母影 の商品レビュー
私がうなずいたことを、お母さんはきっと知らない。そして、私だってカーテンの向こうのお母さんを知らない。目の前のカーテンに顔をくっつけて、大きな声で言った。 私たちのあいだにはときどきこうしてカーテンがあって、だから、私たちはときどきこうして見えない。 「私の反たいがわにはいつ...
私がうなずいたことを、お母さんはきっと知らない。そして、私だってカーテンの向こうのお母さんを知らない。目の前のカーテンに顔をくっつけて、大きな声で言った。 私たちのあいだにはときどきこうしてカーテンがあって、だから、私たちはときどきこうして見えない。 「私の反たいがわにはいつもお母さんがいて、お母さんの反たいがわにはいつも私がいます」 手をつないだまま私の声に耳をくっつけたお母さんの影が、私の影と一つのなる。
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THE尾崎世界観! 100%共感!ってわけじゃなくて ちょっとわかるなぁって感じで ちっちゃい頃の感覚とか 変な寂しさとか あったかいんだか切ないんだか よく分からんような生ぬるい感じ?。
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え?って感じ。ラストちょっとよくわからないのは私だけか?はじめての尾崎世界観。こんな文章を書くのか!と新鮮だった。クリープハイプさんの曲あんまり聴かないから今度歌詞をゆっくり読みたい。
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尾崎氏の作品、これで数冊読みましたが、それぞれ性別や世代が異なる一人称。特に本作は女の子、しかも幼い子の立場、視点でちょっと驚きました。
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お母さんはお客さん相手に、いわゆる"いかがわしい"マッサージをしている。 私は宿題をしながら、カーテン越しにそれを聞いている。私もお母さんに直してほしいのに、悪いところが見当たらない。 子ども目線でこのお話は進んでいく。 カーテンで隠れていて、そこから覗く...
お母さんはお客さん相手に、いわゆる"いかがわしい"マッサージをしている。 私は宿題をしながら、カーテン越しにそれを聞いている。私もお母さんに直してほしいのに、悪いところが見当たらない。 子ども目線でこのお話は進んでいく。 カーテンで隠れていて、そこから覗くお客さんのクツから感情が見えてくるのが良いなぁと思った。 通学路の途中にある、「いけやまよしひろ」の選挙ポスター。子どもの頃、毎日飽きることなく目にするものってあったけど、そんな感じなのかな。 かっこ悪く映ったり、泣きそうな顔で笑っていたり、雨の中カサもささずに笑っていたり。ある時それが新しくなっていて、ちゃんとした顔をしていたり。 私の心情によって見え方が変わってくるのが良い◎ 「口に夜が入ってきて歯が黒くならないように手でかくした。」 「私は雨の音をよく聞いて、悲しい耳をあらった。それなのに、どんなに雨の音を聞いてもお母さんのごめんねが消えなかった。」 子ども特有の独特な表現が多く、それが純文学とうまく融合しているような印象。 読了後は、切なくて悲しい気持ちになった。 純文学の読み方がまだ定着していないからか、難しいと感じるところも多かったけど、またじっくりと再読したいなぁ。
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感受性豊かな子どもが感じたことをそのままの言葉で書いてあって、すごいな、と思った。 お母さんがしている仕事は何か変なことだ、きっとしちゃいけないことだ、何をしてるのか知りたい、という思いとともに、母に直接聞いてはいけないことのように感じている。 でも、試着室でカーテン越しに母の...
感受性豊かな子どもが感じたことをそのままの言葉で書いてあって、すごいな、と思った。 お母さんがしている仕事は何か変なことだ、きっとしちゃいけないことだ、何をしてるのか知りたい、という思いとともに、母に直接聞いてはいけないことのように感じている。 でも、試着室でカーテン越しに母の影を見て、カーテンで隔てられている今なら、聞いてもいいのではないか、返事が怖いけど思い切って聞いてしまった「私」。その場面の心の動き、ドキドキ感が伝わってきて、こういう感じ、子どもの時あったなぁと思い出した。 銭湯にいた同級生の男の子の、見ては行けないものを見てしまった感覚も。そういうことは、教えられたわけでもないのに感じるんだと思った。
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小説というよりも、壮大な詩を読み終えた感じ。 小さな少女の視点を通じて、よくこれほどの情景を描けたものかと驚いた。 それと同時に、「生きるとはどういうことなのだろう」と考えずにはいられなかった。 この母娘はこの続き、どんな人生を歩むのだろう。 何を目的に生きていくのだろうと考えさ...
小説というよりも、壮大な詩を読み終えた感じ。 小さな少女の視点を通じて、よくこれほどの情景を描けたものかと驚いた。 それと同時に、「生きるとはどういうことなのだろう」と考えずにはいられなかった。 この母娘はこの続き、どんな人生を歩むのだろう。 何を目的に生きていくのだろうと考えさせられた。 きっと、同じような母娘って何人も存在するのだろう。 でも、みんな幸せな人生であって欲しい。 「個」ではなく、「家族」としての一つのかたまりを強く意識させる内容でした。
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描写がこと細かで、子供目線のストーリーもリアルだったが、展開には乏しい気がした。 ページ数が少ないためサクッと読めるが、心には残る作品。
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面影…「母影」?そっちかぁっ!!母影っていう題名から、なんか意味ありげだったけど、読んでみると本当に意味があったよ。(意味がない題名なんてないっ!)なんか、私も三歳ごろ、こういう視点から大人たちを見てたんだろうかって、回想した。 (*☻-☻*)(◀︎大人たちを見る目)
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子供は小さな哲学者と言われる。子供が感じる、子供ならではの疑問、感覚、感情を子供視点で子供の言葉で表現した作品。凄いと思います。大人になるにつれ忘れてしまう子供の気持ちをここまで子供の言葉で表現できる大人って、います? いやビックリです。
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