きのうのオレンジ の商品レビュー
2022年読了一作目。主人公の人生へスタンスに共感しました。仕事も人との接し方もこうありたいと思う。日々を丁寧に生きて生き切る。そうすれば、後悔なく死を迎えられるかもしれない。
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読み終わった後、涙がしばらくとまらなかった。 同じ種類の癌になって、同じ苦しみを乗り越えても、助かる人と助からない人がいます。 それは運がいいから、悪かったから? 毎日、真面目に働いて、家族を一番に考えて、自分のことは二の次にして、健康にも気をつけていたのに、それでも癌は人を選ば...
読み終わった後、涙がしばらくとまらなかった。 同じ種類の癌になって、同じ苦しみを乗り越えても、助かる人と助からない人がいます。 それは運がいいから、悪かったから? 毎日、真面目に働いて、家族を一番に考えて、自分のことは二の次にして、健康にも気をつけていたのに、それでも癌は人を選ばない! 神様に、自分の命よりも愛する人を助けて欲しいと願っても聞いてもらえないのはなぜ? 健康で毎日を過ごせるのは、決して当たり前ではない、奇跡です。 奇跡の日々を大切に生きて生きたい!
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※このレビューにはネタバレを含みます
「不安、恐怖、後悔……。この三つを口にする患者さんが多いかな。もちろん……」主人公・遼賀が闘病中の人のことを聞いた時の、看護師・泉の答えです。 どうでしょう。想像力が足りないのかもしれないけど、「後悔」っで納得してしまった。選び直せるならと、戻ってこない失望と。ただ、それを思う時間の長さと、静けさは想像を絶するかも、と。 「でも自分は間違いなく幸せだった」と、語る主人公。どうすれば、何を受け入れれば、誰の笑顔があれば、そう思えるのだろうかと、問いかけ続ける。 神さまは、”良い人"ほど手元においておきたがる、とはよく言ったものです。きっと、遼賀のような人が該当するんだなって、衝撃を覚える。しかも、死を受け入れて、なお、前向きに生きる。登山までして、夕陽まで見て。涙が止まりません。33歳でここまでできるとは、とても…、無理だって。そして、本当は話すはずのなかった幼少期のことも。 でも、だから、神に可愛がられるのかも、と。 1つ教えて欲しかった。あのときの希望は何だったの?もし、癌が治ったら何がしたかったの?、と。
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若い時の死と向き合う経験。少しずつ蝕まれて、動けなっていく経験。家族やまわりの人の気持ち。主人公の落ち着きっぷりが、30代とは思えず、いま自分の身に同じことが起きても、こんなふうに穏やかに、粛々とは過ごせない。 2021/10/25読了
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3.8 イタリアン・レストランの雇われ店長として日々多忙な生活を送る主人公・笹本遼賀(33才)は、もう長いこと胃に違和感を覚えつつもスルーしていたが、心から遼賀の身を案じて検査を勧めるバイト店員・高那の真剣な訴えに従い受診する事に。 そして、検査に訪れた病院で看護師として働く...
3.8 イタリアン・レストランの雇われ店長として日々多忙な生活を送る主人公・笹本遼賀(33才)は、もう長いこと胃に違和感を覚えつつもスルーしていたが、心から遼賀の身を案じて検査を勧めるバイト店員・高那の真剣な訴えに従い受診する事に。 そして、検査に訪れた病院で看護師として働く高校時代のクラスメイト・矢田泉と再会するのだった。 診察の結果、 胃にガンが見つかるが、その後の詳しい検査で初期と診断される。 だが… 手術後に膵臓周囲のリンパ節への転移が見つかり、再発の可能性が跳ね上がる。 ガンのステージも3に上がり、次第に「死」がリアルに忍び寄ってくる。 笹本家の双子・笹本ツインズとして育った従兄弟・恭平との幼き日の遭難の記憶… そして恭平の出生の秘密。 高校時代、泉が密かに想いを寄せていた遼賀と二人で完成させた文化祭の桜… そして医師との過去。 母・燈子の葛藤と後悔… 遼賀の罹患によって、否応なしに変化して行くそれぞれの生活。
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主人公と同じ年齢。もし自分が癌で余命を宣告されたらどうなってしまうのか。終盤、主人公が同級生だった看護師をやっている女の子に、「会えて良かった」というセリフに涙が出た。自分も、そう言えるような存在が欲しいし、逆に誰かにそう思われる存在でいたいとシンプルに思った。
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2021.11.14市立図書館 SNSで気になって、ずいぶん前に予約を入れてやっと順番が来た。 ぐっとひきこまれる導入部。岡山で生まれ育ち、東京で働く33歳の男性が主人公。思いもよらない闘病の身となるのと同時に、通院をきっかけに思いがけない再会も得る。章ごとに視点となる人物が替...
2021.11.14市立図書館 SNSで気になって、ずいぶん前に予約を入れてやっと順番が来た。 ぐっとひきこまれる導入部。岡山で生まれ育ち、東京で働く33歳の男性が主人公。思いもよらない闘病の身となるのと同時に、通院をきっかけに思いがけない再会も得る。章ごとに視点となる人物が替わりながら語られる現実世界は切実で、時間は止まってくれず、自分でえらぶというよりそうせざるを得ないまま、その選んだ道を最善と信じてすすんでいくしかない、そんな感じが身につまされる。患者という立場とその家族や看護者の関係のありかたが今らしいテーマだった。それを軸として、看護師や教師のような人を見守る仕事の矜持にも触れられていて興味深かった。中盤からは先が気になり一晩で読了した。 純粋に物語の世界を楽しむというより(もちろんそれもある、それだけの読者もいていい)、社会的・哲学的な問題提起として、広く読まれてほしいと願う作品(とある専門的な立場から発信される啓蒙的な雰囲気は岩城けいと似た感じ)。著者の他の作品もいずれ読んでみたい。 自分もいざとなったら、こういう境地になれるだろうか。捨て鉢にならず、自分も周りの人をも大事にしつつ、ずっと自分らしくやってこられたと満足して、支えてくれるひとへの感謝をちゃんと伝えて、前を向いて運命に向き合えるだろうか。主人公は家族にも友人や同僚にもめぐまれたが、それにふさわしい主人公の誠実さあってこそ。こういうのは、そのときになって急にできることではなく、けっきょくそれまでの地味でも誠実な生き方の延長なのだと感じた。 ちょうど朝ドラも岡山を舞台にした話なので、読んでいると岡山の言葉がきこえてくるようだった(岡山=制服産業もでてくるし)。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
若くしてガン宣告を受けた男性、治療の甲斐もむなしくステージはどんどん上がっていき、ついには…という物語。 という粗筋はネタバレなんだろうが、2章を読むあたりではほとんどの読者がこの展開を予想できると思うし、既レビューもここには触れているのでよしとする。 主人公が恵まれすぎていて、年齢以外はこんなに死に方が理想だとついつい思ってしまう。人の助けになることが生きがいという、善意の塊のような自らの生き様がその幸せを呼んだとはいえ、愛される家族と自分を想ってくれていた美人同級生の看護師と、職場で一番信頼できる部下に囲まれて、故郷に暮らし、人生の岐路にもなった思い出のあの場所に、全員で行けるのだから、贅沢この上なし。 死に方をうらやむなんて、健康的でない思考だと思うが、人間どんなに金を持っても権力を持っても部下や友人をたくさんもっても、死にざまはツラい人が多いと思う。終わりよければすべてよし…というなら、主人公はホントええ人生を送ったことになるんだろう。 すごく美しくて豊かで悲しいけど心豊かになる小説だが、人の死にざまを描いた物語で、こんな気持ちになる罪悪感も正直あって複雑な読了感。 俺だっていつがんになっても死んでもおかしくないが、死にざまを整えるのはまだ早いように思えて、とりあえず明日ぐらいはあると信じて、今を全力で生きようと思う。
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わたしも父を胃癌で亡くしている。 そして、息子が2人いる。山登りが好き。 逝ってしまう人、残された人たくさんの思いがあるけど優しく強く泣ける場面がたくさんあった。 ただ病気で最期を迎える悲しい物語ではなく、家族愛、兄弟愛に溢れた未来希望のある話でした。
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高那さんの、ぼくは店長の人柄が好きなんです。の言う通り、登場人物みんなが、優しい物語です。 読み終わって、表紙を見たら涙がこぼれ落ちそうでした。また、何年か後に読み直したいと思えました。
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