文学少女対数学少女 の商品レビュー
ほんタメのたくみさんがおすすめしていたので。 やたら主人公が中国っぽい名前だなと思っていたら、作者が中国の方だったようで、どうやら翻訳されたものらしい。 イギリスやアメリカの推理小説は読んだことがあったけれど、中国は初めてだ。世界中の本が読めて幸せだね。ちなみに翻訳ものって読み...
ほんタメのたくみさんがおすすめしていたので。 やたら主人公が中国っぽい名前だなと思っていたら、作者が中国の方だったようで、どうやら翻訳されたものらしい。 イギリスやアメリカの推理小説は読んだことがあったけれど、中国は初めてだ。世界中の本が読めて幸せだね。ちなみに翻訳ものって読みにくいのもあるけど、これは読みやすい文体だった。 連作短編集の形をとっていて、文学少女の私と数学小説の女の子、主人公のルームメイトが共通する登場人物。 フェルマーの最終定理の章が1番好きだった。途中の式が正しいか証明できなくても、結論が正しいと証明できるというのは面白かった。 推理小説のトリックがすごくて面白い!というのではなかったのだけれど、数学と絡めた推理方法や解説が今までになくてよかった。 途中、日本の小説を取り寄せるくだりがあって、吉屋信子の名前が出てきてびっくり。最近よく見るから縁があるのか読んだ方がいい気がしてきた。 でも確かに、吉屋信子って少女小説を書いていたからか本作もそれっぽい感じもするかも(?) あと中国の地理が分からなくて、いつも日本とか異世界ものばっかり読むから新鮮で面白い〜となった。
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作中作が数学と上手く絡んでいないと思った。 例えば、フェルマー最後の事件は、フェルマーの最終定理のドラマの一部と人の名前を作中作にて借用したというだけであって、それ以上は無い。事件の結末も、フェルマーの例の話のように、彼がどう証明したかは不明だが、偶然か必然か、答えは当たっていたんだよ、ということ。 申し訳ないが、大衆文学的なミステリーでこの終わり方は個人的に好みではなかった、納得がいかない。あぁ〜フェルマーとそう絡むのね、スッキリ〜とはならなかった。 ミステリーに驚きや意外性、騙し方の巧みさなどを求めている僕にとって、この小説はミステリーとして扱うと評価は低め。 かといって、推理小説に関する諸問題に考えを巡らすという点においても、行き着く先は後期クイーン的問題に対するありがちな答えだった。 ただ、構想するのが難しい話を作り上げたことは事実であり、ある程度お土産もあったので星3。
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作家を目指している少女と天才数学少女が推理小説を通じて関係を深めていくお話です。作中作が何個か登場し、文学少女はミステリ的な観点から、数学少女は数学らしく型に当てはめて推理をしていく様子はこれまで推理小説を読んでいく上で気にしたことがなかった視点を与えてくれました。犯人当てゲーム...
作家を目指している少女と天才数学少女が推理小説を通じて関係を深めていくお話です。作中作が何個か登場し、文学少女はミステリ的な観点から、数学少女は数学らしく型に当てはめて推理をしていく様子はこれまで推理小説を読んでいく上で気にしたことがなかった視点を与えてくれました。犯人当てゲームという非日常と主人公たちの世界という日常の切り替えといった点も驚くほど上手くてお気に入りの一冊になりました。 この作家さんの作品は初めて読んだのですが、3作目だそうで、本作の主人公が以前にも登場しているのでそちらも読もうと思っています。ただ、ここから読んでも特に問題は無かったです。
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自作の推理小説を用いた犯人当てゲームを、ガチの数学理論を用いて答えを導き出す、唯一無二のミステリ作品。面白いのが、各短編いずれも「自作小説を読む→数学で紐解く→実際に事件が起こる→現実はそんなに簡単ではない」という流れになっていることで、モヤモヤが残る作品もあったのですが、トータ...
自作の推理小説を用いた犯人当てゲームを、ガチの数学理論を用いて答えを導き出す、唯一無二のミステリ作品。面白いのが、各短編いずれも「自作小説を読む→数学で紐解く→実際に事件が起こる→現実はそんなに簡単ではない」という流れになっていることで、モヤモヤが残る作品もあったのですが、トータルで見ると新鮮な驚きが多く、とても楽しく読むことができました。数学の専門知識がないので数学パートはさっぱり理解できないのですが、実際の事件を交えて実例が明示されるので、理解の助けになっていることも良かったですね。
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現代の中国の小説を読むのが初めてだったので、文体がものすごく簡素というか、描写に物足りなさを感じるのが翻訳のせいなのかこの作品自体がそうなのか分からない。 主人公と作者の名前が一致していることからもかなりメタい作品になっていて、描写に面白みは感じなかったけれど章ごとに用意されている結論のようなものや構図は面白かった。私がこの小説そのものに感じた物足りなさのようなものも、作中で主人公が指摘しているので意図的なものなのかもしれない。 主人公を文学少女と称するには、文学少女然とした描写がない。もしかしたら翻訳の都合で文学少女と言われているだけで、文系、くらいのニュアンスなのかも。 もしかしたらこの作品を楽しむには、私は現代中国の文化や情景や文章に疎すぎるのかもしれない。 繰り返しになるけれど、作品の構造はすごく好き。 作中作のトリックを登場人物たちが検証していく構造とか、めっちゃ好き。
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途中まで読んでから、作者が中国の人だということに気づいた。日本の作家だとばかり思い込んでいて、登場人物が全部中国名なのは何かの趣向かなと思っていた。翻訳が自然だったからか。 「後期クイーン問題」を意識した内容で、それに数学のトピックをからめた短編4話。どちらの趣向もあまり好みでは...
途中まで読んでから、作者が中国の人だということに気づいた。日本の作家だとばかり思い込んでいて、登場人物が全部中国名なのは何かの趣向かなと思っていた。翻訳が自然だったからか。 「後期クイーン問題」を意識した内容で、それに数学のトピックをからめた短編4話。どちらの趣向もあまり好みではなかった。ミステリーに数学を強く関連づけようとすると、数学の好きな人間にとってはどうしてもわざとらしくなってしまう。しかしあくまで好みに合わなかったというだけで、何か批判したいわけではない。 「あとがき」では、作者が日本のミステリー作家をものすごくリスペクトしているのが印象に残った。
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“数学”が物語に組み込まれたミステリ小説。ミステリ好き・数学好き必読。第一話『連続体仮説』における韓采蘆の論理的推理は圧巻。数学者・カントールの『数学の本質はその自由性にある』という言葉は、そのまま推理小説にも当てはまるもので、数学と推理小説はとても似ている。
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犯人当て小説を書いている主人公の陸秋槎が自身の小説がフェアかどうかを数学の天才である韓采蘆に確認してもらいにいき、仲良くなる物語。 作中作とそれに対しての批評が数学を交えて語られ、現実でも事件が起こったりする。本格ミステリや百合の話を期待すると、現実の事件の解決方法や仲の進展...
犯人当て小説を書いている主人公の陸秋槎が自身の小説がフェアかどうかを数学の天才である韓采蘆に確認してもらいにいき、仲良くなる物語。 作中作とそれに対しての批評が数学を交えて語られ、現実でも事件が起こったりする。本格ミステリや百合の話を期待すると、現実の事件の解決方法や仲の進展具合のなさや描写の少なさに少し拍子抜けをくらうが、一人のミステリファンとしてはとても興味深い作品だった。数学が推理に説得力を与えていたり、ミステリが数学の複雑さを分かりやすく解説していたりと相互のバランスがちょうど良かった。 個人的には「フェルマー最後の事件」が好みだった。ただあまりジャンルに区分される物語ではないため、どういう人にだったら薦められるかと言われると困る作品だと思った。
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図書館にて読む時間がなくグラウディ級数から先が読めなかった。いずれ再読予定。 数学でミステリーを読み解いていくという内容は、斬新で面白かった。 ミステリーの楽しみ方が自分自身いまいちわかってなかった(深く考えることがなかった)ので、今後ミステリーを読むときの参考にしたいと思った。
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ミステリ好きですが謎解きは苦手です。ロジックが面倒くさくて。ましてや数学となると更に思考が追いつかない世界ですが、無理せず女子たちの会話を楽しみました。
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