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レストラン「ドイツ亭」 の商品レビュー

4.1

38件のお客様レビュー

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2021/09/18

アウシュビッツ裁判のお話。 戦争についての反省で、日本との違いはこういうところかなあと。 いろんな立場の人の苦悩が伝わりました。 いいお話です。

Posted byブクログ

2021/09/18
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朝日新聞の読者欄で知った アウシュヴィッツ裁判を題材にした小説 ホロコーストや戦争犯罪は関わっている人間が多すぎて、社会に組み込まれすぎて、個人が向き合うには過大な罪だと感じた もし私が戦争犯罪に加害者として関わっていたとして、全て自責だと反省できるだろうか? 恐らくはなんで私だけ?とか上から命令されてとか、やりたくなかったけど勇気がなくてとか、正面から向き合うことは出来ないと思う。 命令した人間や組織や被害者を呪うと思う。罪を認めないと思う。 そうした人間が沢山いることにほっとするかもしれない。 でもその罪の否認によって尊厳が傷つけられる人間が確かに存在することは念頭に置きたい。 組織犯罪は良くないな。現代でもそうだ。

Posted byブクログ

2024/04/02
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 第二次世界大戦後、ナチス犯罪の追及が占領軍からドイツ軍に委ねられた後、形式的かつ短時間で進められるようになり、暴力的な実行犯以外の有罪判決は激減した。  社会からホロコーストやアウシュビッツが忘れられつつあり、謀殺罪の時効も近づいていた1963年に行われたアウシュビッツ裁判をテーマにした小説である。  300人を超える証人が召喚され、ガス室による大量虐殺や 拷問や虐待を詳細に語ったことで、ドイツ人はそこで何が行なわれていたか、真実を知ることとなる。  主人公のエーファは、アウシュビッツ裁判でのポーランド語の通訳仕事を受けたことで、恋人ユルゲンへの気持ちの変化や両親の秘密を知ることとなる。  裁判が進むにつれ、エーファは今まで自分が何も知らずに生きてきたこと、家族を守るためには無力でしかなかった両親の思いに深く苦しんでいく。  日本語訳の森内薫氏による訳者あとがきが非常に良かった。

Posted byブクログ

2021/08/12

ドイツ国内で公にされることのなかったアウシュビッツでのホロコーストの事実を知り、加害者であるドイツ人の沈黙に怒り、裁判で被害者のポーランド人の通訳をするエーファ。

Posted byブクログ

2021/08/07

1963年のアウシュヴィッツ裁判に偶然に関わることになったホロコーストを知らない主人公が、その悲劇を目の当たりにし、且つ自身も無関係では無いことを知り、悩み葛藤しつつも答えを見つけていくお話。ドイツはホロコーストについて真摯に向き合っている国と思っていたが、口を閉ざしできれば無か...

1963年のアウシュヴィッツ裁判に偶然に関わることになったホロコーストを知らない主人公が、その悲劇を目の当たりにし、且つ自身も無関係では無いことを知り、悩み葛藤しつつも答えを見つけていくお話。ドイツはホロコーストについて真摯に向き合っている国と思っていたが、口を閉ざしできれば無かったことにしたいという風潮が勝っていた時代もあったのだと知った。過去の過ちにどのように対処するかはとても難しい課題だと思う。たとえどんなに謝っても加害者の自己満足にしかならない。最後に元囚人が語る言葉『彼らは我々に慰めてもらいたがっているんだ』は、被害者のやり切れない気持ちを表している。

Posted byブクログ

2021/08/06

戦後から20年を経て開廷されたアウシュビッツ裁判。戦後すぐのニュルンベルク裁判で主だった戦争犯罪者は断罪されたものの、その後は西ドイツの経済的復興が重視される中で、ホロコーストに対する犯罪者の追及は弱まり、ホロコーストに関わった人たちもその罪を問われることなく徐々に社会的地位を回...

戦後から20年を経て開廷されたアウシュビッツ裁判。戦後すぐのニュルンベルク裁判で主だった戦争犯罪者は断罪されたものの、その後は西ドイツの経済的復興が重視される中で、ホロコーストに対する犯罪者の追及は弱まり、ホロコーストに関わった人たちもその罪を問われることなく徐々に社会的地位を回復していた。 そして、苦い歴史であるが故にドイツ国民自体がアウシュビッツで何が起きたのかについて、語る事を避けたため、ホロコーストについて知らない世代が増えつつあったのがアウシュビッツ裁判の開かれた1960年代だったという。 主人公のエーファの家族は「ドイツ亭」というレラストランを営んでいる。父がコックを務め、母は給仕をしている。 エーファはポーランド語の翻訳の仕事をしていたが、あるきっかけから裁判の検察側の通訳の仕事を受けることになった。 それは、ドイツの闇の歴史、すなわちアウシュビッツ強制収容所で収容者たちをガス室に送り込んだだけでなく、拷問をして殺害した人たちを裁くアウシュビッツ裁判の法廷だった。 主人公のエーファもその詳細を知らない若い世代の一人であり、裁判を通して認識が変わっていくとともに、自分の家族とアウシュビッツとの関わりについても気づき始める。 アウシュビッツ裁判の結末や、そこで起きた歴史的事実を描くのではなく、それはあくまでも背景としてあり、その裁判に関わった人たちに起きたであろう、「なぜ今さら」と疑問視する人々や、罪を追及する側もされる側も、それによって過去を暴かれることを恐れる人々を描いている。

Posted byブクログ

2021/07/24

“「そこにあるのは邪悪な何かじゃない。悪魔や何かでもない。ふつうの人間なの。だからこそ、恐ろしいのよ」”(p.236)

Posted byブクログ

2021/09/11

1963年のアウシュヴィッツ裁判では、300人を超える証人が召喚され、ガス室での大量虐殺、親衛隊員による拷問や虐待が明らかになった。 この小説は、主人公の女性を通して、その裁判の様子や関係者の人間模様を描いたもので、ドイツの忌まわしい過去と真摯に向き合う著者の思いが込められた力作...

1963年のアウシュヴィッツ裁判では、300人を超える証人が召喚され、ガス室での大量虐殺、親衛隊員による拷問や虐待が明らかになった。 この小説は、主人公の女性を通して、その裁判の様子や関係者の人間模様を描いたもので、ドイツの忌まわしい過去と真摯に向き合う著者の思いが込められた力作となっている。 主人公エーファはフランクフルトに住む24歳の女性でレストラン「ドイツ亭」を営む両親と姉、弟と平凡に暮らし、目下の関心は恋人との結婚だった。 彼女はドイツ語とポーランド語の通訳を仕事にしていたが、ある偶然からアウシュヴィッツ裁判の原告側証人(ホロコースト被害者)の証言を通訳することを依頼される。当初、アウシュヴィッツのことを何も知らなかった彼女は、両親や恋人から強く反対されながらも、好奇心と義務感から通訳を引き受ける。しかし、それをきっかけにエーファは両親の過去を知ることになり、恋人・ユルゲンも含め彼らとの間に亀裂が生じていく。 強制収用されていた人びとの憎しみと苦しみ、命令に従わざるを得なかったホロコースト関与者やアウシュヴィッツ勤務者だった人たちの葛藤が底流にある重い長編だが、人間性豊かに描かれているので、どんどん読んでいけた。 裁判に関与する人たちの一行が強制収用所跡を訪れ、そこで見聞きしたことに言葉を失い、みなが涙を流す場面、ラストでエーファが収用所にいた人物に自らせめてもの気持ちを表そうとする場面は感動的だった。 ただ、エーファの姉で、病院で働くアネグレットが取った屈折した行動が、全体の流れにどんな意味を持つのかがわからずじまいだった。

Posted byブクログ

2022/11/19

第二次大戦後20年程経ったドイツが舞台の小説。 アウシュビッツで何が行われていたのかを明らかにし、当時ナチス党員としてユダヤ人を迫害する立場にいた人たちの罪を問う裁判が話のメインで、そこに深くかかわることになったポーランド語とドイツ語の通訳の女性が主人公。 作り話ということだが、...

第二次大戦後20年程経ったドイツが舞台の小説。 アウシュビッツで何が行われていたのかを明らかにし、当時ナチス党員としてユダヤ人を迫害する立場にいた人たちの罪を問う裁判が話のメインで、そこに深くかかわることになったポーランド語とドイツ語の通訳の女性が主人公。 作り話ということだが、内容はとても重く、当時はすべてのドイツ人が間接的にこの迫害に関わっていたとして裁かれる立場にあり、その当時子供で何もわからなかった主人公も深い罪の意識を感じるようになる。 どうすれば償えるのか。その答えは、簡単には出ない。 あれから75年経ち、忘れられようとしているが、記憶を風化させてはいけないと戦後生まれの作者が初めて書いた小説だという。 裁判の様子と、主人公の家族の様子、婚約者との顛末、婚約者の家族の様子と、様々な場面設定があり、それぞれどうなっていくのだろうかと読ませる内容で、380ページある本もあっという間に読み進んだ。 最後の床屋の場面では、私も途方に暮れ涙が流れた。

Posted byブクログ

2021/07/03

第二次大戦後ドイツで開かれたアウシュヴィッツ裁判を題材にしたフィクション。ナチス指導者をさばいたニュルンベルグ裁判は、東京裁判と同じく戦勝国による戦争裁判だが、アウシュヴィッツ裁判はドイツ人がドイツ人を裁いた裁判である。アウシュヴィッツ裁判は1963年、日本では「戦後は終わった」...

第二次大戦後ドイツで開かれたアウシュヴィッツ裁判を題材にしたフィクション。ナチス指導者をさばいたニュルンベルグ裁判は、東京裁判と同じく戦勝国による戦争裁判だが、アウシュヴィッツ裁判はドイツ人がドイツ人を裁いた裁判である。アウシュヴィッツ裁判は1963年、日本では「戦後は終わった」と言われていたころである。風化しそうなアウシュヴィッツにドイツ人を向き合わせた裁判だという。 裁判の内容は、史実に基づいているそうだが、主人公のポーランド語とドイツ語の通訳として裁判に関わったエーファは架空の女性。父母が自宅で営む「ドイツ亭」というレストランに、乳児専門の看護師の姉と、小学生の弟と暮らしている。お金持ちの御曹司ユルケンとの婚約も決まっているが、裁判で通訳をすることに賛成を得られないまま裁判が始まる。アウシュヴィッツで起きていたことがわかるにつれエーファや周辺の人々との関係も変わっていく。 重い時日に向き合うことになるエーファ。家族やユルケンとの関係が重くかかわっていく。悲劇的な結末にはならず、それぞれに将来への展望が見える形で終わっていることに少しホッとする。

Posted byブクログ