母影 の商品レビュー
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主人公は小学校低学年と思われる女の子。 漢字を書くのは苦手だが、読むのは得意。 感性が豊かで、子供らしい比喩表現が本文中に多々登場する。 母親はシングルマザーで、生活は裕福ではない。 境界知能を思わせる描写もある。 クリープハイプの楽曲に見られる言葉遊びが、この小説の中にも登場する。 主人公は、カーテンに映る母親と客の影を眺め、大人の世界の言葉を音で聞き、自分が知っている漢字に当てはめて理解しようとする。 行為の意味がわからなくても、漢字の変換が間違っていても、母親が「変」な仕事をしていると感覚的に理解している。 主人公が心の底に抑圧していた願いは、母親に自分のことを見てほしいということ。 よくわからないけれど大変そうな母親を困らせてはいけないと、幼いながらに半ば無意識的に自分の気持ちを殺してきた。 食事が苦痛だったのも、飲み込んできた本当の気持ちが腹に溜まって苦しかったからだろう。 母親は母親で、娘には言えない仕事をしていることに後ろめたさを感じており、休日には娘を連れ出して不自由のない思いをさせてあげよう等と努力しているが、娘の本当の願いには気付かずにいた。 主人公と母親はお互いの「反対側」にいて、鏡のような存在。 「言っていいよ」は、お互いが欲していた許しの言葉。
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小学生の娘視点で最初から最後まで書かれていた。 クリープハイプの尾崎世界観を知っているので彼らしい作品と言えばそれまで。 カーテン越しの母親の行為が分からない娘と分かってしまう読者の自分。この居心地の悪さが良さでもあった。
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子どもってきれいな心ではないのよ。みんな経験してきているはずなのに、子どもは純粋無垢だと思い込む大人のズルさを感じる。 何も書かれてないけど、胸が痛い。
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小学生の「限定された語彙」だと、こうも景色が違って見えるのだと、嫌と言うほど突きつけられる筆者の表現力だろう。 いけやまよしひろ!!
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よくも悪くもモヤモヤする感じがある。この気持ち悪い感じは計算されてそうな。 クリープ好きだから読んでみた。 エッセイもみてみたいな。
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小学生の女児視点で物語を最初から最後まで描き切るのは、書き手としてもこちら読み手としても、なかなかのハンデだと感じるのだけど、そんなこと物ともせず、子ども目線だからこその「未知ながらも直感で厭だと解るあの感じ」を見事に小説に落とし込んでいて素晴らしかった。
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初めてこの人の作品を読んだ。表現が独特。親子愛の物語なのか?子供目線からの性描写のインパクトも強くて圧倒されたため、親子愛の物語であることが薄れたように感じた。そもそも親子愛の物語なのかは分からないが。作者の言わんとしていることはなんだろう?わかるようなわからないような。
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母親と娘の関係。 今は母親の仕事が理解できない年だから 曖昧な関係で母親を理解して助けてあげたい そんな娘の気持ちが温く心に響いた。 今後母親の仕事を理解して関係性が 変化していくことは描かれていなかったが 想像できて悲しくなった。
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「親の絶対性」と「自分に残る傷跡」の間で苦しんでいる人にぜひ読んでほしい。 親はただの人で、自分もただの人。そういう情けなさの受容、特に諦めの要素が濃く描かれているように感じます。
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小学校低学年の少女が持ち得る語彙力だけで表現されている作品。 絶対的な存在の母を理解しようとする、受け入れようとする、でも変なこと、恥ずかしいことをしていると気付いてしまう葛藤が見られた。 又吉の解説に、 このカーテンは、この時期の私にとって、ある意味において必要なものなのでは...
小学校低学年の少女が持ち得る語彙力だけで表現されている作品。 絶対的な存在の母を理解しようとする、受け入れようとする、でも変なこと、恥ずかしいことをしていると気付いてしまう葛藤が見られた。 又吉の解説に、 このカーテンは、この時期の私にとって、ある意味において必要なものなのではないかとも思えるのである。少なくとも母の仕事や、母が置かれている立場、扱われ方を直視せずにいるために。 という表現がこの小説を理解する上でしっくりきた。 この少女が大人になって、現実がいろいろ見えてきたときに何を感じ、どう生きて行くのか、気になってしまう。 そしてやはり母の存在は絶対的で受け入れない訳にはいかないものなのだなあとしみじみ感じた。
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