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大阪 の商品レビュー

4.3

39件のお客様レビュー

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    14

  2. 4つ

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2024/05/30

自分は、10代半ばまで生まれ故郷で過ごし、その後、いろんな街を転々としてきて、どの街もそれなりに思い出はありますが、子供の頃の地元の空気感、湿度感、匂い、音、色、形はいまだにはっきり覚えています。自分と同じ年代の2人によるちょっと前の大阪のそんな魅力、人、生活の大げさではない空気...

自分は、10代半ばまで生まれ故郷で過ごし、その後、いろんな街を転々としてきて、どの街もそれなりに思い出はありますが、子供の頃の地元の空気感、湿度感、匂い、音、色、形はいまだにはっきり覚えています。自分と同じ年代の2人によるちょっと前の大阪のそんな魅力、人、生活の大げさではない空気感が感じられるエッセーでした。

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2023/09/24
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

「散歩は終わらない」がよかった。 自分に憧れを持つことはできず、あそこで育った自分だったらどうなったかなあと考えることしかないと。 あと、「地元を想像する」の『大阪で生まれ育って、ここが地元だったら、私は東京あたりの、別の街に逃げていただろう」という文、東京のごみごみした感じがいやで関西に出てきた身としては、そうよな〜としみじみした。 関東で育って環境に向き合ったからこそ、今の自分はここにいるんだろう。

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2023/08/02

すごくよい本でした やっぱり岸さんの文章を読むとときどき急に涙がこみ上げる ”自分の人生に悔いなど何もない“という言葉は(p.21)本心からくるものだろうし、虚勢でも強がりでもないだろう でも、ないものを欲しいと思ったり、あればよかったと思ったりするその気持ちに嘘をつくこともなく...

すごくよい本でした やっぱり岸さんの文章を読むとときどき急に涙がこみ上げる ”自分の人生に悔いなど何もない“という言葉は(p.21)本心からくるものだろうし、虚勢でも強がりでもないだろう でも、ないものを欲しいと思ったり、あればよかったと思ったりするその気持ちに嘘をつくこともなく 後悔のない岸さんも、欲しかったと思う岸さんも、本物で、その正直さ、とりつくろわなさ、ニュートラルさに私は惹かれる おさいさんとの過去のエピソードに嫉妬するくらい 岸さんの人生にほんの少しでも登場できたら良いのにと思う 岸さんの本を読んで、当時の思いを想像して、トレースして、全然そんなことないけど、岸さんの人生にほんの少し登場したような気になっている ”自分の人生に悔いなど何もない“と言うときの虚勢と強がりを、まだもう少し必要としてしまう私は

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2023/04/10

大阪って街によって魅せる姿が全然違うんだよなあ。話を続けることの美学は、出会った大坂の人々からすごく感じるのでとても共感した。

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2023/01/08
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

表層に見えるもの、知覚できるものがこの世のすべてではない。 行きかう人がどういう思いなのかどういう人生を送っているのか。 自分ではなかった可能性、大阪で生まれ育たなかった可能性、あり得た人生、未来のだれか、取るに足らない出来事。 それら見えないモノ、存在しないモノに対してすらの敬意を感じる文章群がここにある。 ここにあるのは筆者たちの至極個人的な文章であるはずが、どこかで読者の心や経験、感情を呼び起こすのはその敬意故だろう。 我々読者は読むことでこれらの文章に参加することができる。 こうならなかった未来もあったが、今確かにこうなっていること、偶然に対する畏怖と敬意。 昔はよかったという懐古的な文章にぎりぎりなっていないのは、それもあり得た可能性の中のただ一つの形だったに過ぎないという態度からだろう。 偶然ここにある私という存在を語ることが大阪とか世界とか社会みたいな大きくてとらえどころのないようなものを語る唯一の方法なのかもしれない。 一は全。

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2022/11/16

大阪に昔一時期住んでたのもあり、昔の大阪のあの街ってこういうかんじだったのかと読んでいてしみじみ思った。読んでいると不思議と時の流れが感じられて何だかノスタルジックな気持ちに。 とりわけ柴崎さんの青春話は内容も相まってグッとくる。 ただ、大阪の人たちの東京に対する対抗意識話は読ん...

大阪に昔一時期住んでたのもあり、昔の大阪のあの街ってこういうかんじだったのかと読んでいてしみじみ思った。読んでいると不思議と時の流れが感じられて何だかノスタルジックな気持ちに。 とりわけ柴崎さんの青春話は内容も相まってグッとくる。 ただ、大阪の人たちの東京に対する対抗意識話は読んでて少し虚しかった。この独特の張り合いは以前から本当に謎で、もはやこの対抗意識の歴史が知りたいと思ってしまった。

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2022/08/22

岸さんより柴崎さんよりさらにひとまわり下の世代ですが、どちらの書く大阪も、わたしはよく知っている。 柴崎さんの書く大阪はわたしが小さな頃に憧れた世界で、岸さんの書く大阪は思春期にわたしが歩んだ現実。それでも親に連れられて、あるいは友達と行った、アセンスや大丸といった、心斎橋や難波...

岸さんより柴崎さんよりさらにひとまわり下の世代ですが、どちらの書く大阪も、わたしはよく知っている。 柴崎さんの書く大阪はわたしが小さな頃に憧れた世界で、岸さんの書く大阪は思春期にわたしが歩んだ現実。それでも親に連れられて、あるいは友達と行った、アセンスや大丸といった、心斎橋や難波や梅田の高揚感を覚えている。 大阪の街は、さまざまな人を人として受け入れる。このままでおってええんや、と安心させるなにかがあり、だからこそ素通りさせない魅力がある。 いま商業ビルが乱立する梅田には、その魅力はだいぶ薄くなってしまっているようで、空虚なさびしさを感じることがある。その「感じ」に大阪ネイティブの人が言及する読みものになかなか出会えないので、時代の記録としても読めてよかった。 柴崎さんの小説はまだ読んだことがないので、これを機に読んでみたい。

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2022/12/01

中島らも、4時ですよ〜だ、阪神大震災、千日前、、、大阪のあの時代・あの場所を追体験しつつ、誰の人生にもある、けど普段は奥にしまっているような心の機微を思い出させてくれるエッセイです。 社会学者・小説家の岸政彦さんと、小説家の柴崎友香さんの共著です。 進学で大阪に移り住み以降ずっ...

中島らも、4時ですよ〜だ、阪神大震災、千日前、、、大阪のあの時代・あの場所を追体験しつつ、誰の人生にもある、けど普段は奥にしまっているような心の機微を思い出させてくれるエッセイです。 社会学者・小説家の岸政彦さんと、小説家の柴崎友香さんの共著です。 進学で大阪に移り住み以降ずっと大阪在住の岸さんと、大阪で生まれて30歳を過ぎてから大阪を出た柴崎さん。大阪への思いを綴った両者のエッセイが交互に続く1冊。とても読みやすく、風景や人々、そして著者の心情が分かりやすく伝わってきます。 とくに柴崎さんのエッセイにビシバシとシンパシーを感じました。大阪の工業地帯に生まれ、80〜90年代関西カルチャーに浸かった青春を過ごした柴崎さんのエッセイには、「中島らも」「4時ですよ〜だ」「メンバメイコボルスミ11」「テアトル梅田」といったワードがちらほら。 私は柴崎さんと世代が違ううえに出身も関西ではないため、後追いで知った憧れのワードです。 大阪の工業地帯の商店街、自転車で向かう2丁目劇場、ミニシアター、ライブハウス、大丸など、読むだけで憧れの場所と時代を追体験できるような楽しさがあります。 都市への思い。そこにいる人への思い。街はそのまま人と重なり合う。人が街をつくり、街は人を育てる。 感情は一筋縄ではいかないものです。0か100では図りきれない。過去は憧憬や感傷だけじゃなく、家族も親愛や情愛だけじゃない。好きも嫌いもそれ以外も全部ふくめた上で、対象のことを思っている。 大阪出身で、大阪で心が彩られるような幸せな場面があったからこそ、大阪に異議を唱えたくもなる。柴崎さんの大阪への思いを読んで、ジョン・レノンの名言「ポールの悪口を言っていいのは俺だけだ」を思い出しました。 柴崎さんは愛憎を正直に書き表すことで、真摯であろうとしているように思えました。「この人のエッセイは信頼していい」と感じ、そのことがとても嬉しくなりました。信頼できる作家さんに出会えることは嬉しいことです。 小川雅章さんのカバーイラストも最高です。

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2022/05/24

読書開始日:2022年5月18日 読書終了日2022年5月24日 所感 イヤホンをしている時間、携帯を見ている時間、そんな時は大概、余裕を怖がっている。 なんで余裕が怖いんだろう。 いつからだろう。 余裕があると嫌なことを考えしまうから。 だから刺激の強いもので思考を停止させよう...

読書開始日:2022年5月18日 読書終了日2022年5月24日 所感 イヤホンをしている時間、携帯を見ている時間、そんな時は大概、余裕を怖がっている。 なんで余裕が怖いんだろう。 いつからだろう。 余裕があると嫌なことを考えしまうから。 だから刺激の強いもので思考を停止させようとする。 本作品を見ると、余裕を楽しみたいなと思える。余裕を楽しみ、次第に嫌なことが頭を支配したとしても、それは街を形成するようなもの。 そんな余裕を楽しむ態度が人の居場所を作る。 自分=街 東京駅と日進駅。 著者2人の見る景色、感受性を体感してみたいなと思う。 わたしがいなかった街で/柴崎友香 大阪という空間、大阪という時間 街は単なる空間では無い、そこで生きられた人生そのものでもある 大阪が好きだ、という時、大阪で暮らした人生が、その時間が好きだと言っているのだろう どうやって自分の地元を形成するか、子育て。子育てが社会に根を張る一つの方法 誰かが自由にしている傍ら、誰かが辛い思いをしてその自由を支える。そういうことをすべて理解したい。 大阪の人がベタに振る舞うのはサービス精神 でも結局何も言っていない雑な言葉 露悪的なことを本音だと言い張り、どんどん余裕が失われていく 知らない誰かが行き交っている場所の方が、自分がいる余地があると思える 都市とはいろんな人間がいるということ バブルの狂乱と、その反省で単純化された社会。それは違う。あの頃はよかった、今は金がないとかでも無い。もっと余裕を生むやり方は他にあった。簡単な理由に逃げている ウッドベースを週3弾けば生活できる、あの余裕。1995年以降には無くなっていった 東京は巨木が全国一位 金を稼げない場所=無駄、これが今の日本 ここではわたしたちはお金を使う側にしかなれない 使う、儲かるの間の遊び完全に無くなった ステレオタイプなイメージの隙間に、一人一人の現実がある フォッサマグナ 自分自身に憧れるのは難しい、というよ「文法的に不可能というところがある 私たちは他人になりたい、なったら自分になる。だから憧れは実現できない。「文法的な事実」なので「絶対」が通じる。 親を哀れと思うことは、大人になったということ 抑圧されていた父の心が、モルヒネにより明かされる。自分と子供は違う人間ということ。自分が正しくて、娘を否定的 いろんな人が暮らすための大事なところを「無駄」と切り捨てないで 一人一人の生きる時間が、街を作っている

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2022/04/07

お二人とも、文章から血の匂いや生暖かい(生ぬるい)空気がまとわりついてくるような気がするエッセイ。 楽しいことだけでなく、辛いこと、苦しいこと、綺麗事ではない、鬱屈とした読後感。けど、人の色々な重みと考えたら、悪くはないと思う。また、ハッと気付かされることもいろいろあった。 ...

お二人とも、文章から血の匂いや生暖かい(生ぬるい)空気がまとわりついてくるような気がするエッセイ。 楽しいことだけでなく、辛いこと、苦しいこと、綺麗事ではない、鬱屈とした読後感。けど、人の色々な重みと考えたら、悪くはないと思う。また、ハッと気付かされることもいろいろあった。 さらに年を重ねて読んで見たら、また気持ちは変化するのか興味がある。 あっけらかんとした「大阪のおばちゃん」のノリな一冊では決してない。

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