おまじない の商品レビュー

西加奈子(著者)

2023/03/23

「自分が弱い人間なんだってはっきり自覚したら、ぼく、強がってたときよりなんていうか、生きやすくなったんです。自分の弱さを認めたら、逆に強くなれたんです。」
『マタニティ』

「お前がお前やと思うお前が、そのお前だけが、お前やねん。」
『ドラゴン・スープレックス』

「これ、と決めたら一生それと添い遂げることが出来る人で、新しいものには決して飛びつかなかった。」
『いちご』

2023/03/15

孫係　良い子でないけど、まわりの人を傷つけないように良い子でいようとする。束の間、同居したおじいちゃんが　係　と思えば良いよ。とまごにそっと教える。係と思ってそれを演じれば楽な気持ちになる。素敵な夫婦だと思っていたおじいちゃんとおばあちゃんは実は２人きりの時はお互いに毒を吐いていた。毒を吐きあう2人も素敵と思った。

2023/02/23

孫係が良かった。
普段、仕事中も家の中でも、ときに腹立たしい思いをしたり、腹黒いことを考えてしまったり。
口には出さないけど、そして人には絶対に聞かせられないけど、悪口や嫌味を言いたくなったり考えてしまうことがある。
その度、私って暗いなー、性格悪いよなーって自己嫌悪だけど、そっか、私って優しいのか、って少し自分をなぐさめてあげることができた。

2023/02/06

個人的には、家族との関係を特に考えさせられる、かな。
これはにほんがとくにそうなのかなーとか。親子とか、欧米の場合は子どものときから他者として、一人の人間として、関わる傾向が強いように思うけど、日本ではいろいろと汲み取らないと行けないこととか、家庭によって度合いもいろいろ。
人間関係でみんなが悩みまくっている社会で、人と付き合うのは大変だけどそれだけじゃない、って少し回りを見て自分の仲間を見つけられたらいいな、とか、そう思える本。

2023/02/05

西加奈子さんの引き出しは無限なのだろうか？登場人物の個性、言葉のチョイス、ストーリーにいたるまで新たなものが生まれてくる。本を読むのが好きな人は僕もそうですが、いつか小説が書きたい書けるんじゃないかと妄想しますが自分のやってきたことや自分が好きなジャンルを書いたらそこで行き詰まってしまうんだろうなあと感じます。当分西加奈子さんから抜け出せない予感がします。みなさんの評価が高い孫係が僕も好きです。

2023/01/22

出会った人や言われた言葉で私は、私の人生は変わってゆく、、
優しいおじさんの優しいおまじないのような言葉。
焼却炉のおじさんや、テレビで見た罪を犯した有名人、おじいちゃん、おとうさん、家族。
私にもそんな事あったと思うし、そしてそれはもう忘れてしまっている。
忘れなくてもいいし忘れてしまっててもいい。と思う。

『じゃぁそれは思いやりの心からくるんです。』

『いい子でいようとすることは、いい子のふりではなく本当にいい子だから出来ることなんです。』

今回は孫係、ドラゴンスープレックスが好きでした。
数年後、読んだらまた感想が変わるかなと思いました。
少し疲れてしまった時に読みたい本です。
そうやって今後も読み返していきたい本に出会えてよかった。

2023/01/21

各話30ページほどの短編8話でしたが、どの作品もページ数以上に読みごたえがありかつ個性的。余り短編集自体が好きじゃないのと、何個かは今一つピンと来ない話があったので星３つですが、最近読んだ短編集の中ではかなり上位に入る作品だったような気がします。個人的には「孫係」と「マタニティ」が面白かったかな～☆

恐らく、ネガティブな性格の人が弱い自分を励まして欲しいと思った時に読むと更に心に響く気がします。あと、男性よりは女性におススメって感じかな？？ただ、男性が読むと複雑な女性の気持ちが少し分かったりするような気もしました。条件に合致する人にはおススメ☆

2023/01/10

私が共感できる状況や、これならたしかに「おまじない」になるなぁと思う言葉はなかったが、だからこそ人によって、本当に様々な言葉が励みになったり、支えになったり、一歩先行く手助けになったり、安心したり、たぶんそんなことがたくさんある。私の場合はなんだろうと考えた。

人の日常や、気持ちなどをしっかりと文章にできる西さんは本当にすごい。

2023/01/04

様々な境遇におかれた女性たちの生き方を描いた8編の短編集。どのお話も読んだ後に「ありのままの自分でいいんだ」「弱くてもいいんだ」という気持ちを抱くことができました。

今の自分には「孫係」というお話が特に沁みました。親、家族、友達……大切か人達のはずなのにどこか鬱陶しく感じてしまうことがある、でもそれを悟られないように自分を偽って振る舞い、そんな自分が嫌になる。そんな経験は誰にでもあるものだと思います。
だけど【その人の望む自分でいる努力をする】ことは【思いやりの心からくる】こと。【それは涙ぐましい努力だし、いい子のふりではなく、本当にいい子だからできること】。その言葉に心が少し軽くなったような気がしました。

読む時におかれた自分の状況によって、心に残る言葉やお話、解釈の仕方や印象が形を変えそうな1冊でした。

2022/12/30

タイトル通り沁みる短編集。今の私には孫係が特に効いた。根はいい子、それをどれだけ態度に表せるかとか、正直なことと優しいことは別とか。凄く効いてくる。他の話も読む時の自分の状況によって感じ方変わりそう。時間を空けて再読したい。