生記。 こんな面白い人だったとは。精神科医ってやはり内科や外科の王道の医師とはなんか違う。はぐれものとでもいうか。 以下、印象に残ったフレーズなど。 ・困った人は困っている人。 ・「ダメ.ゼッタイ。」が依存症者を孤立させ...
依存症、嗜癖障害の正しい知識を啓蒙、発信してきた医師による半生記。 こんな面白い人だったとは。精神科医ってやはり内科や外科の王道の医師とはなんか違う。はぐれものとでもいうか。 以下、印象に残ったフレーズなど。 ・困った人は困っている人。 ・「ダメ.ゼッタイ。」が依存症者を孤立させ、回復から遠ざけている。 ・厳罰化は問題を悪化させる。 ・人間は薬物を使う動物。 ・生き延びるための不健康。苦痛から逃れるために薬物を使う。 ・覚醒剤よりもアルコールの方が心身へのダメージが大きい。一方は非合法だから使うだけで捕まる。酒で酔って迷惑をかけても、飲むのは合法だから捕まらない。 ・カフェイン使用について。よい薬物も悪い薬物もなく、よい使い方と悪い使い方だけがある。悪い使い方をする人は、困ってたり悩んでたりする。 ・アディクションの反対語は、しらふではなくコネクション(つながり)。孤立しているとモノに依存しやすい。人と繋がることが大切。
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支援者としても、当事者としても、 いつもズバズバ当たる松本先生のことば。 とてもむりなことだと思うけど、 いつかお会いしたいと絶望するばかり。
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薬物依存に対して、今までの理解が根本からひっくり返った。依存症当事者のもつ寂しさにも触れられるような気がした。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
著者は依存症治療に関して著名な精神科医。現場経験ベースで書かれたエッセイで、とても読みやすい。 以下は内容の個人的なメモ/抜粋 - 生き残るために不健康や痛みを必要とする人が世の中にはいる。心の痛みを身体の痛みに置き換えてトラウマ記憶から気をそらす。かゆみが我慢できない箇所をつねってみたりするのに似ている。 - すべての依存性物質の中で個人と社会への害が総合的に最も大きいのはアルコールという研究結果がある。(Nutt D, Lancet, 2010) - 「Yes to life, no to drugs.」が「ダメ、ゼッタイ」と訳されて定着してしまった。痛みを抱えて孤立している人が無視され、薬物依存者を孤立させて回復から遠ざけている - 「手のかからなさ」は、援助希求性と乏しさや、人間一般に対する信頼感、期待感のなさと表裏一体 - 薬物という「物」に耽溺せざるを得ない、痛みを抱えた「人」への支援こそが必要
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まごうことなき良書。 松本先生の著書は何冊も読んでいるが、本書はそれらの総集編であり、アディクション臨床のスタンダードと言っても差し支えないのではないだろうか。軽妙な語り口ではあるが、その中に数多くの至言が散りばめられている。
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クスリに依存する人には必ず人間関係に問題があること。治療には薬よりも支えてくれる周りの支援者仲間がいることの大切さを学んだ。
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薬物依存症患者の治療を専門とする精神科医である松本氏による著書。 薬物依存症の真の姿を知る意味でも、また、人間としての医者を知る意味でも、とてもよい本だと思います。 覚せい剤や大麻よりも、アルコールの方が薬物として悪質、というのは、みんなが知っておくべきことだと思いました。 こ...
薬物依存症患者の治療を専門とする精神科医である松本氏による著書。 薬物依存症の真の姿を知る意味でも、また、人間としての医者を知る意味でも、とてもよい本だと思います。 覚せい剤や大麻よりも、アルコールの方が薬物として悪質、というのは、みんなが知っておくべきことだと思いました。 この本にもある「世界最古にして最悪の薬物」という表現は、そのことを浸透させる意味で、とてもよい表現だと思います。 「困った人」は「困っている人」とか、「人間は薬を使う動物」とか、「ダメ。ゼッタイ。」では絶対ダメとか、示唆に富む言葉も多く、とても勉強になりました。 「薬物依存」は、なかなか重いテーマだと思うのですが、そういったテーマを読みやすい形で文章や言葉にできる著者は、本当に力のある精神科医なのだと思います。
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ポイント 薬物依存患者は、薬物が引き起こす、それこそめくるめく「快感」が忘れられないが故に、薬物を手放せない(=正の強化)のではない。その薬物が、これまでずっと自分を苛んできた「苦痛」を一時的に消してくれるが故、薬物を手放せないのだ(=負の強化)、 困った人が困っている人かも...
ポイント 薬物依存患者は、薬物が引き起こす、それこそめくるめく「快感」が忘れられないが故に、薬物を手放せない(=正の強化)のではない。その薬物が、これまでずっと自分を苛んできた「苦痛」を一時的に消してくれるが故、薬物を手放せないのだ(=負の強化)、 困った人が困っている人かもしれない 暴力は自然発生するものではなく、他社から学ぶものである アルコールが1番害がある カフェインの乱用が目立つ この世には「よい薬物」も「悪い薬物」もなく、あるのは薬物の「よい使い方」と「悪い使い方」だけである 「悪い使い方」をする人は、必ずや薬物とは 別に何か困りごとや悩みごとを抱えている ベンゾ依存症が意外と大変 日本人の「逮捕されずにハイになること」への執着というか、異様な情熱は凄い ストロング系のアルコールもヤバい アディクション(依存症)の反対語は、「しらふ」ではなく、コネクション(つながり) 「ダメ。ゼッタイ」は嘘だ 感想 知らなかった事実が知れてとても良かった。
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松本医師とはほぼ同世代なので経験してきた事が似ていることにまずはびっくり。我々が中学高校生の頃はお酒も煙草もハードルが低くて、「嫌煙権」なんて考え方すら無かった事を考えると世間の評価も変われば変わるもの。たしかに、事件、事故を引き起こす頻度や直接の死因となればクスリよりもお酒の方...
松本医師とはほぼ同世代なので経験してきた事が似ていることにまずはびっくり。我々が中学高校生の頃はお酒も煙草もハードルが低くて、「嫌煙権」なんて考え方すら無かった事を考えると世間の評価も変われば変わるもの。たしかに、事件、事故を引き起こす頻度や直接の死因となればクスリよりもお酒の方がはるかに危険なのかもしれない。今のところ我々世代のお酒は野放しだけど、若い人は飲まなくなって来ているのも自然な流れなのかな。
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アディクションの対義語はコネクション。薬物依存よりアルコール依存の方が深刻みたいなのだが、なぜ合法なのかしら。
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