昨日がなければ明日もない の商品レビュー
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冒頭から佐々優美が心配で、ハラハラしながら読んでたのに! 男たちは最初から悪人だったが、優美は? 弱いことが罪だとは思いたくない。 そこにつけ込む悪が存在しなければ、弱いというだけなのだから。 優美は「私は悪くない」「私だって被害者よ」と思いながら生きていくのだろうか。 本気でそう思えるのなら神経を疑う。 そう思い込まないと生きていけないのかもしれないが、田巻夫妻が浮かばれない。 助けになろうとしてくれたのに。 真っ当に生きてきた人たちが苛まれるのはキツい。 探偵の出番は事件が起こってから。人が死んでから。 苦い後味。辛い。 ──── https://books.bunshun.jp/articles/-/4537 https://books.bunshun.jp/articles/-/4541
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ちょっと困った女たちどころか大分ヤバめの人たちやないか!というツッコミをしながら読了。 宮部みゆきの描く"言動がその場限りで一貫性が無く思考回路が飛び飛びの女性"と対比して"まともな感性の女性(被害者)"はいつも妙にリアリティがありすぎて背...
ちょっと困った女たちどころか大分ヤバめの人たちやないか!というツッコミをしながら読了。 宮部みゆきの描く"言動がその場限りで一貫性が無く思考回路が飛び飛びの女性"と対比して"まともな感性の女性(被害者)"はいつも妙にリアリティがありすぎて背中がゾクゾクとする。 絶対零度も昨日がなければ明日もないも話として綺麗な終わり方だが胸に物悲しさとほんの少しの胸糞悪さがある。犯人たちの心の安らぎと幸せを願ってしまった。
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困った女達の3つの作品。 若い主婦が自殺未遂をし、入院したとあったが、実の母は娘に会わせてもらえず…娘は、惚れた旦那に振り回されて、人を自殺にまで追い込んでいた。 結婚式が同時に中止になった、花嫁二人は、実は知り合いで、共謀して結婚を中止しようとした…? 自己中心的で、自分の子供に愛情を注げず、金、金、金の女と、そいつに振り回される、彼氏や元旦那の話。 しかし、一番の被害者は妹だったのかもしれない。 納得できない過去を受け入れ、前を進むのは難しい…
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宮部みゆきの杉村三郎シリーズ第5弾。今回は「絶対零度」「華燭」「昨日がなければ明日もない」の3つの物語からなっているが、 今回の被害者は「無自覚な?体質的な?悪意の存在」に巻き込まれ人生を変えられてしまうことになる。救いがない、どうすれば避けられたのだろか、運命とでもいいたくなる...
宮部みゆきの杉村三郎シリーズ第5弾。今回は「絶対零度」「華燭」「昨日がなければ明日もない」の3つの物語からなっているが、 今回の被害者は「無自覚な?体質的な?悪意の存在」に巻き込まれ人生を変えられてしまうことになる。救いがない、どうすれば避けられたのだろか、運命とでもいいたくなるよう関係性。現実の犯罪でもこのような関係性が明らかになる事がある。考えさせられる。 警部の登場は今後の展開の布石なんだろうな
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杉村三郎探偵シリーズ第5作。 3つの物語。 「絶対零度」 犯人の気持ちが分かる。こんなことやられた日にゃ‼️ めちゃくちゃ胸糞な奴らやった。 「昨日が無ければ明日も無い」 この身勝手な女のせいで、周りの人々はたまらん。妹さんは可哀想やった。 相変わらず杉村三郎はいい人だ。
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探偵vsちょっと困った女たちという紹介文が非常に興味深かったが、なるほど困った女たちばかりだった。 どんな困った女たちにも公平な宮部みゆきさんは素晴らしい方だと感じたが、自分にはどうにも許せないまま全て読み終えた。 大変な境遇を生きてきた人間なら何をやっても良いのか?とどうしても...
探偵vsちょっと困った女たちという紹介文が非常に興味深かったが、なるほど困った女たちばかりだった。 どんな困った女たちにも公平な宮部みゆきさんは素晴らしい方だと感じたが、自分にはどうにも許せないまま全て読み終えた。 大変な境遇を生きてきた人間なら何をやっても良いのか?とどうしても考えてしまう。被害者をもっと保護する社会であってほしい。
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探偵杉村三郎シリーズ第5弾。杉村三郎38歳は、温和で不器用で限りなく優しい。よく人の言うことをよく聞く。それに、かなりおせっかいである。依頼案件の裏に潜む問題さえ解決する。東京の北区の大地主竹中家の好意で屋敷の空き部屋を間借りする。3つの物語。着手金5000円と言う破格の価格。相...
探偵杉村三郎シリーズ第5弾。杉村三郎38歳は、温和で不器用で限りなく優しい。よく人の言うことをよく聞く。それに、かなりおせっかいである。依頼案件の裏に潜む問題さえ解決する。東京の北区の大地主竹中家の好意で屋敷の空き部屋を間借りする。3つの物語。着手金5000円と言う破格の価格。相談に来る人は、困ったちゃんの女という話である。 「絶対零度」ふーむ。困ったちゃんは、女の子より、芸人Mのような男だった。 物語は、2011年から始まる。東日本大震災の時だ。杉村三郎は、地震の被害を受けて、竹中家の屋敷に間借りをして、探偵業を再開している時期だ。 杉村三郎の依頼人筥崎静子だった。彼女の娘、佐々優美(ゆうび)が自殺を図った。そして、病院に運び込まれたが、優美の夫は、筥崎静子に会わせない。理由は、「自殺未遂の原因は毒親である母親が原因だ。だから母親を妻に合わせたくない」と言われた。警察にいうわけにもいかず、杉村三郎に依頼した。静子は娘に会いたいという。杉村三郎は、夫佐々智貴にリサーチする。ホッケーチームだったことを探り当て、そのリーダー高根沢に注目する。高根沢は、裕福な家庭の出で、広告代理店に働いている。ホッケーチームで、ボス的な役割をして、チームのメンバーを服従させる。家のみと言って、結婚している人の家庭に行って大騒ぎして、嫁の評価や嫁の女友達を連れて来させる。この物語では飲むだけだけど、女はそういうことをするのが当たり前だと思っている。優美は智貴が好きだけど、この飲み会には賛同していない。でも智貴がいうならば、と従っている。そのことで、自殺未遂まで行ってしまったのだ。そして、そのグループでは、自殺者も出ていた。杉村三郎は、強かな目を持って、何が問題なのかを炙り出していく。ふーむ。杉村三郎の自然体で対応することで、異質なもの、悪的なものを浮き彫りにしていく。宮部みゆきの手法の凄さは、悪が浮かび上がらせる。何気ない日常で、追い詰められていく人々。悪は、全く自分のことしか考えないで、普通の人を引きづりまわす。結局、夫がそこまで従ってしまうことに問題があるのだが。 「華燭」杉村三郎は、竹中家の空き部屋を借りている。竹中夫人から、ある人の相談を受ける。結婚式に、代理で参加することを杉村三郎に依頼する。そして、そのホテルでの結婚式は2組あったが、2組ともキャンセルされたのだ。それは依頼人の娘の結婚式だった。そしてその依頼人は、その結婚式に参加したくなかった。なぜなら、自分の結婚式で失敗したのだった。それが、因果応報で、娘の結婚式も失敗する。なぜ?杉村三郎は、その原因を突き止める。杉村のカナちゃんに対する目が優しい。 「昨日がなければ明日もない」杉村三郎に依頼してきた女、朽田美姫は、転々として男を変え、子供を産み、困ったことがあると相談する。美姫は息子の竜聖の交通事故をテコに慰謝料を取ろうとするのだ。息子の事件も自分のための道具のように扱う。あまりにも複雑な関係に驚きながら、杉村三郎は、解明していく。美姫の妹は「自分の昨日を一度だって選べたことはなかった」という。ちょっと物哀しく、救いようのない物語だった。「人は誰もがひとり、時の川をボートを漕いで進んでいる。だから未来は常に背後にあり、見えるのは過去ばかりだ」という言葉が重い。 杉村三郎は、見えているものと見えていないものがあり、その見えていないものを浮かび上がらせる。見えていても、見たくない人が依頼人なのだ。困ったちゃんにも、きちんと対応する杉村三郎。いいなぁ。5作あるので、ゆっくりと読んでいこう。
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2024.02.audible 3編ともどうしようもない人たちが出てくるが、 絶対零度に出てくる奴らは 読み続けるのが嫌になるくらい 許しがたい胸糞悪い奴らだった。 杉村さんが私と同じくらい、あるいはそれ以上に怒っているのが感じられたので、 読めたかな。 昨日がなければ…は読後なんとも言い難い気持ちになった。 こういう人が周りにいなくて本当によかったと思わせるような話してだった。 杉村さんには、もう少し違う話で活躍してほしい。 Amazon本の紹介 「宮部みゆき流ハードボイルド」杉村三郎シリーズ第5弾。 中篇3本からなる本書のテーマは、「杉村vs.〝ちょっと困った〟女たち」。 自殺未遂をし消息を絶った主婦、訳ありの家庭の訳ありの新婦、自己中なシングルマザーを相手に、杉村が奮闘します。 【 収録作品】 「絶対零度」……杉村探偵事務所の10人目の依頼人は、50代半ばの品のいいご婦人だった。一昨年結婚した27歳の娘・優美が、自殺未遂をして入院ししてしまい、1ヵ月以上も面会ができまいままで、メールも繋がらないのだという。杉村は、陰惨な事件が起きていたことを突き止めるが……。 「華燭」……杉村は近所に住む小崎さんから、姪の結婚式に出席してほしいと頼まれる。小崎さんは妹(姪の母親)と絶縁していて欠席するため、中学2年生の娘・加奈に付き添ってほしいというわけだ。会場で杉村は、思わぬ事態に遭遇する……。 「昨日がなければ明日もない」……事務所兼自宅の大家である竹中家の関係で、29歳の朽田美姫からの相談を受けることになった。「子供の命がかかっている」問題だという。美姫は16歳で最初の子(女の子)を産み、別の男性との間に6歳の男の子がいて、しかも今は、別の〝彼〟と一緒に暮らしているという奔放な女性であった……。
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誰か Somebody、名もなき毒、ペテロの葬列、希望荘と続いてきた宮部みゆきの杉村三郎シリーズも、気がつけば第5刊が刊行されていた。前作は4編を収録した中編集だったが、本作も同じく3作品を収めた中編集となっている。ペテロの葬列で家族と離別し、希望荘で探偵業を開始した杉村三郎は本作でも変わらず探偵を続けており、今回はその探偵事務所に依頼がある案件を中心に物語が進んでいく。よくも悪くもマンネリ化しつつある本作だが、それでもAudibleの聴きやすさ(井上悟さんという声優による朗読)もあり、あっという間に最後まで聞いてしまった。 版元によるとこの杉村三郎シリーズは、「宮部みゆき流ハードボイルド」とあるのだが、実際に読んでみるといわゆるハードボイルドものとはかなり味わいが異なる。Wikipediaによればハードボイルドミステリは「行動的でタフな性格の探偵を登場させ、そういった探偵役の行動を描くことを主眼とした作風を表す用語として定着した」とあるのだが、確かに杉村三郎は足を使って事件を解くタイプとはいえ、決して行動的であるとは言い難い。また性格的にもタフというよりも、優しさと我関せずの間で常に煩悶しているようなタイプだ。 ただその性格、あるいは事件との向き合い方は妻との離婚をきっかけに大きく変わってしまったようにも思える。ペテロの葬列までの三作品では、杉村が結果的に関わることになる事件というのは、いわば「公的」なものだった。彼には家族があり、彼の私生活と事件の間にははっきりと境界線が引かれていた。もちろん家族が関わるような事件もあったが、それも公的なものに属していたはずの悪意が、私的な空間に飛び込んできたのがきっかけだった。 一方で彼が私立探偵になってからは、極論を言ってしまえば、杉村は空っぽになってしまった。娘の桃子の幸せを願う一人の父としての顔はあるが、彼が本作の劇中で自覚するように、彼はもう「今多の家族ではなくなってしまった」。私立探偵という仕事も、彼が選んだ仕事であるとはいえ、生きている間の暇つぶし・・あるいは”生き方”そのものに見えてしまう。それゆえに、今作で起こる事件は杉村が人間として直面しているように感じられて、読んでいてもどこか息苦しさを感じさせるところがある。 おそらく意図的に、本作ではその「家族をなくした杉村」に対して、全ての事件が家族のつながりをきっかけに事件が起こっている。巨大な陰謀や悪ではなく、日常に埋もれた悪意を描き続けた本作も杉村の離婚をきっかけにコンセプトが少しずつ変わってきているのだ。もしこのシリーズが続くのであれば、いずれは彼の義父であった今多義親が亡くなり、今多家と桃子が事件に巻き込まれるというストーリーが描かれるのではないかと想像している。
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この杉村三郎シリーズ、最初は大好きだったのに、段々と重く暗く後味の悪い事件ばかりになってきてつらい…。 大富豪の娘婿設定も完全になくなってただの町の探偵になっているところも、以前と比べて面白みに欠ける。
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