母影 の商品レビュー
自分も感じたことのある感覚が言葉になる感じが堪らないです。 尾崎さんの文章を読んでいるとそんな堪らない瞬間がたくさんある。
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奇妙な世界観。 一行目で「大人」の私は気付いてしまう。 やわらかいカーテンの向こうで繰り広げられる行為が何を意味するのか。 物語は最初から最後まで小学生の少女の視点と核心を突いた言葉で展開する。 街中に貼られている「いけやまよしひろ」の選挙ポスターに目を止める感覚に子供らし...
奇妙な世界観。 一行目で「大人」の私は気付いてしまう。 やわらかいカーテンの向こうで繰り広げられる行為が何を意味するのか。 物語は最初から最後まで小学生の少女の視点と核心を突いた言葉で展開する。 街中に貼られている「いけやまよしひろ」の選挙ポスターに目を止める感覚に子供らしいおかしみを感じる。 一方で胸糞悪い担任、容赦ない言葉で罵る同級生、意地悪なマッサージ店オーナーのおばあちゃんには感情を乱されず冷静でその感性のギャップに怖くなる。 カーテン越しに揺らめく母の影に不快さを察しながらも愛情を注ぐ少女の純真さが印象的。
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マッサージ店のベッドのカーテンに隠れ、そこで働くお母さんはもしかしたらお客さんとなにか変な、おかしなことをしているのではないかと、訝しむ小学生の娘。 露骨な表現やセリフにはいくつか眉をひそめたが、結局それがどんなことであるかまだ知らない小さな女の子が、必死に世界を読み解こうとする...
マッサージ店のベッドのカーテンに隠れ、そこで働くお母さんはもしかしたらお客さんとなにか変な、おかしなことをしているのではないかと、訝しむ小学生の娘。 露骨な表現やセリフにはいくつか眉をひそめたが、結局それがどんなことであるかまだ知らない小さな女の子が、必死に世界を読み解こうとする姿はとてもいじらしい。 あやしみつつもずっとお母さんを心配し、ひたむきにお母さんを愛する。どうかその瞳に汚らわしい世界が映ることのないように、と願ってやまない。 話題になったのはもう二年前だが、今読んでおこうと手に取った一冊。曲も聴いてみる。
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小学生の娘視点。いけないメンエス嬢の母のカーテンに揺れる影をずっと見つめていた。何も分からないけど、行けないことをしているのは分かる。お客さんは行くというのに帰らない。 クリープハイプの曲が好きなので、所々ハッとするような胸に引っかかるフレーズがありました。小学生から見る世界は異質で、姑息で、それでも母の愛は大きく偉大でした。
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過剰なまでに詩的だ。 というか、全編を1つの詩と捉えることもできなくもない。 軽度の知的障害を持つ母と娘の愛の物語。 母親はいかがわしい行為もあるマッサージ店に勤務している。 小学生の娘の視点で描かれた世界は、厳しいがどことなく楽観的だ。世界を絶対的に信頼している。 学校で友...
過剰なまでに詩的だ。 というか、全編を1つの詩と捉えることもできなくもない。 軽度の知的障害を持つ母と娘の愛の物語。 母親はいかがわしい行為もあるマッサージ店に勤務している。 小学生の娘の視点で描かれた世界は、厳しいがどことなく楽観的だ。世界を絶対的に信頼している。 学校で友達ができなくても、母の愛がしっかりと世界を繋ぎとめている。 尾崎世界観さんはクリープハイプというバンドのヴォーカルとギターをしているのだそう。 クリープハイプ…あまりよく知らない。 でも、聴いてみようかな、と思った。 この小説、あまり大きな声で推せない気もするけど、けっこうよいよ。 第164回芥川賞候補作品。 ちなみに、第164回の受賞作品は「推し、燃ゆ」。
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あの人が、どんな話を書くんだろうと思って読んだ。 だいたい子どもは、想像が豊かだよね。 女の子に友だちが出来ないのは、お母さんを好き過ぎるせい?お母さんの仕事のせい?貧乏なせい? お母さんのちえが少し足りなくても、愛情は女の子にちゃんと伝わってる。
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クリープハイプのギターボーカル、尾崎世界観の小説。 芥川賞候補作ってこともあってか、やっぱり表現が独特で読んでて楽しい。マッサージ店の片隅でお母さんを見てる少女の話で、あんまり良いことをしてるわけじゃないってことを察してるようにも察してないようにも見える少女の言動が切ない。良くな...
クリープハイプのギターボーカル、尾崎世界観の小説。 芥川賞候補作ってこともあってか、やっぱり表現が独特で読んでて楽しい。マッサージ店の片隅でお母さんを見てる少女の話で、あんまり良いことをしてるわけじゃないってことを察してるようにも察してないようにも見える少女の言動が切ない。良くない店のその空気に、少女が侵されてしまいそうでヒヤヒヤするんだけど、その不穏さの中にいるのがまだ心地いいなって思えたから、文学なんだなと思った。 少女が客の言葉を「言っていい?」って聞き間違えてるのに気づかないで、何も言わない客に焦れったさを覚えてる描写が特に好きだった。とにろどころ意味が分かんない場面があるんだけど、それはそれで良いと思えた。とりまクリープハイプ好きな人は読むべきなんじゃないかなぁ。
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尾崎世界観さん、好きになった!カーテン越しに聴こえる会話や気配、子供が感じる思いが丁寧に書かれてる。 私には芥川賞を受賞した推し、燃ゆよりもおもしろかった。
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私とはかなり異なる視点(とくに年齢)から書かれていて所々はてなが続くところもありました。母親との一体感を覚えるところそれとは反対に逃げたいと感じるところ、いろんな感情が入れ混じっている少女の描写が繊細でなんだか懐かしい感じがしました。
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小学生の視点で書かれているので、 性的な描写も曖昧で、直接的でない表現で面白かった。 デブのお母さんの話が出てくる時だけ、シンプルに辛辣でおもしろかった。 最後、お客さんとお母さんと私の影に包まれたとき、主人公は家族を感じれたんだろうな 貧乏でもお母さんといたい幸せがある 作文私も読みたいな
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