きのうのオレンジ の商品レビュー
濃厚な生と死の匂い。最初から死に向かってまっしぐらの物語でありながら、暗いカンジばかりでもなく希望やおかしみも。岡山弁もポイントか。痛みの詳細な描写にガンの友人思い出す。那岐山のブナ懐かしい、あの登山から何十年経った?「世の中には自分の非を認めない人間が多すぎる。自分に不利なこと...
濃厚な生と死の匂い。最初から死に向かってまっしぐらの物語でありながら、暗いカンジばかりでもなく希望やおかしみも。岡山弁もポイントか。痛みの詳細な描写にガンの友人思い出す。那岐山のブナ懐かしい、あの登山から何十年経った?「世の中には自分の非を認めない人間が多すぎる。自分に不利なことが生じれば、すぐ他人のせいにする。怖かった、傷ついたと訴えれば誰でも被害者の顔になる」
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20210927読了 33歳にして癌宣告を受けた遼賀。 彼が幼くして経験した雪山での遭難事故を背景に物語が描かれていく。 彼は当時から何も変わらない。強く優しい兄であった。
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読んでいて、色々想うことがあった。 なんだか、悲しかったり、共感したり、でも最期はこうなんだろうなと思ったり、後悔しても時すでに遅しなこともあるんだろうなとか。 死や病気について、主観的、客観的、そして、当事者、家族、病院関係者、それぞれの捉え方をみられる、これもまた、現実だと思...
読んでいて、色々想うことがあった。 なんだか、悲しかったり、共感したり、でも最期はこうなんだろうなと思ったり、後悔しても時すでに遅しなこともあるんだろうなとか。 死や病気について、主観的、客観的、そして、当事者、家族、病院関係者、それぞれの捉え方をみられる、これもまた、現実だと思った。 検体の話、治験の話については、自分も医療職で、学生実習で検体を見た経験から、検体はこんな風に提供されているのかと思うと、色々思うところがあった。 この本を読み終え、自分は後悔のない最期を迎えられるのだろうかとか、いつ何が起こるかはわからないぞ、人生は…と思ったり。
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三十三歳で胃癌宣告を受けた遼賀。 『自分がこんな病気にさえならなければ、家族や友人をこれほど苦しめることはなかった。迷惑をかけることはなかった。どうすればよかったのだろう』 遼賀の優しさゆえの苦しみに、胸が痛くなりました。 家族、再会した同級生の矢田さん、職場の従業員 高那くん...
三十三歳で胃癌宣告を受けた遼賀。 『自分がこんな病気にさえならなければ、家族や友人をこれほど苦しめることはなかった。迷惑をかけることはなかった。どうすればよかったのだろう』 遼賀の優しさゆえの苦しみに、胸が痛くなりました。 家族、再会した同級生の矢田さん、職場の従業員 高那くん。遼賀を支える人たちがとにかく温かくて救われる。 ずっと祈るような気持ちで読み進めていました。 「生きること」、「命を終えるとき」、また遼賀と高那の関係から、人生の岐路とも言える「出会い」について改めて考えさせられました。 現役看護士である藤岡さんの医療小説は、いつも深く心に響いてきます。 悲しいのに読後感は温かい作品でした。
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五反田のイタリアンレストラン『トラモント』の店長として人一倍働いてきた、故郷岡山の学生時代も真面目に生きてきた、それなのに、三十三歳の笹本遼賀(りょうが)は、胃がんの宣告を受け、なぜと苦悩する。 そんな彼を、弟・恭平や母・橙子、高校の同級生で看護師の矢田泉、レストランの学生アルバ...
五反田のイタリアンレストラン『トラモント』の店長として人一倍働いてきた、故郷岡山の学生時代も真面目に生きてきた、それなのに、三十三歳の笹本遼賀(りょうが)は、胃がんの宣告を受け、なぜと苦悩する。 そんな彼を、弟・恭平や母・橙子、高校の同級生で看護師の矢田泉、レストランの学生アルバイト・高那などが、真心で支える。 第一章のがん宣告から始まり、第五章そしてエピローグまで、時は流れていくが、章により、一人称が変わるので、それぞれの人の目を通して語られる面白さがある。 第二章の母・橙子の母心は、涙を誘う。 第三章は、遼賀の昔を知る、高校の同級生の矢田泉の語り。看護師としての在り方や彼女の恋心も素敵だった。 第四章は、弟・恭平、そして、第五章、エピローグへと続く。 十五歳の頃、父と弟と三人で登った冬山の遭難など過去の出来事が、それぞれの心に・・・。 登場人物がみな善良で、素直な心で遼賀を支え、また、時にくすっと笑わせてくれるユーモアもあり、重いテーマだが、生きる悦びを感じる物語だった。
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遼賀、その母、弟の恭平、遼賀の視点の4章。 主人公が病になり高校の同級生と再会するところからストーリーが始まる。とにかく優しく、誰からも頼られる存在のお兄ちゃん。病になり死を感じたことで中学校卒業記念として父と弟と3人で雪山に登山したときに弟と二人遭難して死を覚悟したことを思い出...
遼賀、その母、弟の恭平、遼賀の視点の4章。 主人公が病になり高校の同級生と再会するところからストーリーが始まる。とにかく優しく、誰からも頼られる存在のお兄ちゃん。病になり死を感じたことで中学校卒業記念として父と弟と3人で雪山に登山したときに弟と二人遭難して死を覚悟したことを思い出す。 最後の登山でその時の捜索隊の人と偶然再会して、あの生還は奇跡だったと二人に伝えるシーンにジーンときた。
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少しずつ読もうと思っていたが、どんどん惹かれて数時間で読んでしまった。 がん告知から始まるセンセーショナルな出だし。それでも最後までハッピーエンドを望みつつ読み進めた。 普通に見える家族も、皆で一つになろうという気持ちが支えているところ、とても良いと思った。 なんの事情がなくて...
少しずつ読もうと思っていたが、どんどん惹かれて数時間で読んでしまった。 がん告知から始まるセンセーショナルな出だし。それでも最後までハッピーエンドを望みつつ読み進めた。 普通に見える家族も、皆で一つになろうという気持ちが支えているところ、とても良いと思った。 なんの事情がなくても、本当の家族でも、バラバラになってしまうのが家族。一人一人が尊敬し合うところはいいと思った。 みんなの心に一つのともしびの灯る一冊。
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半日で読了です! 連作短編集なのでさらりと読めました。視点は変わりますが、三人称で書かれていて説明がわかりやすかったです。 がんの宣告を受けた33歳の遼賀と、彼を取り巻く人々のお話。これは誰にでも起こりえる話で、普通に生きていただけなのにという言葉が重く感じました。 遼賀の病気...
半日で読了です! 連作短編集なのでさらりと読めました。視点は変わりますが、三人称で書かれていて説明がわかりやすかったです。 がんの宣告を受けた33歳の遼賀と、彼を取り巻く人々のお話。これは誰にでも起こりえる話で、普通に生きていただけなのにという言葉が重く感じました。 遼賀の病気をきっかけに過去の記憶をぽろぽろ思い出し、少しだけ強くなって前を向ける描写がまぶしかったです。劇的に変わることはないけれど、人間らしい強さだなと思いました。同時に章が進んでいくごとに遼賀の容態も変わってきて、2度目の奇跡が起きることを最後まで祈っていました。 読み進めていくうちに目の奥がツンと熱くなることが増え、5章の中盤からこらえきれず泣いてしまい、一時中断したほどでした。 遼賀の家は一見普通の家族だけど、実はそこには「家族でいたい」という全員の願いがあったことに胸が苦しくなりました。生まれの秘密を知っても親を問い詰めることなく今まで通り「家族」でいることを選ぶのは、子どもにとって難しいことだと思います。 しかし冷静な兄の遼賀は異変にすぐ気づけるほど家族を気にかけ、明るい弟の恭平は家族を喜ばせ認めてもらうために得意な(好きとは別)野球に打ち込んだ……方向性は違えど、家族のためにした努力がとても尊く感じました。 私も遼賀のように、死に際に誰かに心から感謝できるような人生を歩みたいと思いました。
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遼駕の病状が気になって一気に読んだ。 病気になった人の気持ちなんて当の本人にしかわからない、でもわかったようなことを言うんだよね。 中学生の時に雪山で遭難しかけた遼賀と恭平の兄弟。 常に冷静な遼賀とすぐに熱くなる恭平、対象的な兄弟だ。 この時の登山靴が題名に反映されているんだ、と...
遼駕の病状が気になって一気に読んだ。 病気になった人の気持ちなんて当の本人にしかわからない、でもわかったようなことを言うんだよね。 中学生の時に雪山で遭難しかけた遼賀と恭平の兄弟。 常に冷静な遼賀とすぐに熱くなる恭平、対象的な兄弟だ。 この時の登山靴が題名に反映されているんだ、と読み進めるうちにわかる。 最後になるかもしれない登山、壮絶だっただろう。 遼賀、生きて、と心の中で祈りながら読んだ。
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読んでいて、何だかすごく気持ちが落ち込んでしまった。 本当に身近な人の身に起こった出来事のように感じた。 遼駕の気持ちや、治療の内容など、すごくリアルに描かれているからかもしれない。作者の看護師としての経験をもとに書かれているのかな。 がんになってしまったらこんな気持ちになるんだ...
読んでいて、何だかすごく気持ちが落ち込んでしまった。 本当に身近な人の身に起こった出来事のように感じた。 遼駕の気持ちや、治療の内容など、すごくリアルに描かれているからかもしれない。作者の看護師としての経験をもとに書かれているのかな。 がんになってしまったらこんな気持ちになるんだな、とか、こんな治療を受けるんだな、とか、何となくしか知らなかったことをリアルに感じて、すごく怖くなった。 年1回の健康診断、きちんと受けよう。
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