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海をあげる の商品レビュー

4.2

258件のお客様レビュー

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    108

  2. 4つ

    77

  3. 3つ

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2021/12/21

海をあげる。言葉の意味は最後にわかる。 綺麗で汚い家族と海の思い出を、突然に米軍が侵入してくる怖さ。それを他人事にしている偉い人と、私。 貧困と理不尽が跋扈する沖縄を、第三者のふりをしている見ている自分がよく見える。この本で、人の絶望を受け継いでしまった。どうしたら良いか。

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2021/12/12

エッセイというかたちでさらさらと流れていく言葉がどんどん自分の中に堆積していく。何度も俎上に上げて諦めたり先送りにしてきた絶望を目の前に差し出され渡されてしまった感覚になる。 考える時間が必要だと感じていて、その時間を取ることが必要だとずっとわかっていたのに幾つもの失望から先延ば...

エッセイというかたちでさらさらと流れていく言葉がどんどん自分の中に堆積していく。何度も俎上に上げて諦めたり先送りにしてきた絶望を目の前に差し出され渡されてしまった感覚になる。 考える時間が必要だと感じていて、その時間を取ることが必要だとずっとわかっていたのに幾つもの失望から先延ばしにしていたことへの罪悪感が首をもたげて少し憂鬱な気持ちにもなり。強いなと思う。逃げずに考え続け、真摯に声を引き出し続け、普天間の近くに住み続ける彼女の強さと弱さと怒りとを書き留めて世に出すこと。まっすぐ読んだ人の心に差し込んで、多くの人が考え思うことで絶望が絶望じゃなくなるのを願う。

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2021/12/11

一気読みした。沖縄で若年出産した少女たちの調査や支援をおこなっている琉大の上間さんの近著。最近読んだ本の中で一番読まされた本。 静かな言葉で語られる文章が、ページをめくらせ、自分の無自覚なことに対する気づきを与える。閉じた時に残ったのは、何かを受け取った感覚。

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2021/12/07

おびやかされる沖縄での美しく優しい生活。幼い娘を抱え、理不尽な暴力に直面してなお、その目には光が…。自らの声を聞き取った、著者初のエッセイ集。『webちくま』『新潮』掲載に加筆修正し、書きおろしを加え単行本化。 やわらかい語り口だけれど重くて苦しい内容だった。先に光が見えるよう...

おびやかされる沖縄での美しく優しい生活。幼い娘を抱え、理不尽な暴力に直面してなお、その目には光が…。自らの声を聞き取った、著者初のエッセイ集。『webちくま』『新潮』掲載に加筆修正し、書きおろしを加え単行本化。 やわらかい語り口だけれど重くて苦しい内容だった。先に光が見えるようになればいい…。

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2023/01/07

 美味しいごはんの話が素敵でした。  これだけ駆けつけてくれて寄り添ってくれる友だちがたくさんいることがただ純粋に羨ましかったです。  「わからなかったんだよ、本当に。つないでいたものをほどくほうが大変だってことが。こんなところにもつながりがあるの、ここにもって毎日そう思ってる...

 美味しいごはんの話が素敵でした。  これだけ駆けつけてくれて寄り添ってくれる友だちがたくさんいることがただ純粋に羨ましかったです。  「わからなかったんだよ、本当に。つないでいたものをほどくほうが大変だってことが。こんなところにもつながりがあるの、ここにもって毎日そう思ってるんだよ。あのとき、洋子はこういう思いをしていたんだって思ったら、顔をみたくなった」  

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2021/12/04

娘さんとのエピソードで柔らかな気持ちになった後、沖縄で実際に起きている現実が生々しく語られていて、鋭く胸に突き刺ささった。 ニュースで耳にすることはあっても、どこか他人事のように捉えていることを実感した。 最後の最後にタイトルの意味が分かってゾワっとすると共に、とても哀しくなる。

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2021/12/01

2021年本屋大賞ノンフィクション部門受賞作。 著者は、沖縄の大学で教師をし、若年の妊婦の方達の支援、調査などを行っている。受賞スピーチを聞き、本書を読み、辛く、悲しく、憤りを感じるのだけれど、ただそれだけではなく、ほんの少しの希望や優しさなども感じました。生半可な気持ちでは読ん...

2021年本屋大賞ノンフィクション部門受賞作。 著者は、沖縄の大学で教師をし、若年の妊婦の方達の支援、調査などを行っている。受賞スピーチを聞き、本書を読み、辛く、悲しく、憤りを感じるのだけれど、ただそれだけではなく、ほんの少しの希望や優しさなども感じました。生半可な気持ちでは読んではいけない作品なのかもしれません。でも、読んで欲しい。 なぜか、もう何年も前に観たcoccoさんのドキュメンタリー映画を思い出しました。

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2021/11/28

美味しいごはん、ふたりの花泥棒、きれいな水、ひとりで生きる、波の音やら海の音、優しいひと、三月の子ども、私の花、何も響かない、空を駆ける、アリエルの王国、海をあげる 沖縄の情景が目に浮かび、会話も多く話し声が聞こえてくるような優しく読みやすい文章。けれど内容はとてつもなく深く哀...

美味しいごはん、ふたりの花泥棒、きれいな水、ひとりで生きる、波の音やら海の音、優しいひと、三月の子ども、私の花、何も響かない、空を駆ける、アリエルの王国、海をあげる 沖縄の情景が目に浮かび、会話も多く話し声が聞こえてくるような優しく読みやすい文章。けれど内容はとてつもなく深く哀しい驚きに満ちている。 岸政彦さんきっかけで著者を知り、『裸足でにげる』web連載(本書)、共著の『地元を生きる』を続けて読み、関連のネットイベントにも参加して、つくづく沖縄で起きていることは他人事ではなく自分事で、日本のことと知る。女性差別、沖縄差別、政治の問題は人の命の問題だ。将来の子どもたちのためにも、このまま黙って見過ごすわけにいかない。 著者によるYahoo!ノンフィクション大賞の受賞スピーチも必聴。

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2021/11/24

読むのが怖かった本だ。 和田靜香さんの著書『時給はいつも~』を読んで、私の身の安全は「沖縄の人たちが毎日安心して暮らせること」が犠牲になることで成り立っていると気づかされた。 誰かの犠牲の上に何かが成り立つ構造。知らぬ間に自分もそれに加担していることを直視するのはつらい。 しかし...

読むのが怖かった本だ。 和田靜香さんの著書『時給はいつも~』を読んで、私の身の安全は「沖縄の人たちが毎日安心して暮らせること」が犠牲になることで成り立っていると気づかされた。 誰かの犠牲の上に何かが成り立つ構造。知らぬ間に自分もそれに加担していることを直視するのはつらい。 しかし、本当につらいのは誰なのか。 沖縄の人々の痛みに、すこしでも寄り添おうとしたのか。そもそもきちんと耳を傾けたことはあるのか。 私はしっかりと、一緒に海につかることはできるのか。

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2021/11/23

大学のとき、猿田佐世先生の授業で、沖縄問題についてたくさんのことを教えてくれた。 だが、そのとき自分は単位がとれればなんでもよく、正直寝ていたしコメントペーパーにも薄い内容のことひとこと書いて提出していた。 きっとなにが争点で、なにが先生の思う最善策なのか、またそれに関する有用な...

大学のとき、猿田佐世先生の授業で、沖縄問題についてたくさんのことを教えてくれた。 だが、そのとき自分は単位がとれればなんでもよく、正直寝ていたしコメントペーパーにも薄い内容のことひとこと書いて提出していた。 きっとなにが争点で、なにが先生の思う最善策なのか、またそれに関する有用な問いがいくつも授業内で語られていたはずなのに。 上間さんが後書きで、「言葉は聞く耳を持つ者の前でしか紡がれない」と書いていた。 私も美しい沖縄しか知らなかった。知ろうとしなかった。 そのことを恥じて、もう一度勉強しなおしたい。

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