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ヴィクトリアン・ホテル の商品レビュー

3.7

75件のお客様レビュー

  1. 5つ

    15

  2. 4つ

    25

  3. 3つ

    28

  4. 2つ

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2022/03/21

創業100年の歴史に幕を下ろす「ヴィクトリアンホテル」を舞台にした人々の繋がりのお話。キムタクの方のホテルに釣られてミステリーを意識していたが、ヒューマンストーリー感が強い。不謹慎だが、誰も亡くなることの無い物語を読んだのはいつぶりだろうか...新鮮だった。 最初は素性が丸裸と...

創業100年の歴史に幕を下ろす「ヴィクトリアンホテル」を舞台にした人々の繋がりのお話。キムタクの方のホテルに釣られてミステリーを意識していたが、ヒューマンストーリー感が強い。不謹慎だが、誰も亡くなることの無い物語を読んだのはいつぶりだろうか...新鮮だった。 最初は素性が丸裸となる人物紹介から。 ゆっくりとした時間を経て、主要人物が定着してきた頃やっと物語に集中する事が出来たのだが波が無い。不謹慎だが、何も事件が起こらない物語を読んだのはいつぶりだろうか...新鮮だった。 ーーーーーーーーーーーーー コロナウイルスや東京オリンピックの延期等、どうやら今に密接した世界観らしい。その中、女優 佐倉優美 、窃盗犯 未木本貴志、作家 高見光彦、やり手 森沢祐一郎、老夫婦妻 林志津子.....彼 彼女達の視点で物語は進む。 主に「善意と悪意の持論」が様々な視点から語られるのだが恐らくこれがテーマなのだろう。 文学賞授与式にて、受賞者である高見光彦と対話する前年度受賞者の鴨井室房の饒舌多弁さは痛快で尚且つ興味深かった。以下、彼の発言を一部抜粋する。 【抜粋】 「フィクションの"表現"が人を傷付けることには敏感なくせに、自分が実在の人間に吐いた言葉の"表現"が人を傷つけることに鈍感なのは〜(中略)〜問題を本気で考えてないと思うね。(中略) 作品の否定をする事はその作品に勇気づけられた人たちの否定にもなる。批判した人間が何か責任を取ると思う?フィクションより生身の言葉の方が何倍も切れ味が鋭い刃物なんだよ。」 うーん、確かにその通りだなぁ。私個人は仮に、自分が絶賛した作品を他の人が批判してたとしても内容が内容なものが多いし、自身の人間性の疑いが深まるだけで不快感は芽生えない。むしろ違う感情が知れて嬉しく思う。しかし、「否定」の矛先を個人的に向けられたらきっと悲しくなるのだろう。想像でしかないが、これが相手の感情の否定か。恐ろしい離れ業だ。でもやっぱり、受け取る側の問題もある気がする。意見が対立したら【朝まで生テレビ】したくなる私には無縁の問題な気もするが、無視できない矛盾にとても興味を覚えた。 一人一人の正義や価値観を全て反映させた物語なんてきっと面白くない。どんな物語も誰かを傷付け、誰かを救っているのだと思う。 ーーーーーーーーーーーーーーー 登場人物達の「善意と悪意の持論」はすべて似通っているものの、見たい触れたい感じたい気持ちは溢れてくる。しかし、ここぞとばかりに早口でまくしたてている感は否めず、テーマだとしてもくどい。思う所があるのだろうか、物凄く「コレ」を発信したいという著者の強い意志を感じた。 あまりの主張の多さに昂りは沈静化してしまったが、この頃には著者がミステリー作家だった事を思い出させてくれる「真相」が全力待機しているので飽きが来ない。仕掛けの名称を書くだけでネタバレとなりそうだ。 創業100年の歴史を迎え大勢の人に愛好されたヴィクトリアンホテル。その歴史の中で流れた人々の人生模様が交差する世界は不思議で魅力的な空間だった。 ......言わなくて済む事なのだが、いうてもやっぱりこの綺麗な世界は落ち着かないので、今後反動で何を手に取るのか、暗黒書物大好きマンの次の行動が楽しみだ。(他人事)

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2022/03/14

伏線と構成による見事などんでん返しだったのももちろんですが、価値観やものの捉え方、優しさが人にとって善意もしくは悪意に捉えられるかなど、いろいろ考えさせられました。さらにそれが一方的でなく双方からの視点での言葉であったので押し付けがましくならずバランスの取れた素晴らしい作品でした...

伏線と構成による見事などんでん返しだったのももちろんですが、価値観やものの捉え方、優しさが人にとって善意もしくは悪意に捉えられるかなど、いろいろ考えさせられました。さらにそれが一方的でなく双方からの視点での言葉であったので押し付けがましくならずバランスの取れた素晴らしい作品でした。名言が多く人にオススメしたい作品です。

Posted byブクログ

2022/01/30

伝統ある超高級ホテルが改築されるため、本日が営業最後の夜。 登場人物が多く、場面がすぐに変わり、ん?この人は?となってしまい、メモをしながら読む。 佐倉優美、女優。 三木本貴志、スリ。 高見光彦、作家、三鷹コウ? 森沢祐一郎、実業家。 林志津子、夫、敏行。 高見さんについての部分...

伝統ある超高級ホテルが改築されるため、本日が営業最後の夜。 登場人物が多く、場面がすぐに変わり、ん?この人は?となってしまい、メモをしながら読む。 佐倉優美、女優。 三木本貴志、スリ。 高見光彦、作家、三鷹コウ? 森沢祐一郎、実業家。 林志津子、夫、敏行。 高見さんについての部分から、ん?あれ?と思うことがあり、だんだんカラクリに気づいていく。 なるほど! びっくりする。これはネタバレなので書けないが、誰にでも思い込みはあると思う。 そう思わせておいて、実は!というトリックに見事に引っかかってしまった。 面白かった。

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2022/01/02

宿泊客が織り成す群像劇。 章ごとにそれぞれの宿泊客目線のストーリーになっているんだけど、え?あれ?まさか?といった感じなんです。 まさに、一気読み、二度読み必至です!

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2021/12/22

ホテルの群像劇かー・・・なんというか若干食傷気味というか。この手のお話って大体同じ着地点だからなあ。最期の思い出に高級ホテルに泊まって心中しにきた老夫婦とか絶対うまくいって心中しないパターンじゃん・・・なんかこういい感じにみんな幸せになるハートフルエンドしか見たことないもんなあ・...

ホテルの群像劇かー・・・なんというか若干食傷気味というか。この手のお話って大体同じ着地点だからなあ。最期の思い出に高級ホテルに泊まって心中しにきた老夫婦とか絶対うまくいって心中しないパターンじゃん・・・なんかこういい感じにみんな幸せになるハートフルエンドしか見たことないもんなあ・・・と開始早々にげんなり読み始めたんですが。 まあ実際その通りだったりした部分もあるんですが、一応もうひとひねりが。あとは善意うんぬんの、まあハートフルでもないようなテーマが根底に。 着地点はともかく、どうせ「〇〇だろう」というひねくれた自分に反省しつつ、星一個足して評価4で。

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2021/12/19

+++ 事件、誘惑、秘密の関係……すべてを見ているのは、このホテルだけ。 張り巡らされた伏線、交錯する善意と悪意に一気読み&二度読み必至! 伝統ある超高級ホテル「ヴィクトリアン・ホテル」は明日、その歴史にいったん幕を下ろす。ホテルを訪れた宿泊客それぞれの運命の行方は――...

+++ 事件、誘惑、秘密の関係……すべてを見ているのは、このホテルだけ。 張り巡らされた伏線、交錯する善意と悪意に一気読み&二度読み必至! 伝統ある超高級ホテル「ヴィクトリアン・ホテル」は明日、その歴史にいったん幕を下ろす。ホテルを訪れた宿泊客それぞれの運命の行方は――? 『闇に香る嘘』『黙過』『同姓同名』など、話題作を次々発表する社会派ミステリの旗手がエンターテインメントを極めた、感動の長編ホテルミステリー! ! 【主な登場人物】 佐倉優美――悩める人気女優 三木本貴志――自暴自棄なスリ 高見光彦――新人賞受賞作家 森沢祐一郎――軟派な宣伝マン 林志津子――人生の最期をホテルで… +++ 映像化には向かない趣向である。登場人物それぞれの視点がひとつの章として描かれているので、読者は、同じ場面を複数の角度から見ることもあるのが興味深い。そして、しばらく読み進めると、細かい描写に些細な違和感を覚えることが増えてくる。違和感の正体を探ろうとさらに読み進めると、後半にそれは明きらかになるのだが、もう少し後まで、素直に読ませてほしかった気は少しする。とは言え、全体を通して描かれているのは、人間のやさしさであり、善意が悪意に負けてはいけないというメッセージなのではないかと思えた。ホテルの設えなどは、映像化されたところを見てみたいが、無理な願いだろう。著者のほかの作品も読んでみたいと思わされる一冊だった。

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2021/11/23

伝統ある高級ホテル「ヴィクトリアン・ホテル」が幕を下ろすという前日、ホテルを訪れた宿泊客それぞれの人生が描かれる。 群像劇であり、しっかりミステリーだった。 (図書館)

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2021/11/20

改築のため一時休業する有名ホテルのヴィクトリアン・ホテルに、最後の記念と泊まりに来た人々の群像劇だ。彼らは、それぞれ人生の転換期を迎え、何らかの再生をしていく。記述の仕方に仕掛けがあり、最後にははあと思わされるが、その仕掛けもその再生に寄与しているというか、はっきり言ってそれが肝...

改築のため一時休業する有名ホテルのヴィクトリアン・ホテルに、最後の記念と泊まりに来た人々の群像劇だ。彼らは、それぞれ人生の転換期を迎え、何らかの再生をしていく。記述の仕方に仕掛けがあり、最後にははあと思わされるが、その仕掛けもその再生に寄与しているというか、はっきり言ってそれが肝なんだろう。なんだろうなあ、現代の人情物って感じだなあ。作家や俳優のように表現活動をしている者には、表現法について正義感ぶった批判があることがあるが、それにひるんでいてはだめだということが、やたらと強調されているが、作者にもそういう経験があるのかもしれない。

Posted byブクログ

2021/11/01

139時系列がややこしい。二度読み必至!はうなずけるわ。ちゃんと並べると案外平凡なお話しになってしまうのかもね。

Posted byブクログ

2021/10/17
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

何も情報なく読んだので、最後は予想外で楽しめた。途中、二つの時代の話かと思ったが、もっと複数だったのには驚かされた。時代を確認しながらもう一度読みたくなったが、粗探しをするような気もしてやはりそこまではしなかった。なんとなくか「かがみの孤城」を思い出した。現代社会で大きな問題となっているSNSによる誹謗中傷がテーマとして取り入れられており、登場人物から語られるそれらに対する言葉には共感させられる。

Posted byブクログ