空芯手帳 の商品レビュー
2022年11月 名前のない業務、来客時にコーヒーを出したり、お土産でいただいたお菓子を配ったり、女だからと無言で強制される雑務、あるあるネタだ。 でも本当に女である自分がやらなければいけないのだろうか?実は自分でも勝手にそうでなければならないと思い込んでいるところもある。せめて...
2022年11月 名前のない業務、来客時にコーヒーを出したり、お土産でいただいたお菓子を配ったり、女だからと無言で強制される雑務、あるあるネタだ。 でも本当に女である自分がやらなければいけないのだろうか?実は自分でも勝手にそうでなければならないと思い込んでいるところもある。せめて自分は自分を大切にしたい。 妊娠した、という大胆な嘘。地の文の、「私」の妙に肝の座った語り口が面白い。 社会の常識とストーリー展開の非常識さのバランスが絶妙。よかった。
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会社で理不尽を感じ、とっさについた「妊娠しています」という嘘。 その嘘をずっとつきとおすという小説。 その気持ち分かる!! 私は出産経験がないけれど、仕事が嫌になったとき、産休・育休して1年位リフレッシュしたい~と思うもん。 でも実際はしない。 だってつきとおせる嘘じゃないから。...
会社で理不尽を感じ、とっさについた「妊娠しています」という嘘。 その嘘をずっとつきとおすという小説。 その気持ち分かる!! 私は出産経験がないけれど、仕事が嫌になったとき、産休・育休して1年位リフレッシュしたい~と思うもん。 でも実際はしない。 だってつきとおせる嘘じゃないから。 でも、この主人公は産まれてもずっと嘘をつきとおします。 というか、胎動を感じてきたとか、検診にいってエコーで赤ちゃんをみるとか、自分自身もだますようになってきている。 その後、主人公は嘘をついているという罪悪感が少しあるから職場で理不尽なことがあっても受け流せるようになってきたのだと思う。 そして、育休後職場に戻ってみるといなくなった期間があったおかげで、理不尽が解消している。 妊婦友達の、親という立場は同じなのに夫が協力してくれないと悩んでいるのと比較して、この主人公のように嘘だけど、シングルマザーとして子どもを育てるのと、協力してくれない夫と子どもを育てるのとどっちが気持ちが楽かな・・・と考えてしまった。
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どうなっちゃうの…と読み進めだけど結局どうにもなってないような? 妊娠中に読んでたらまた違ったのかも? 妊婦に徹していつバレるか?みたいな気持ちで読んでたけどそういうことじゃなさそうだった。 設定は狂ってるのにどこか優しい空気がずっと流れてる。でも狂ってるので怖い。
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「ねえ細野さん、自分だけの場所を、嘘でもいいから持っておくの。人が一人入れるくらいのちょっとした大きさの嘘でいいから。」 主人公の柴田は、時々聖母マリアを友達を見るかのように見つめて呟き、自分の信仰を貫いていく。 この人は、強い。 のかもしれない。 現実と夢の間に、彼女を支え...
「ねえ細野さん、自分だけの場所を、嘘でもいいから持っておくの。人が一人入れるくらいのちょっとした大きさの嘘でいいから。」 主人公の柴田は、時々聖母マリアを友達を見るかのように見つめて呟き、自分の信仰を貫いていく。 この人は、強い。 のかもしれない。 現実と夢の間に、彼女を支える居場所があるのだ。 現実と夢の間、わたしにもそんな場所がかつてあったと思い出した。
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読友さんのレビューに惹かれ読みたいと思ったが、図書館に蔵書がなくリクエストして取り寄せてもらった。 新卒で入社した派遣会社を辞め、紙管会社に転職した柴田は、ある日突然“妊娠”する。部署内に女性が1人だけという理由で、男性社員がやろうとしない雑用を押し付けられることへの反発から吐い...
読友さんのレビューに惹かれ読みたいと思ったが、図書館に蔵書がなくリクエストして取り寄せてもらった。 新卒で入社した派遣会社を辞め、紙管会社に転職した柴田は、ある日突然“妊娠”する。部署内に女性が1人だけという理由で、男性社員がやろうとしない雑用を押し付けられることへの反発から吐いた嘘だ。その日を境に日常の様々なことが変わっていく。 臨月が近づくにつれ不条理な展開になり、どこに着地するのかハラハラしたがそう来たか。こういう本を読むと女性に対してどんな態度で接すればいいのかわからなくなる。 第36回太宰治賞受賞作。
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職場にキレて偽装妊娠。 まず、インパクトの強い帯に惹かれました。 「ねえ、電子レンジ」。私は電子レンジではない。 「ねえ、コーヒー」。私はコーヒーでもない。 暗黙の了解で女性の役割とされてしまい、時期にそれが当たり前になってくると、やってくれた人に対し感謝の気持ちも無くなれば、行動を起こしてくれた向こう側の、役割を果たしてくれた人が見えなくなってしまうのだと思った。 偽装妊娠の期間が長くなると、その役割を果たす人間が居なくなり、そこを改善するのではなく、役割を果たしてくれそうな別の人間が穴埋めをする。 妊娠した後の、仕事に集中しやすくなった環境は、誰かが犠牲になって築き上げていくのだろう。 東中野さんが、ミスしてしまったときに出来た紙管のくだりで「どれもそこそこいい紙管」に見えたのが皮肉にも感じる。 妊娠期間中、本当に妊娠しているかのような描写が続き、混乱しかけたが、嘘を守り続けた、大切にし続けている柴田の強さの証明なのだと思う。 じっくり読み込みたい作品。
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職場での扱いに嫌気が差して偽装妊娠することにした柴田の目線から、日記のような形で進んでいく。後半からは「え?もしや本当に妊娠してたの?」と思うような展開だったけどやっぱり想像妊娠だった。現実では実現不可能だとは思うけど、人間の心と身体は繋がっているから、これに近い体の変化はあり得るんだろうな、とは思う。ここまでやり遂げる柴田に狂気も感じた。
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なんだか不思議な感触の話だった。妊娠しているという嘘をついた女性が、職場の人たちをだまし続けるために、妊婦らしい行動をし、週数に応じたおなかの大きさや妊婦の変化を演じ続けるという内容。想像妊娠とは違う、妊娠詐欺?こんなこといつか嘘だとばれちゃうよなーと思っていたら、なんと架空の子どもを出産して産休・育休をとって職場復帰してしまった。終盤では妊娠・出産が嘘なのか本当なのか、こちらも混乱してきて巻き込まれそうな気持ちになった。 妊娠・出産を武器にして理不尽な職場に一矢報いるのが、少しスカッとする。
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意図的に妊娠を装う女性の話。最後はどんな終わり方に持っていくのだろうと興味津々で読んだ。 あくまで意図的なので、想像妊娠とは違うけど、母子手帳アプリで記録をつけたり、マタニティビクスに通って妊婦仲間と交流したり、だんだん本当に妊娠してるんじゃないかと思えてきて、不思議な感覚だった...
意図的に妊娠を装う女性の話。最後はどんな終わり方に持っていくのだろうと興味津々で読んだ。 あくまで意図的なので、想像妊娠とは違うけど、母子手帳アプリで記録をつけたり、マタニティビクスに通って妊婦仲間と交流したり、だんだん本当に妊娠してるんじゃないかと思えてきて、不思議な感覚だった。 諸々、母子手帳の交付とか助成券とかどうなんだろう…と気になるところはあったけど。 肝心の結末は、なるほど、そこに落ち着くのかと思える終わり方で、希望が見えるのが良かった。
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理不尽な雑用を押し付けられ嫌気がさした柴田は、偽装妊娠することにした。 そこから始まる嘘。 産婦人科の先生だって、柴田が「妊娠している」というからそう思ってしまったのではないかな。 P145にそれとなく匂わせるようなことも書かれている気がする。(ネタバレになるので書きませんが) ...
理不尽な雑用を押し付けられ嫌気がさした柴田は、偽装妊娠することにした。 そこから始まる嘘。 産婦人科の先生だって、柴田が「妊娠している」というからそう思ってしまったのではないかな。 P145にそれとなく匂わせるようなことも書かれている気がする。(ネタバレになるので書きませんが) そして同じ課の東中野。 変わり者だが彼と奥さんのエピソードから 東中野がいちばんまともだと思えてきた。 全てが嘘とはっきりわかる方が 読んでいる私は安心できた。 それとも曖昧だからいいのだろうか。
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