ヴィクトリアン・ホテル の商品レビュー
創業百年を誇る老舗の超高級ホテルが、その歴史に一旦幕を下ろす。その前夜にホテルを訪れた人々の群像劇……だと思って読んでいた。が、なにかがおかしい。複数の視点を行き来しながら描かれる情景に違和感がある。特に大きな事件や事故が起こるわけでもないので考えもしなかったが、思った通り叙述ト...
創業百年を誇る老舗の超高級ホテルが、その歴史に一旦幕を下ろす。その前夜にホテルを訪れた人々の群像劇……だと思って読んでいた。が、なにかがおかしい。複数の視点を行き来しながら描かれる情景に違和感がある。特に大きな事件や事故が起こるわけでもないので考えもしなかったが、思った通り叙述トリックを駆使した作品だった。相変わらずのボンクラなのですっかり騙されてしまったが、歴史は繰り返すということか。受け止め方を巡る論争がたびたび出てくるが、これも昔からあったのかなと首をひねった。
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辛口メンゴ。楽しみにしてた割には今ひとつ。都内にある最高級ホテル『ヴィクトリアンホテル』。ラグジュアリーで歴史ある空間は人々の憧れの的。そんなホテルが閉館する最後の夜の群像劇。舞台や設定は面白そうで惹かれた。でもいつまでたっても「姉さん事件です」ってならないのよ。下村さんにはミス...
辛口メンゴ。楽しみにしてた割には今ひとつ。都内にある最高級ホテル『ヴィクトリアンホテル』。ラグジュアリーで歴史ある空間は人々の憧れの的。そんなホテルが閉館する最後の夜の群像劇。舞台や設定は面白そうで惹かれた。でもいつまでたっても「姉さん事件です」ってならないのよ。下村さんにはミステリーを期待しているので、群像劇の人間ドラマが全面の今作はどうも合わなかった。その群像劇自体も面白いかといえば微妙。そして終盤にはやはり仕掛けが用意されていたものの、爽快感より「引っ掛けられた」という印象になってしまったのが残念。
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ミステリだと思って何か事件性があるのかと思いながら読み進めるも、途中から人物の行動に不一致を感じたり、時系列のずれを感じたりして、「そういうトリックか!」と後半になってわかった時は本というメディアをうまく使ってるなと思った 優しさは自分本位ではなく相手本位でしかない 善意にも偽...
ミステリだと思って何か事件性があるのかと思いながら読み進めるも、途中から人物の行動に不一致を感じたり、時系列のずれを感じたりして、「そういうトリックか!」と後半になってわかった時は本というメディアをうまく使ってるなと思った 優しさは自分本位ではなく相手本位でしかない 善意にも偽善にもなりうるけど、そこに対する批評に責任を感じる必要はない 自分の行動に対してでしか責任は取れない そこに悪があれば認めるべきだけど、 「この場合もあるよね?」というたらればに杞憂する必要はないんだと気付かされた
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物語半ばになって、いろんな齟齬に気付き、伏線がやたら目について…糸、パズルを解きほぐすために二度読みの誘惑に駆られるが、それは邪道と。「物語も人間関係と同じで、善意でとらえるか悪意でとらえるかで印象が変わる」「人間の見方って、自分の偏見をさらけ出しているのと同じ」「顔立ちは日頃の...
物語半ばになって、いろんな齟齬に気付き、伏線がやたら目について…糸、パズルを解きほぐすために二度読みの誘惑に駆られるが、それは邪道と。「物語も人間関係と同じで、善意でとらえるか悪意でとらえるかで印象が変わる」「人間の見方って、自分の偏見をさらけ出しているのと同じ」「顔立ちは日頃の言葉が作り上げる」
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いい意味で裏切られました! 前半まではホテルを舞台にした同じようないくつかの作品が被っている感じだったのですが、途中から急変・・・ 元に戻って読み返すことも多くなり、なかなか骨の折れる謎解きとなりました(笑) ちょっと欲をいえば、あえて傍点は要らなかったのではと。
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適度な違和感が最後にほとんどスッキリ、登場人物がこのくらいの人数だと助かる。 『ある程度の年齢以上の人に時代と共に変わった価値観である日突然責めるのは酷である』という記述でM元五輪相を思い出した。
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老舗名門ホテルを舞台に繋がりを大切に描かれた素晴らしい作品でした。 コロナ禍に苦しむ現在の世の中において、価値観も大きく変わり、ニューノーマルとかいった新しい考え方も生まれ、決して元には戻らないと語られる。 どれが正しいのかはわからないが、私自身が経験してきた事を振り返っても...
老舗名門ホテルを舞台に繋がりを大切に描かれた素晴らしい作品でした。 コロナ禍に苦しむ現在の世の中において、価値観も大きく変わり、ニューノーマルとかいった新しい考え方も生まれ、決して元には戻らないと語られる。 どれが正しいのかはわからないが、私自身が経験してきた事を振り返っても、ポケベルの時代には戻らないし、ガラケーの時代にも戻らない。 沢山の人が自らの意見を容易に発信できる世の中になったが、おそらくその潮流も当面変わらないだろう。 よりたくさんのフォロワーを持つ人がすごい。 そういう人が世の中に対する影響力を持つ。 確かにそんな面もあるだろう。 誰かに何かの影響を与えるとか考えもしない発言が、一気に世の中に拡散するコトもあるだろう。 その発言には責任がなく、影響を受けて行動を起こした人に責任がある。 善意の人の発言であればそうかも知れない。悪意を持った人の発言に影響されたとしたらどうだろう? 穿った見方かも知れないが、善意の人がそういうことを心配して、行動しないなんてコトは世の中求めていないよと言う事を伝えたかったのか? 前向き後ろ向き、人それぞれ置かれた環境により様々な考えを持つが、それをどうこうしようとするのではなく、また批判するのではなく、受け入れ、向き合いう事でより素敵な人生を歩めるような、温かい気持ちの読後感でした。
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人物をメインにして物語が進んでいく語りであるが、その時間軸が 中で少しずつ違うことが最後にわかる。 初め読んだ後の感じが何か違和感があることがわかり、最後に物語の絡まった糸が解かれる。なるほど!登場人物は違わないが、時間軸で歳だけは取った感じが最後に出てきた。結構時間の捻りがあっ...
人物をメインにして物語が進んでいく語りであるが、その時間軸が 中で少しずつ違うことが最後にわかる。 初め読んだ後の感じが何か違和感があることがわかり、最後に物語の絡まった糸が解かれる。なるほど!登場人物は違わないが、時間軸で歳だけは取った感じが最後に出てきた。結構時間の捻りがあった。少しうまい!
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
公に向けて表現することの覚悟について語られており、当たり前だが、大切なことだと思わされた。足を掬われないために、確認しておくことは必要だ。もちろんミステリとしても叙述トリックを楽しめる。
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コロナ禍の時代に最終営業日を迎える高級ホテルを舞台にした群像劇。だが、読み進める内に何となく登場人物の言動に違和感を覚える。終盤でそれが伏線回収された時は気持ち良かった。同時に「何かを表現するというのは誰かを傷つけることだ」というテーマによって単なる娯楽小説で終わらず力強い現代性...
コロナ禍の時代に最終営業日を迎える高級ホテルを舞台にした群像劇。だが、読み進める内に何となく登場人物の言動に違和感を覚える。終盤でそれが伏線回収された時は気持ち良かった。同時に「何かを表現するというのは誰かを傷つけることだ」というテーマによって単なる娯楽小説で終わらず力強い現代性を帯びている。
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