誰がために医師はいる の商品レビュー
非常に、面白かった。エッセーは苦手だと思っていたが、このエッセー集は本当によかった。アディクションとその背景、彼の見つけた問題の核、見つけるまでの苦い思い出、色々と夢中になって読んだ。
Posted by
面白かったです!先輩医師の「精神病の人は泣き言、戯言、寝言しか言わない」 攻撃的な患者さんが、作者に取って青春の地である小田原城の天守閣から飛び降りた時のショック。患者さんに車の改造を言い当てられたこと。「変えられないものを受け入れる落ち着きと、変えられるものを変える勇気と、それ...
面白かったです!先輩医師の「精神病の人は泣き言、戯言、寝言しか言わない」 攻撃的な患者さんが、作者に取って青春の地である小田原城の天守閣から飛び降りた時のショック。患者さんに車の改造を言い当てられたこと。「変えられないものを受け入れる落ち着きと、変えられるものを変える勇気と、それらを見分ける力を」などの言葉が心に残りました。
Posted by
覚悟を持って書かれた文章だと感じた。 薬物よりアルコールに依存する方が身体へのダメージが大きいのに、なぜお酒は合法なのか。薬物を使ったことを罰するより、使わざるを得ないほど追い込まれているその人を、どうやって支援していくかを考えるべきではないのか。 今の法律が絶対ではない。場所...
覚悟を持って書かれた文章だと感じた。 薬物よりアルコールに依存する方が身体へのダメージが大きいのに、なぜお酒は合法なのか。薬物を使ったことを罰するより、使わざるを得ないほど追い込まれているその人を、どうやって支援していくかを考えるべきではないのか。 今の法律が絶対ではない。場所が変われば正義も変わる。あるいは、大勢にとって都合の悪いものが法律違反とされる場合もある。たくさんの気づきを与えてくれる文章だった。
Posted by
昔、アルコール依存症の患者に対してひどい対応をしてしまった自分をいつまでも悔いています。その反省からアディクションの本を読んだりしながら、この方に辿り着きました。ここに書かれた依存症の方たちはもしかしたら自分だったかもしれない。そんな思いが自分の中にいつも流れています。心が弱いと...
昔、アルコール依存症の患者に対してひどい対応をしてしまった自分をいつまでも悔いています。その反省からアディクションの本を読んだりしながら、この方に辿り着きました。ここに書かれた依存症の方たちはもしかしたら自分だったかもしれない。そんな思いが自分の中にいつも流れています。心が弱いとか、犯罪者だとか、そういうことじゃなくて、本当にみんなただ何気ない話を誰かとしたいだけなんですよね。綺麗ごとじゃないです、みんな一緒に頑張ろう。 「誰も人を変えることはできない、変えられるのは自分だけなのである・・・。」
Posted by
著者の経験を元に書かれているからか内容がとても頭に入ってきやすい。難しい題材にもかかわらず、とても読みやすい本であった。 依存症の原因、個人の背景にアプローチし、解決を目指す。その方法があたりまえであるとなる社会に遅くとも10年以内にはなってほしい。 アディクションの反対はしら...
著者の経験を元に書かれているからか内容がとても頭に入ってきやすい。難しい題材にもかかわらず、とても読みやすい本であった。 依存症の原因、個人の背景にアプローチし、解決を目指す。その方法があたりまえであるとなる社会に遅くとも10年以内にはなってほしい。 アディクションの反対はしらふではなく、コネクション。
Posted by
なぜ精神科医の書くエッセイはこんなに面白いのか。 『刑務所の精神科医』しかり当たりしかない。その考えに共鳴でき知識を学べるだけでなく、読み物として抜群に面白い。 筆者は薬物依存の専門家。 まず冒頭のシンナー氾濫の中学時代の述懐から引き込まれる。 他の精神疾患と違って薬物治療がで...
なぜ精神科医の書くエッセイはこんなに面白いのか。 『刑務所の精神科医』しかり当たりしかない。その考えに共鳴でき知識を学べるだけでなく、読み物として抜群に面白い。 筆者は薬物依存の専門家。 まず冒頭のシンナー氾濫の中学時代の述懐から引き込まれる。 他の精神疾患と違って薬物治療ができない依存症治療の難しさや、筆者がそれに引き込まれていく過程がつぶさに描かれ、とても興味深い。 その中で筆者がたどり着いたのが、薬物依存に陥る人は必ず何か別の生きづらさを抱えていて、それを見つけて耳を傾けないと、治療はできないという結論だった。 自助グループで出会った「神様、私にお与えください/変えられないものを受け入れる落ち着きを/変えられるものを変えられる勇気を/そして、その二つを見分ける賢さを」という言葉には私もとても胸を打たれた。 精神疾患とともに生きる自分の大事な人のことをおもった。 薬物依存症患者には刑罰ではなくて治療を、と主張すると炎上するのは、残念だけど日本社会の現実。 「人々は刑罰の効果を無邪気に信じている」というのは着目したい論点だなと思った。 筆者が実習中に精神科医になろうと改めて決心したのは、解剖でただの肉片と化した人間の遺体を棺桶に片付ける時、その人の名前が見えた時だった。 「大仰に聞こえるかもしれないが、そのときすべてを悟った気がした。名前こそがー固有名詞こそがーその人の生きた証なのだ、と。誰かに愛しい思いを込めて呼ばれ、あるいは、憎しみをもって呼び捨てられるなど、名前をめぐってさまざまな関係性や物語があったはずだ。そして私は考えたのだ。身体のどこかの部位や臓器ではなく、そのような関係性や物語を扱う医者は一体何科だろうか、と」 もし自分が高校生の頃にこれを読んでいたら、精神科医を目指したんじゃないか。 医者は学力的に難しくても少なくとも心理職は目指したのではないだろうか。 私は根っからの文系頭で、気づいたらすでに文系科目は優秀で理系科目はからっきしダメという学生だった。 理系科目は興味もなかったから試験のために勉強するだけだったし、試験に合格するという必要以上にできるようになりたいと思ったこともなかった。 そして、なぜ自分はこんなに理系科目ができないんだろう?とかいう問題意識を持ったことすらほとんどなかった。ということに本書を読んでいて気づいた。 なんというか、こういう疑問を持ったことがないくらい興味がなかったんだな、と改めて気づいて驚いた。 もし高校生の時に読んでいたら、理系の道に進んでみたくなって、(私の脳みそのレベル的に劇的に理系科目ができるようになることはなかったとしても)少なくともなぜ自分は理系科目ができないんだろう?と真剣に考えてみただろうな。 その考えの結果によっては、今と全く違う人生を歩んでいたかもしれない。 良い本は、自分が考えもしなかった自分のことについて考えさせてくれる。
Posted by
ある依存症専門医の半生記,といった感じか。同じ専門職として,偶然と必然の中で専門性を確立していく姿に共感を覚える。精神科業界でどのような評価をされているのかは良く知らないのだけど,たぶん異端だろうし,煙たがる人も多いのかなと思う。まぁ,精神科的にはマイナーな分野なので,そもそも医...
ある依存症専門医の半生記,といった感じか。同じ専門職として,偶然と必然の中で専門性を確立していく姿に共感を覚える。精神科業界でどのような評価をされているのかは良く知らないのだけど,たぶん異端だろうし,煙たがる人も多いのかなと思う。まぁ,精神科的にはマイナーな分野なので,そもそも医師としての認知度もないのかもしれない。 筆者の治療者としての考えやアプローチがどこまで普遍性を持つのかを判断する知識も経験もないのだが,いち医師として松本俊彦は信頼に足る人物であることは分かった。
Posted by
依存症、嗜癖障害の正しい知識を啓蒙、発信してきた医師による半生記。 こんな面白い人だったとは。精神科医ってやはり内科や外科の王道の医師とはなんか違う。はぐれものとでもいうか。 以下、印象に残ったフレーズなど。 ・困った人は困っている人。 ・「ダメ.ゼッタイ。」が依存症者を孤立させ...
依存症、嗜癖障害の正しい知識を啓蒙、発信してきた医師による半生記。 こんな面白い人だったとは。精神科医ってやはり内科や外科の王道の医師とはなんか違う。はぐれものとでもいうか。 以下、印象に残ったフレーズなど。 ・困った人は困っている人。 ・「ダメ.ゼッタイ。」が依存症者を孤立させ、回復から遠ざけている。 ・厳罰化は問題を悪化させる。 ・人間は薬物を使う動物。 ・生き延びるための不健康。苦痛から逃れるために薬物を使う。 ・覚醒剤よりもアルコールの方が心身へのダメージが大きい。一方は非合法だから使うだけで捕まる。酒で酔って迷惑をかけても、飲むのは合法だから捕まらない。 ・カフェイン使用について。よい薬物も悪い薬物もなく、よい使い方と悪い使い方だけがある。悪い使い方をする人は、困ってたり悩んでたりする。 ・アディクションの反対語は、しらふではなくコネクション(つながり)。孤立しているとモノに依存しやすい。人と繋がることが大切。
Posted by
薬物依存に対して、今までの理解が根本からひっくり返った。依存症当事者のもつ寂しさにも触れられるような気がした。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
著者は依存症治療に関して著名な精神科医。現場経験ベースで書かれたエッセイで、とても読みやすい。 以下は内容の個人的なメモ/抜粋 - 生き残るために不健康や痛みを必要とする人が世の中にはいる。心の痛みを身体の痛みに置き換えてトラウマ記憶から気をそらす。かゆみが我慢できない箇所をつねってみたりするのに似ている。 - すべての依存性物質の中で個人と社会への害が総合的に最も大きいのはアルコールという研究結果がある。(Nutt D, Lancet, 2010) - 「Yes to life, no to drugs.」が「ダメ、ゼッタイ」と訳されて定着してしまった。痛みを抱えて孤立している人が無視され、薬物依存者を孤立させて回復から遠ざけている - 「手のかからなさ」は、援助希求性と乏しさや、人間一般に対する信頼感、期待感のなさと表裏一体 - 薬物という「物」に耽溺せざるを得ない、痛みを抱えた「人」への支援こそが必要
Posted by
