LIFE SCIENCE の商品レビュー
ネットで誰もが多量の情報に触れることが可能となった昨今、科学的な見地で情報を取捨選択する必要性が問われる。 研究に携わることのない人にも、科学的な考え方から著者の研究であるオートファジーについて分かりやすく解説してくれる。仮説と検証が科学の基本、断定する人は科学的に怪しい、とい...
ネットで誰もが多量の情報に触れることが可能となった昨今、科学的な見地で情報を取捨選択する必要性が問われる。 研究に携わることのない人にも、科学的な考え方から著者の研究であるオートファジーについて分かりやすく解説してくれる。仮説と検証が科学の基本、断定する人は科学的に怪しい、という全ての現代人が肝に銘じるべき内容に富む。
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『未来の科学者たちへ』という著書で大隈先生が紹介していたアヒル先生こと吉森保先生。オートファジーの権威。読みたかった本なのでテンションが上がる。また、本書の大まかな中身はYouTubeでも見ることができる。事前に動画を見ていたが、理解が更に深まった。 科学における相関関係と因果...
『未来の科学者たちへ』という著書で大隈先生が紹介していたアヒル先生こと吉森保先生。オートファジーの権威。読みたかった本なのでテンションが上がる。また、本書の大まかな中身はYouTubeでも見ることができる。事前に動画を見ていたが、理解が更に深まった。 科学における相関関係と因果関係の話から入る。遺伝子操作ができるようになったことで、因果関係をはっきり示すことができるようになった。対照群がないものは、エセ科学とみなされても仕方がない。査読は匿名が原則だが、最近では実名でもいいと言う学術誌も増えているとか、質の良い論文かどうかを判断する指標は、他の論文にどれだけ多く引用されたかと言う被引用数だとか。 そこからゆっくり専門分野であるオートファジーの話へ。動画で説明されていたが、本の製作にあたっては文系のアシスタント?が分かりにくい部分に対して徹底的に注文をつけて直したらしいので、流石の読み易さ。 ー ミトコンドリアは、オルガネラの一種で、生命活動に必要なエネルギーを作り出す発電所。ミトコンドリアよりタンパク質は小さい。体は、タンパク質以外のものも含むのに、遺伝子はタンパク質しか規定していない。なぜなら、タンパク質がそれ以外のものを作ったり取り込んだりできるから。ほとんどのDNAは、細胞の中の核と言うオルガネラの中にしまわれています。 ー 人間の細胞は、タンパク質が動かしている。数万種類のタンパク質がある細胞を構成し、組織や器官など体の構造になる構造、タンパク質。コラーゲンなど。物質を生体内の別の場所に運ぶ輸送タンパク質、病原体から体を守る抗体もタンパク質。最も多いのが酵素。タンパク質の約半数が酵素。 ー ミトコンドリアが壊れると活性酸素が出る。酸素ではなく、体内に侵入した細菌やウィルスの攻撃から体を守ってくくれる。ミトコンドリアがエネルギーを作る際にも活性酸素が発生する。つまり、ミトコンドリアが傷つくと活性酸素の制御ができなくなると言う事。ミトコンドリアが傷つくことによって出てくるのは、他にも、細胞を自滅させる物質がある。感染した細胞が自爆してウィルスごと死ぬ。 ー ホルモンは内分泌細胞と呼ばれる細胞で作られ、血液中に出される。そして血液によって全身に運ばれる。運ばれてきた。ホルモンを受け取る細胞は標的細胞と呼ばれる。この標的細胞は決まったホルモンを受け取る受容体=レセプターを持っている。 ー 情報を伝達する手段は、血液を介したホルモンだけではなく、神経網の経路がある。血液が体を1周するのに20秒位かかるのに対して、神経の情報伝達速度は毎秒120メートル。つまり0.0 1秒位で体のどこにでも情報を伝えられる。神経網では神経伝達物質が情報を伝える。ホルモンのように血管を通らなくて良く、伝達が速い。 ー なぜ歳をとると、オートファジーの能力が低下するのか、それがわかれば低下を食い止めて、神経変性疾患にならないようにできるのではないか。オートファジーが起こりすぎないようにするルビコンと言うタンパク質。高脂肪食によって肝臓でルビコンが増えていた。 ー インスリンシグナルもTORシグナルも抑制されると、オートファジーが活性化するし、生殖細胞の除去やミトコンドリアの機能抑制も同様にオートファジーが活性化する。 ー スペルミジンがオートファジーを活性化させる。スペルミジンは私たちの体内の細胞でも合成されています。アミノ酸から作られます。人間は歳をとるとルビコンが増え、スペルミジンは作れなくなり、オートファジーがガタ落ちする。 不老を目指すのではなく、健康寿命を延ばしたいのだという目的も分かりやすい。ノーベル賞候補かなどと周りがお世辞を言うが、本当にそうなのかも知れない。
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細胞のオートファジーの大家の著書。 科学的思考、オートファジーについて 学べる一般向け名著だと思う。 赤ワインを飲みながら読んでみてはどうだろう。 (なんで赤ワインかは本書を読めばわかります)
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細胞生物学で専門の大阪大学教授でオートファジー研究の第一人者である著者が、細胞の基礎から最先端のオートファジー研究の内容まで、「現代人にとって必須の教養」といえる生命科学をわかりやすく解説。また、科学的思考を身につけるということも本書の目的とされている。 数式や専門用語を使わず、...
細胞生物学で専門の大阪大学教授でオートファジー研究の第一人者である著者が、細胞の基礎から最先端のオートファジー研究の内容まで、「現代人にとって必須の教養」といえる生命科学をわかりやすく解説。また、科学的思考を身につけるということも本書の目的とされている。 数式や専門用語を使わず、「そもそも」というところから説き起こしてくれているので、生命科学についてとても理解が深まった。また、著者の専門であるオートファジーについても勉強になった。そして、腹八分目で適度な運動をするようにするなど、かなり実践的な寿命を延ばすための方法が解説されていて、長生きしたい自分にとって非常に参考になった。 もう少し欲を言うなら、「細胞はひとつひとつが生きている」の「生きている」とはどういうことなのかなど、わかりやすく書いてあるからこそ逆にわかりにくい部分もちょこちょこあったので、そこらへんをもっと掘り下げて説明してほしかった。
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【自由研究】人はなぜ老いるのか?② わかったこと ●死なない生き物がいる! →それはベニクラゲ。 ●老いない生き物がいる! →それはアホウドリやハダカデバネズミ。 ●死なない生き物がいるのに、なぜ人は老いそして死ぬのか? →その方が有利だから!(?) 人間はむしろ「死や老いを非...
【自由研究】人はなぜ老いるのか?② わかったこと ●死なない生き物がいる! →それはベニクラゲ。 ●老いない生き物がいる! →それはアホウドリやハダカデバネズミ。 ●死なない生き物がいるのに、なぜ人は老いそして死ぬのか? →その方が有利だから!(?) 人間はむしろ「死や老いを非常に積極的に選んだ」可能性が高い。(絶滅を避けるため?) ●死を選んで生き延びたのに今老化を拒んでいる! →科学が発達したから ●死なないことはいいことか? →科学をどう使うかまでは、科学は答えを持ち合わせていません。 ●老化は病気か? →今の医学は病気とはみなしていません。 +++ 健康でいるため最終的には「腹八分目で、運動に尽きる」!これには笑いました。 人類はなぜあえて〈老いと死〉を選んできたのでしょうか?選んだのにそれを拒むことは何を意味するのでしょうか? つづく
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コロナもあってなんとなく手に取った1冊。大当たり。細胞についての本を読むのは初めてだったけれど、とても分かりやすく、生命の複雑さ、合理的さ、凄さに感動した。老化を遅らせる可能性が高いオートファジーを発見した吉森先生、これからもますます頑張ってください!
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一般向けの語り口で解説。 内容に間違いはないだろうが、あまりにも概説すぎた。 オートファジーについても、さわりの部分だけ。 読了30分
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論文の情報がどのように精査されるか、論文に載っている情報は正しいのか、など、基本的な部分から教えてくれる。 自分が得た情報が正しいのか正しくないのか判断する方法は、学校ではなかなか教えてくれない。 そこを教えてくれるから、大学1、2年生から読んでほしい。 また、最後の余談である...
論文の情報がどのように精査されるか、論文に載っている情報は正しいのか、など、基本的な部分から教えてくれる。 自分が得た情報が正しいのか正しくないのか判断する方法は、学校ではなかなか教えてくれない。 そこを教えてくれるから、大学1、2年生から読んでほしい。 また、最後の余談であるが、40年ほど続けた現在の研究に関したことで、著者は60歳を過ぎてから起業したそうだ。 何歳からでも、なんでもチャレンジできる、と思わせてくれる。 もちろん、本書のテーマである生命科学の部分もわかりやすく書いてあり、理解しやすかった。
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気になっていた本、やっと目を通した。 前半はライフサイエンス一般について説明しているが、論文のことについてコラム含め話題に出している点は、この手の本の中でも差別化ポイントだと感じた。 そして著者の専門であるオートファジーのところからが、ある意味本番。自分は正直初歩の初歩くらいし...
気になっていた本、やっと目を通した。 前半はライフサイエンス一般について説明しているが、論文のことについてコラム含め話題に出している点は、この手の本の中でも差別化ポイントだと感じた。 そして著者の専門であるオートファジーのところからが、ある意味本番。自分は正直初歩の初歩くらいしか知らなかったので、この本で概略に触れることができ大変ためになった。 医療含めた今後の展開を追いかけていきたい。
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「オートファジー」発見の功労者の一人でもある吉森先生の本なので、当然「オートファジー」一色と思っていた。 ところが、本書は”生命科学の講義”と言った趣があり、そもそも論として生命科学という分野についての説明や、科学的思考法についてなど、大枠の説明から入っていく。 後半はさすがに...
「オートファジー」発見の功労者の一人でもある吉森先生の本なので、当然「オートファジー」一色と思っていた。 ところが、本書は”生命科学の講義”と言った趣があり、そもそも論として生命科学という分野についての説明や、科学的思考法についてなど、大枠の説明から入っていく。 後半はさすがにオートファジーの話になるが、それを発動させる方法については軽く触れられているだけであった。 しかし、それこそがある意味科学者的な態度で、まだ有意な研究結果が出てないのに、断食が良いとか言いきっていないところが却って信頼できる。 (16時間の断食がオートファジーの発動には必要という本や説明を多く聞くが…)。 読んでいても、科学の門外漢にもわかりやすく書かれていたし、科学者の考え方や置かれている環境まで詳細に説明されており、十分に知的好奇心が満たされた。
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