文学少女対数学少女 の商品レビュー
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「元年春之祭」が日本でもヒットした華文ミステリー作家 陸秋槎の短編集。 陸秋槎と同名の女子高生がワトスン役。同級生で数学の天才 韓采盧がホームズ役といったところか。 ただこの短編集の変なところは、各短編に作中作となる短編推理小説があり、その犯人探しと実際の作中人物の抱える問題の回答を推理するという事と、各短編が推理小説の抱える構造的な問題(解説で後期クイーン論として紹介されていたりしますが)をテーマにしたアンチ・ミステリーの形をとっている事、そしてそれらが数学の理論や歴史を絡めた内容になっていて、さらにそこにホームズ役とワトスン役が女子高生でちょっと百合要素も入っている、、、などなどの多くの設定、枠組みが重ね合わされている点。 個人的にはアンチ・ミステリーはミステリー好きには受けるかもしれないが、ミステリー初心者には「なにこれ?」となることが多いと思われ、小説の結末はアンチ・ミステリーらしい、つまりノーマルなミステリーとしては必ずしも犯人がわかって読者が爽快感を得られるというのとはほど遠いところにいるので、果たして受けるのだろうか?と心配になってしまう。 それでも重版されているというから受けているのでしょう。 まぁ個人的にはそれほど好きではないです。
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作中作形式で描かれる犯人当てとそれにまつわる議論の全てが数学的知識をモティーフにしているすごい推理小説。 数学的厳密さが悪魔のようにミステリを解体してくその先に自分がミステリを大好きな理由が現れたりした。 見たいものを見ることこそがエンタメの本質なのかも。 第一話で科学捜査に拠...
作中作形式で描かれる犯人当てとそれにまつわる議論の全てが数学的知識をモティーフにしているすごい推理小説。 数学的厳密さが悪魔のようにミステリを解体してくその先に自分がミステリを大好きな理由が現れたりした。 見たいものを見ることこそがエンタメの本質なのかも。 第一話で科学捜査に拠らない古式ゆかしいミステリの限界がこれでもかと突きつけられ、もちろんその話の中でも解決は見られるけども それがさらに最終話の流れと呼応するようで楽しかった。主人公の成長が見れたようで。 と同時に幕引きは主人公のある種の卒業を示唆してるようで切ない。でもこれはただの僕の勘違いかも。麻耶雄嵩っぽいなと思えて好きやが。
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文学少女“陸秋槎”と数学少女でミステリと数学の話を四篇。ミステリの考え方、後期クイーン的問題に対する、現実的で数学的なアプローチは読んでいてなるほどなぁと感心してしまった。話にしても日常の謎もあり、しかし殺人もあり…と読み飽きない。同作者の「雪が白いとき、かつそのときに限り」はま...
文学少女“陸秋槎”と数学少女でミステリと数学の話を四篇。ミステリの考え方、後期クイーン的問題に対する、現実的で数学的なアプローチは読んでいてなるほどなぁと感心してしまった。話にしても日常の謎もあり、しかし殺人もあり…と読み飽きない。同作者の「雪が白いとき、かつそのときに限り」はまだ読めていないので、それも読みたい。
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―― Das Wesen die Detektivgeschichte liegt gerade in ihrer Freiheit. 青春百合小説に擬態しているものの、その実体は数学×ミステリ論を元に後期クイーン的問題を中心としたミステリの不自由さに真っ向から挑んだ論文的作品。うわぁなんだこれ! 不完全で不自由で自由なその論点は、確かに青春の証明不可能性と通じるところがあるのかもしれない。 数学は基礎の基礎で逃げ出した自分にも、その仕組みは理解できるくらいにそれぞれの数学的要素が語られているのが凄い。数学愛もミステリ愛もなきゃできないなぁ。 数学者というか数学愛好家というのも、そこらのミステリマニアと一緒で、数学というものの不完全さが愛おしくて数学とずぶずぶなんだろうなぁ、って。 クラシカルなゲームを縛りプレイしてずっと楽しんでいる感じが、いちばん近いのかもしれないとか、失礼なことを思っている。 真犯人が追い詰められると自白するのも、その精神からきてるのかもしれない。 推理小説の本質はその自由にある、 und Die Anziehungskraft die liegt gerade in ihrer Beschrankung. 自縄自縛、ということばがよく似合う。だから好きなのかな? ☆3.8
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この作者の本を読むのは三冊目。これも百合要素あり。 推理作家になりたい女子高生(作者♂と同名)と友達のいない数学の天才少女が主人公の華文青春ミステリー。四つの短編からなる連作集で、作中に「犯人当て」のエピソードがあり、そこが面白い。 数学なんて苦手という人は、難しく考えずに読...
この作者の本を読むのは三冊目。これも百合要素あり。 推理作家になりたい女子高生(作者♂と同名)と友達のいない数学の天才少女が主人公の華文青春ミステリー。四つの短編からなる連作集で、作中に「犯人当て」のエピソードがあり、そこが面白い。 数学なんて苦手という人は、難しく考えずに読むこと。 ただし、中国人の名前に馴染みがないので、男女の区別とかよくわからない。「秋槎」は男女ともに使われる名なのでしょうか? 例によって登場人物表が挟みこまれているのだが、性別も表記してほしい。
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陸秋槎『文学少女対数学少女』読了。 作中作"犯人当て"と現実の謎解きの階層構造にその両方が数学の定理のアナロジーを成して、さらには天才数学少女とミステリ書きの少女の百合という欲張りセットの連作短篇集。 ライトな関係性や日常系謎解きの物語にハードな数学やミステリ...
陸秋槎『文学少女対数学少女』読了。 作中作"犯人当て"と現実の謎解きの階層構造にその両方が数学の定理のアナロジーを成して、さらには天才数学少女とミステリ書きの少女の百合という欲張りセットの連作短篇集。 ライトな関係性や日常系謎解きの物語にハードな数学やミステリ論が調和した1つで何粒も美味しい一冊。 陸秋槎は「色のない緑」や『元年春之祭』ですごい作家だとは思っていたけれども、その2作ともまったくテイストが違う本作にその多才さに驚かされる。 ところで、いろんな本でゲーデルの不完全性定理を読みますが、未だに人にちゃんと説明できる気がしない…
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華文ミステリーですが、あとがきによるとこの作者は、1988年生まれで、日本のミステリーを読んで育った作家のようです。 影響を受けた作家として、法月倫太郎、氷川透、麻耶雄嵩、三津田信三、柄谷行人、井上真偽、綾辻行人、米澤穂信他、現代人気作家の名が挙げられていました。 「ガール・...
華文ミステリーですが、あとがきによるとこの作者は、1988年生まれで、日本のミステリーを読んで育った作家のようです。 影響を受けた作家として、法月倫太郎、氷川透、麻耶雄嵩、三津田信三、柄谷行人、井上真偽、綾辻行人、米澤穂信他、現代人気作家の名が挙げられていました。 「ガール・ミーツ・ガール」の物語ということを除くと、派手な事件はなく、日常の謎的なゆるい展開です。 ミステリー好きで犯人当て小説を書く女子高生陸秋槎と同級生で数学の天才少女韓采蘆が主人公です。 秋槎の語る物語の犯人を采蘆が推理します。 第一話 連続体仮設 第二話 フェルマー最後の事件 第三話 不動点定理 第四話 グランディ級数 のうち、四話ではとうとう本物の殺人事件が起こりますが、本格推理の短編集なので、ストーリーの説明は難しいです。 最初の二話はなんとか意味がわかりましたが、後の二話は理解が難しかったです。 本格推理や数学は大の苦手なので、私にはちょっとハードルが高かったようです。
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後期クイーン的問題と真っ向から切り結ぶメタミステリの短編集。もっとてらいのないパズラーだと思い込んでいたのだけれど、えらく屈折している。その手の議論にあまり関心のない向きには、(ミステリとしては)少し退屈だが、代わりに炸裂する百合感が興味深い。さすがに「アステリズムに花束を」への...
後期クイーン的問題と真っ向から切り結ぶメタミステリの短編集。もっとてらいのないパズラーだと思い込んでいたのだけれど、えらく屈折している。その手の議論にあまり関心のない向きには、(ミステリとしては)少し退屈だが、代わりに炸裂する百合感が興味深い。さすがに「アステリズムに花束を」への参加を「強要」したと作者本人が明言するだけのことはあるか。
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