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未来は決まっており、自分の意志など存在しない。 の商品レビュー

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31件のお客様レビュー

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2024/06/18

運命論や達観論、人間をプログラムされたものとして見る橘玲系の本。因果的決定論やカルヴァン派的宗教観、ラプラスの悪魔は、私には殆ど同じことを言っているように感じる。それと、自由意志の否定は同根という気がする。 まず脳が無意識に動き出し、その後、動かそうと言う意志が形成され、最後に...

運命論や達観論、人間をプログラムされたものとして見る橘玲系の本。因果的決定論やカルヴァン派的宗教観、ラプラスの悪魔は、私には殆ど同じことを言っているように感じる。それと、自由意志の否定は同根という気がする。 まず脳が無意識に動き出し、その後、動かそうと言う意志が形成され、最後に実際に手首が動くと言うのが正しい順序。ベンジャミンリベットの実験が紹介される。尚、リベットは、自由意志は否定したが、自由否定は否定していない。 未来が自由で未確定だと思うのは、実は誤解であり、すべての情報を手元にした存在にとって、未来は全て確定済みである。複雑化している世界の全てのパラメータが明らかならば、その因果関係は過去から未来へ、連鎖的に解き明かせるという考えだ。不確実な社会とは、人間レベル故感じる事象なのだろう。 そんな風に人間を捉え直す時、人間に備わる脳機能が行動に果たす影響は大きい。サートリウスの報告では、男児愛の被験者は、男児を見ると感情に関わっている脳部位である扁桃体が一般の被験者に比べて大きく活動することがわかっている。この脳は意思でどうこうできるものではなく、自然にそうなってしまう点が重要である。また、小児性愛者は、一般的な大人のエロティックな画像を見ても、異性愛者に比べて、外側前頭前皮質と海馬の活動レベルが有意に低いことがわかっている。つまり小児性愛は、脳の個性であり、同性愛と同列に語ることができる。海産物を多く摂取する国では、殺人事件の件数が少なく抑えられることがわかっている。 他にも、素朴実在論に対する唯識論の話、物理学者バートランドラッセルは、世界は5分前に始まったと言う命題を論理的に誰も否定できないという引用。正直庄作の婿入りの話、サッケード抑制など。こういう本は面白い。

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2024/01/28

難しいけど面白かった。この世は不思議な世界。初めから決まっている。そんな気もするし、それが本当かもわからない。神とはなんであるか。意識とは情報であるのか、真実がなんであるかわからないように巧妙に作られているのかもしれないし、そうじゃないかもしれない。 曰く不可解。眠くなって来た。

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2023/11/29

妹尾はラプラスの悪魔を持ち出しておきながら、三体問題やゲーデルの不完全性定理を紹介していないのは明らかな片手落ちだ。 https://sessendo.hatenablog.jp/entry/2023/11/29/124657

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2023/10/08

おもしろかった。 環境と自己との相互作用による心理学的決定論。 自分の意志で決定していると思っても全ては決まっていること。 自分がこれに反発して努力してもあーそうなんだなと思って努力しなくても、それすらも決まっていること。 んー、痛快でした。 決まっているのであれば、ど...

おもしろかった。 環境と自己との相互作用による心理学的決定論。 自分の意志で決定していると思っても全ては決まっていること。 自分がこれに反発して努力してもあーそうなんだなと思って努力しなくても、それすらも決まっていること。 んー、痛快でした。 決まっているのであれば、どうか人と人が争わないで済む世界にしてくれんかね、と思わずにはいられない。

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2023/07/31

ようするに「ラプラスの悪魔」論 こういう心理学の本でよく見る、腕を動かそうと意識するより前に脳は反応している、例えば、バッドでボールを打つと思考する前に、身体は動いており、身体が動いて結果が出た後に、それにそうように意識が思考をつくりだしている、という話。はじめて見聞きした人には...

ようするに「ラプラスの悪魔」論 こういう心理学の本でよく見る、腕を動かそうと意識するより前に脳は反応している、例えば、バッドでボールを打つと思考する前に、身体は動いており、身体が動いて結果が出た後に、それにそうように意識が思考をつくりだしている、という話。はじめて見聞きした人には衝撃だと思うが、どこがかで聞いたことがある人にとっては、その内容を深掘りしているわけではないから、そう言われているね、という感想で終わってしまう。 「未来は決まっている」根拠を様々な視点から語る中に量子論もある。しかし、すべての要因を把握できるなら、未来はひとつという「ラプラスの悪魔」はいわゆる古典物理学で、量子論はそれを否定(未来は決まっていない、重ね合わせの状態である)するものだと思うのだが……無理矢理量子論の一部をつかって、自分が持って行きたい結論(未来は決まっている)に持ってくるのはどうなのか、と思ってしまった。 芸術と未来決定論の項目はなかなか興味深かった。

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2023/07/30

この世界のシナリオはあらかじめ決められていて、私たちは外界の刺激に対して決められた反応をしている。我々人間は意識レベルが高度であるため選択肢を与えられているように錯覚しているが、これが自由意思があると思わせる神が与えた罠である。 意識とは情報。これが結論としている。 私たちの見...

この世界のシナリオはあらかじめ決められていて、私たちは外界の刺激に対して決められた反応をしている。我々人間は意識レベルが高度であるため選択肢を与えられているように錯覚しているが、これが自由意思があると思わせる神が与えた罠である。 意識とは情報。これが結論としている。 私たちの見ている世界は私たちの脳内で電気信号として構成されており現実と妄想や夢との区別は曖昧で、頭のなかにあるもの全てが現実である。 いまの生活も、これを書いている私も、私の文章を読んでいるあなたも、年老いた自分が夢を見ている若き日の自分である可能性もあり、その可能性を否定できる証拠はどこにもない。 この理論の魅力的なところは、自分=世界であるから、何をしている自分も宇宙の一部として認められ、尊敬するあの人もぜんぶ自分の一部であり、人と比べて自分は劣っているとか狭い視野で物事を考えることから解放してくれるところである。

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2023/01/07

人間は当然自分の意志で動いていると思っている。しかし実はその前に体が反応していて、自分が判断していると思っているのは錯覚にすぎない、という脳科学などの本を読んだことのある人にはよく知られているベンジャミン・リベットの実験。この定説から出発して、未来は全て決まっていて人間はその通り...

人間は当然自分の意志で動いていると思っている。しかし実はその前に体が反応していて、自分が判断していると思っているのは錯覚にすぎない、という脳科学などの本を読んだことのある人にはよく知られているベンジャミン・リベットの実験。この定説から出発して、未来は全て決まっていて人間はその通りに動いているに過ぎないという誰もが一度はした空想を結論として結びつける野心的な本。ただ、その論拠を前提の違う神学や哲学などの人文知をもとに組み立てようとするのは違和感を感じた。著者も所属する日本人文学教養学会には受けがいいかもしれないが、科学的な知見の積み重ねでの推論が読みたかったしそのほうが説得力のではないか。哲学などの人文教養好きがその方向から読む心理学エッセイを期待する読み手にはいいかもしれないが、タイトルの結論を導くには説得的ではないと思う。

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2022/11/09

>意識とは情報であり、生命とはその情報を増やすために配置された「なにがしか」(存在)である。 ドーキンスの利己的遺伝子論と同じ。我々は遺伝情報を増やすための乗り物

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2022/10/31

自由意志について あくまで著者の仮説 「心理学的決定論」 この世の全ては事前に確定しており、自分の意思は幻影だ。 “我々は意志の力では生きていない。脳と環境の相互作用によって、自動的に体を動かされ、全て事前に決まっているプログラム通りに反射を繰り返しているだけだ。意志で作っ...

自由意志について あくまで著者の仮説 「心理学的決定論」 この世の全ては事前に確定しており、自分の意思は幻影だ。 “我々は意志の力では生きていない。脳と環境の相互作用によって、自動的に体を動かされ、全て事前に決まっているプログラム通りに反射を繰り返しているだけだ。意志で作っているように見えても、全ての行動は環境からの刺激に対する、反射なのである。53 “意識とは情報であり、生命とはその情報を増やすために配置された「なにがしか」(存在)である。この世界の本質は情報なのだ。276

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2022/10/14

著者自身も書いているけど、本当に「マスターべション的思想本」だと思う。 最後の数ページだけは、興味深く読むことができました。

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