ヴィクトリアン・ホテル の商品レビュー
適度な違和感が最後にほとんどスッキリ、登場人物がこのくらいの人数だと助かる。 『ある程度の年齢以上の人に時代と共に変わった価値観である日突然責めるのは酷である』という記述でM元五輪相を思い出した。
Posted by
老舗名門ホテルを舞台に繋がりを大切に描かれた素晴らしい作品でした。 コロナ禍に苦しむ現在の世の中において、価値観も大きく変わり、ニューノーマルとかいった新しい考え方も生まれ、決して元には戻らないと語られる。 どれが正しいのかはわからないが、私自身が経験してきた事を振り返っても...
老舗名門ホテルを舞台に繋がりを大切に描かれた素晴らしい作品でした。 コロナ禍に苦しむ現在の世の中において、価値観も大きく変わり、ニューノーマルとかいった新しい考え方も生まれ、決して元には戻らないと語られる。 どれが正しいのかはわからないが、私自身が経験してきた事を振り返っても、ポケベルの時代には戻らないし、ガラケーの時代にも戻らない。 沢山の人が自らの意見を容易に発信できる世の中になったが、おそらくその潮流も当面変わらないだろう。 よりたくさんのフォロワーを持つ人がすごい。 そういう人が世の中に対する影響力を持つ。 確かにそんな面もあるだろう。 誰かに何かの影響を与えるとか考えもしない発言が、一気に世の中に拡散するコトもあるだろう。 その発言には責任がなく、影響を受けて行動を起こした人に責任がある。 善意の人の発言であればそうかも知れない。悪意を持った人の発言に影響されたとしたらどうだろう? 穿った見方かも知れないが、善意の人がそういうことを心配して、行動しないなんてコトは世の中求めていないよと言う事を伝えたかったのか? 前向き後ろ向き、人それぞれ置かれた環境により様々な考えを持つが、それをどうこうしようとするのではなく、また批判するのではなく、受け入れ、向き合いう事でより素敵な人生を歩めるような、温かい気持ちの読後感でした。
Posted by
人物をメインにして物語が進んでいく語りであるが、その時間軸が 中で少しずつ違うことが最後にわかる。 初め読んだ後の感じが何か違和感があることがわかり、最後に物語の絡まった糸が解かれる。なるほど!登場人物は違わないが、時間軸で歳だけは取った感じが最後に出てきた。結構時間の捻りがあっ...
人物をメインにして物語が進んでいく語りであるが、その時間軸が 中で少しずつ違うことが最後にわかる。 初め読んだ後の感じが何か違和感があることがわかり、最後に物語の絡まった糸が解かれる。なるほど!登場人物は違わないが、時間軸で歳だけは取った感じが最後に出てきた。結構時間の捻りがあった。少しうまい!
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
公に向けて表現することの覚悟について語られており、当たり前だが、大切なことだと思わされた。足を掬われないために、確認しておくことは必要だ。もちろんミステリとしても叙述トリックを楽しめる。
Posted by
コロナ禍の時代に最終営業日を迎える高級ホテルを舞台にした群像劇。だが、読み進める内に何となく登場人物の言動に違和感を覚える。終盤でそれが伏線回収された時は気持ち良かった。同時に「何かを表現するというのは誰かを傷つけることだ」というテーマによって単なる娯楽小説で終わらず力強い現代性...
コロナ禍の時代に最終営業日を迎える高級ホテルを舞台にした群像劇。だが、読み進める内に何となく登場人物の言動に違和感を覚える。終盤でそれが伏線回収された時は気持ち良かった。同時に「何かを表現するというのは誰かを傷つけることだ」というテーマによって単なる娯楽小説で終わらず力強い現代性を帯びている。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
やられた! ちょっとした違和感や同じシャンデリアの表示方法の違い等色んな所にトリックのネタ的なものが散りばめられてたが、気付かなかった。 そもそも面白い本って、タネを明かしてやると意気込んでもつい物語に夢中になり、その事をすっかり忘れて結末に辿り着くパターン笑 私が一番好きなシーンは、森沢と林夫妻のエレベーターの中のシーン。 それまでの森沢は自己中で自分さえ良ければ的な人物やったが、林夫妻の熱い説得は読んで燃えた! ラストで再開した時はちょっとうるっときた。
Posted by
僭越だが、下村作品が大きく一皮向けた印象の傑作。下村氏お得意のプロットをミステリーではなく、一期一会が繰り返される老舗ホテルを舞台に40年の月日を行きつ戻りつしながら、人間の本質・価値観を問うハートウォーミングストーリ。主題が明確で時間のプロットがその伏線となっていて、あたかもミ...
僭越だが、下村作品が大きく一皮向けた印象の傑作。下村氏お得意のプロットをミステリーではなく、一期一会が繰り返される老舗ホテルを舞台に40年の月日を行きつ戻りつしながら、人間の本質・価値観を問うハートウォーミングストーリ。主題が明確で時間のプロットがその伏線となっていて、あたかもミステリーを読まされているかの印象を与えつつ、何も事件は起こらない。この感想だけ読むとつまらない小説に思えてしまうが、全くそんなことはなく読んで絶対損しない秀作。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
100年の歴史を持つ老舗高級ホテルが改築のためいったん閉鎖される、その前日、顔を合わせた人々。それぞれのホテルとの思い出、その場にいることの理由、すれ違うだけのそれぞれの関係が、うねりだす。 いやぁ、途中から「おや?」と思うところはたくさんあったんですよ。あぁこれはこういうことだな、と。 しかし、いや、けれど、こんなに、こんなに、こんなにすべてがつながっていたなんて!!! まさか、これも?あれも?ええ?どれも!?と怒涛のつながり。 振り落とされないように必死でついていく。気持ちいいほどのドミノ倒し。 ドミノが倒されている途中ですでに2読目に心は向かう。 「優しさ」という「呪い」にとらわれた5人の点と線がつながるその日、ホテルの歴史に幕が下りる。 くはー、やられたね、とニヤリ。
Posted by
高級ホテル「ヴィクトリアン・ホテル」が改築のため、一旦閉館することになる。 最後ということで、ある女優が泊まることに。 ホテルを舞台に、五人の訪問者が一夜の出来事を通して、悩みを抱えながらも前に進もうとする。 主な登場人物は五人で、それぞれパートをもっています。それぞれメイン...
高級ホテル「ヴィクトリアン・ホテル」が改築のため、一旦閉館することになる。 最後ということで、ある女優が泊まることに。 ホテルを舞台に、五人の訪問者が一夜の出来事を通して、悩みを抱えながらも前に進もうとする。 主な登場人物は五人で、それぞれパートをもっています。それぞれメインを張っていますが、他のパートにも登場するので、物語の奥行き感を増していました。 この作品の最大の見どころは、下村さんのマジックショーにまんまとハマってしまったことです。中盤までは淡々と時が流れていたのですが、後半になると、ある違和感が。それが解けた瞬間、見事に騙されました。一つの言葉の解釈がこんなに拡がるとは、面白かったです。 言葉のチョイスが素晴らしく、読みやすかったので、あっという間に読み終わった気がしました。 ミステリーとしての面白みもありますが、登場人物たちの心理描写も楽しめました。 善意と悪意は紙一重で、全ての人たちを幸せにすることは無理だということを感じました。 自分の中での常識と世間での常識とのズレ、それを手軽に批判してしまうこのご時世。 善意だと思ったことが、もしかしたら批判のネタにされることに悲しみを感じました。色んな考えがあってもいいですが、どこか違和感も感じました。 貧しいから見えてくる憧れがこの作品には多く散りばめられていて、共感するところもあり楽しめました。 五人がどう絡んでいくのか、歴史も含めて多く楽しめました。
Posted by
改装のため明日で一旦幕を下ろすこととなった都心の老舗ホテル、ヴィクトリアン・ホテル。訳ありの夫婦、行き詰まった女優、世を拗ねたフリーター、大企業のイケイケ男、文学賞受賞作家‥‥、このホテルを舞台に描かれる様々な人間模様。 ホテルものってどうしてこんなに面白いんだろう。本来なら関...
改装のため明日で一旦幕を下ろすこととなった都心の老舗ホテル、ヴィクトリアン・ホテル。訳ありの夫婦、行き詰まった女優、世を拗ねたフリーター、大企業のイケイケ男、文学賞受賞作家‥‥、このホテルを舞台に描かれる様々な人間模様。 ホテルものってどうしてこんなに面白いんだろう。本来なら関わり合うことのない者たちの人生が、ホテルという箱の中で交差し、化学反応し、思わぬ結果をもたらす奇跡。 ホテルものの醍醐味を味わい、頁も残すところ5分の1となったところで脳が大混乱をきたす。え、え、何? それからは脳がフル回転。どうして今まで漫然と読んできたんだろうと悔やんでも遅い。あ〜してやられました。 結局、もう一度最初から読み直すことに。うんうん、それにしても上手く書いてるわ〜。 そんなトリッキーな部分だけではなく、作品を貫く「優しさ」というテーマも深く考えさせられて、よく出来た作品でした。
Posted by