灰の劇場 の商品レビュー
つまらなくは、ない。むしろ面白いのは面白い。しかし、橋から飛び降りた二人は結局のところなぜそうしたのか、最後まで分からないままだった。 しかし、語り手の小説家である主人公が、その二人が飛び降りるまさにその時に邂逅するのだが、そんなにもあっさり、人は飛び込めるものなのか。そんなに...
つまらなくは、ない。むしろ面白いのは面白い。しかし、橋から飛び降りた二人は結局のところなぜそうしたのか、最後まで分からないままだった。 しかし、語り手の小説家である主人公が、その二人が飛び降りるまさにその時に邂逅するのだが、そんなにもあっさり、人は飛び込めるものなのか。そんなにもあっさりと自らの一生を終わりに、ぶった斬れるのか。 このシーンは、少し、戦慄のようなものを覚えた。
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この作品は純然たる小説なのか随筆なのか複雑な思いで読んだ。1994年に40代の女性二人が奥多摩の橋から飛び降り自殺した新聞記事が恩田さんの心の中に棘として残り、小説としてそして舞台演劇にする話、自殺した二人のことなどで交互に構成される。日常と虚構が繰り返され、二人の心理が切なく描...
この作品は純然たる小説なのか随筆なのか複雑な思いで読んだ。1994年に40代の女性二人が奥多摩の橋から飛び降り自殺した新聞記事が恩田さんの心の中に棘として残り、小説としてそして舞台演劇にする話、自殺した二人のことなどで交互に構成される。日常と虚構が繰り返され、二人の心理が切なく描かれているように感じた。最後の章で自殺する朝を迎える場面は、恩田さんの想像であり小説の部分だろうかが、余りにも淡々として二人の言動が儚く思った。前半はなかなか入っていけず読むのに辛かった。
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読後はなんとなく引っかかりがある。自殺した2人の女性が気になる。作者の気になるが伝染してはまり込む。作者の話とごっちゃになり、読みづらいところもあったが、どうしても何かざらっとした感が残る作品であった。
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お久しぶりの恩田さん。小説家の主人公が自殺をした年配女性の心理を辿る。 人生も後半に入ってきて、終活を意識するような年代。死と向き合う時、何も残せていない何も残らない焦りと焦燥感を繊細な心理描写で辿っている。が。独特の表現方法でなかなかのめり込めず、読みにくくてアウト。
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この方の作品は割と好きで、夜のピクニックは良かったと今でも思うんだけど、この作品はなかなか入り込めず、読み進めても頭に入ってこなくて 小説家が書いた作品を舞台化する その小説のもととなった事件 小説の中の話 いろんな話が交差して、今どの話題なのか分からないのと、小説の中の人物がイ...
この方の作品は割と好きで、夜のピクニックは良かったと今でも思うんだけど、この作品はなかなか入り込めず、読み進めても頭に入ってこなくて 小説家が書いた作品を舞台化する その小説のもととなった事件 小説の中の話 いろんな話が交差して、今どの話題なのか分からないのと、小説の中の人物がイニシャルなのと 理解できないまま終わってしまった
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図書館にて。 恩田陸さんの読んでない本は本棚で見つけたら必ず借りるようにしている。 この本は… 正直不可解でとっつきにくかった。 不安感にあふれていて、とりとめなく、漠然としている感覚。 それはもしかしたら、女性が一人で生きていくことなのかもしれないと思った。 生活の延長線上...
図書館にて。 恩田陸さんの読んでない本は本棚で見つけたら必ず借りるようにしている。 この本は… 正直不可解でとっつきにくかった。 不安感にあふれていて、とりとめなく、漠然としている感覚。 それはもしかしたら、女性が一人で生きていくことなのかもしれないと思った。 生活の延長線上に死がある、自我と他者、個人と匿名の境界線があやふやになる感覚、簡単に自分がそちら側へ足を踏み入れていることもあるのかもしれない。 その選択だって自由だけれど、やっぱり嫌だと思う。 一緒に暮らしている相手は他者、その人を大事に思うならばその人を巻込むことは否と思いたいし、相手にもそう思ってほしい。 大切な相手がいるだけで生きる意味はあるのではないのか? それについて読者に問うでもないのは、二人の死は亡くなってから新聞記事で知ったからか。 死なないでほしいけど、死んでからでは太刀打ちできない。 そこは灰の劇場だ。 余談だが、この本の表紙の写真はよく知っている場所だった。 この本を作るにあたり、少なくともカメラマンさんがあの場所で写真を撮ったのかと思うと感慨深い。 恩田さんは大好きな作家さんで雲の上の人だが、確かにこの世界のどこかで同じ時間を生きている感覚がして、すごく嬉しい。
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メタフィクションのような、不思議な話だ。作家と、実際にあった自殺事件と、作家の作品と、その舞台化が交互に語られていく。女の生きづらさのようなものも描かれるのだけれど、時代が古すぎてあまり感情移入できない。まだまだだけれど、多少は変化していてよかったなと思った。
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独特な作風で難解だった。女性の死生観と現実・想像が入り混じり、語り手の目線も入れ替わるので、常に誰の話か混乱した。どのシーンも映像が浮かぶような描写はさすが恩田陸さん。2回読んだら理解できるのかな。
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絶望を受け入れ、感じ入る登場人物と作者自身の思いで溢れていた 春の暖かな日に読むには少し暗いが、でもそんなコントラストが一層現実味を感じさせるような作品だった
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特殊な小説だとは聞いていたのですが、確かに独特なアプローチで書かれてたな…。 私小説っぽくもあるしドキュメンタリぽくもある。 どこまでが事実でフィクションなのだろうか…そもそもこんな事件が現実にあったのか…。 リアルとフィクションが交差する日常という劇場。
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