まんが やってみたくなるオープンダイアローグ の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
オープンダイアローグ、という言葉はちょくちょく精神医学系の本で見かけたことがありましたが、どういうことをするのかきちんと知りませんでした。 何となく自分の辛かった話や経験などを数人で輪になって打ち明け合うような感じなのかなと思っていました。思ってたのとちょっと(いや、かなり?)違っていましたね。 やり方で一番驚いたのは何と言ってもリフレクティング。オープンダイアローグに興味を持った人でこれに驚く人が一番多いのではないかと想像。 当事者を交えない話し合いをその場にいる当事者にその様子を見てもらったり話し合いの内容を聞いてもらう、そのことで当事者自身の中にある思いが出てくる、ということが状況の突破口になったりひいては治療につながっていくという。何か「傍聞き(かたえぎき)」という小説があったけど(長岡弘樹著)あれを思い出しました。 本当はその人に伝えたい話をあえてその人じゃなくてその場にいる別の人に聞かせて、伝えたい人とダイレクトに話をしないことで言いたいことに疑いを持たれずにきちんと伝えたり、傍で婉曲に聴かせることで伝えたい人の想いや考えを引き出すというやり方で事件を解決に導いくという小説でした。その小説を読んだときには「日本人的やり方だなぁ」と思ったものですが、オープンダイアローグはフィンランド発祥とか。 本書の最後の方にまんが担当の人がフィンランドへ取材に行った話が漫画で出てきますが不思議な感じでしたね。 不思議と言うなら本書で漫画に描かれている実際にオープンダイアローグを用いた解決例が全て「摩訶不思議」とも言えなくもない感じがしましたが「統合失調症の人の妄想も否定しない」というのは有効な感じはしつつも家族にはハードルが高いなぁと思いました。だからこその第三者によるオープンダイアローグが有効なんでしょうね。 精神関係の対処をする場合は、肉親や家族じゃないほうがいいのかなぁと思うことは自分や家族を振り返っても多々ありました。距離が近すぎて、客観的にどうしてもなれなくなってくるのです。 支援者や医療者と当事者について関わっていると、親身な中にも時々冷たいなぁと感じる時がありました。でもそれは、そう感じられるくらいの客観性で、現実に問題を解決しようとする中では必要なものなのだろうとも思っていました。 何と言うか「他人の考えや力」が絶対必要と言いますか。 大体本書にも出てくるような問題を抱えた家族と言うのはもう、人との繋がりが狭くて関係が煮詰まってしまってがんじがらめになっていることが多くて、そもそも医療であれ福祉であれ他人に関わってもらうということ自体が出てこなくなっていることも多いように思います。 オープンダイアローグはやれるならやれたほうが絶対いいだろうと思うものの、そこへ持っていくまでにハードルがある家族は多いのじゃないかなと思いました。 p109私も「統合失調症の急性期の人は話が通じない」と思っていました。そうじゃないと30年早く知りたかったなぁ。 そうしたらもう少し母を楽にできただろうか、家族ではやはり無理だったろうかと考えました。 それにしても、斎藤先生や向谷地ワーカーの絵がご本人にそっくりで笑ってしまいました。第9章「タマキ先生のビフォーアフター」を読んでジーンとしました。医療者も最初から医療者だったわけでなくて悩んだり諦めたりしながら医療に向き合ってこられたんだなぁと。 まだ世間の認知度の低い治療法といいますか突破口だと思われますが、今後精神医学界のスタンダードになっていくことを願っています。
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簡単なオープンダイアローグの様子や、やり方がわかった。治療することではなくて対話自体が目的であることや、患者の尊厳を第一に考えることなど勉強になった。患者に直接的に伝えると上下関係ができてしまうので、リフレクティングを用いて対話の中で患者に気付かせるのが大切だと思った。
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【動機】オープンダイアログを知りたくて フィンランド発のコミュニケーション方法と聞き、興味を持った。 一部まんがでも表現されているので、どういう変化があらわれるかがわかりやすい。 どういうふうに進められるか理解はできるものの、実際に自分が取り入れようと思ったとき、たくさんの「...
【動機】オープンダイアログを知りたくて フィンランド発のコミュニケーション方法と聞き、興味を持った。 一部まんがでも表現されているので、どういう変化があらわれるかがわかりやすい。 どういうふうに進められるか理解はできるものの、実際に自分が取り入れようと思ったとき、たくさんの「癖」が邪魔をすることに気づく。 オープンダイアローグで大切とされるのは以下の5点。 世間話のような話でもなんでもしながら、 対話を続けること。 「こうなるだろう」という想定は捨てて、 自由に話が進むのを見守ること。 ほかのひととチームになって行うこと。 当事者についての話題は、 本人がいるところでだけ行うこと。 他者と自分をあくまで「違う存在」として わけて話を聞くこと。 「ついアドバイスをしてしまう」というのも、対話を妨げる。自戒したい。
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斉藤さんが書いている。以前は妄想について聞くのは抑えられていた。今は積極的に話を聞き、オープンにすべき。いったいどちらが有効なの??
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水谷緑さんの温かみのある素朴な作風のマンガで癒される。解説の斉藤環さんの葛藤や人間らしさに触れることができた。 自分の考えに相手を同一化させようと説得、尋問、叱咤激励、アドバイスというのは一方的で相互性がなく、合意と同一化を目指すことではないという。 べからず集がとてもわかりやす...
水谷緑さんの温かみのある素朴な作風のマンガで癒される。解説の斉藤環さんの葛藤や人間らしさに触れることができた。 自分の考えに相手を同一化させようと説得、尋問、叱咤激励、アドバイスというのは一方的で相互性がなく、合意と同一化を目指すことではないという。 べからず集がとてもわかりやすく陥りやすい注意点がずらりと並び、普段の会話でも注意すべき点として役立ちそう。 1 説得、議論、説明、尋問、アドバイスはしない 結論ありきの押し付けで双方向性がない 2 体験を否定しない 患者の主観をとことん大事にする 症状を否定することはその人自身をひていすること 3 わかったつもりにならない 正しさとか客観的な事実のことはやめましょう Q&Aも具体例が盛り込まれていてイメージしやすい。 みんなが「てん」で自分の思いをしゃべってそこではじめて語る自由、語る欲望が生まれてくる。 当時者が自発的にふるまうことのできる空白を生み出すための対話の重要性の指摘、いくつもの視点をお盆の上にのせていくことだというリフレクティングの表現が漫画でとてもわかりやすい。 月光を見ているときのような暗い中の明るさ、静かで穏やかな気持ちで没入している様子は追体験しているようだった。
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●なぜ気になったか SNS公開の感想で興味を持った。精神科医の著者が採用しているオープンダイアローグ手法、「対話を続ける」がポイントらしい、理解したい ●読了感想 わかっているつもりでわかっていなかったことに気付かされた。「会話と対話の違い」「傾聴だけではダメ」。日常の人間関係...
●なぜ気になったか SNS公開の感想で興味を持った。精神科医の著者が採用しているオープンダイアローグ手法、「対話を続ける」がポイントらしい、理解したい ●読了感想 わかっているつもりでわかっていなかったことに気付かされた。「会話と対話の違い」「傾聴だけではダメ」。日常の人間関係でも適用すべき考え、今後意識して生活していこう #まんが やってみたくなるオープンダイアローグ #斎藤環 #水谷緑 21/3/15出版 #読書好きな人と繋がりたい #読書 #本好き https://amzn.to/3GQtb3B
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閉じこもり状態の人がオープンになる場の設定とは、ということで気づきがあった。 ・とにかく緩い対話を続ける ・フェアと感じられること ・きちんと聴かれていると感じられること 私は自分が話をすること自体は苦手ではないが、人の話を引き出すのは上手くないと自覚している。結果を想定して導...
閉じこもり状態の人がオープンになる場の設定とは、ということで気づきがあった。 ・とにかく緩い対話を続ける ・フェアと感じられること ・きちんと聴かれていると感じられること 私は自分が話をすること自体は苦手ではないが、人の話を引き出すのは上手くないと自覚している。結果を想定して導くような聞き方ではなくて、話しやすくなる場の設定とか、じっと耳を傾ける、ということを意識しようと思った。
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苦しんでいる人の力になりたくて、勉強のために読んでみた。うまくやれるようになるには、経験を積む必要がありそう。同じ思いの仲間がほしい。
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変えようとしないからこそ変化が起こるーこの逆説こそが、オープンダイアローグの第1の柱です。 オープンダイアローグでは治療や解決を目指しません。対話の目的は対話それ自体。対話を継続することが目的です。そうすると、一種の副産物"オマケ"として勝手に変化(改善、治癒...
変えようとしないからこそ変化が起こるーこの逆説こそが、オープンダイアローグの第1の柱です。 オープンダイアローグでは治療や解決を目指しません。対話の目的は対話それ自体。対話を継続することが目的です。そうすると、一種の副産物"オマケ"として勝手に変化(改善、治癒)が起こってしまう。 第6章 オープンダイアローグべからず集 1説得 議論 説明 尋問 アドバイスはしない 2体験を否定しない 3わかったつもりにならない 引きこもりの人たちとかにとって、押し付けがましかったり、義務的ではなくて、少しでも知力、認知能力、会話力、判断能力、主体性、協調性などが持てることなれる方法のひとつとして、きっかけとしても、やってみる、やっていく場が増えるといいと思いました。
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医療や福祉のグループでなくても、人の集まりがあればできそう!と思わせるのがすごい。 コミュニケーション(対話)は、1対1で語り合うこと以外にも多様な方法があると感じた。 症例も分かりやすく、水谷先生の著者はいつも徹底した取材の賜物のように思う。
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