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ゴールデンタイムの消費期限 の商品レビュー

3.7

56件のお客様レビュー

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2022/07/31
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

図書館で手に取った一冊。ハードカバーが綺麗でイラストも素敵だった。 レミントンプロジェクトに参加したかつて天才と呼ばれた子どもたち。レミントンは高度なAIで、それぞれの個性を活かして、膨大なデータから元天才を教育し、また輝かしい場所にたつ『天才』へと変えていく。 主人公 綴喜は元天才小説家 心に傷を負い、彼のまだ20にも行かない人生は小説に冒されていた。 AIレミントンが提案するプロットは果たして彼自身のものと呼べるのか。天才料理家、天才画家、天才棋士、天才映画監督、天才演奏家、個性とは才能とは一体なんなのか。感動を与えるモノが0と1のデータで割り切れる世界にどんな意味があるのか。 参加者は悩みながらもレミントンと11日間過ごすことを決める。 各登場人物の葛藤や悩み、ゴールデンタイムの消費期限について考える姿が狂気じみていて、それでいて儚くて胸を打つ。 展開に大きな波がいくつもあり、彼らとの11日間をあっという間に感じた。 期待されていて失望されることへの恐怖は誰もが持ち得る。光が強ければ強いほど影は暗くなる。かつて天才と呼ばれた綴喜の4年間の焦りは計り知れない、才能がなくたって小説がなくたって人は生きていける。ただ彼らにはそれが出来ない。それがなくて生きていけるなんて言えないのだ。 物語の最後には等身大の元少年たちがいた。かつて天才だった少年少女はその生きた軌跡を胸にさまざまな選択をする。天才であることをやめた、そんなやめることへの希望を描いた作品だと感じた、さわやかな物語の結末に胸がすっとする。 私自身には才能がないが、物語を通してAIの可能性と恐ろしさ、また人間と機械の共存について考えることができた。正直正解は分からない、雲雀教授の好きなものを好きなままでいたらいいと言う言葉は素敵だと思った。ただそれによって才能が汎用化されるのは不思議でたまらない。機械がつくったモノで感動する自分が寂しいと感じてしまうのは人間至上主義なのか。答えはいまだに見つからない

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2022/05/07

『名探偵と孤島は結びついても名探偵と口紅は繋げることは出来ないと』の意味が分かりません。誰かわかる人はいますか?

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2022/02/20

 本書は天才といわれた子どもたち6人の葛藤を描いた小説です。私たちは才能のある人をみて「うらやましい」や「自分もあの人みたいになりたい」などの感情を抱きます。もっとひどい人は「いいよなあいつは才能があるおかげで楽に生きれるんだろう」などと嫉妬します。  本書の最大の魅力は才能を...

 本書は天才といわれた子どもたち6人の葛藤を描いた小説です。私たちは才能のある人をみて「うらやましい」や「自分もあの人みたいになりたい」などの感情を抱きます。もっとひどい人は「いいよなあいつは才能があるおかげで楽に生きれるんだろう」などと嫉妬します。  本書の最大の魅力は才能を持つものがゆえに持っている葛藤です。期待されているけどうまくいかない。やればうまくいくのにできない環境になった。周りから笑われるルーティンをやめられない。そんな天才が物語を通していろんな意味で成長するのは学びの多いものでした。  本書の登場人物が学生であるという点も好感を持てました。大人なら自分の意志で本当に自分がやりたいことを選べばいい。小学生なら大人の期待に大きな疑問は抱かないでしょう。  しかし、本書の主人公たちは高校生が中心です。自分で自分の未来を決めるのは怖い。でも、自我も芽生えてきた時期に訪れるチャンス。物語を通して主人公たちは子どもから大人へと進化していきます。  才能がなくて葛藤する物語はよく見てきましたが、才能があることに対し葛藤する物語は新鮮でした。

Posted byブクログ

2022/02/14
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ゴールデンタイムの消費期限 かつて天才と呼ばれその分野の才能を持っている十代後半の6人の青春物語、みんなが何らかの思いを持っている中でこのレミントンプロジェクトに参加する。 幼いころは天才と呼ばれた少年少女はまた昔のように輝くためにAIであるレミントンプロジェクトに参加する。参加することは正解なのかAIに頼ってよいのか考えさせられる作品になっている。 才能はあるが本当にそれをこれから先もやっていきたいのか一生かけて磨き続けたいのか?ここでやめてしまうと今までの時間が無駄になってしまう。もう今やっていることは嫌いになってしまっているのかもしれない、時間の無駄になってしまうのではないか?これから何が学べるのか、読み終わった後にこれを思ったのは私だけではないはずです。

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2022/02/10

結果が出せない、居場所が足元からぐらついていく。 好きなはずのものが、苦痛になっていく。 この子たちに並べるようなものはないけど、それでも共感してしまう。 終盤の、博士の純粋なセリフが胸に刺さる。

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2022/01/30

幼くして天才小説家として持て囃されていた主人公。しかし、三作目のベストセラー以後、全く作品を出せずにいた。そんなときに参加をすすめられた謎のプロジェクト。そこには主人公と同じようなかつての天才たちがいた。 天才って、神様から与えられた才能だから天才なんじゃんって思ってたけど、ず...

幼くして天才小説家として持て囃されていた主人公。しかし、三作目のベストセラー以後、全く作品を出せずにいた。そんなときに参加をすすめられた謎のプロジェクト。そこには主人公と同じようなかつての天才たちがいた。 天才って、神様から与えられた才能だから天才なんじゃんって思ってたけど、ずっと天才でい続けるための計り知れない努力と苦悩があって。そこがとても丁寧に描かれていて、展開と合わせて絶妙な作品でした。登場人物一人一人の設定もしっかり描き込まれててみんな魅力的でした。 それぞれが選ぶ結末も、最後まで読んでいけば納得できるものだと思うし、みんな幸せになってほしいなぁと思う。個人的には天才でい続けられないことに絶望しても、そこに必死にしがみついて生きていく御堂くんが好きです。読んでくと彼の強がりも愛おしくなってくる。凪ちゃんとの掛け合いもすき。

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2022/01/19

圧倒的な天才なんていなくて、みんな苦しみ努力しながら道を探す若者達の話 決して才能ばかりに価値を置いてるわけではなく、正解でも不正解でもない形が爽やかで素敵

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2021/12/02

「才能」と言う呪縛。 なんのしがらみもなしに、「好き」だけで何かを続けられていけるほど、世の中の色々は進んでいない。 いつかこの本のように、「AI」がしがらみの切り口になるかもしれない。

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2022/01/24

作家、料理人などなど多彩な分野から集められたら若き天才たちの再生プロジェクト 天才故の苦悩や情熱が交錯する 絶望的な展開ではなく、気持ちの良い余韻が残る一冊

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2021/10/28

ミステリ主軸ではなく若き天才達の過ぎ行く数日間に重きを置いて。 天才とは才能とは好きとは何か。 好きでいなくてはいけないのか、上り詰める事とは何か。 秘める葛藤をさらに揺さぶる器としてのレミントン。 優しいな、と思うのは決してこのプロジェクトが才能至上ではなかったこと。 埋もれる...

ミステリ主軸ではなく若き天才達の過ぎ行く数日間に重きを置いて。 天才とは才能とは好きとは何か。 好きでいなくてはいけないのか、上り詰める事とは何か。 秘める葛藤をさらに揺さぶる器としてのレミントン。 優しいな、と思うのは決してこのプロジェクトが才能至上ではなかったこと。 埋もれる才能を惜しいと語る雲雀の言葉からは化学反応によって更に可能性を見出せるものだけではなく、レミントンによって自分のすがりついていた呪いから解放され新たな道を見つけて行くものへの想いが受け取れた。 惜しい。 それはその場にたちすくんで燻り続ける種火がただ世間などによって立ち消えさせられる事に対してなのだろうか、と感じる。 特殊設定とくれば斜線堂さんという先入観を肩透かしのように爽やかに躱してくれた一冊。

Posted byブクログ